割りと能力が高いモブ側近達と飼い主のコント
とあるスレ参考

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頭を空っぽにしよう
そうしたら夢がいっぱい詰め込めるよ


ナギサ「先生にハニートラップを仕掛けましょう」 側近「分かりました」

・ハニートラップ

 

「先生にハニートラップを仕掛けましょう」

 

「分かりました」

 

 トリニティ総合学園。

 普段はティーパーティーのメンバーが揃うテラスで、桐藤ナギサは側近の1人に命じた。

 彼女は本来のホストである百合園セイアが暗殺された為、代理でホストをしている。

 

 現在はエデン条約を間近に控え、少しでも政治的な影響力を得る為にシャーレの先生を引き込もうとしていた。

 

 傍に控えていた側近はその命令を聞くと、優雅にカーテシーを行い下がっていった。

 

「セイアさん…」

 

 ナギサはテラスから空を見上げて今は亡き友人に思いを馳せた。

 

 

 

―――数時間後。

 

 先日モモトークでお互いの連絡先を交換した先生から鬼電が掛かってきた。

 表面上は穏やかに、しかして内心は恐る恐るといった様相で電話に出る。

 

「はい。桐藤ナギサです」

 

『ナギサ。君の側近の子が私を落とし穴に掛けて、溺れかける量のハチミツを上から仕掛けてくれたよ』

 

「?…???……!?!!?」

 

 ゴクゴクゴクゴク。

 すぅー、はぁー。

 ゴクゴッおえっ、げほげほげほおぇぇぇ…。

 

 その一連の流れを見ていた別の側近は口元を手で押さえて静かに笑い震えていた。

 

 

 これは、能力も確かで忠実に命令をこなせる()生徒の、ほんの少しの日常の物語だ。

 

 

 

 さて、先日のハニートラップ事件でこってりと怒られた側近は、頭を悩ませていた。

 

「なぜ私はアレで怒られたんでしょうか」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 やらかした側近Aの疑問に相槌を打つのは、紅茶を吐いて震えているナギサを見て静かに笑っていた側近Bである。

 この側近BはAと幼馴染であり、幼い頃からAの言動に付き合ってきた人物だ。

 

「ハニートラップ…言葉通りにした筈なのに、何故…」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 言葉通りに受け取ったからだねと側近Bは思うのだが、指摘しない。

 この側近Aの取扱というか操作の理解は、側近Bが幼い頃から苦労して作り上げたのだ。

 

―――私が苦労した経験で作った取説だ。何も苦労してない他人が使って楽をするなんて許さん。

 

 側近Bは割とクズな考えを持っていた。

 まあ最近は側近2人の上長も自分でどうにかしようと頑張っているので、認めてあげなくは無い感じだ。

 

 

 

・炙り出す

 

「現在、エデン条約に向けてトリニティは一丸とならなければなりません。ですがこのトリニティにそれを邪魔する裏切り者が紛れ込んでいます。貴女はその裏切り者を炙り出してください」

 

「分かりました」

 

 先日ハチミツに沈めた先生に平謝りをして、自分が作り上げた補習授業部の顧問を引き受けてもらった。

 先生への言い訳は、部下とのコミュニケーション不足ですと伝えた。

 

 心優しい先生は直ぐに理解してくれて許してくれた。

 

「あれからお説教もしましたし、大丈夫でしょう」

 

 

―――数時間後

 

「大変です! 離れの校舎で活動してた補習授業部と、偶然通りかかってその場にいた聖園様が火炎放射器で炙られました!」

 

「は?…!?!?!?!!!!?」

 

 ゲホゲホゲホッ、ヒューヒュー…。

 

「しかもその場にいた先生にも被害があったようです!」

 

 ウ…ウウ、―――ウッ!?

 

 近くに控えていた側近Bは口元を手で隠して笑っていた。

 

 

 

 さて、先日校舎を焼き払った件でこってりと絞られた側近は、頭を悩ませていた。

 

「なぜ私はアレで怒られたんでしょうか」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 やらかした側近Aの疑問に相槌を打つのは、連続の失敗で胃を痛めて紅茶を戻したナギサを笑って見ていた側近Bである。

 

「炙り出したのに、何故…」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 側近Bは私にもわからんと心底同意するように合わせた。

 

「ぐぬぬ」

 

「…因みに、先日ナギサ様が仰っていた『エデン条約を邪魔するトリニティ内の裏切り者』は誰?」

 

