【現状読み切り……とは?】仙人紛いは自分探しが趣味のようです   作:スダホークを崇める者

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ずっと書き溜めておいて忘れていたので、せっかくだから加筆しきっての投稿でございます



仙人紛いは大型復帰勢のようです

 

その男は、まるで連行されるかのように引きずられてきた

璃月七星の秘書、陰の二つ名は最恐のワーカーホリックな半仙の手によって

普段は物腰柔らかな彼女が黒いオーラを携えて笑みを浮かべているのも見て、二人の関係性を知らない者の大半が思った

『この男、一体何をしでかしたのか?』と……まあ当然のことだ。

しかし、罪人と言うには明らかに扱いがおかしい……故に、最初だけは誰もが警戒をしていたのだが……

 

『はっはっは、流石はケイセン君!伝説の秘書補佐とまで呼ばれていたとは、このザキエルとて予測できなかったぞ……ところで、伝説とはなんだね?』

「ああ、それってハネ『電波会話から札遊びが始まるからや め な さ い』半端な気持ちではやらないからいいだろセイラン!?」

 

もはやどこぞも満足同盟のような、所謂黒歴史でも扱うようなやり取り

いわば『いつものノリ』というものである

しかし、それもまた致し方ないことかもしれない

この炯閃という仙人紛い、その過去の素性がほんの僅かに明らかになった直後が原因である

早い話、知る人がそれはもうすぐさま熱狂的歓迎ムードを抑えられずにいた

新たに神でも現れたのかと言わんばかりに崇められ……神輿のように担がれる始末である

その様子には流石の仙人まがいも戸惑い、一体何事かと問うと──『かの伝説の救い主が現れた』『これで残業漬けの毎日がマシになる』などなどの証言が

それだけで、あまりによろしくない現状を察するのは容易であった

──その結果、大変不本意ながらも仙人紛いは再起せざるを得なくなってしまった……ということであった

 

「っと、影の有効期間が終わっちまったか……アザエル、悪いがまたちょいと借りるぞー」

『ちょっとと言いながら10体も哨戒に使うな!ええい、毎度毎度我が権能をみみっちいことばかりに……!』

『猫の手も借りたい状況、致し方ないであろうに……我が友の仕事の邪魔をするなアザエル!』

 

文句を言われながらも、どこからともなく取り出したのは水色の奇妙な実

『聖木の実』と呼ばれるその物体は、言うなれば元素力の仲介役を担うこととなった

炯閃から実を経由して、塵歌壺の奥に鎮座する『聖木』にアクセス……イメージ通りの権能を引っ張り出す

今回顕現するは、『審判』を司る大司教の持つ権能の一端の影の従者

仙人紛いにとっては便利な哨戒要員で、持ち主が苦言を呈するくらいには使い倒している能力である。

使い魔的な能力なので致し方なしだが、それでも気に入らないからと一計を講じたようで……

 

『ぬわああああああ!?貴様よりによって悪そのものと言える姿で影を放つなぁ!』

 

──その形状は、アルファベット一文字で例えられるアイツ。

ただでさえ黒く妖しく輝く権能が故に、そのおぞましさは際立つというもの。

 

『羽虫如きで狼狽えるとは、相変わらず脆弱な精神だな……叩き直してやってもいいのだぞ?』

『おの大馬鹿者め、つられて本物が出たらどう責任を取ってくれるのだ!?貴様は千岩軍にこの璃月港の大掃除という余計な仕事を与えたいのか!』

「いやいや、そんな雑事を千岩軍にやらせてどーする……」

 

炯閃は特段苦手としていないので平気なのだが……潔癖症極まるザキエルにとってはいるだけで死活問題なのである。

それにしたって騒ぎ過ぎに見えなくもないが、生前のトラウマもあるので致し方なしである。

とはいえ、余計な人員を巻き込まないようにする辺りは存外まともである。

 

