「補給が受けられない?」
『ですから、グフは再設計されたものが正式採用されたので、そちらのパーツを送ることは出来るのですがドムは製造ラインが存在しない所か、存在を初めて知ったのですが』
まあただの補給関連のしたっぱがコンペの機体を知らないのは普通か。
「それは分かった。ならドムを製造した技術部が何処か教えな。こっちで話をつけるよ」
『いえ、ですからドムなんて機体、データベースに存在しないんですよ』
データベースに存在しない?そんなことが起こるのは…
「ちっ、どこのどいつか知らないけどやりやがったね!」
『はい?えっ、何が』
「取りあえずグフのパーツだけ送りな!それ以上は知らない方が身のためだよ!」
通信を切り秘匿回線を使用して本来の直属の上司に暗号文を送る。
【本国内に内通者を確認。コンペティションの機体情報が全て消失。至急技術部周りの調査を求む】
「メイリン、アンタも忘れな。私はグフの補給を頼みに来た、復唱!」
「グフの補給に関しての通信を行いました」
「そうだ。間違っても追おうと思うんじゃないよ。命令が出れば誰でも殺すよ。分かったら返事!」
「はい!?」
一応釘は指しておいたけど、どうだかねぇ?取りあえず格納庫に降りて整備員に指示を出す。私の乗っていたドムが一番消耗が少ないからパーツ取りに分解させ、消耗が激しいのを設計図を逆引きさせるために解体する。残りは予備として置いておく。直援か、引率用だね。私が乗るか、副長に任せるかは後で決める。
「アスラン・ザラ、アンタは単騎での遊撃を担当して貰うよ。合わせれる機体が無いからね」
本当の理由は別にあるが、理由としてはこれで良い。
「基本的に私は坊や達のお守りをすることになる。最前線はウチの野郎共、赤服を着てる髭親父に任せる。そっちと相談しな」
「あ、ああ、分かった」
ガルナハン、確かに面倒な場所だ。だが、基地としては小さいね。もう少し詳細な地図が欲しいところだ。レジスタンスに問い合わせれば基礎工事には地元の企業が参加させられていたようで最低限欲しい情報が書かれている設計図が手に入った。これなら十分にやれるね。
「艦長、陸戦隊を借りるよ」
「陸戦隊を?何をするおつもりで?」
「陸戦隊を使うんだ、基地の制圧とか工作作業以外に何があるってんだい?繋がっているか確定していない坑道をインパルスで突破してローエングリンを破壊するより、前日から陸戦隊で接近して破壊する方が確実だよ」
地元の企業から貰った基地周辺の地形情報から陸戦隊の進行ルートと隠れるポイントを割り出してある。
「アタシのフェイス権限で強引に連れて行っても良いんだけど、一応先任はそっちだからねぇ。お伺いぐらいはするさね。それでどうする?」
「…許可します。ですが無用な損耗は」
「分かってる。陸戦隊はアタシが直接指揮を執るんだからね。ドレイク隊の指揮は艦長に任せるよ」
「なっ、ドレイク隊長自らが陸戦を行うと!?」
「臨機応変な対応が必要になるからね。それにアタシのMSは今はないしね」
ドムは1機を除いて既に解体済みで1機では編成に組み込みにくいので直掩機にしたのだ。これで坊や達がフリーになる。
陸戦隊を引き連れ、前日からローエングリンが設置されている山の斜面に回りの風景に溶け込む布を被って潜む。MSが主体になったことで対人センサーの類が雑になって潜入が楽になった。アタシなら絶対にこの部分だけでも対人センサーを仕掛けるところさ。
作戦が始まり、ミネルバが囮となって基地のMSを引き剥がしにかかる。それを眺めながら装備を確認をする。各員バズーカを二本とアサルトライフルを一丁持ち込んでいる。それと短時間だが飛行可能なバーニア、これで何とかする。
ある程度時間が経過するとローエングリンとそれを護衛する下半身が蜘蛛のようなMAが姿を表す。盾役であるMAは常にローエングリンの近くに侍り、死守する構えを解かない。だが、チャンスは必ず訪れる。
そしてチャンスが訪れる。ローエングリンの射線を空けるために大きく離れ、戻れない瞬間が。
「各員吶喊!」
布を剥ぎ捨て、バーニアを使って斜面を駆け降りる。通り魔のようにローエングリンに全員がバズーカを撃ち、結果を確認せずにMAに取りつく。センサーや関節などの比較的脆い部分、バリアの発生装置と思われる部分に残りのバズーカを撃ち込み行動不能にする。
そのまま斜面を駆け降り、安全圏までバーニアと足でたどり着く頃にインパルスが坑道から姿を表す。
「坊や、止めと殿は任せたよ!」
陸戦隊に撤退の信号弾を打ち上げ、坊やに後始末を任せて再び斜面を駆け降りる。MAが最後の足掻きに対人機銃を此方に向けてきている。
