サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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ギャバン集結 case5

「さて、と」

 

俺は立ち上がり、ギャバリオン・トリガーを握り直した。膝の震えはもう止まっている。隣には四人のギャバン。いや、アーマイゼを含めれば五人だ。心強いにもほどがある。

 

「リゼヴィム」

 

俺は正面の悪魔を見据えて言った。

 

「お前の言う神器無効化ってやつ、確かに厄介だ。だがな」

 

「だが?」

 

リゼヴィムがわずかに眉を上げる。

 

「こいつらは神器じゃねえ。全員、俺と同じ宇宙刑事だ」

 

「ふん、数が増えたところで何が変わる」

 

リゼヴィムが両手を広げ、黒い魔力を膨張させる。アザ・ゾルスの力が唸りを上げ、周囲の瓦礫が浮かび上がった。

 

「私の力は神器だけじゃない。このアザ・ゾルスの力があれば、貴様ら全員まとめて――」

 

「喋りすぎだ、悪魔」

 

憐慈の声が遮った。いや、声よりも先に、彼の身体は動いていた。

 

深紅の装甲が閃光を放ち、インフィニティがリゼヴィムの背後に回り込む。光子エネルギーを纏ったブレードが、リゼヴィムの右腕を斬り裂いた。

 

「ぐっ……!?」

 

リゼヴィムが振り返るより早く、今度は銀色の光が正面から踏み込む。

 

「参る」

 

ブシドーの二刀が、無駄のない軌道でリゼヴィムの左腕を斬り上げた。防御の隙を与えない。一撃が決まれば、即座に次の刃が迫る。

 

「まだまだ!」

 

金色の装甲が舞う。ルミナスがリゼヴィムの頭上から降下し、片手剣を振り下ろす。リゼヴィムはとっさに魔力障壁を張ったが、その瞬間、紫の影が障壁の薄い部分を正確に射撃で撃ち抜いた。

 

「恐れている、お前は」

 

ライヤの倒置法が戦場に響く。紫色の装甲が一瞬で間合いを詰め、リゼヴィムの足元を斬り払った。

 

「この……小賢しい真似を!」

 

リゼヴィムが翼を広げ、上空へ逃れようとする。だが、そこにはすでに銅色の小さな光が待ち構えていた。

 

「体格差など、捜査の障害にはならん」

 

アーマイゼの翼刃が、リゼヴィムの翼の付け根を正確に斬り裂く。黒い翼が片方、千切れて落ちた。

 

「馬鹿な……!」

 

リゼヴィムが地面に落下する。その顔には、初めて本物の驚愕が浮かんでいた。

 

「ありえない……たかが五人、いや、初めての連携のはずだぞ……なぜここまで……!」

 

「なぜ、か」

 

俺はギャバリオン・トリガーを構えながら、口元を歪めた。

 

「お前には分からねえだろうな。俺たちはな、全員がそれぞれの世界で、それぞれの正義を背負って戦ってきた刑事だ。連携なんざ、言葉で打ち合わせるもんじゃねえ。お互いの動きを見て、必要な場所に必要な一撃を入れる。それだけだ」

 

「そんな……そんな理屈が……!」

 

「それに、もう一つある」

 

俺はトリガーをリゼヴィムに向けた。

 

「お前は俺一人を圧倒して、完全に油断した。五人を相手にする覚悟が、最初から足りてなかったんだよ」

 

「黙れぇっ!」

 

リゼヴィムが魔力を爆発させ、黒い衝撃波を全方位に放つ。だが、それも織り込み済みだ。憐慈が光子装甲を展開して最前線で受け止め、ブシドーがその背後から二刀をクロスさせて防御の壁を作る。ルミナスとライヤが左右から射撃で牽制し、アーマイゼが上空からリゼヴィムの魔力の流れを監視する。そして、俺が五人目の照準を合わせる。

 

「これで終わりだ、リゼヴィム」

 

ギャバリオン・トリガーに、五人のエモルギアが共鳴する。

 

「覚えておけ……私は……必ず……!」

 

リゼヴィムが空間を引き裂き、撤退の魔術を展開する。俺たちの一撃が放たれるより一瞬早く、その巨体は黒い裂け目の中へと消えていった。

 

「逃げ足だけは速いな」

 

俺はトリガーを下ろし、ため息をつく。

 

「だが、初めての連携であれだけ動ければ十分だ」

 

憐慈が俺の隣に降り立ち、光子装甲を解除した。

 

「君の指示が的確だったからな」

 

「俺は何も指示してねえよ。お前らが勝手に動いただけだ」

 

「それが君の指示だ」

 

駆無が紫の装甲を解除しながら、珍しく笑った。

 

「キングは、いつも俺たちに自由に動かせてくれる。それが、お前の指揮のやり方だ」

 

「意味が分からん」

 

俺はそう言いながらも、少しだけ口元が緩むのを感じていた。リゼヴィムは逃したが、これで憐慈たちの世界の危機は一時的に去った。そして何より、五人全員が生きている。

 

「さて、報告書がまた増えたな」

 

「ああ、それは勘弁してくれ」

 

俺がうんざりした顔をすると、五人のギャバンから同時に笑い声が上がった。赤黒い空の下、崩壊した都市の廃墟に、宇宙刑事たちの笑い声が響き渡る。それは、この戦いがまだ終わっていないことを知りながらも、確かな勝利を刻む音だった。

 

俺はギャバリオン・トリガーを腰のホルスターに収め、息を吐いた。戦闘の余韻がまだ身体の隅々に残っている。筋肉が微かに震え、指先にまで緊張の名残が這い回っていた。

 

「逃げ足だけは、大魔王の名に恥じねえな」

 

駆無の軽口に、誰も答えない。いや、答えられなかったのだ。俺たちは五人揃って、同じ方向を見上げていた。

 

会場の天井はすでに吹き飛び、赤黒い空が剥き出しになっている。リゼヴィムが消えた裂け目の先――あの空のさらに向こう側。宇宙の深淵に、何かがいる。

 

「見えるか」

 

俺は短く訊いた。

 

「ああ」

 

憐慈が頷く。インフィニティの装甲が微かに反応し、光子エネルギーが警戒を示すように脈動している。

 

「ここからが本番だな」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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