『こらアンタら、宿主が久しぶりに大盤振る舞いだってのに喧嘩しない!次やったらセフィエルの実験台コースだよ!』

『ぬおおおお、それだけは勘弁願う!というわけでケイセン君、たった今ラフィエルから返ってきたから回すぞ!おっと、タニエルからも来たな!』

「流石『節制』の大司教、財政面については鬼速いな相変わらず!タニエルも信頼と安定!──って、帰離原の方で宝盗団が問題起こそうと集まってやがるし!うわ、凸かましてやりたい!」

『落ち着け、この程度の輩に我々の威光を示すなど言語道断──審判を下したくなる気持ちは分からんでもないが』

 

そして減らず口なタフガイ(自称)も、今回ばかりは悪ノリする余裕などまるでない

『節制』と『愛』の大司教から回ってくる多量の書類を確認しては、哨戒からのリアルタイム不審者情報も確認する

基本的に喧騒が収まることが珍しい炯閃の塵歌壺だが、特にここ最近はその趣きは若干異なっていた

それも当然、そこに展開されているのは次元だけ異なる仕事場……動的臨時支部なのだから

行われているのは大司教をも利用した並列的事務作業プラスアルファ

基本的に炯閃の肉体を介する変身でしか表に出られないのが彼らではあるが、それは干渉出来ないというわけではないのだ

まさに贅沢極まる人海戦術だが……ひたすらに情報量が喧しいことが真っ先に挙がる欠点である

その喧騒は、常人では見聞きするだけで目を回しかねない狂気的

故に炯閃に再度宛がわれた部屋は基本的に立ち入り厳禁が敷かれるほどであった

 

『全く騒々しい……これでは楽譜を書こうにも浮かばないではないか』

『ええいヘセエル、もう仕事場は歌劇場から移っているのだぞ!?貴殿に事務作業を手伝えなどと言うだけ無駄なのは重々理解しているが、せめてやる気の出る音楽くらい奏でて欲しいものだな!』

『む、仕事の効率化を図りたいのか?それならばこの腕を4本に増やせるポーションを試すといい』

「ノーガードばくれつパンチでも打てってか!?流石隠れマッドサイエンティストなセフィエル様、鬼畜すぎだろうが!」

 

そしてこの場を更に混沌としているのは、塵歌壺内部面々の熱量の差だ。

先ほど名が挙がった『節制』の大司教ラフィエルと『愛』の大司教タニエルはそれこそ精力的に手伝いをしてくれている

が、フォンテーヌの歌劇場で大暴れしては誉れを得た『慈愛』の大司教ヘセエルは今回はまるで関与する気なし

完璧主義ではあるのだが、同時に琴線に触れないのであれば興味も湧かない芸術家肌が故か

そして怪しい薬を渡すのは『慈悲』の大司教セフィエル。

良かれと思ってやっているのだが、こちらは些かマッドサイエンティスト気質が過ぎる

軒並み効果が物騒なものばかりで、いくら炯閃と言えど使いたくなるような代物ではなかった

他にも『権威』のウラエルや『信頼』のラマエルなどもこの状況で手を貸せる大司教であるのだが……今回は別件で手が回せないようだ

そもそも『事務作業をしている大司教』とは何なのか……更に、そんな存在を平然と顎で使う炯閃も大概である

確かにこんな奇妙な喧騒が広がる部屋、常人ならばまず訪れることも憚られること請け合いであった

 

「件の伝説の真偽は……もはや言うまでも無さそうね」

「あれだけ騒がしくしながらも、業務そのものは無駄なく着実に捌いている……一体どういう頭の構造をしてるのかしら」

「ふふ、それでこそ私の弟弟子ですので」

 

