これから先、閑話や掲示板回を挟みつつエデン条約編に突入する予定です
お楽しみに~
廃墟にてアリスちゃんと初めて相対した時、私には3つの目的がありました。
1つ目は先生含むゲーム開発部の面々の掩護。
2つ目はKeyのインストール支援。
───そして3つ目は、アリスちゃんのボディへの"施錠"が与える影響の計測でした。
アリスちゃんが正常動作へ復旧するまで要した時間は約6.28秒。
各関節のロックなど物理的ロックの他にあらゆるシステム的なロックが掛かっており、当然のように体全体へのアクセス権限を有するアリスちゃんですら全ての解除にはそれだけの時間を要したわけです。
......つまり。
「128の
───正当な権限を持たないKeyは、全て解錠するまで一体何秒かかるかな?」
高性能炸薬でありったけの神秘と恐怖を詰め込んだタングステン合金製の弾丸を
"代謝"により銃身の加熱を防止し、弾丸はI.P.Aで半永久的に生成する。
現状において私が個人で携行できる最大火力の脳筋兵器。
「───さーて、我慢比べと行くかぁ!?!?」
『......!!』
途切れることのない
噴き出す
『───ッッ!!』
もはや身体を操作する機能もロックされたようですね。
座り込んで動けなくなった今のKeyに可能なのは、僅かに残された権限により弾丸を必死で逸らし気休め程度の強度しか持たない壁を生成することだけ。
こちらは比較的高コストとはいえ消費するリソースは弾丸の分のみ。対してKeyは一発受け止めて弾道を変更するたびにかなりのリソースを消費します。
"施錠"により反撃は不可能、これで文字通りに詰みです。
───
『───
『......ぁ』
この状況をひっくり返せるのは彼女だけ。
"施錠"によりあらゆる機能を停止したのであれば───
「......そりゃ、より上位の権限を持ったアリスちゃんが先に復旧するのは当たり前だよね」
『チトセは、最初から気付いていたのですね......』
「そりゃね。この数か月はずっと君たちのことを考えていた訳だし」
より洗練されたバリア。
飛来する弾丸の全ての情報値をマニュアルで変更するのではなく、領域を指定し通過を条件として情報値を書き換えるその構造。
───さながら、戦闘の終了を形容するかのように。
◇
「
"あっ、チトセがアリスに触れて───"
時々差し向けられるよく分かんない兵器から守ってくれていたネル曰く、アリス......じゃなくてケイはチトセに懐へ入られることを極端に嫌っていたらしい。
ゼロ距離で最強らしいホシノ相手にその間合いを許しているのにチトセだけは駄目なら、おそらく致命的な何かを警戒しているんじゃないかと。
そうして、チトセが何もないように見える空間から取り出したのは───あれ、ノノミが持ってた銃?
なんかめっちゃ魔改造されてるように見えるんだけど......
「アレを見るのは久しぶりだな。デケェし重いから掃討くらいでしか使わないって聞いてたんだが」
"もしかしてノノミがあのゴツい銃使ってるのってチトセの影響もあるのかな?"
「知らねえよ。ただまあ後輩に与えた影響は大きいだろうな、良くも悪くも」
フンっと鼻を鳴らし、「また鍛え直さねえとな......」とぼやくネル。
普段の言動を見ていれば真っ先に飛び出して戦闘に参加してもおかしくないと思ってたんだけど......
「んだよその顔は。あたしがあっちに加わらなかったのが意外ってか?」
"ギクッ"
「はあ......あのなあ、
"ぐうの音も出ません......"
「それに......」
そっぽを向いたネルの表情を窺う。
───その先に続く言葉は照れ隠しでも言い訳でもなく、ただ本心から出たもので。
「あんなに楽しんでんのは久しぶりなんだ。
......邪魔すんのは無粋ってもんだろ?」
"───そうだね"
どこか憑き物が落ちたようにスッキリとした───以前チトセをボコボコにしてた時もある意味スッキリしてそうではあったんだけど───表情を見れば分かる。
ホシノにとってチトセが......唯一の同級生で悪友だった彼女が、どれだけ大切な存在であったのかを。
「───っておい、トドメを刺す気かよあいつ!!」
"待って、威力ヤバすぎない!?!?"
「いや待て、あのチビの意識?が戻ったみてえだな」
マジでビビるくらいの威力だったけどなんかアリスちゃんが目覚めたっぽいし、これもチトセの読み通りなのかな。知らんけど。
「はいじゃあ喧嘩は終わり!!お話タイムね!!」
「喧嘩って......その、君は誰なのかな?さっきの子とは違うみたいだけど」
『あっ、初めまして!!アリスはアリスです!!』
「アリスちゃんね。おじさんのことはおじさんって呼んでね~」
「ホシノさんや、自己紹介になってやせんぜ」
思いのほか和やかな雰囲気の三人は見たところ大きな怪我は無いっぽい。アリスの服が結構その......危ない感じになってるけど直ってはいるのかな?
───という訳でね、ようやく先生としてのお仕事が待っている訳です。
"とりあえず話がしたいかな。その後のことはゆっくり決めていけばいいからさ"
「あんた今回そんなに役に立ってないですけどね」
「チトセちゃん、言い方言い方」
"ひぃん......"
泣いちゃった!!
