4日目――朝から大変な事件はあったが(オレのせい)、本番は日が昇ったこれからだった。
真澄たちと合流すべく動き出すと、少しして朝7時になり指定エリアが公開される。朝一番の指定エリアはランダム指定だったが、当然G3であり、オレたちは道すがらG3に寄ることにした。
G3はH4のエリアの境界線の9割が山と重なっているため、こちらから入るにはH3の北東から回っていくしかない。オレたちはH4の川辺でキャンプしており、原作よりも多少動きだしが早かったこともあって、十分に着順報酬を狙えるポジションにいた。
もしG2やH2などに人がいた場合、上からは入れてしまうので負けてしまうが、流石にそんなエリアの端に陣取っている生徒はいなかったようで、無事に着順報酬の10点と到着ボーナスの1点を手に入れることが出来ている。
七瀬も一緒に到着ボーナスは得ているが、天沢が時計の交換のために船にD4に戻っているはずなので、着順報酬を得るのはまず無理だろう。また、篠原のエリアはH7と、正反対の場所なのでこれで3連続スルーとなり得点がマイナスされてしまったようだった。
だが、そのマイナスも真澄たちと合流して大グループが出来れば止められるはずだ。
また、真澄たちも指定エリアがG2なようで、到着ボーナスを狙いがてらこちらに向かって歩いているということだった。そのまましばらく森の中を歩いていくと、真澄を先頭に、ひより、西野の姿が見えてくる。
「清隆ー!」
「清隆くん、こっちです!」
こちらに向かって手をブンブン振っている真澄とひよりに対し、西野だけが控えめに手を挙げているのが目に入った。
しかし、今は残念なことに西野に構っている余裕はない。ホッとした様子を見せる篠原を一刻も早く合流させてやりたかった。
「無理を言って悪かったな」
「いいのよ。こういう時は助け合いでしょ」
「私たちもトップを狙える程の点数は持っていませんからね。クラスメイトが助けられるなら安いものです」
「神室さん、椎名さん……ごめんね、ありがとう」
「困った時はお互い様。いつか、私が困ってたら助けてよね」
「そうですよ。それに、同じクラスになってからなかなか話す機会もなかったですし、仲良くなるいい機会だと思いましょう!」
半ば寄生する形になる篠原は、迷惑をかけることを気にしているようだったが、真澄やひよりから温かい言葉をかけて貰って泣きそうになっている。
こう見えて、雪が懐いているだけあって、真澄はかなり面倒見がいい性格をしていた。「全く、泣くことないでしょ」といいながら、篠原にハンカチを渡しており、ひよりも「お水飲みますか?」と甲斐甲斐しくお世話をしている。
「西野も済まないな。いきなりこんなことに巻き込んで」
「う、ううん、全然! だって、小宮くんや木下さんもリタイアしちゃったんでしょ? 同じクラスの仲間としてもほっとけないし、神室さんや椎名さんが問題ないなら私は全然平気だから」
「そう言って貰えると有難い」
とりあえず、篠原が合流することで問題が起きるような気配はなかった。とはいえ、これでハイさようならとはいかない。
真澄たちと篠原が大グループを組むには、真澄グループか篠原がグループ枠を拡張する課題を受けて枠を最大にしないといけなかった。
今いるのはG3の中腹くらいだが、流石にこの近辺はエリアの端に近く、山に囲まれていて学校側も動きにくいのだろう。流石にこの近くで課題が行われるなんて都合の良いことは起きないと見てよかった。
このまま放置して大グループが組めないというのは問題なので、この2つのグループが纏まるくらいまではオレがサポートしてやるべきだろう。その方が、篠原や西野の好感度――それに、七瀬の好感度も上がるはずだ。
改めて、課題を受けるためには、どうしても地形が良いHやI側か、CかD側に移動する必要がある。移動に必要な体力的なことも考えると、HかI側に移動するのが利口と見た。
と、いう訳で、再会の感動もそこそこに、さっさと移動を始める。とはいえ、別に無言で進み続けている訳ではなく、歩きながらも今日から公開された上位10組と下位10組のグループについてのことが自然と話題になっていた。
「下位7組は全部3年BクラスからDクラスの生徒で構成されたグループだったけど、あれってわざとなの?」
「ああ。同じ学年の南雲を封じるために、その7組を使っているんだろう。課題の独占なんかで得点の機会を大きく封じれば、いくら南雲でもそう簡単に得点は取れないからな」
