アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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課題&テストが近くてガチでヤバイので一週間くらい音沙汰なくなるかもしれないんですけど、いつもそのくらい更新期間空いてるから特に何も言わなくていいのではと思うなどした


全知との邂逅

 

「っしゃおら2スト落としたったぞ!!落としたったぞーぉぁぁああああ!!!!(断末魔)」

「......よしっ」

「す、すごい......ユズ相手に一瞬だけど%有利とって2スト落とすなんて」

「2人でチーム戦したら大会の上位も狙えるんじゃ......」

「いや流石にそれは無理(正論)」

 

 今日も今日とてゲーム開発部に入り浸ってゲームしまくっております。どうも七囚人最強最悪()と噂される西水チトセです。

 Keyにアップデートパッチ(物理)をプレゼントしてから数日。アリスちゃんの内部では一見おとなしくしているようにも見えますが、肩に乗っかったユニットは常時稼動して情報収集を行っているようです。

 

 私が連れ出したタイミングで幾つか生成したドローン及び超小型移動式拠点。現在はエリドゥ近辺を飛び回り進捗を確かめているのではないでしょうか。

 能動的行動を取るにはいささか準備不足感が否めませんが、あちら側のアクションに合わせて適切に対処できなければトリガーAI失格ですからね。

 

 ()()()()()()()に、より綿密で確実な結果を得る為。 

 Keyは今ゆっくりと"狡猾さ"を覚えつつあります。

 

「っと、お客さんだね。ほんじゃお姉さんは隠れます」

「流れるような所作でロッカーに......」

「隠れることに慣れすぎてる......」

 

 持ち込んだコントローラーとバッグと銃、あとコップを手に隠れます。

 廊下に響く硬質な足音、そして特徴的なドローン駆動音。まあ皆さんお察しの通りの方です。

 

「失礼するわ」

「あっ、リオ会長!」

「リオ会長だ!お菓子食べます?」

「ありがとう、1つ頂くわね」

 

 原作においてリオ会長がゲーム開発部の部室を訪れたのは1回のみ。それも暴走後に激落ち込み状態のアリスちゃんを力ずくでも連れていく時でした。

 

 アレは本当に巡り合わせが良くなかったというか、間が悪かった故に起きてしまった悲劇でした。当時の私もまたリオ会長とアリスちゃんの覚悟を目の当たりにし、大人として何もできない無力に打ちひしがれたものです。

 

 ですが......

 

 なんと.........

 

 今回に限り.........っ!!

 

「じゃあアリス、今日も簡単なチェックをさせてもらうわね」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 リオ会長は、リスクを完璧に排除するために別の小さなリスクを負う覚悟を決めました。

 

 まず先生に事態の説明を行い、某全知さんと協力しアリスの現状や潜在的危険性を検査できる機器を開発。

 ゲーム開発部及びアリスちゃん本人に承諾を取った上で定期的に検査と解析を行っているらしいんですね。

 

(元々リオ会長はフィールドワークとかもガッツリやるタイプの人。というか直接戦闘以外に関しては殆どあの人1人で何とかなるレベルで万能なんですよね)

 

 まあ、それ故に気付いてしまうんですけど()

 

「......その、肩に装着しているデバイス。ここ数日で誰か手を加えたかしら?」

「い、いえ......知らないよね、お姉ちゃん?」

「えっ、ミドリ忘れちゃったの?ちょっと前にチトセお姉さんが───アッ」

「そう、やっぱりチトセなのね......どうせ聞いているのでしょう?この後時間を貰うわ」

 

 時間貰うのは確定なんすね......

 まあ、せっかくなのでもう1つ仕込んでおきますか。

 

「この場で済ませることってできます?」

「......呆れた。あなた自分の立場が分かっているの?」

「いやいや、それ言ったらあなたも大概でしょ」

「これもまた私が果たすべき職務よ」

「さいですか......」

 

 いやほんと、生真面目すぎるでしょこの人。

 アリスちゃんを連行するときだってわざわざ姿を見せる必要なんてなかったし、目的が正しくても手段が常に正しいとは限らない事を理解していながら汚れ仕事は全て自分で片付けようとする。

 人としては美点ですし為政者としては正解かもしれませんがね......