「え、それは以前歴史書を読んで境遇に涙して古聖堂と通じているカタコンベを通りアリウス自治区へと向かった聖園様と、聖園様の手引きを受けて転校してきた白洲アズサさん」

 

 これだよ。と側近Bは自販機で買ったコーヒーを飲みながら相槌を打った。

 だが側近Bは別段トリニティやティーパーティーに忠誠を誓った覚えは無いので報告もしなかった。

 

 

 

・浴びるように飲みたい

 

「本当に久々の午後休が取れました。もう本日は執務は行いませんので、偶には浴びるように紅茶を飲みたいですね」

 

「分かりました」

 

 側近Aはそういうと優雅な動作で退室していった。

 それを不安そうに見たナギサだが、何も変な事は発言してないと先程の言葉を心の中で復唱する。

 

 

―――数十分後。

 

「…はぁ。先生にどう謝罪すれば」

 

 休みの筈だが仕事の事ばかり考えてしまうナギサは、扉を開けて戻ってきた側近Aに気づかなかった。

 

 そして何やら重そうな所作で机の前に来た側近Aをナギサは視界に収めた。

 

 瞬間、目に映ったのは熱々の紅茶が並々と注がれた巨大なバケツであった。

 

 

―――???????…!!?!?!?!?!????

 

「あッッッッッッッッッッッッッッッッッッつ!?」

 

「どうでしょう。割と高級そうな茶葉全部入れてみました。美味しいでしょうか」

 

 ナギサ自身や周囲が紅茶でずぶ濡れの大惨事に陥る中。

 側近Bは被害が届かないギリギリの所で口元を隠して笑っていた。

 その手には缶コーヒーが握られている。

 

 

 さて、先日の紅茶を浴びるように飲みたい事件でこってりと怒られた側近は、頭を悩ませていた。

 

「なぜ私はアレで怒られたんでしょうか」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 やらかした側近Aの疑問に相槌を打つのは、バケツの紅茶を文字通り浴びたナギサを見ながら缶コーヒーを飲んでいた側近Bだ。

 幼い頃からAの言動に付き合ってきた側近Bはずぶ濡れナギサをスマホで隠し撮りもしていた。

 

「浴びるように飲みたい…言葉通りにした筈なのに、何故…」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 頭の良いナギサ様ならそろそろ気づくと思うけどなという残念な気持ち半分。

 もう少しこのやりとり見ていたいなーという好奇心半分。

 

 出来ればもう少し面白おかしい状態が続きますようにと願いつつ、缶梅昆布茶(冷)を呷った。

 

 

 

・誰に殺されたのか

 

「セイアさん…。セイアさんは一体誰に殺されてしまったのですか」

 

 消え入りそうな声でそう呟くナギサの顔は暗い。

 

(ん、普通に生きておられる筈では? 先日も蒼森ミネ団長が会いに行っておられましたし)

 

「勝手にセイア様を殺さないで下さいナギサ様」

 

「わ、私!? 私がどうしてセイアさんを殺す必要があるんですか!?」

 

「?」

 

「??」

 

 

―――数十分後。

 

 さて、ナギサがセイアを殺したという発言にこってりと怒られた側近は、頭を悩ませていた。

 

「なぜ私はアレで怒られたんでしょうか」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 やらかした側近Aの疑問に相槌を打つのは、人間の言語って難しいねと改めて理解した側近Bだ。

 ナギサにビンタされて頬に大きなモミジを作った側近Aは続けて喋る。

 

「誰に殺されたのか…言葉通りに死んでないとお伝えした筈なのに、何故…」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 こればっかりは焦燥で心が疲弊してるナギサ様の早とちりかなと側近Bは結論を出した。

 ここでナギサが疲弊しているお労しい、今回はコイツが全部悪いと思わないのがこの側近Bのガラスより薄い忠誠度を表している。

 

 私の苦労を周囲が追体験するの楽しいなぁと思いつつ、エナジードリンクを飲むのであった。

 

 

 

・どうやって入ったの

 

「ねぇ貴女って凄い馬鹿(面白い)ですわね。一体どうやってティーパーティーの側近に入れたのかしら?」

 

 ある日、側近Bとナギサが廊下を歩いていると、ティーパーティーの護衛役の数人が側近Aに絡んでいた。

 

「あの子達…」

 

 今ここで飛び出してもシラを切られるだけだと思ったナギサは、せめてもとボイスレコーダーを起動しながら陰から様子を見ることにした。

 