「残りの3組が1年生なのは順当って感じですかね? とりあえず、2年生が1組も下位に入っていなかったのは喜ばしいことだと思います」
原作では下位に名前を連ねていた愛里や波瑠加のグループだが、この世界では頑張って得点を稼いでいるようで、今の所は名前が表示されずにいる。
やはり、愛里が去年一年頑張って基礎体力を付けたのが大きいだろう。行軍スピードが上がり、着順ボーナスだけでも貰えていることで大きく得点をプラスしていると見た。
「正直、3年生がこんなに下位に沈んでいるのは意外でした」
何だかんだ真澄グループにも受け入れられた七瀬も、しっかり話に加わっている。しかし、今オレが気になるのは下位よりも上位だった。改めて、現在の上位に視線を向けていく。
1位は高円寺グループ(グループと言っても単独だが)で144点と圧倒的なスコアを見せている。オレとの約束で、途中リタイアできるということもあって、原作以上に体力を使ってかっ飛ばしているようだった。
2位はオレで、115点。
3位は3年生の桐山グループで104点。
4位は3年Aクラスの殿河グループで102点。
5位は龍園グループで98点。
6位は1年生の高橋グループ(八神のグループ)で96点。
7位は3年Bクラスの木更津グループで93点。
8位は坂柳グループで90点。
9位は南雲グループで88点。
10位は桔梗グループ(桔梗・初川・姫野)で85点。
と、高円寺が独走しているのは予想できていたが、それでも桐山に抑えられているとはいえ、南雲の得点が思った以上に低いのが気になっている。
まぁ、それでもトップ10には入っているし、差があると言ってもオレと30点くらいしか違わないのではそこまでの差とは言えないが、あの男ならオレと同じくらいの得点を稼いでいると思っていた。やはり昨日も言っていた通り、本番は今日からということなのだろう。
しかし、原作では3年生が上位を席巻していたが、この世界では2年生の頑張りが凄まじかった。
上位で言えば、龍園グループの進撃が目覚ましい。やはり、橋本が入ったのが大きいようで、原作では龍園と葛城の二人だけだったが、頭数が一人増えたことにより到着ボーナスでの得点や課題に走るための頭数も一人増え、原作以上のペースで動いていた。
また、坂柳のグループも調子が良さそうだ。坂柳本人は半リタイアで動けないはずだが、澪やアルベルトを上手く使って得点を稼いでいるのだろう。人を動かすことにおいて、あの女の右に出る人間はそういない。
それ以外にも、桔梗のグループが10位に入ってきていた。初川という生徒は、原作では名前が多少出た程度だが、帆波のクラスでも突出して能力が高い。そこに平均的に能力が高い桔梗と姫野が組むことで高アベレージを稼いでいるようだ。
原作では八神に踊らされて散々な目にあう桔梗だが、この世界ではオレのために汗水垂らして得点を稼いでくれている。
とはいえ、桔梗や姫野は優秀だが特別突出している訳ではない。故に、上位10組には入っているものの、いつ落ちてもおかしくないような状況でもあった。
他にも、雪や鈴音グループの名前が入っていないが、雪たちは大グループを組むために序盤は得点を揃えると言っていたので、ここから加速していくのだろう。
グループの人数が7人になれば、到着ボーナスで貰える得点だけでも圧倒的なモノになる。上手く行けば、明日か明後日には上位10名に名前を連ねているはずだ。
「でも、綾小路くんも2位なんて凄いね」
「うん、高円寺くんも流石だけど、綾小路くんはこうして私のフォローもしてくれているのに2位なんて本当に凄い」
と、上位10グループの動きを分析していると、西野と篠原からオレが単独で2位に入っていることを称賛するような声がかけられていた。
「先輩は本当に凄いですよ。マップを見て事前に指定エリアが選ばれる方向を読んだり、課題の法則性を見抜いて的確に補給をしたりと、傍で見ているだけでも動きに無駄がないのがわかります」
これに七瀬も乗っかってくる。割と本心から言っているようで、オレの活躍を身振り手振りで話してくれるおかげで、尊敬の視線が背中に張り付いて離れなかった。
まぁ、褒めてくれている所悪いが、半分以上は原作知識を擦ってズルをしているので、あまり自慢気に出来るものではない。