数少ない例外に当たる面々……璃月七星2名とその秘書が様子を見に来るが、その反応は見事にバラバラだ

賞賛しつつも苦笑を浮かべるのは『天権』こと凝光、人間業からかけ離れたやり口に呆れながらも戦慄と僅かな対抗心を覚えるのは『玉衡』こと刻晴

現代の璃月のトップと言える二人が興味を覚える程、この仙人紛いは大暴れっぷりを見せていたのだ

なお、引きずってきた張本人はさぞご満悦だがどこかトリップしているように見えなくもないので大体がスルーしている模様

 

「丁度いいところに甘雨姉様、これ一通り戻すの頼んだ。刻晴様、さっきの聞こえたと思いますが帰離原に千岩軍派遣お願いします、念のため数多めにした方がいいかもですね」

 

そのあまりの早口っぷりは、もはや呪文の領域に差し掛かっていた

それこそ異なる世界に札決闘でありそうなもの……それもボチヤミサンタイなんて優しいものではなく、もはやループコンボでもやりそうな勢い

仕事をしているはずが、気迫すら感じられるのは歴戦の何とやらと言うべきなのか

自分もそれに続かなければと、甘雨はきっちり纏められた書類を受け取ってはそそくさと部屋を去る

刻晴も黙々と、どこか渋々とそれに続く

そんな中、凝光だけはあえてこの部屋に残っていたり

 

「……おや、凝光様。更なる目と耳をご所望なら今は間が良いので承りますが」

「大変ありがたい申し出だけれども、それらは貴方が為すべきだと判断したことに使ってちょうだい。そちらの方が私としても都合が良さそうだもの」

 

これ以上復帰したて大型新人の負担を増やすことは偲びなかった

が、それ以上にこの仙人紛いの思考を買ってのことでもある

普段はおちゃらけているものの、どこに隠し刃を持っているか分からない……というところまではきっちりと見抜いている

この場に残ったのは、そんな得体の知れない存在との軽い面談の為でもあった

 

「……復帰してからずっとそんな調子のようだけど、大丈夫なの?」

「フォンテーヌやスメールでも見えなかった川が時折チラつくくらいにはきっついですねー」

「物騒なジョークで即答しているなら大丈夫ということね」

 

自分でキツイと言い放っているのは、何だかんだ状況をきっちりと自覚できている何よりの証拠だろう

──そんな軽口の合間に凝光はそのように見立てているが、それはきっちり的を射ている

これだけの激務を安全マージン込みでこなせる様を目の当たりにすれば、即戦力として認めるのも当然のことであった

 

「これだけの数の中継役を担い、更には各地に配備した見回り用哨戒の並行確認……瞬間的業務量なら甘雨以上かもね」

『そう、その通り!偉大な我々をきっちり並行して使えるのがケイセン君最大の強みなのだよ!』

『こら、バカみたいなポーズを取ってないでちゃっちゃと書類送信を続けなさい』

「……喧しい第二の職場作っちまった点は本当に申し訳ないと思っていますがね」

「そんなこと気にしなくてもいいわよ。賑やかでこちらも微笑ましくなるくらいだもの」

 

ちなみに壺の中にいる愉快な大司教達については『旅先で会っては道連れのように匿った居候』という雑な説明で留めている。

何なら、ザキエルやセイランといった保護者筆頭についてはきっちり顔出しも済ませていたりも。

忙しなさの中に笑いの種と大草原、これもまた炯閃があっさり受け入れられている理由でもある。

 

「まあ、刻晴は妙に対抗意識を燃やしているようだけども……その辺はどう思ってるのかしら」

「仙人の庇護から脱却したいという意志の延長線上ならば、むしろ光栄──個人的には好ましいとすら思ってますよ」

「そう言って貰えると安心だけれど……仙人の弟子という立場でいながらもそれでいいのかしら?」

「弟子ではありますが、イエスマンでいるような契約はしてませんので特段問題はないですよ」

 

あんまりと言えばその通りな言い草である

しかし、彼にとっては立場など飾り以外の何物でも無いのだ

仙人の弟子でありながら人間の反抗精神に沿うのも、彼自身が是とすることに従った結果

まさに唯我独尊、我思うゆえに我あり

そんなあっけらかんとした有様には、いっそ清々しささえ覚えてしまうものだった

 

