NERV本部のスタッフ専用バーラウンジで待ち合わせをしていたミサトとリツコ。
ミサトはある悩みをリツコに相談するが、リツコの驚愕の返答に驚き愕然とする。
組織(NERV)のチルドレン達に対する余りにも無慈悲な扱いにミサトは…




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ご覧戴き有難う御座います。
3作目の投稿になります。
短いですが少しシリアスな話です。
ある意味LASですが・・本人達はこのお話には登場しません。
LAS勢の方達に怒られそうですが・・
是非ご一読の上、ご感想ご批評くださいませ。
宜しくお願いします。




組NERV織(Organization)

 

 

「御免なさい。この間のシンクロテストのデータ分析に手間取っちゃって」

 

 

 

 リツコはそう言いながらNERVのスタッフ専用のバーラウンジに待ち合わせの時間にかなり遅れてやって来た。

 

 着席した彼女はカウンター内のバーテンダーにジントニックをクラッシュでオーダーする。

 そしてマルボロライトメンソールに火を灯し深く吸い込んだ。

 

 

「あら? どうしたの? 何か悩み事でも? 貴方らしく無いわね」

 

 リツコは浮かない顔をしてマティーニのグラスのステムを摘みゆっくり廻しながら見詰めているミサトを横目に紫煙を燻らせて尋ねた。

 

 

「チョッチね〜…」

 

 そう言うと彼女は溜め息を吐いて俯いてしまった。

 

 

『ミサト…もう出来上がる寸前ね』

 

 リツコはミサトの前に置かれた黒瀬戸の小さな器にオードブルピックに刺さったままのパールオニオンを見て既にギブソンを飲み終えている事を悟った。

 

 

「何なのよ? 言いなさいよ」

 

 リツコは二服目を軽く噴かして言った。

 

「見ちゃったのよ…」

 

 ミサトはを見てはいけないものを告白する様な態度で言う。

 

「何を?」

 

「アスカの部屋で…」

 

「だから何をよ?」

 

「ゴミ…塵箱の中にあったの…アレ…」

 

「アレ? まさか使用済みのお帽子(ゴム)でも?」

 

 リツコは茶化しながらミサトを見た。

 

「だったらまだ良い方よ!」

 

 ミサトは少しイライラして言い返した。

 

「シンジくんの部屋のゴミ箱にあるのと同じ様な…その…ティッシュが…」

 

「ティッシュ? それが何?」

 

 リツコは煙草を灰皿にギュッと押し当て消した。

 

 

 ミサトは俯いたまま口篭りながら小さな声で言った。

 

 

 

「あの子達…どうも性行為に及んでるみたいなの…」

 

 

 

「あら! でも塵箱のティッシュだけで?」

 

 

「解るわよ!」

 

 ミサトは少し強く声を張り上げた。

 

「シンジくんが1人でアスカのお部屋でオイタでもしたんじゃないの?」

 

 リツコはまたそう茶化すと目前にサーブされて来たグラスに口を付けた。

 

「そんなの! 証拠残す訳無いじゃない!」

 

 ミサトはムキになって言い返した。そして続けて言った。

 

「解るのよ! 事後の物だって…その()とか(匂い)で」

 

 最後は聞き取れない程の小声になり肩を落してまた俯いてしまった。

 

「まぁ! という事はアレ着けずに? 生で嵌めてるって事?」

 

 リツコは驚きながらその行為を露骨に表現した。

 

 

「は〜保護者失格だわ…」

 

 

 俯くミサトを横目にリツコは言う。

 

「そりゃ年頃の異性が学校や組織内だけならまだしも、一つ屋根の下で起居寝食を共にすれば…まぁ、充分あり得る話ね」

 

 そして二本目の煙草に火を着けた。

 

 

 ミサトはカウンターに両肘を付き組んだ手の甲に顎を乗せ力無く呟く。

 