もし、完全なノーデータでこの試験を行うとしたら、ここまで上手く得点を稼ぐことは出来なかっただろう。しかし、オレにとって試験はあくまでもついでである。本来の目的を果たすための投資に過ぎない――そして、そのための準備は着々と進んでいる。
とはいえ、今は真澄グループと篠原グループを組ませることが先決だった。改めて、次の動きについて考えていく。
大グループを組むための課題はまだ出てきていないので、とりあえずは様子見をするしかないだろう。次に重要なのは指定エリアだが、9時で更新されるオレの指定エリアはH4だ。集団行動をしなくていけなくなったことで行軍速度は下がったが、そのおかげで良い感じに行き過ぎない速度で移動することが出来ていた。
9時になるギリギリでG2に入り、真澄たちの到着ボーナスを稼いでいく。そこで一旦停止し、数分程待つと9時になって新たな指定エリアが表示された。
オレはH4、真澄たちはH3ということで、そのまま歩いて真澄たちに着順報酬の10点と到着ボーナス1点を与えていく。指定エリアがH3やH4だったのは完全に運だが、集団になって足が遅くなったのが、逆にメリットになった形だった。
そして、まだ課題は出ていないので、そのままH3に入ってH4まで歩いていく。森や川を突っ切って大体1時間程で到着できたが、流石に着順報酬を得ることは出来なかった。
また、篠原の指定エリアがH5だったため、さらに移動して何とか11時になる前にはエリアに到着し、マイナスを止めることが出来ている。これには、篠原も一安心していた。
ただ、流石にずっと歩き詰めだったため、篠原を始め他のメンバーもそろそろ限界が近い。
特に、体力的に余裕のないひよりはかなり疲れた様子を見せていた。タブレットを確認すると、丁度近くで食料が報酬になっている課題が出てきたので、それで英気を養おうと寄ってくことにする。
しかし、ここで予定外のアクシデントが起きた。
途中で3年Aクラスの多々良という生徒のグループが絡んできたのだ。時間にして数分会話しただけだが足止めをくらい、少し遅れて課題を受けに行く――が、俺たちが着く頃には、既に課題は締め切りになっていた。
仕方ないので、近場で体を休めながら、今さっき起きた件について思考を働かせていく。
果たして、これは偶然か?
俺は勿論のこと、他のメンツも多々良とは初対面だった。にも関わらず、わざわざ特別試験中に話しかけてくるのを偶然の一言で済ませるには、多々良の行動は疑問点が多い。
今回の特別試験は、対他学年の特色が強かった。七瀬はイレギュラーとしても、1年と2年という敵のグループに、初対面の3年生がいきなり世間話をしにくるなど有り得ない。
何よりも問題なのは、多々良と話した数分のロスで、俺たちが課題を受けられなかったということだ。
あの時、課題を受けていたグループは、全員1年生と思われる男子で構成された小グループだった。勿論、偶然そういう組み合わせになることもあるだろうが、多々良の不自然な行動と合わせるとこれを偶然で済ませてはいけないような気がする。
――ずっと疑問には思っていた。
南雲は停学明けで、まだろくに足場も整っていない状態だ。にもかかわらず、オレに勝てるつもりでいるのは、それだけの自信があるからだろう。
とはいえ、手足だった3年が敵に回った今、南雲が実質使えるのは下級生――しかし、2年のBとCはオレが支配しており、坂柳や龍園も南雲に着いている様子はない。と、すると、やはり1年と手を組んだと考えるのがベターだ。
だが、今は、1年Dクラスは宝泉から、Cクラスは椿から、Aクラスも天沢を通じてある程度情報が入って来る。それなのに、今現在オレに何の情報も入ってこないということは、おそらくそういうことなのだろう。
もし、南雲が1年と――否、八神と手を組んでいるとしたら、ここから先の試験は面倒なことになってくるかもしれない。
とはいえ、先程も言ったが、今はそれよりも真澄グループと篠原グループの大グループ化が先決だった。
幸いにして、下位10組のグループが可視化したことにより、全体的に余裕が出来て来て昨日程の勢いはなくなってきている。中間層は足を止めて体を休ませているのだろう。そのおかげもあって、まだ篠原のグループも下位に入ってはいなかった。
しかし、それも時間の問題だ。下位10組が中間層に上がろうと動き出せば、自然と篠原グループの順位は落ちていく。その前に大グループを作るのが理想だが、意外とグループ枠を増やす課題は行われておらず、午前中にはその課題を受けることが出来なかった。
