ある日、丸山利恵は声優を続けるかどうか悩んでいた。

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終わりを告げる鎮魂歌

「マネージャー、私は悪魔エリスを辞める」

「今までありがとう」

「マネージャーとの約束、守れなかった」

 

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ーーー

時を遡り、ある日のこと。

「ねぇ、鳴」

「私たちの仕事っていつになったら来るのかな?」

「それが分かれば苦労しないよ」

 

声優事務所、AiRBLUEはコーチの由良桐香が居なくなってから事務所内全体のモチベーション、パフォーマンスが低下し仕事を取ってくることもオーディションに受かることも難しくなっていた。

毎日毎日、時間がある時にレッスンするためだけに事務所に通う日々である。

AiRBLUEが起業してから、昨今の間にAiRBLUEを辞めた声優や他事務所へ移籍した声優もいた。

事務所に所属していた声優、九条柚葉、宮路まほろ、宇津木聡里とマネージャーは移籍、鹿野志穂、月井ほのか、赤川千紗、恵庭あいり、夜峰美晴、日名倉莉子、明神凛音は声優を辞めた。

事務所に残った声優は6人だけだった。

 

 

とある休日のこと。

遠見が。

「私、AiRBLUEを辞めようと思う」

と言い出した。

「ど、どうして急に」

「急じゃないよ」

「もう利恵にはついて行けなくなったから」

「それだけ」

「鳴はずっと一緒に居てくれると思ってたのに」

「私が声優になろうと思ったきっかけって知ってる?」

「知らないよ」

「利恵と一緒に居たいからじゃなくて、利恵と同じ場所に立ちたいと思ったから声優になった」

「でも、ここは私のいるべき場所ではなかった」

「プログラミングしていた方がお金にもなるし楽しいし」

「声優は楽しくなかったって言いたいの?」

「そうだよ」

「オーディションには全く受からないし、受かったとしても脇役ばかり」

「そんなことの何が面白いの?」

「たとえ脇役だったとしても必要な仕事ではあるでしょ」

「そうでも、私は必要ではないし他の誰だっていい」

「だから声優を辞めるんだよ」

「利恵だって同じでしょ?」

「声優ってキャラクターは見てくれても"私達を"見ている訳じゃない」

「ここにいても"丸山利恵"を認めてくれる人はいないんだから」

そうか。

鳴はいつも私の事を思って行動してくれる。

今回もそう。

これからもずっと鳴に頼りっぱなしではいられない。

「わかった」

「鳴が辞めるなら私もAiRBLUEを辞める。」

 

しばらく経ってから。

マネージャーへ利恵から電話がかかってきた

 

「俺が今所属している声優事務所、リレープロダクションに移籍しないかって話」

リレープロダクション。天才声優とうたわれる桜美聡が所属しており、他のメンバーも色々なアニメで見かけるくらい有名で実績もある事務所である。

「私をスカウトしたいってこと?」

「そうだよ」

「鳴は?」

「遠見さんは実力不足でスカウトしたくてもしてあげられない」

「わかった、少し考えさせて」

通話が終わり。

私だけスカウトか・・・

このままAiRBLUEで燻って行くよりリレープロダクションで活躍した方がいいことは分かりきったことだった。

 

数日後。

マネージャーと直接会うことになり。

「おまたせ、マネージャー」

「待ってたよ」

「返事を聞く前に1つ」

「何?」

「リレープロダクションで声優を続けるなら、悪魔エリスは辞めて丸山利恵として活動していくことが条件」

「それでもリレープロダクションに来る?」

「・・・・・・」

数秒間の沈黙の後。

「わかった、悪魔エリスはもう辞める」

「よろしくお願いします、マネージャー」

「こちらこそこれからよろしく」

握手を交わし。

「最後に、悪魔エリスとして」

「マネージャー、悪魔エリスとして有名になる約束」

「守れなかった」

「ごめんなさい」

去り際に利恵の目からは涙が流れていた。

 

こうしてAiRBLUEからリレープロダクションに移籍し、丸山利恵として多くのアニメやイベントに参入していき有名になって行きましたという。

 


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