重いタバコを吸ってる不健康そうな年上美人とドロドロの関係になっていた話   作:かめっくす

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 本日、ついに書籍版の発売日です!
 加筆&素敵なイラストもたくさんありますので、web上で読んだ方も楽しめる内容になっていると自負しております。
書籍版を手に取っていただければ、続きを書く機会にも恵まれるので、応援してやってもいいよという方はぜひよろしくお願いいたします……!

 https://www.amazon.co.jp/dp/4047383201
  
 以下、発売記念のSSとなります。
 瑠衣さんと出会う前の結斗くんと、出会った後の結斗くんの話です。
 時系列的には本編開始前→1巻分終了後です。


【発売記念SS】孤独の底が抜ける夜

 孤独の底が抜ける夜が、たまにある。

 そういう夜は、決まって人と会った後に訪れる。

 人に会わないから孤独を感じるのではないかと思うかもしれない。

 でも違う。逆だ。

 人に会うからこそ、より孤独を感じる。

 皆の輪に入れない。馴染めない。集団の中にいるからこそ、孤独は際立つ。自分は劣等種なのだと強く認識させられる。

 

 夜。バイト終わりに、アパートに戻ってくる。扉を閉めると、鍵を掛け、熱いシャワーを浴びて忘れようとする。

 学校での、バイト先での、厭な記憶を拭い去ろうとする。

 

 寝間着に着替え、ベッドに寝転び、一息ついたところで不意にぶり返してくる。かさぶたが開き、膿んだ孤独が溢れ出してくる。

 

 世の中の人間は嫌いだ。だから、ずっと一人でもいい。そう思っている。

 だけど、たまに思う。

 俺はずっと、誰とも繋がることができないのだろうかと。

 一生こうやって、誰かと繋がろうとするたびに傷ついて、疎外感を覚えて、そんな日々が続いていくのだろうか。

 そう考えると、どうしようもなく怖くなる。不安で、眠れなくなる。世の中の人間は嫌いだとうそぶいておきながら、自分の弱さに笑いそうになる。

 

 そんな時、ふと思い出す。

 コンビニにタバコを買いに来る彼女のことを。

 いつも同じ銘柄の、蛍光色みたいな明るい色のパッケージを買いに来る、心の中で二十五番さんと呼んでいる彼女のことを。

 

 名前も知らない。ただ挨拶を交わすだけの関係。

 だけど、彼女と過ごす僅かな時間は、俺にとっての癒やしだった。唯一、孤独を忘れることができる瞬間だった。

 

 ☆

 

 その日は久しぶりに、孤独の底が抜けそうな夜だった。

 そういう時、前までは音楽を聴いていた。

 膿んで溢れ出しそうな孤独に、音楽は寄り添ってくれた。

 

 ベッドに横たわり、スマホを開いて音楽を流そうとした時、再生ボタンをタップしようとした指が不意に止まった。

 ボロアパートの薄い壁、その向こうから雑音が聞こえていた。

 隣の部屋で、瑠衣さんが映画を観ているのだろう。俳優が英語で何か話す声や、爆発音や銃声が聞こえてきていた。

 

 何を話しているのかまでは聞こえない。内容は聞き取れない。

 けれど、その聞き取れない雑音が、ベランダ越しに彼女の部屋から漏れる光が、妙に俺の心を落ち着かせた。

 

 壁の向こうに、瑠衣さんがいる。生活をしている。

 言葉を交わさなくても、会わなくても、それだけでこの広くて暗い夜の中、孤独じゃないような気になれた。

 

 俺はスマホの再生ボタンに伸ばしていた指を止めた。

 薄い壁の向こうから聞こえる雑音を聞きながら、目を閉じる。

 

 気づいた時には、夢の中に落ちていた。

 もう、不安は感じなかった。

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