使徒の襲来の合間の平穏な日常。
学校からNERV本部へ移動中のシンジとレイは些細な事から仲違いしてしまいます。
NERV本部でシンクロテストを終えアスカも加わった3人で帰ろうとしますが気が治らないレイは1人で帰ってしまいました。
その夜にレイが不思議な出来事に遭遇します。





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調子に乗ってまたUPしてしましいました。

この話は自分のオリジナルの漫画用に作ったモノでしたが、登場人物をエヴァキャラに置き換えて少しアレンジして掲載しました。

お楽しみ戴ければ幸いです。





ミラクルアイテムを拾った少女

 

「碇クン! 魔法のコンパクト拾った!」

 

 

 

 

 放課後にNERVへ向かう為に駅までの道のりを二人は並んで歩いていた。

 

 途次(みちすがら)何時もはアスカを入れた三人で本部に向かうのだが、アスカは今日、教室の清掃当番だったので後から本部で合流してシンクロテストをする事になっていた。

 

 シンジは他愛も無い日常の出来事をレイに話し、レイは時折相槌を打ちながらそれを黙って聞いている・・・

 

 

 それは何時もと変わらない彼、彼女等の光景であった。

 

 

 丁度、小松文具店の角に差し掛かった時、レイは「あっ!」と小さな声を上げ公園脇の草むらに小走りで駆け寄った。

 

 シンジは何事かとポカンとしてそれを見送った。

 

 レイは草むらにしゃがみ込み手を伸ばして何かを拾い上げた。

 そしてそれを大事に両掌で包みシンジの元へと戻って来た。

 

 

「碇クン! 魔法のコンパクト拾った!」

 

 

 レイは両手を前に突き出し掌に乗せた小さなコンパクトをシンジに見せた。

 

 それは淡い暖色系乳白色の樹脂で成形されており、外縁にはタンポ印刷かデカールで原色の様な派手な赤色で紋様が施されていた。

 蓋部分には宝石のつもりらしい色取り取りの透明樹脂が接着され、ご丁寧に金色鍍金の縁取りまでされた如何にも小学校低学年までの女子が親に強請って誕生日かクリスマスプレゼントに買って貰って喜ぶ様なものであった。

 

 オマケに遺棄されてから時間が経っているのであろう、その外観は日に焼け傷だらけで汚れや変色、ヒビ割れと欠けている部分が有った。

 裏面にはマジックで「かがみあつこ」と平仮名で名前が書いてあった。

 

 

『綾波…何で? こんなの拾って…』

 

 シンジはそう思いながら視線をレイの手元から顔に移した。

 

 レイは嬉しそうにコンパクトを見詰めている。

 

 

「ねぇ、どうするのさ。そんなの拾って…」

 

「変身…」

 

「えっ?」

 

「変身するの…」

 

「えっ? それって変身とか出来るヤツ?」

 

「うん…」

 

「いや、綾波…それは無理だよ〜」

 

「どうして…?」

 

「どうしてって…それ、オモチャだよ?」

 

「何故? 何故そんな事言うの…?」

 

「いや、何故って…」

 

「やってみないと判らないわ」

 

 レイはコンパクトを開き呪文を唱え様とした。

 だが、直ぐには呪文が思い出せなかった。

 

「え〜と…」

 

 暫し思い出そうと唇に人差し指を当て記憶を甦らした。

 

「あっ! 思い出した!」

 

 そう弾けた様に声を上げるとレイの頭上に電球が点った。

 

 シンジは愉快そうにニコニコしながら黙ってレイの行動を観察している。

 

 レイはシンジに向き直りコンパクトを持った手を突き出し、自分の顔が映る高さまで上げて呪文を唱えた。

 

 

 

「エ、エ…エコエコアザラク〜! エコエコザメリク〜!」

 

 

 

 それを聞いたシンジはレイの前で思い切り噴き出してしまった。

 

「あ、綾波〜! ソレ、違うよ〜。それは黒魔術の呪文だよ〜。黒井ミサだよ〜!」

 

 シンジは余りの可笑しさにヒーヒー言いながら笑い転げた。

 

 そして少しチビってしまった。

 

 

 レイは「キッ!」と使徒と対峙した時の様に鋭い視線でシンジを睨むと

 

「もう、イイ! 碇クン嫌い!」と言って駆け出した。

 

「あっ、綾波〜! 待ってよ〜!」

 

 

 レイはその場から逃げ出すかの様に走った。

 その顔は真っ赤に染まっていた。

 

 それは呪文を間違えて恥ずかしかったのと、それをシンジが笑った事に対する怒りの為だった。

 

 

 

 

 

 