 ナギサは知らないが、彼女が文字通りナギサ専属の側近Aになってから、このような事は日常茶飯事であった。側近Aとは対照的に表面的に人当たりもよく仕事が出来る幼馴染の側近Bは大丈夫であったが。

 

「どうって、普通に入口からですが?」

 

「……あなた結構やらかしてお給金減俸になってるそうじゃない。ご飯とかどうやって食べるのかしら?」

 

 暗にどれだけ極貧な生活送っているのか面白半分に聞き出し笑いものにしようとする。

 

「? ご飯はお箸とお茶碗で食べてますよ?」

 

 だが帰ってくるのはどうしようもないアホな返答である。

 

「あら嫌だわ。頭が軽い人間には嫌味も通じないのね」

 

 嫌味ってどんな味だろう。甘味、酸味、塩味、辛味、苦味…嫌味だけまだ食べたこと無い。

 

 なんて思ってるんだろうな。と側近Bは推測する。

 

「頭が軽い…確かに私は体重が○○以上になった事ないので色々軽いかもしれません」

 

 その数値は、体重に一喜一憂する華の女子高生にとっては聞き捨てならない物であった。

 

「ちょっと待ちなさい! その話詳しく私にも聞かせなさい!」

 

 

 先程の緊張感はどこへやら、側近Aとナギサを中心に、絡んでいた集団から毒気が抜けていく。

 

 

―――数時間後。

 

 さて、どうやって組織に入ったのか聞かれた側近Aは玄関からと回答をした側近は、体重に関してこってり怒られていた。

 

「なぜ私はアレで怒られたんでしょうか」

 

「なんでだろうねぇ」

 

 やらかした側近Aの疑問に相槌を打つのは、側近Aの体重維持法を聞いて実践している側近Bである。

 確かにコイツ昔からスレンダーだったわと思い出した。

 毎年の健康診断もオールAで顔にニキビといった物も無く、ムダ毛なども一切なかった。

 

「普通に生活していれば誰でも出来る筈なのに、何故…」

 

「殺すぞ」

 

 今日だけ側近Bは側近Aに冷たかった。

 

 

 

 側近Bは思う。

 幼馴染の側近Aには『比喩表現』が全く通じない。

 本当に言葉通りに受け取ってしまう素直さと、その言葉を一切疑問に思わない所が両立している。

 

 やらかしてる部分が目立つが、いつ、どこで、誰が、何を、どのようにと5W1Hを徹底すれば、完璧に命令を遂行して結果を出す。

 知られてこそいないが、その戦闘力も剣先ツルギや空崎ヒナに次ぐ位置である。

 ジェネリック○○のような評価から抜け出せないが、正しい運用をすれば善き人材なのだ。

 

 だからせめて、小さい頃に助けてくれたお礼に手綱位は握ってやろうと思う。

 

 最近面白さが勝って放置しているが。

 

 

 そしてもう1つ重要な事がある。

 

 

 これと同じ言動をする幼馴染が、ゲヘナにもいるのだ。

 

 

 そう、恐ろしいことに後1人これの同類がいるのである。

 

 側近Bは他校に行った他の幼馴染(側近Aの同類)に連絡を入れるのでった。

 

 

 

 

―――

 

「キキキ……トリニティ産のコーヒーは実に不味い! これなら泥水でも飲んでいる方がまだマシだ」

 

「分かりました」

 

 泥水が満載のバケツを取り出す

 

「泥水の方がマシというのは比喩表現だ。本当に『泥水が美味しいと思ってる訳ではないし飲みたいとも思っていない』」

 

「分かりました」

 

 バケツを置いた

 

 改めて説明しよう!

 これは、能力も確かで忠実に命令をこなせる()生徒の、ほんの少しの日常の物語だ!

 

 

 

忠誠(ちゅーせい)

 

「いいか? 議長であるこのマコト様に忠誠を―――」

 

「分かりました」

 

 その瞬間、新入りの1年生がマコトにキスをしようとゼロ距離まで迫った。

 

「???!??!?!?!?!?」

 

 流れるような所作で唇を奪われかけたマコトは一瞬混乱したが、咄嗟に引きはがした。

 そして大声で言葉にならない叫びを怒鳴りながら、恥ずかしさやら何やらで顔を赤らめて部屋を飛び出していった。

 

「あれ、言われた通りにしたんですけども」

 

 この一連の流れを見ていたイロハは、そのいつも通りの言動に恐れ慄くことになった。

 

