Coolな芸術を求めて 作:COOL!
本編最終回です。
「█████!」
「うわあぁぁぁっ!」
ヒーローも
個性があっても無くても関係ない。
かの鳥の前では全てが餌であり、誰もが被食者だ。
「████!」
「やめてぇぇぇっ!」
「██████!」
幾千万回食い散らかされ、『緋色の世界』にいる人類の大半が正気を失ったころ。
彼らをこの地獄に突き落とした張本人が、その姿を現した。
巫女の格好をした彼女は、大幣を両手で握りしめて歌い始めた。
「あかしけ やなげ 緋色の鳥よ くさはみ ねはみ けをのばせ」
『緋色の鳥』は動きを止め、彼女をじっと見つめている。
「なのと ひかさす 緋色の鳥よ とかき やまかき なをほふれ」
美しいその声に、誰もが耳を傾けた。
「こうたる なとる 緋色の鳥よ ひくい よみくい せきとおれ」
「████████!」
『緋色の鳥』が鳴き声を上げる。
しかしそれは、先程までの恐ろしいものではなく、どこか喜びの色を帯びたものだった。
「煌々たる紅々荒野に食みし──」
祝詞は続く。
歌い終わった時、一体何が起こるのか。
それを知っているのは、彼女だけである。
「今こそ来たらん 我が脳漿の民へ」
「████████!」
「今こそ来たらん 我が夜の常闇へ」
「█████████!!」
「今こそ来たらん 我が檻の赫灼へ」
「██████████!!!」
鳴き声が次第に大きくなり、歓喜の色を帯びる。
『緋色の鳥』は最初に比べて遥かに大きくなり、その色も鮮やかさを増していく。
「緋色の鳥よ 今こそ立ちぬ」
次の瞬間、真っ赤な世界に閃光が走る。
光を放ったのは、空に開いた巨大な“門”。
「██████████████!!!」
そして『緋色の鳥』は、門の向こうへ飛び去っていった。
「・・・あれ?私、鳥に食べられて・・・?」
とある少女が目を覚ますと、そこは『緋色の世界』ではなかった。
「やった・・・助かったんだ」
喜びに震える少女。
しばらくして彼女は、あることに気付いた。
「あれ・・・鱗がない?」
少女が迫害されてきた原因。
彼女の体を覆っていた鱗がない。
「か、鏡を見なきゃ!」
すぐ近くにあったビルの、ショーウィンドウに映った自分の姿を見る。
「わぁ・・・っ!」
そこにあったのは、ごく普通の少女の顔。
『普通』でありながら、彼女には与えられなかったもの。
彼女がずっと求めていたものである。
「やった・・・やったぁっ!!」
その日、世界から『個性』が失われた。
『個性』の消失。
それは必然的に、ヒーロー社会の終焉を意味した。
第二次決戦は、『個性』を失った敵達が取り押さえられ、終結した。
多くの敵組織も、主な武器である『個性』の崩壊により瓦解。
地方に根強く残っていた異形系への差別も、異形系自体の消滅によって解決された。
しかし、新たに2つの問題が発生する。
1つは、失業したヒーローの働き先。
『個性』の消失に伴い、治安維持活動は警察のみが担当するようになり、多くのヒーローが路頭に迷うこととなった。
そしてもう1つは、未だ活動を続けるAWCYの脅威。
『個性』消失を引き起こした、アルティステ率いるAWCY。
何故か『個性』を保持し続ける彼らは、人類の脅威となる作品の制作を続けていた。
この2つを解決するべく、かつての『平和の象徴』オールマイトが中心となり、とある組織が設立された。
元ヒーローを構成員とし、AWCYの作品群を回収する組織・・・『財団』である。
本来は『オールマイト財団』となるはずだったが、オールマイトが名前を組織名に入れるのを拒んだため、名前が『財団』となった。
本人曰く、「私は資金提供ぐらいしかできないのだから、組織名に名前が入るのはおかしい」とのこと。
緑谷出久をはじめとする、各校ヒーロー科の生徒のほとんどは、卒業後に『財団』へ就職した。
『個性』に代わってメジャーになった『サポートアイテム』を駆使し、危険な作品の回収・管理を行うのである。
彼らは日々労働に勤しむ。
形は変わったが、『市民を守る最高のヒーロー』を目指して。
「会長ー!『12〜19歳少女の食べ比べセット』、完成しましたよー!」
「ふむ。それでは皆さん、お昼にしましょうか」
こんにちは。
わたし達は今、作品制作に勤しんでいます。
あの日わたしは、『緋色の鳥』を上手く利用し、世界中の人々が持つ『個性』を食い尽くしてもらいました。
彼にとって、超常の力たる『個性』はご馳走であるらしく、とても喜んでいましたね。
『緋色の鳥』はどうしたのか、ですか?
彼を縛っていた『封』を解き、どこか別の世界へと解き放ちましたよ。
力が強すぎた余り、世界人口の1割が目覚めないまま死んでしまいましたが・・・まあ些細な問題ですね。
「アルティステ、見てください。ヤマカガシに植えたら毒々しい色の花が咲きましたよ」
「・・・」
「・・・美味い」
「ほう。なかなか面白い見た目ですね」
KUNIEDA様が持ってきた極彩色の花を眺めつつ、レクターの作った料理を口に運びます。
『個性』が大多数の人間から失われたことにより、わたし達の“cool”を妨げられる人間は、ほぼいなくなりました。
わたし達は、望み通りの世界を手に入れたのです。
しかし、わたし達の“cool”な作品制作は終わりません。
この命が続く限り、わたし達は作品を作り、誰かに問うのです。
Are We Cool Yet?
『緋色の鳥』がどっかの世界に解き放たれました。
例の文書を読んじゃった人の所へやって来るかも!
気をつけよう!
これにて本作は完結となります。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
ちょこっと番外編的なのは書くかもしれません。