「まあ、強いて言うなら甘雨姉様の前で岩王帝君の過激な批評は控えて頂きたいかなーってくらいですかね……あとのシワ寄せが全部こっちに来るんで」

「あら、そこは補佐として裏で受け止めてあげるべきではないの?」

「こちらとしては、付き合いがとんでもなく長い姉貴分ってだけなんですけどねー……だからこそ遠慮が無いってだけでは?」

 

これまた恐ろしく生々しい物言いである

しかし、これまであまり見なかった秘書の様子を前にすれば……流石の凝光としても同調せざるを得なかった

何せ、連れてきて早々『秘書補佐に推薦します』と有無を言わさない一点張り

いつも通りの穏やかな口調ではあったが……その背後には黒い独占欲を基とした圧すら感じられた

そんな虎の尾通り越した逆鱗に触れるような命知らずは、この世界でもそう多くはないだろう

ちなみにこの時、その長い時に味わってきた苦労も察してしまっていたり

野暮なので口にはしない、この手の好奇心は猫も殺すとも言う

 

「専属としての引き抜きは止めておいた方が良さそうね……後ろ髪は引かれるけれども」

「あー、こちらとしてもすっごい魅力的な誘い故受けたいのは山々ですがね……『構わず首を突っ込む』ってのがやりづらくなるんで、その辺もご理解頂ければ幸いってことで」

「その気ままさがこちらの得になりそうだから、是非ともそうさせてもらうわ……末永い付き合いになることを切に願いたいところね」

「少なくとも璃月そのものとの付き合いなら、生きてる間は続けるつもりなんでご安心を。勿論、凝光様個人でも同じことですぜ?」

「あら、流れるように口説くのね?でも今は場所と状況が合わないから……後日、群玉閣で続きを話しましょう」

 

彼女自身の居城と例えられる群玉閣への誘い、これは今の璃月においては破格の扱いの証である

この炯閃という男は、それだけの価値がある──今代の『天権』はそう判断したということ

常人ならば恐縮するか舞い上がるかの2択だろう

しかし、炯閃はただただ浮かれた様子の無い笑みを浮かべるのみだ

 

『はっはっは、我が盟友が相応の扱いを受けるのは毎度ながら気分がいいものだな!』

「こういう展開も何度目やらかだがね……ナタ、フォンテーヌ、スメールと挟んでるからもう慣れちまったけども」

『そして、明らかに何かある感じなのもいつも通りと……今回はあの刻晴って娘の様子で大体読めるのが救いだけど』

 

のらりくらりの風来坊、それでありながら各地の陰で良き暗躍を展開する

どこぞの『陰の実力者』と言わんばかりだが、彼の場合はそうせざるを得ない心的事情があったりなかったり

やりたい放題の割に表舞台に名を残そうとしない、目立ちたいのかそうでないのかまるで意味が分からない大盤振る舞い

 

「まあ、品定めはお互い様ってところだろうさ。そういう腹の探り合いを即やる豪胆さは気に入ったし、今回もきっちり陰で働くと致しますかね」

「随分とやる気に満ち溢れているようですが、よほどお気に召したのでしょうか?」

「ああいう上昇志向の塊は見ていて気分がいい。時代を変える一太刀としてはこの上なく俺好み……って何か寒いかと思ったらいつの間に戻ってたんだよ甘雨姉様!?」

 

──そして、今回の彼はあまりに間が悪かった

というより、その状況をあえて誘発したのではないかと言わんばかりにも思える

いつの間にか背後に立っているのは……まあ言うまでもないだろう

それよりも問題は、アブゼロが如く瞬間凍結した部屋の空気である

 