 

「......まあいいわ、後でしっかり検査するから。あとヒマリがあなたに会いたがっていたわ」

「え!?かの有名なミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリ先輩が!?」

「......」

「というかあの人モモトークやってます?この機会に交換しておきたいんですけど」

「知らないわよ......」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「という訳で来ました」

「だいぶフットワークの軽い方ですね......では自己紹介と行きましょうか、私は───」

「ミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリさんですよね!?握手してください!!」

「え、ええ。構いませんよ」

「よっしゃー!!」

 

 リオ会長から手渡された連絡先、親の自己紹介よりも聞いた前口上の後に説明されたポイントは特異現象捜査部の部室───ではなく、ヒマリ先輩個人が所有するセーフティルームの入り口。エイミちゃんに連れられてめっちゃ入り組んだ通路を通りやってきました。

 信用されているのか、はたまた全く信用されていないのか図りかねますねこれ......

 

(ここまで曲がった14の分岐、そのうち10の十字路が直角からほんのわずかにズレている。隔壁や囮の通路もあるみたいですねこれ......)

 

 そもそもエレベーターがほんの僅かに回転しながら降下していたんですよね。限られた人間以外は訪れることは不可能でしょう。

 不規則な分岐、方向感覚を失わせるズレた通路。どこぞのビッグシスターを思わせる徹底ぶりですねクォレハ......

 

 こんなもの原作には存在しなかったはず、いやまあ超天才病弱美少女ハッカーさんが先生に明かしていなかっただけと言えばそれまでなんですが。

 座標はミレニアム中心からやや外れた地下、降下時間と加速度から逆算すれば少なくとも地下200m台の深層。彼女も或いは────

 

「では本題に移りましょうか」

「おや、せっかちな人ですね......あなたは会話を楽しむタイプの方だと伝え聞いていたのですが」

「それだけ事態は逼迫している、ということですよ」

「そりゃ大変だ(すっとぼけ)」

 

 まあお互いに忙しい身だし、仕方ないね。

 特に今はリオ会長と組んでエリドゥ建設に携わってるはずだし、何よりKeyというリスクが既に主であるアリスの手を離れて行動し始めていることも理解しているかもしれない。

 暴走という危険性が示唆されていただけの原作とは違う。もっと理性的で効率的で、そして破壊的な結末を予期しておきながら何もしないほどこの人は楽観的ではない。

 

 リオ会長はキヴォトスの為にアリスちゃんを犠牲にする選択をとった。しかし、排除すべき対象が生身の生徒であれば?はたまた彼女にとって大切な相手であれば?

 ......どんなに事態がひっ迫してもおそらく、彼女は非情に徹することが出来ない。だがヒマリさんなら、他の方法が一切存在しないと分かった場合己の手で決断を下すだろう。

 

 ───よりよい未来を模索するということはつまり、その過程で生じる不利益も不幸も全て背負っていくという事なのだから。

 

「単刀直入にお聞きします、西水チトセさん」

 

 ヒマリさんの薄灰色の双眸が、私のそれと交錯する。

 

「あなたにとって、アリスちゃんはどんな存在ですか?」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「......と、言いますと?」

「あら、リオから聞いた通りですね」

 

 デスクに置かれていたタブレット端末、そこに表示されている一文を前に横転。

 

・核心をつく質問をした場合、まずチトセはとぼける可能性が高い

 

「なんだろう、思考盗聴するのやめてもらっていいですか......?」

「なんだかここまで予測通りだといっそ気の毒に思えてきますね」

 

 下にスクロールして表示された続きを見て側転。

 

・自身の言動や目的の真意を指摘された場合、冗談で場を濁し話をすりかえようとする

 

「アイエエエ!?(爆発四散)」

「......もう諦めて答えた方が賢明かと」

 

 ちょっと可哀そうな人を見る目!!やめて!!