「注意して戒めるのもねぇ…関係性に問題出るだろうし…かと言ってアレを与えると言うのも…行為を容認したみたいになるのはね…」

 

 そしてまた大きく溜め息を吐き呟いた。

 

「はー、どうしよう…」

 

 

「いいんじゃない?ヤラセとけば? 戦闘での相互扶助理解には効果的かもよ?」

 

 と言ってリツコは煙草を再び深く吸い込んだ。

 

「なっ、なによ! そんな無責任な事言って! もし…もし、間違いでもあったら…」

 

 

「大丈夫よ。ミサトには言って無かったけど…」

 

 そう言うとリツコはグラスを軽くステアして一口喉に通した。

 

 そして言った。

 

「あの子達、シンジ君とアスカには予め施されているわ。秘密裏に…」

 

「何をよ?」

 

 

 

「避妊術よ。精管と卵管に結索術がね」

 

 

 

「えっ?」

 

「これはエヴァパイロット資格者全員によ」

 

「な、なによ…? それ…」

 

 ミサトは初めて聞いたリツコの言葉に耳を疑った。

 

 

 リツコは然も当然とばかりにその処置の理由を語る。

 

「もし、エヴァパイロットが身体機能に著しい変化を来した場合、シンクロ率はおろか起動自体に問題が発生するわ。仮に起動しても操縦戦闘技能に影響するからよ」

 

 更にこう付け加えた。

 

「それに勿論あの子達には過ちを避ける為でもあるわ」

 

 

「本人の承諾も無しに?酷いわね…!」

 

 ミサトは憎々しげにリツコを睨んだ。

 

 その視線を受けリツコもミサトを蔑み笑う様に言った。

 

「アナタ、何処に所属してるつもりなの?私達はあの年端も行かない子共達に人類の未来を託す特務機関なのよ?」

 

 そしてまた煙草を一服して続けた。

 

「そんな組織だもの。それぐらい管理規定範囲の事項よ」

 

 リツコはまるで組織と自己を嘲弄するかの様に言い放った。

 

 

「それぐらいって…あんまりだわ…」

 

 ミサトはカウンターの下で指を組んだ両掌を強く握り締めた。

 

 

 

「さてと…!」

 

 そう言うとリツコは煙草とライターをバッグに戻し帰り支度を始めた。

 

 そしてバッグのスタッドを閉じ終えると思い出したかの様に言った。

 

 

「あっ、そうだ。パイロット資格者全員じゃ無かったわ」

 

 

 そしてハイスツールから立ち上がりこう付け加えた。

 

「レイには施してないの。避妊術」

 

 

「な、なんでよ?」

 

 ミサトは怪訝な表情で聞いた。

 

 

 リツコは席を立って迫り上がっていたタイトスカートの裾を引っ張り整えながら答えた。

 

 

 

「だってあの娘は初めから妊孕性機能が欠如しているもの」

 

 

 

 リツコのその余りにも思いやりの無い言い様にミサトは愕然とした。

 

 

 

「じゃあ、私、戻るから」

 

 そう言い残すとリツコは颯爽とエントランスへと向かって行った。

 

 

 

 一人残ったミサトはリツコの…否、組織のあの子供達に対する冷酷で無慈悲な仕打ちを知り呆然としていた。

 

 

 暫らくしてミサトは酔いを醒ますためにチェイサーを一気に飲み干した。

 

 

 そしてぼんやりとグラス向うに置かれた黒瀬戸の器を見た。

 

 

 ミサトはその器にポツンと寂しく取り残されたパールオニオンを摘み上げて見詰める…

 

 

 その滑らかで白く小さな球体はミサトにレイの欠損した体内パーツを連想させた。

 

 

 

 その儚げで小さなパーツは今、ピックに刺し貫かれている…

 

 

 

 

 

「機能が欠如って…酷い言い様ね…」

 

 

 

 

 ミサトは静かに、そして寂しく呟いた。

 

 

 

                                                          (終)

 

 

 


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