「ちょっと目を離した隙に上司を口説く(サボリ)だなんて……復帰早々随分と楽しそうですね、け・い・せ・ん?」

『おおっと、甘雨クンの吹雪が炸裂だー!この先制っぷりは、どこぞのアイスソードが如く!』

『ここが璃月であることが幸いだったな。ドラゴンスパインだったら必中のおまけつきであったであろう』

 

本来なら水元素が無いと起こり得ない反応だが、この半分麒麟系女子にはまるで関係なしだった

中の人が違えば、精神すら凍らせそうな勢いで割と洒落にならない状態である

なお、対象に含まれていないことをいいことにザキエルはすっかり某ポケットなモンスターな如く実況者状態だ

 

「何となく嫌な予感がしたので3倍速で用件を済ませて戻ってきましたが……全く、油断も隙も無いとはこのことですね」

「赤くなってないだけマシなんだが、それでも流石に怪異すぎでしょうが……」

 

勿論、まるで空気が読めてないので緩衝材にすらなっていないの悲しいところか

甘雨のハイライトが失いかけている上に、弟弟子しか映っていないのが尚更恐れを掻き立てる光景であろう

しかし、この仙人紛いも負けず劣らず図太いことこの上なし

もはや慣れっこなのか、それともただの諦観から来る余裕なのか

無論、この程度では柳に風だと甘雨も大いに理解しているので……現在進行系で大いに詰め寄っていた

ちなみに包丁とか隠し持ってるなんて昼ドラ展開ではないので、そこはご安心ください

 

「……それで?凝光様と二人きりで、一体どのような話をしていたのですか?」

「いや単純に復帰勢である俺との1on1の面談があって、俺のマルチタスク極まる様を見て、いっそ群玉閣入りしないかって誘われただけなんだが」

「おかしいですね……何やら魅力的なお誘いとか、群玉閣で続きをとか怪しい言葉がそれはもうわんさかと聞こえたような」

「何故にそこだけ強調ピックアップしてんだよ!?地獄耳過ぎんだろこの姉弟子!?」

 

もはやサボりの追及からズレて、代わりに修羅場待ったなしの空気である

更には打球を曲げそうな黒オーラを発する始末……なお、この姉弟子の得物は弓なのでシナジーが無いわけではない(あるとも言わないが

とはいえそこは百戦錬磨の炯閃、鈍感と言う程ではないので原因の把握は抜かりなく

……分かっていても尚、『何なのだこれは、どうすればよいのだ!?』ではまるで話になっていないわけだが

 

『安心しなよ、甘雨。確かにこの子はバカだけど、そこまでの不義理を働くことはないから』

『そうなれば、契約を重んじる帝君に岩埋めの刑に処されかねない……であろう?』

 

そんな八方塞がりをどうにかするのもまた彼らの仕事である

今回は『自由』を司る異界の仙人セイラン、『慈悲』を司る大司教セフィエル

壺の中の住人はそれこそ曲者揃いだが……その中でも比較的、かろうじて理性的に分類されるであろう顔ぶれだ

まさしくきっちりした仲介の甲斐あり、甘雨も多少なりとも黒オーラを収めていた

 

「……まあ、セイランとセフィエルがそう仰るならとりあえず……ええ、本当にとりあえずですが信じておきましょう」

「可愛い弟弟子に対するリスペクトやら信頼をもうちょい持ってほしいところなんだが?」

「……ちょっと目を離したらすぐにいなくなっての国外逃亡常習犯。これについてなにか申し開きは?」

『ハッハッハ!それについてはまさしく!ぐうの音も出ない程にその通りとしか言えないな!』

 

などと楽しそうに言うザキエルだが、額からは薄っすらと冷や汗が

チクチクと急所を刺すような感じに和らいだとはいえ黒モードは健在……やんちゃ共犯一番手の彼としては、気圧されるのも無理はないと言うことだ

別世界では大いに讃えられていた大司教も、やはり元人間ということだ

 