「させるか!」
元ウチの部隊の陸戦隊を率いるカイが銃口の前に立ち塞がり、アサルトライフルを対人機銃の銃口に撃ち込む。機銃が暴発するのとカイの身体が真っ二つになるのは同時だった。
「振り向くなー!」
カイの言葉に押されるように安全圏まで陸戦隊は駆ける。
「状況ー!」
「軽症三名、欠員、一名です」
「…バカ野郎が、ガキが生きてたのが分かったばっかじゃないか」
爆発するMAを見つめながら全員が敬礼を送る。
「どうしてこうもザフトの開発局はバカばっかなんですかねぇ。はっきり言って背負い物に関しては連合の方が上ですぜ。互換性は言うに及ばず、性能もバランスもOSもです。まあ、今回は数だけは回してくれたんでなんとかしてみやすが」
「苦労をかけるね、ヤスジ。資材と日数も出来る限りぶんどってきた。坊っちゃん達のザクも弄れるだけ弄るよ」
「了解でさぁ。それと背負い物に関してなんすが、なんとか上に設計を上げる伝手は?」
「一応あるよ」
「フライトウィザード、再設計した方が速いレベルで量産型のグフに合わされてるんでさぁ。ウチの野郎共はともかく、お嬢ちゃんにはキツいかもしれやせん」
「ちっ、嬢ちゃんはこっちで徹底的に鍛える。砲台役には心許ないからね」
「機銃代わりにスラッシュのビームガトリングとブレイズのミサイルを合わせた追加装甲を装備させようかと。一応パージは出来るようにしますが」
「場合によってはそれもありか。ああ、ガトリングの方はこう、脇の下を通す形で展開出来るように。そうすりゃあフライトウィザードと併用出来るはず。まあ、バランスはお察し状態だろうけど」
「ある程度はOSで補正しやすが、腕次第でしょうな。空飛ぶ弾薬庫、無人化した方が良いでしょうな」
「遠隔操縦出来るようにしておきな」
「へい」
「一丁前なことを言うようになったねぇ、ハイネ」
「ド、ドレイク先輩!?どうしてここに」
「今のやさがミネルバだからだよ。で、第2MS隊隊長も勤めてる。第1MS隊は第2の下に着いている。つまり、アンタも部下ってことさね、ハイネ」
「…オレは、その、フェイスで」
「私もだよ。まあ、フェイスが多すぎるこの艦が悪いんだけどね。人数も質も揃ったしちょうど良い機会さ。MS隊を再編するよ。全員をブリーフィングルームに集めな」
パイロットと機付き整備長をブリーフィングルームに集めて再編作業を始める。
「まず部隊を3つに分ける。第1と全体を私、第2をアスラン、第3をハイネだ。役割は私が盾、アスランが飛び道具、ハイネが剣とする。レイ、ルナ、キンブリーが第1、レイを副長として指揮を叩き込む。マリア、トム、エッジを第2、遊撃担当だけどアスラン、アンタは指揮に専念しな。いつまでも自分がなんとかすれば良いって考えを捨てな。三人はドレイク戦隊の初期メンバーだ。腕は良いから安心しな。残りはハイネが率いな。課題はシンとインパルスを上手く使うこと。残りのホランとワジはどんな距離でも対応できる。シンに戦果をやれって訳じゃないよ。質問は?レイ」
「第1は盾と言いましたが、艦の防衛がメインでしょうか?」
「フライトウィザードがザクに対応していないからねぇ。改造指示は出しているけど、最終的には浮遊砲台みたいになるだろうね。直掩と後退支援がメインさ。ルナ、アンタでも大丈夫なようにガトリングでの弾幕形成がメインになるから安心しな。ガトリングのばらまき方もちゃんと指導してやるよ」
「ただ撃つだけじゃないんですか?」
ルナマリアの返答にドレイク戦隊の面々とハイネが溜め息をつく。
「士官学校のカリキュラムはどうなってんだい」
「特に変更があったとは聞きませんよ先輩」
「ということはMSでの弾幕形成がそもそもないじゃないか。上に挙げるよ、ハイネ、アスラン、アンタ達も連名にしなってアスラン、アンタまさか」
「…すまない。オレも感覚でしか分からない。近づけさせないように空間をなぞるのと、敵を落とすために集中させるようにというのは分かるんだが」
「基本はあってるよ。詳しいのは連合がやってきたのを体験してるからかい?」
「ああ、対艦攻撃時に感覚だが2種類の撃ち方があるなと」
「対空攻撃はガトリングが基本だからさ。稀に近接信管か時限信管の榴弾もあるけど、地上の一部、と言うかオーブ軍位しか使わないねぇ。取り敢えず、知識不足なのは分かったよ。このまま弾幕に関する講義を始めるよ!知ってるのと知らないのじゃ生存率に関わってくるよ、しっかり覚えな!」
ザフトの士官学校は一体何を考えているのやら。赤服でこれって…