「一応聞きますね。何故、突然キスを?」

 

「え、だって先ほど議長が私にちゅーせいと」

 

 あーこの人本当にやばい。いい意味でも悪い意味でも本当にやばいとイロハは思った。

 同時に、決してイブキと二人きりにしては行けないと誓いを立てた。

 

 

 

 さて、先日盛大にマコトにキス未遂をした人物。マコトの側近Cは頭を抱えていた。

 

『これ何で怒られたんでしょうか』

 

『なんでだろうねぇ』

 

 モモトークを使ってトリニティに入学した幼馴染にメッセージを送る。

 この幼馴染は桐藤ナギサと呼ばれる人物の側近Bを務める人物だ。

 

『ちゅーせい…言葉通りにした筈なのに、何故…』

 

『なんでだろうねぇ』

 

 ちなみに向こうの側近Bは現在、向こうでやらかした側近Aの愚痴をリアルで聞いていたりする。

 内容は怪しい奴が居ないか四六時中目を光らせておけという命令に対し、何をどうやったのか本当に目を物理的に光らせ続け、苦情が相次いだのだ。

 

「次も頑張ろう」

 

 側近Cはペットボトルの炭酸水を飲み干してゴミ箱に投げ入れた。

 

 

 

 

・痛い目見せて

 

「また風紀委員にしてやられたではないか…! キキキ…こうなったら風紀委員に痛い目を見せてやれ!」

 

「分かりました」

 

 マコトが満足そうに頷いている中、側近Cは敬礼をして出て行った。

 

 

―――数時間後。

 

「見てください。目が充血して凄く痛いんです」

 

「…そう。救急医学部へ行ったらどう?」

 

 万魔殿の議員が風紀院長室で数時間前からそんなやり取りをしていると通報があった。

 アコから厭味ったらしい通報を受けたイロハは適当な相槌を打ちながら対応する。

 

「マコト議長が帰って来いと言ってる旨伝えてください」

 

 イロハは一瞬マコトと目が合ったが、マコトの方から気まずそうに眼をそらした。

 

 

さて、先日風紀委員に痛い目を見せた側近Cは頭を抱えていた。

 

『これ何で怒られたんでしょうか』

 

『なんでだろうねぇ』

 

 モモトークを使ってトリニティの側近Bにメッセージを送る。

 この側近Cの言動も昔からである為、側近Bは相槌を返すだけだ。

 

 風紀委員の邪魔をしたのであれば褒められるの筈だが、如何せん向こうから憐れむような、もしくは馬鹿にするような言動であったためマコトがキレたのだ。

 

『痛い目を…言葉通りにした筈なのに、何故…』

 

『なんでだろうねぇ』

 

 相変わらず比喩表現通じねぇなと側近Bは思うのだが、2人纏めて同じ学校ならさぞ面白い光景が毎日見れたであろうと想像する。

 だがまあそうはならなかった。

 

「次も頑張ろう」

 

 夕暮れの教室で衝撃的な糖度のジュースを吐き捨てた側近Bであった。

 

 

 

・金が必要だ

 

「まず何をするにしても金がいる。何とかして見繕ってこい!」

 

「分かりました」

 

 人を動かすのも何かを作るのも企むのも、全て先立つものが必要である。

 マコトはそれを知っているので、側近になんとか調達するよう指示を出したのだ。

 

 

―――数時間後。

 

「お待たせしましたマコト議長。持ってまいりました」

 

 そうして議長室の部屋に轟音で置かれたのは巨大な鐘であった。

 人間1人であればすっぽりと覆ってしまうほどの大きさだ。

 

「…なんだこれは」

 

「何って、マコト議長が要望されていた鐘です。百鬼夜行にいって適当な寺社から取ってきました」

 

「資金が必要と…言ってないな。くっ…ご苦労だった。だがお前なあ!」

 

 マコトはそれでも我慢出来ずに怒った。

 

「いい加減気づいてくださいよ。いつ誰が何をなぜどのようにと指示しないとダメなんですって」

 

 因みに資金と言っていた場合は勝手に『死菌』へと変換され、死んだ菌を探し求めていた。

 

 

 さて、先日金と鐘を間違えて盗難した側近Cは頭を抱えていた。

 

『これ何で怒られたんでしょうか』

 

『なんでだろうねぇ』

 

 モモトークを使ってトリニティの側近Bにメッセージを送る。

 因みにこの側近Cが万魔殿に入った理由は制服がカッコイイからである。

 