 クソッ、ホシノさんほど長い関係でもないのに私への理解度が高い!!

 

「......この質問、リオ会長にもしているんでしょう?あの人はなんて答えたんですか」

「その質問だけで、私にとっては十分に回答と呼べるものですよ」

 

 あなたはアリスちゃんと関わる上で、潜在的な脅威を認識しリオからの対応に警戒している。

 無警戒ほど恐ろしいものはありませんからね......と前置きしてから、割とクォリティの高い声真似を披露した。

 

「アリスは危険な存在よ......でも()()()()()()()()()()()()、そう理解したわ。

 そもそもセミナー(うち)にだって危険な問題児は居るもの、とね」

「既に結構絆されてて草」

「あんな良い子と関わって絆されないほどの冷血女だったらエイミに命じて温めさせていますよ」

「芯まで温まりそうですねそれ()」

 

 ......リオ会長が原作でトチってしまった要因はシンプルで、"リスクの正体を知らなかった"ということ。

 超ハイリスクな接触及び起動を既に経てしまっているのなら、既に生徒として活動しているのなら早期に小さなリスクを負って調べるべきだった。

 リスクを含有するアリスちゃんごと排除しようとした結果として、エリドゥに連れてくるという最悪の決断をしてしまった。

 

 ......もしリオ会長が最後までアリスちゃん&Keyを最後までエリドゥに連れて行かなかったらどうするのかって?そりゃカチコミしかないでしょ(頭アビドス)

 

「......私も同じようなものですよ。アリスちゃんは確かに危険性を有していますが、それと可愛い後輩であることは両立するでしょう?」

「ええ!!あなたなら理解して頂けると確信していました!!」

 

 意気投合し固く握手を交わすワイ。

 まあアリスちゃんに対しての発言だから嘘は吐いてないしセーフ()

 

「さて、ではそろそろ本題に移りましょうか」

「......あれ、今の質問が本題じゃないんですか?」

「この話をするだけなら部室で十分でしょう。エイミ、少し隣の部屋で待っていてもらえますか?」

「わかった」

 

 佇まいを直し、ずっと部屋の端でお菓子を食べながら扇風機の前に立っていたエイミちゃんに退室を促す。

 ふむ......真面目な話?なんか私とヒマリさんの間で真面目な話ってありましたっけ?

 

「この部屋はあらゆる盗聴、監視下にないことを私が保証します」

「......何か、私に聞きたいことでも?」

「ええ。私が質問した分だけあなたも私に質問してもらって構いません。もっとも、私に答えられる内容であればの話ですが」

「おや、"全知"の学位を持つあなたらしくもない弱気な予防線ですね」

 

 海よりも深く山よりも高い彼女のプライドに「えいえい、怒った?」するつもりで放った言葉は、事も無げに肩をすくめるだけで躱されてしまう。

 

「───あなたの"神秘論"で公表された内容の大半を知らなかった時点で今更ですよ。そもそも"知らない事象を発見次第調べて既知のものにする"こともまた全知と呼べるでしょう?」

「なるほど確かに」

「それでは───まず、この質問は答えられなくても構いません。ただ、私の質問が見当違いなものであればそこだけ教えて頂ければ結構です」

「お、おう......」

 

 なんか謙虚なヒマリさんってこう......なんていうか……その…下品なんですが…フフ、下品なのでやめておきますね(英断)。

 

「では遠慮なく。西水チトセさん、あなたの───」

 

 その顔は特異現象捜査部の部長として、そしてミレニアムが誇る"全知"の学位を有する者として相応しく。

 "未知"を前にして、或いはアリスちゃん以上の厄ネタである私に対し臆することなくその問いを投げかける。

 

「───あなたの、本当の名前を教えてもらえませんか?」

 

 

 

 

 




西水チトセについて現在公開されている情報、及び登場人物紹介を更新しました

追記
リンク貼った方が手間省けるやんけ、ってことで貼ります
https://syosetu.org/novel/346216/2.html


次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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