体育の授業中、主人公がソルティライチを飲むお話。

1 / 1
暑くなってきたなぁと言うことで、ソルティライチのお話です。
短いけど、楽しんでくれれば本望!
一作目でへたっぴなんで、よろしければ感想いただけると幸いですー


ソルティライチ

「先生…!ちょっと、辛いんで休んできます!」

 

強い日差し。

夏の終盤。昼前の体育の授業中、今日ばかりは俺が熱中症で根を上げても、怪しまれなかった。

 

俺は彼女のいる校庭の木陰に身を置こうと足を向けた。ここはいつも彼女の特等席で、炎天下の校庭を一望できる。

しかも、ちょうど良い風が吹き抜けてくるのだ。

 

「いひ…珍しいじゃん」

 

「ぉ……おう、まいちゃってな」

 

吸い寄せられるように彼女のそばに座る。

声の持ち主は槙風なのは、近所の幼馴染だ。

肩に触れている黒のセミロングと、特徴的な笑い方、半開きの目。彼女の代名詞。

汗で纏まった毛束と、髪を結んで露わにした首筋に息を呑む。

 

「っ……」

 

「どしたの?」

 

むむっとした顔でこちらを見る

汗に濡れた透き通るような肌が眩しい。不思議な顔で、なのははソルティライチの入ったペットボトルを首に当て、気持ちよさそうに伸びている。

 

「んふー……あっ!もしかして、この前の小説の感想?」

 

「ま…まあ、そんなとこ」

 

「あたった…やた!」

 

何が面白いのか。ちょっとしたドヤ顔を見せつけている。こうなると、こちらも不思議と口角が上がってしまう。

 

「この場面、主人公の…なんて言うか、ヒロインに惹かれていく様が良いよね」

 

人生を怠惰に生きる主人公が、ヒロインと過ごして、変わっていく場面。ご飯を食べたり、映画を見たりしてお互いの理解を深めていく、あるあるのヤツだ。

 

 

「うん…」

 

「「いいなあ……」」

 

「何が…?」

 

「何がって…その………なんでもない……っ!」

 

なのはが目を逸らしてそっぽを向く。

心臓の高鳴りを感じる。

恥ずかしさに俯いてしまう。

 

「……」

 

「……」

 

ゆっくりと流れ落ちる汗が、長い時間を感じさせる。

 

──なのはは、俺の事をどう思っているのだろうか。

ガサツなやつ?話の合う友人?それとも?

好きなやつでもいるのか?

そもそも、なんていえば良い?

いくら考えても、落ち着いた答えが出てこない。どうも納得できないのだ。

校庭の向こう側で騒ぐ声と、セミの鳴き声、それと、ささやかな風の音にがんじがらめの理屈で腹を括って、目を瞑りながら──

 

「な、なのは…もし、もしで良いんだ。もし─」

 

熱のこもった、あましょっぱいソルティライチの味。

ほんのりとしたあまさがやみつきになる。

それから、やわらかい感触が体をつつみこむ。

触れたら、本当に壊れてしまいそうな身体。

いつもの眠たげな目尻が笑っていて、俺は本当にどきっとして。

しかも、幸せそうに、胸に耳を押し付けて、心音まで聴かれた。

一気に近くなった吐息が本当に生々しくて、焦ったくて、儚くそこにある。

今度は俺が、大切に、たいせつに、ぎゅっと抱き返して、だきしめる。

俺の汗と、なのはの汗が混ざり合りあって、本当におかしくなる。

 

「どんな気持ち?」

 

一思いに。

 

「幸せ」

 

ぐちゃぐちゃな思考の中で絞り出された一言。

本当に、どうでもよくなって、全てぶちまける。

 

「好きだよ」

 

 

 

目覚まし時計が鳴る。

校庭にはもう誰もいなくて、俺はからっぽのソルティライチを握っていた。

 

 

「あぁ………宿題やろ…」




読んでいただきありがとうございます!
小説サイトに掲載する初めてね作品!
展開早いし、説明たらずな所が多いとは思いますが、頑張ります……!
よろしければ感想いただけると幸いですー

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。