ここで一度、雪たちの方の様子を聞いてみると、今雪たちはC8にいるようで、そちらでは丁度グループ枠を増やす課題が行われ、上手く鈴音たちが1位を取って大グループを作ることが出来たらしい。
この四日間は体力の消費を抑える意味も込めて、点数を60点に調整していたようで、雪(鈴音)グループはこれで7人の大グループとなって追い上げを始めると言っていた。
「ここからは別行動を取ろう」
向こうに出たならこちらにも課題が来てくれると嬉しいのだが――と、思っていると、次の指定エリアが公開される13時に、I4でグループの枠を増やす課題が行われることになったので、指定エリアを無視して先にそちらへと向かう。
が、ここで敢えて、オレだけは指定エリアに向かうことにした。正確にはオレと七瀬だ。七瀬だけは頑なにオレに着いていくと訴えて聞かなかった。
まぁ、それについてはいい。敢えて別行動を取る理由については、先ほどの課題で1年生がオレの妨害に動いている可能性があると判断したからだ。
3年の多々良が絡んできたのも多分その一環。
あれは、オレの足を止めている間に1年に課題を独占させるための時間稼ぎだったと見て良いだろう。だから、このままオレが一緒に行動すると、また課題を独占される危険がある。故に、ここは真澄たちだけで行かせた方が課題を受けられる可能性が高かった。
真澄やひよりも、多々良が絡んできたことについては違和感があったようですぐに納得した素振りを見せている。西野も「そっか、綾小路くんは今2位だから……」と、違う方向で勘違いしてくれたようで、それを聞いた篠原も「あっ、そっか」と頷いていた。
本当は南雲や八神との勝負のせいなのだが、その間違いは有難いので訂正しないでおく。
ここで篠原を放り出すのは申し訳ないと思うが、ここから先はオレと一緒に居る方がリスクになる。「済まないな」と謝罪すると、「ううん、ここまでありがとう」と篠原が頭を下げてきた。
そんなこんなで、無事を祈りつつもここからは別行動を取っていく。オレと七瀬の次の指定エリアはH6だ。
今は、I5西側中央の川辺付近にいるので、急いでいけば着順報酬を狙えなくもない。が、指定エリアに向けて歩き出した瞬間、ここでも3年Aクラスの妨害が入ってきた。
やはり、多々良はわざとオレを足止めする係だったようで、他にも何人かのグループを連れてオレたちの進路を妨害してくる。
ここまで来ればもう確定的だ。3年Aクラスの生徒にオレを足止めさせ、課題は1年生で独占――それが、南雲&八神がオレを倒すために考えた策の一つと考えて良いだろう。
結局、最短距離を封じられてしまったので、仕方なく遠回りして森を越え、I6から回るようにしてH6を目指した。遠回りさせられたことで着順報酬は得られなかったが、これで得点は合計117点となっている。
また、トランシーバーの連絡で真澄がグループ拡張の課題を受けて1位を取ったという報告が入ってきた。やはり、オレがエリアに向かったことで、妨害役の1年生たちもオレの進路にある課題の独占に向かったのだろう。結果的に裏をかくことが出来ていた。
早速大グループを作ったと言うことで、得点の平均は下がってしまったようだが、真澄たちはこれまで順調に得点を重ねていたこともあって下位に沈むことはまずないだろう。
小宮と木下がリタイアしているので、着順報酬はもう得られないこともあり、ここからは課題を中心に得点を稼ぎながら、ゆっくり到着ボーナスを狙う形に切り替えると言っていた。
七瀬も、篠原がもう大丈夫とわかり、ホッとした様子を見せている。しかし、順調な向こうとは逆に、こちらは上級生と下級生にマークされて動きにくくなってしまっていた。
だが、それなら上から追ってくるのを逆に利用してやる。原作知識のおかげで、次の指定エリアがI7になることはわかっていた。
あくまでも上から来る3年から逃げる形で、H6の南東へと移動してスタートダッシュを決めさせて貰う。15時となり、次の指定エリアがI7になった瞬間、妨害を受ける前に移動して着順報酬と到着ボーナスを奪っていく。
しかし、周囲の課題はやはり独占されているようで、近場のものは全て1年生が受けておりオレは課題を受けることが出来なかった。また、オレの動向を探るために、常に3年生のグループが周囲をうろついていてトランシーバーで逐一動きを報告している。