「国外逃亡とは随分と人聞きの悪い……そこは立つ鳥跡を濁さずと言ってほしいもんなんだが?」

「濁さずを通り越して残さず、しかもその後の足取りも一切掴ませない徹底ぶり──お陰で私は不眠不休、暫くは仕事が捗って仕方が無かったのですが?」

「そこで捗らせてどうするんだこの仕事狂人(クレイジーワーカーホリック)め……まあ、俺が引き継がせた分に手を付けなかっただけマシだと思ってやるが」

「……腹立たしくとも、汲むべき意図はしっかり把握していますとも。これでも姉弟子ですから」

 

そこは双方仙人の弟子、長寿の存在が故のシンパシーであろう

とはいえ、その程度の話で本当に済むのやらか……ボブならぬ壺の住人の大半はそう訝しんでいた

無論、あえて口に出すような野暮なことは誰もしていないが

 

「とにかく、今の貴方はこの私の唯一の筆頭補佐役であることをお忘れなきよう──引き抜きは勿論、もう勝手にお暇なんてさせませんから」

「凍結に加えて束縛なんて欲張り姉様だな……上等、いざって時は帝君に泣きついてやればいいし」

「なっ……!そこで岩王帝君のお名前を出すのは卑怯ではないですか炯閃!?」

「卑怯でも何でもありませーん、やることやった上なんだからただの正当防衛──おっと、言ってる側からアザエル使い魔反応あり。しかも当たり(Jackpot)!早速全速前進DA!」

「って、何が全速前進ですか!逃がしませんからね!?」

 

姉弟子の弱点を突いて間もなく潮目に差し掛かったのは偶然か必然か

どちらにせよ、流れが変えるためならば炯閃の行動は電光石火そのもの

それほどの急流を直に食らって尚、めげずに食らいつく甘雨の方も大概と言えるのだろうが……

そして、璃月屈指のワーカーホリックのそんな意外極まる一面を目の当たりにした通りすがりの方々は──

 

『補佐の立場にありながらあの甘雨先輩を振り回すとは……どうやら噂以上の弟弟子のようだ』

『あんな奔放で騒がしくしながら、平然と諜報もこなしかねない器用万能っぷり。確かに、手元に置きたくなるのも納得……とまとめるべきなのかしら、この場合』

 

あの甘雨が振り回されていることに目を丸くこそすれど、その隠れ有能っぷりには一目置いている

まあ、それだけ璃月港は平和ということだ……今のところは、だが





何でまた天使グランウェポンという大層な存在をこんな雑用で使ってしまうんだって?
まあほら、どこぞの影の軍団リスペクトってことで一つ
勿論後の塵歌壺後輩(なんじゃそりゃ)な旅人からは使い方がおかしいときっちりツッコミをさせる予定です、多分きっと恐らく
ちなみに構想だけなら色々出来てるんだけど、書く余力があるかどうか……

・凝光
伝説の秘書補佐のガチマルチタスクっぷりに、そりゃあ使えるものは使う精神から真っ先に目を輝かせるでしょうな御方
何気に炯閃がただ甘雨の弟弟子であること以外も見抜いているが、そこをあえて深く触れない辺りが炯閃からの好感度を上げていたりする、流石
後はあの甘雨を振り回せる人材として素直に面白がっている。そりゃあそうだ

・刻晴
時期が時期なので、いきなり現れて有能さ全開の仙人の弟子が現れてちょっぴり警戒気味
とはいえその心魂は人間らしさが濃い目であることも薄々察しており、炯閃の存在は自身が抱いている未来に必要な人材なのでは?とも早くもどこかで認めつつはある……のだが、やはりほんのちょっと悔しい模様?

・モラが常に無い岩王帝君
ここぞとばかりに名前は出てくるのに出演がない
ただあまりに炯閃のおイタが過ぎると飛んでくるだろう、石化効果隕石が

※時期的には旅人(空)が最初の訪問先モンドでトワリンといやっふーしてる頃と思ってください
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