推しの子 ルビーちゃん大勝利√   作:ルビーちゃん可愛いやったー!

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第7話 ママと私は売れっ子タレント?!

 

 映画の撮影が終わってから数週間が過ぎた。

 

 あの映画は若年層向けとしてはそこそこは売れ、それがきっかけになったアイはテレビや雑誌などの仕事が舞い込むようになり、少しずつ世間からの認知を増やしつつあった。

 

 そんな星野アイの大躍進と同じくして注目された人物が居る。ルビー。あるドラマで一気にブレイクした子役であった。出番は1話。主人公を裏から支える事になる女性の娘の幼少時の頃の姿で出演時間は1分に満たないあるシーンが受けた。

 

 死にかけの幼女の姿は、こんなに苦しんでいる子供が居て救う方法があるのであれば道を外れてしまうのも仕方ないのではないかと納得し、病気が治った後一気に明るく元気いっぱいに過ごすようになったその姿は、道を誤った女が道を誤ったことを後悔せずにいられてしまった気持ちが分かると、視聴者を共感させてしまうものだった。

 

 この演技を見たものはみなルビーを天才だと判断した。もしルビーが社長夫人であるマネージャーの子供と、芸能事務所の社長令嬢であると認識されなかったら争奪戦になっていただろう。

 

 なお、秘匿しておくはずの双子を大々的に出して大注目の的にしたマネージャーのミヤコは夫であり社長の壱護から滅茶苦茶キレられたりしてる。

 

 もう隠すもなにもないので正式に自分達の娘と息子という事で周りに紹介することになった。ここまで大事になると下手に隠そうとする方が怪しいからと。それくらいにルビーの演技の反響があった。

 

「怒られちゃったね~」

 

 ルビーはそんな風にのんきに言う。

 

「だね~。そんなに怒らないで良いのにね。せっかくルビーがすごい演技をしたのにね」

 

 そこにアイが同じように返し、

 

「いや、まあ、俺が言うのもなんだけど、バレたら終わりみたいな子供を前面に出したくないのは分かるよ」

 

 アクアが二人に突っ込みを入れる。そんないつも通りの光景がルビーの出演したドラマが公開された後に繰り返されていた。

 

「ルビーは将来は女優さんかな?」

「えー違うよ! 私はアイドルになるの!」

「でも、みんなルビーはすごい演技の才能があるって言ってるよ!」

 

 アイドルの裏側を知っているからこそ、アイは才能があるのならそっちの道があると勧める。だが……

 

「私はママみたいなアイドルになりたい! どんなに演技の才能があったとしても、逆にどんなにアイドルとしての才能がなくてもアイドルになるからね!」

 

 ルビーの覚悟は堅い。前世で閉ざされた道をこの上ない状況で進むことが出来るのだ。ここで進まないなんてあり得なかった。

 

「私みたいに?」

「ママみたいに!」

「えへへ、嬉しい。ママもルビーがアイドルになれるように応援するからね!」

「うん!」

「一緒にがんばろー!」

「おー!」

 

 こうして、二人は渋々了承した斉藤壱護やミヤコ、アイの支援もあり、堂々と芸能活動をすることが出来るようになった。

 

 芸能活動をする上で頼りにしたのが監督だった五反田であり、若者向けの作品を多く作っている関係で、若い層を多く雇用している人にも詳しいので子役としての仕事はなんだかんだ人の良い五反田監督の好意を使って仕事を紹介……もといその人脈をしゃぶり付くしていた。

 

「俺は仕事の紹介屋じゃねえぞ」

「良いじゃん! もし私が大物アイドルになっても監督の作品には出てあげるから!」

「いったい何年後なんだよ。最低でも20年は後の事じゃねえか!」

 

 二人の長所はなによりも賢い事であり、いわゆる芸能エリートと呼ばれる子が3歳から4歳までに仕込まれて、一部の賢い子だけがやれることを当たり前にやれる事だった。撮影中に泣いたり、叫んだり、暴れたりせず、求められた動作をしたり、言葉を発する事が出来るだけで合格点な所を、あらゆる場面でミスなくスムーズに進められるのはあまりに大きい長所だった。

 

 主演を勤める役者などは特に多忙なので共演する時は特にNGを出したりしないようにしなければならない。ここで問題を起こして撮影を止めてしまい、結果として出番を減らされ、次に使って貰えなくなる子役も多い。そういった事が一切なく問題なく熟せるのは、現場としてもありがたい。当たり前の事を当たり前に出来る子供は年齢が低ければ低いほど少なく、忙しい現場ほど重宝されるようになる。

 

 子役。特に5歳までのベビー部門は問題なく進行できる。撮りたい場面を撮る事が出来る子は稀少だった。

 

 そして、モデルの仕事も紹介された。子ども向けファッション誌の専属モデル、おもちゃメーカーの広告モデルとして人気で、双子コーデ姿が特にスポンサー受けが良かった。

 

 ただし、ドラマや子ども向け番組のギャラは、名前や台詞つきの仕事でも1話あたり1万円前後。雑誌のモデルも月契約で数万程度しか儲からない。美味しいはずのCMでも10万からが相場。あんまり儲からなかった。

 

「ミヤコさん、今月のギャラっていくらくらい?」

「二人合わせて15万くらいじゃない?」

「結構働いてるのになぁ……」

「子役で大もうけなんて出来るのはほんの一部。レッスン費とかの方が高く付く方が大多数なんだから仕方ないわよ。子役はほんとお金儲けというよりも親のエゴの世界だからね。タダでも出たい子が沢山いる。交通費とかも出ないし、行って帰ってくるだけでギャラが消えてるのも珍しくなんてないの」