これではどうしようもないので、オレは一足先にキャンプをさせて貰うことにした。
奇しくも、七瀬と初めて行動を共にした日にキャンプした場所で、また一夜を明かすことにする。ここはI7とI8の境界線が近いので、明日もまた一番で指定エリアに入ることが出来るだろう。当然ながら、明日の最初の指定エリアはI8だった。
まさか、南雲もオレが原作知識でエリアを先読みしているとは思わないはずだが、明日の朝一番でまたオレが着順報酬を得ればやきもきしてくるに違いない。
とはいえ、南雲も流石だった。
あいつも、オレと同じく桐山たちに課題を抑えられているはずなのに、今日一日で111点まで得点を伸ばしてきている。いや、違うな。もし仮に、南雲が本当に八神と繋がっているのだとすれば――
と、思っていると、夜中に桐山から報告がきた。
やはりオレが想像した通りだったようで、オレに当てているのとは別の1年を使って課題を独占し、斡旋させることで無理やり得点を稼いでいたらしい。
今日の動きからも読めていたが、これで南雲と八神が組んでいるのはまず間違いなかった。
八神も、原作での桐山のポジションを担い、1年を使って南雲をフォローしつつ、自分もどこかでオレの上になるのを狙っているのだろう。
何だかんだ八神のグループも上位トップ10入りはしており、いつでも上を狙える体勢をキープしている。このまま、こちらの足を止められれば、いつでも入れ替わりが起きかねない状況だ。
だが、1年Dクラスの主軸である宝泉と、ホワイトルーム生である天沢――この強力な二つの駒はオレが抑えている。おまけに、椿と宇都宮はこちら側の刺客だ。八神も、自身の陣営に毒が含まれていることにまだ気づいていない。
いや、椿が雪の妹であることを考えれば警戒はしているだろう。しかし、宇都宮については完全に無警戒のはずだ。あいつは同じクラスの波田野を退学させた犯人を恨んでいる。八神もその容疑者の一人である以上、八神の手駒に陥るという心配はまずなかった。
後は、いつ仕掛けるか、向こうがいつ仕掛けてくるかの読み合いになる。途中で雨が降るなら、勝負は後半。
それも、試験が終わるギリギリで仕掛けてくるはずだ。南雲にしろ、八神にしろ、出し抜くためにはタイミングが大事になる。一つのミスも許されない綱渡りのような状況――渡り切って見せる。
原作との変化点。
・真澄たちと合流した。
後に大グループも作り、これで篠原の退学の危険がなくなっている。
・ランキングが公開された。
原作以上に高円寺が得点しているのは、リタイア前提で動いているから。また、南雲が原作と違って抑えられており、抑えるのに3年のグループが動いているせいもあって、原作とランキングが大きく変わっている。ちなみに11位に鬼頭グループ(鬼頭、森下、山村)がしっかりついていて、坂柳も大グループ結成を狙っている。
・3年Aクラスの多々良がちょっかいを出してきた。
南雲の駒。清隆の妨害を命じられている。
・1年Aクラス&Bクラスの小グループが課題を独占している。
八神の駒。1Aの高橋修が八神と仲が良いので、PPでAクラスから兵隊を貸して貰っている。また、石上は知っているがこの件にはノータッチ(まだ八神が、波多野の件以外に問題行動を起こしていないので様子見中)。これにより、南雲に課題を斡旋したり、清隆を妨害したりといろいろとアシストしている。が、最後には自分が勝つとしっかり得点も稼いでいる。南雲と違って妨害を受けていないので割と得点が多い。
・南雲も妨害を受けている。
が、1年を上手く使ってその妨害も上手くいなしている。ランキングに顔を出せているのはそのため。
今話の登場人物一覧。
・綾小路清隆
3年や1年の動きから、南雲と八神が手を組んでいることを察した。
・七瀬翼
まだ清隆が妨害を受けていることには気づいていない。清隆の凄さを真澄たちにもしっかり伝えて満足している。
・篠原さつき
何とか首の皮一枚繋がった。
・神室真澄
篠原を受け入れた。大グループ拡張の課題は真澄とひよりのコンビで獲得している。
・椎名ひより
真澄が身体能力担当なら、こちらは頭脳担当。地味に、上手くかみ合っているコンビ。
・西野武子
清隆と一緒に居られて嬉しかったが、すぐに離れ離れになって残念に思っている。
・多々良
妨害役。自分の小グループ以外にも5~6個の小グループを指揮している。