 NERV本部でのテストも無事に終わり、帰り支度をして更衣室を出たレイはモヤモヤした気分を引きずりながら退出ゲートへと向かった。

 

 通路を曲がりゲートに着くと其処にはシンジとアスカが待っていた。

 

「さ、帰りましょ! ねぇ、シンジ!いつもみたいに寄るでしょ? スーパー・マルエツ・プチ!」

 

「えっ、あ、うん…」

 

 シンジはアスカの問いに心ここに在らずな曖昧な返事をした。

 先程のレイとの事が気になっているのである。

 

「アタシ今日はレバカツがイイな〜!」

 

 シンジとレイの(わだかま)りを知る由も無いアスカは、シンクロテスト後に恒例になっている帰りの買い食いメニューを決めていた。

 

「アンタ何にする? 何時もの玉葱フライ?」

 

 近付いて来たレイにアスカは尋ねた。

 

「イイわよね〜アンタの好きな玉葱フライは。何時も残ってて。アタシの好きなレバカツは早く行かないと売り切れちゃうのよ〜。シンジは? また、ウズラ卵串?」

 

 アスカは使徒の精神攻撃並みにその心は疎か、既に肉体をも食い気に侵食されていた。

 

「えっ? あ、うん…」

 

 シンジはアスカのその問い掛けにも曖昧な返事をした。

 

「もう! 何よ!」

 

 アスカはシンジの気の無い返答に少しムッとした。

 

 アスカの膨れっ面を余所目にシンジは先の件を謝るつもりでレイに声を掛けた。

 

「あの…綾波…」

 

 

 

「ナニ?」

 

 

 

 シンジの言葉を突き返す様にその返答は冷たかった。

 

 

『綾波…まだ怒ってるんだ…』

 

 シンジはその気配に怖気付き何も言えなくなってしまった。

 

 普段、冷静で感情をあまり表に出さない物静かな彼女だが、今の彼女からはその背後から青い怒りの焔が迸るかの如く立ち昇っているのがシンジには見えたからだった。

 

 

「アンタも来るでしょ? シンジが奢ってくれるって! 玉葱フライ!」

 

 アスカは何時も通りレイを誘った。

 

「行かない…」

 

「えっ? 来ないの?」

 

 アスカはレイの返事に少し驚いた。

 

「うん…」

 

 レイはアスカ達を省みもせずにそう言うとゲートのカードリーダーにIDカードをスリットした。

 

「ピンポ〜ン!」

 

 ゲートのチャイムがなりストッパーが解放する。

 

「じゃ!」

 

 レイはそう言いうとサッサとゲートから出て行ってしまった。

 

 

「なによ! アレ!… ねぇ、アンタ達何かあったの?」

 

 アスカは少し不快な顔をしたが何時にも増して突っ慳貪なレイの態度を見てコレは只事では無いと思いシンジを問い詰めた。

 

「い、イヤ…実は…その…」

 

 シンジはアスカに事の顛末を話した。

 

 

 アスカは聞き終えると大きな溜め息を吐いて呆れた様に言った。

 

「ふう〜! アンタ! バッカじゃないの?」

 

「な、何がだよ…!」

 

「乙女心よ! ホントもう! 解ってないんだから!」

 

「お、乙女心だなんて…そ、そんなのエニグマを解読したチューリングでも解る筈無いよ〜!」

 

 シンジは今にも泣き出しそうな顔をしてアスカに訴えた。

 

「もう! 馬鹿言って無いで明日学校で一番に謝るのよ!」

 

 アスカはシンジを戒める様に強く言い含めた。

 

「うん…分かったよ…」

 

 と、アスカにも怒られて意気消沈するシンジであった。

 

 

 

 

 

 一方、現場に到着した立石班は… (声:島 宇志夫)

 あっ! 間違った…

(解った人は後で校長室に来なさい)

 

 否!

 もとい!

 

 

 一方、自分の公営団地に帰り着き、部屋に入るや否やレイはベッドに倒れ込む様に突っ伏した。

 

 

『碇クンたら…』

 

 

 レイはシンジに笑われた事で怒った自分に反省しながらも、やはり気は治まらなかった。

 

 何故ならあの時、レイはシンジの為に変身したかったからである。

 

 

 

 

 

 

 

 その夜。

 

 レイは深夜にハッと目覚めた。

 

 それは夢の中で魔法の呪文を思い出したからであった。

 

 ベッドから飛び起きるとコンパクトを置いた冷蔵庫に急いで駆け寄った。

 

 冷蔵庫の天板には飲み薬と1リットルビーカー、その脇に果たせるかなソレは鎮座ましましていた。

 

 

 レイはそれを手に取り思い出した呪文を唱えた。

 

 

 

「テクマクマヤコン! テクマクマヤコン!」

 