「あれっ? 前は年に数千万とか稼ぐ子役とかいなかったっけ?」

「テレビ全盛期の時代じゃないんだから、よほど売れないとそんなのにはならないわよ」

 

 アクアはルビーの将来の為の投資の為もあるが、もっと安全な所への引越を出来るお金を稼ぎたかった。今の年齢から動くと、アイの子供バレのリスクはあるが、殺人犯から狙われている今の方がリスクが高い。なによりもルビーをまた死ぬようなリスクに少しでも近づけたくなかった。

 

「事務所手数料……それも本来あるしやっぱり、テレビとかにもっと出て単価を上げないといけないな」

 

 本来、事務所手数料を引けば7万円程度しか稼げていない。それだとマネージャーのような役目をさせているミヤコの事を考えると、事務所として完全に赤字である。子役にマネージャーが付きにくいというか付かないのは、ここら辺を親がタダでやってくれるからというのがある。それを踏まえると、もっといい所に引っ越させてくれなんて言えない。アイも知名度を上げるために儲からないメディア系の仕事を優先して受けてる為、手取りはそこまで増えていない。ただでさえ東京の家賃は高い。今の物件も安いわけではないのだ。

 

「なにか手を打たないと……」

 

 仕事はある。今を続けても5歳までは安泰だろう。だが、芸能人としてお利口なだけじゃ勝てないし、お金にならない。子供がテレビや雑誌に載って満足な人が多い為、お金なんてなくても人が集まってしまう世界でお金を稼いで行く為にアクアは次の手を打たないといけないと思った。

 

 

 *****

 

 

 side:ルビー

 

「あ~、楽しいな~」

 

 芸能界のお仕事をしているけど、滅茶苦茶楽しい。当たり前の事を当たり前にしてるだけで可愛がって貰えるし、あとテレビでしか見たことがない有名人に会えたりするし! もちろん、ママが一番だけど、ドルオタの私としては他のアイドルと会えるとめっちゃ興奮する。ちょー可愛い人に赤ん坊だからって甘えてオギャれるの最高すぎるんですけど! 

 

 お仕事をすると大抵上手くいくし天才とか褒められちゃうし、次の時もよろしくね。とか言われると、ほんと私って超凄いのでは? となって嬉しい。まあ、本命はアイドルなんだけど、演技の方もサブでやっていくのもいいかな~と思えるくらいにはなった。ママも歌って、踊れて、演技も出来るマルチタレントなわけだし、私もそっち路線でいこうかな。

 

「ちょっとあんた。なにだらだらしてるのよ。次は私とのシーンなんだからミスしないでよね」

「はい、はい、もうかなちゃんは面倒くさいなぁ」

「やる気が無いなら帰りなさいよ。まったく……なんでこんなやつと私が」

 

 楽しい思い出に浸っていると、最近お兄ちゃんのまわりでうろちょろしてる子が話しかけてきた。有馬かなちゃん。初めて会った時から態度も口も大きかったけど、私の前だとさらに大きい。理由は分かってる。

 

「お兄ちゃんが一緒に居ないからって私に当たらないでよね!」

「はぁ!? そんなの関係ないわよ!」

 

 この子がお兄ちゃんに恋をしているからだ! 

 

 まあ、理由は分かるよ。お兄ちゃんの顔はアイに似て可愛い。つまり世界一可愛い男の子なわけで、さらに世界一格好いいせんせの魂を宿した最高の男の子。これに同年代で出会っちゃうと他の男なんてもう目に入らないよね。分かる。分かる。

 

 それでなのか、なにかにつけてお兄ちゃんに付きまとって、私を引き離そうとしてくる。無駄なのにね。

 

 なんと言っても、私とせんせは運命の赤い糸で結ばれた関係。

 

 死に別れた結婚を約束した男女が生まれ変わって再会して、生前叶えられなかった夢を叶える為に行動しているとかいう最高に愛されてる真っ最中。ラブラブな関係なわけでもう勝負は決まってる状態! 

 

「もう、あんたノリで演技しすぎなのよ。もっと考えてやりなさい」

「いいじゃん。監督は良いって言ってるんだし」

「それに合わせる私が大変だって言ってるのよ!」

「えっ? 自信ないの?」

「はあ? あるに決まってるでしょ?」

「なら良いでしょ? 自信あるんだから」

 

 そういうと、ぐぬぬと顔を歪ませる。ふふふ、かなちゃんは年齢としては賢いかもしれないけど、私の中身はなんといっても12歳。私に口げんかで勝てるわけないのだ! 

 

「あっ、アクア」

「ほんとだ。お兄ちゃん」

 

 そんな事をしているとお兄ちゃんが戻ってきた。お兄ちゃんはマメで色々な人と喋ったりするんだよね。「さりなちゃん、看護師さんは絶対に怒らせちゃいけないんだ」みたいな事は前世から言って、お菓子とかを配ったりしてたけど、今も周りと仲良くしようとしてる。

 

 そして……

 

「あ~! 共演する女優さんに抱っこされてにやにやしてる」

「最低ね」

 

 たまにショタコンなのか、お兄ちゃんに手を出そうとする大人が現れる。お兄ちゃんが愛想いいからって勘違いしてそういう事をする人がいる。そして、なんだかんだでお兄ちゃんは受け入れちゃう。私という恋人が居るんだから、そういうのは断らないと! 

 

「ルビー行くわよ」

「うん!」

 

 浮気は絶対に許さないから! 

 

 

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