◇
「......とりあえず、エリドゥに戻ってもらえるかしら」
「これだけの巨大構造物はエリドゥの跡地以外で隠蔽するのは困難でしょうし......」
「それはそう。アリスちゃん、行ける?」
「任せてください!!」
サクっと次元エンジンを修復しエリドゥに向かう我ら勇者一行()
いつの世でも戦後処理は面倒ですが今回は輪をかけて大変です。
Keyには私とアリスちゃんという優秀な弁護人がついていますが、私は───弁護人0人。
割と嘘吐きまくって誘導していたKeyにお願いするほど面の皮は厚くありませんし......そんなに厚かったらホシノさんの散弾も弾けるでしょ。
ま、とりあえずKeyの無罪を勝ち取って───
「で、おじさん事情をよく把握してないんだけど誰か説明してもらえないかな?」
「かいつまんで説明するわね」
あっ(察し)
A FEW MOMENTS LATER
「うちのバカが本当にごめんね~」
「い、いえ......」
「ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ホシノサン!!アタマガ!!ワレチャウ!!
アイエエエエエエエェェェェェェェェェ!!
コメカミグリグリヤメテェェェェェェェ!!
何故?何故?何故?
何故私が真っ先にお仕置きされてるんですか!?
センセイ!?ナズェミテルンディス!!オンドゥルルラギッタンディスカー!!
「ギブギブギブギブ!!!!」
『そ、その......チトセはアリスとケイの為にやってくれた節もあると思うので......』
「こんないい子からの擁護も歯切れが悪いあたり、今まで色々と好き勝手してたみたいだね?」
「......一応、私が誤った判断を下さないように動いていた節もあると思うわ。
情状酌量の余地は......一応あると思うわ」
「リオ会長、二度も"一応"って言ったら説得力は半減どころじゃないっすよ」
"まあまあ、とりあえずその辺で......"
「まあ先生がそう言うなら......」
ハァ、ハァ......
死ぬかと思いました(n回目)
今回の一件で先生が一番役に立った瞬間でしたね今(暴言)
「と、とりあえず1つ言いたいんすけど今回の件は───」
『───私の独断です』
「ちょ!!話が拗れちゃうって!!」
「......詳しく聞かせてもらえるかしら」
「......という訳でして」
『チトセはあくまで私の選択を尊重するという立ち位置でした。
その選択に手を貸すというスタンスである以上、責任を問われるべきは私です』
うーん、まさか本当に庇われてしまうとは。
『その......アリスも1ついいですか?』
"うん、どうぞ"
『......アリスは勇者失格です。今回の事で思い知りました』
『王女よ、それは───ッ!!』
アリスちゃんの口から飛び出してきたのは、普段の振る舞いとはかけ離れた発言。
あれだけずっと"勇者"を目指してきた彼女らしからぬ弱音。
驚きを隠せず、咄嗟に否定しようとした私たちの口は。
......その後に続く言葉により、噤まざるを得ませんでした。
『───仲間の悩みを解決できずに、一緒に悩むことができなかった。
アリスは自分が勇者になることに囚われすぎて、仲間のレベリングとケアを怠ってしまいました』
『......それは、私が言い出せなかっただけです。王女が気に病む事では───』
『いえ、これはアリスの責任でもあります。
───先生、そしてみんなにお願いがあります』
『もう一度、アリスは勇者を目指してレベル1からやり直します。
モモイと、ミドリと、ユズと、そして───ケイも一緒に』
『どうか......アリスたちの冒険を、もう一度応援してもらえませんか?』
◇
「───という感じでね。いやー丸く収まってよかったよかった」
「......これ私が聞いてもいいやつなのか?」
「喋ったら怒られるとこは適当にぼかしたから大丈夫っしょ、たぶん」
「今たぶんって言わなかったか?」
そんなこんなで私は現在留置所でカツ丼食ってます。いやーこれ出前なんすかね?ワンチャン手作りならレシピ教えてもらいたいレベルで美味いんすけど。
......ま、逃げ出そうと思えば余裕すぎて欠伸が出るくらいのザル警備ですがホシノさんとの約束なので大人しくしております。
今までの根回しと司法取引の結果としてブタ箱ENDは回避できる可能性が高いですが、さてさてどうなる事やら......
「......と、そういえば渡す物があったんだった」
「あれ?今の私が受け取ってもいい物とかあるんすか?」
「知らん。だが上からの指示でな」
「あっ、ふーん(察し)」
上からの指示、そして差し出された電波の送受信機能すら有していない小型の端末。
一応マイクロチップ的なやつをセットすればネットに繋がるみたいですが......
「ほな部屋に戻りますわ。長い間取り調べお疲れさまやで」
「お、おう......」
さーてと。
一応は矯正局に属するこの留置場のPCをバレないようにハッキングし偽の指示を下し。
そんな迂遠な方法で音声出力機能くらいしか持たない旧式の端末を送り付ける存在は一人しか───いえ、
案の定、ガッツリ圏外のはずの独房内でその端末は音声を発します。
電波も介さず、当然録音でもないリアルタイムの通話を可能とするのは未だに把握できない技術の一つ。
【息災そうで何よりだ、迫害者───
「暇なんですかあなた。その大層な名が泣いてますよ」
【抜かせ。最大の脅威に対して警戒を怠る愚か者に、この名を名乗る資格などありはしない】
色彩とアリスちゃんに並ぶ、キヴォトスを滅ぼしかねない極大脅威の一つ。
古に神の存在証明を目的として作り出された対・絶対者自律型分析システム。
自らを「音にならない聖なる十の言葉」と呼称する者。
その名は───
「何の用ですか、
【彼の者達の門出は祝福されるべきだ。
お前たちはこう呼ぶのだろう?
デカグラマトン⇒チトセへの呼称は連邦生徒会長がつけた名前ではありません
意味は調べてください(カス)
あと感想お待ちしております!!
追記
西水チトセについて現在明かされている情報を更新しました
https://syosetu.org/novel/346216/2.html
次に書くかもしれないもの
-
アビドス編
-
アビドス(過去)編
-
エデン条約編の後