 

 

 そして昼間に言えなかった事を続けて唱えた。

 

 

 

 唱え終わるや否や、コンパクトの中の鏡面が波打ち始めた。

 

 次の瞬間、ハート型や星型の光が一面に飛び散った。

 

 

 

 その眩い光がおさまるとそこに映ったのは清楚な年上の女性の顔であった。

 

 

「この人が…」

 

 

 レイは驚き鏡の中の人を見詰めて呟いた。

 

 鏡の中の人も驚いた顔で此方を見ていた。

 

 

「こ、これは…?」

 

 

 その鏡の中に映る女性は自分にソックリであった。

 

 

 

 レイは鏡の中の人に微笑んでみた。

 

 鏡の中の人もこちらを見て微笑んだ。

 

 

 

 そしてレイは鏡の中の人に囁く様に語り掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして…碇クンのお母さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイが囁くと鏡に映る女性は微笑みながら一筋の涙を零した。

 

 

 そう囁いたレイの頬にも涙が零れていた…

 

 

 

 

 やがて白い靄に包まれる様に鏡の中の女性は微笑みながら薄れて行った。

 

 

「ダメ…! まだ…」

 

 レイは呼び止める様に鏡の中の女性に声をかけたが、レイも同じ白い靄に包まれて意識が遠のいて行った。

 

 

「まだ…まだ戻る呪文…唱えて…無いのに…」

 

 薄れゆく意識の中でレイの声は途切れ途切れになった。

 

 

「未だ…碇クンに逢って…」

 

 そう呟く様に言うとレイは意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 早朝、レイはベッドの中で目覚めた。

 

 暫しベッドの中で寝惚けていたが昨夜の事を思い出し飛び起きると冷蔵庫へと駆け寄った。

 

 だが其処には何時もと同じ飲み薬とビーカーが置かれているだけだった。

 

 レイは慌てて拾ったコンパクトを探し回った。

 ベッドの中は勿論、ベッドの下から周辺、台所から風呂、トイレ…部屋のあらゆる所を遅刻寸前まで探し回ったが結局コンパクトは見つからなかった。

 

 

 

 

『夢…? 夢だったの?』

 

 拾った所からが夢だったのか…レイは登校中、ずっと考えていた。

 

 

 学校に到着し上履きに履き替えて教室に入るとシンジと目が合った。

 レイは後で昨日の事をシンジに確かめ様と思っていた。

 

 するとシンジの方から気まずそうに近寄って来た。

 

 

「あの…綾波。昨日は、その…ゴメン…」

 

 

 レイはシンジのその言葉でやはり夢では無かった事を確信した。

 しかしコンパクトはもう消える様に無くなっている…

 

 

 レイは昨夜の出来事をシンジに話そうかと迷ったが、どう伝えたら良いか分からなかったし、言っても信じては貰えないだろうと思い黙っておく事にした。

 

 また、喋ってしまうと自分の中からも昨夜の出来事が消え去りそうな感じがしたからであった。

 

 だから「ううん…」とだけ返した。

 そしてシンジを見て微笑んだ。

 

 シンジもレイのその顔をみて安心して微笑みを返した。

 

 

 その光景をアスカは自分の席から振り返って見ていた。

 そして二人の笑顔を見てアスカも安心したのか、自然に微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 それから翌週のある日の事。

 

 

 NERVからの帰り道、シンジは一人で家路についていた。

 

 帰りにマルエツ・プチに寄ってアスカの好きなレバカツを夕飯に出してあげようかな?と考えながら歩いていると後ろからシンジを呼ぶ声がした。

 

 

「碇ク~ン!」

 

 

 振り返るとレイが駆け寄って来た。

 

 追い付いたレイは息を切らせながら「碇クン! コレ!」と言い、両手をシンジに突き出した。

 

 その手にはに赤いキャップが嵌められた硝子製の試薬瓶みたいな物が大事に握られていた。

 

 中には赤と青の小さな丸い玉の様なものが幾つも入っていた。

 

 

 

 そしてレイはまだ呼吸の整っていない声で嬉しそうにこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「碇クン! 魔法のキャンディー拾った…!」

 

 

 

 

 

                          (おしまい)

 

 




ご覧戴き有難う御座います!

このお話しの世界では、アスカもレイも友達の様に仲良しです。
今回はアスカはオブザーバー的な出演ですが…
いずれはLASにもチャレンジして行きますので今暫くお待ちください。

文章での表現は未だまだ稚拙で破綻してるとは思いますが何卒ご辛抱の程、是非ご一読くださいませ。

<追 伸>

アスカから一言

もう!何で晩ご飯にレバカツなのよ!?
レバカツはオヤツよ!!

だそうです…

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