『かねが必要…言葉通りにした筈なのに、何故…』

 

『なんでだろうねぇ』

 

「私は仕事が出来ないのかな」

 

 誰もいない教室で独り言を呟いていると、また側近Bからメッセージが送信されてきた。

 

『因みに、万魔殿がゲヘナの統治活動をする為には資金が必要だけど、貴女ならどうやって資金を集める?』

 

『まず各部活に割り振られている予算を見直します。風紀委員は万魔殿の下という位置づけは内外問わず一般的な常識であるため、風紀委員への予算を増額しつつ、さりげなくその他の部活の予算をへらします。そうして浮いた資金を架空の』

 

 これだよ、と側近Bは思う。

 常識が抜け落ちてる分どこかの能力が尖っている例の1つだ。

 緩い部分はとことん緩いが、しっかりしてる所は常人より頭が回る。

 

 まあ噂に聞く赤髪の人なら気づくでしょうと結論付け、側近Bはスマホから目を離す。

 

「反応が無い…寝たのかな。次も頑張ろう」

 

 飲みかけだった納豆フレーバーの紅茶を側溝に捨ててその場を去った。

 

 

 

・情など要らん

 

「このゲヘナを統治するのに温い情など要らん!」

 

「分かりました」

 

 敬礼した側近は部屋を出ていこうとする。

 

「おいちょっと待て」

 

(待て。ここで安易に許可を出していいのか? 風紀委員の顔に泥を塗ってやれと言えば、本当に泥を塗って美肌効果出ましたと言ってくる奴だぞ?)

 

「いや、何も問題は無い筈だ…。よし、改めて情など要らん。万魔殿の威光を見せつけるのだ!」

 

「分かりました」

 

 

―――数時間後。

 

「先輩。例の子が風紀委員の地下牢の『錠』を全部破壊して囚人を逃がした挙句、万魔殿の『意向』だと吹聴しており、現在風紀委員長と戦闘状態です。

 

「はあああ!? な、何故そんな事に…」

 

「だから何度も言ってるじゃないですか。曖昧な比喩表現やぼかした言葉はダメですって」

 

 

 

 さて、先日風紀委員の檻の錠前を全て壊して変な意向を伝えた側近Cは頭を抱えていた。

 

『これ何で怒られたんでしょうか』

 

『羽沼マコト議長から、ティーパーティーの側近であるこっちに連絡があった』

 

『あの人謎の情報網持ってますから番号とか知られたんでしょうね』

 

 モモトークを使ってトリニティの側近Bにメッセージを送る。

 

『まあ兎に角、誤解されやすいけど良い奴って伝えといた』

 

『私は真っ当に生きてますよ』

 

『そうだね』

 

 

 

・敗北を味わわせる

 

「またしても風紀委員どもにしてやられた。いつか敗北を味わわせてやりたい物だ」

 

「分かりました。調査してきます」

 

 側近Cは敬礼をすると出て行った。

 

「あ、今回もなんかダメそうだな」

 

 マコトは膝の上で寝ているイブキを撫でながら独り言ちた。

 

 

 そして側近Cは風紀委員会の建物に訪れていた。

 

「な、総員警戒! またあの万魔殿議員が来たぞ!」

 

 風紀委員の1人がその姿を認めると、笛をならして警戒態勢に入る。

 なんせこの議員は突如として何時間もヒナに充血した眼を見せ続けたり、脈絡もなく地下牢の鍵を破壊して万魔殿の意向だと言い出したりするのだ。

 この前などヒナに一泡吹かせてこいという命令で、シャボン玉の液とストローを渡したりしたのだ。

 

 挙句には遂に頭に来たヒナと正面から戦い、勝てはしないが負けもしないという実力を見せつけた。

 

 つまり頭は悪いがやたら強いという、典型的なゲヘナ生なのだ。

 

「こんにちは。お勤めご苦労様です」

 

「止まれ止まれ。今日は何をやらかしに来たんだ!」

 

 風紀委員が一列に並んで入口を塞ぎ、意地でもここは通さねえと構える。

 

「敗北の味を調査しにきました」

 

 その言葉を言った直後には、既に風紀委員の列より遥か後ろに移動しており、意気揚々と扉を開けて入っていった。

 

 

「で、敗北ってどんな味ですか?」

 

「喧嘩売ってますの?」

 

 地下牢で捕まっていた美食研究会に質問を投げかけ。

 

 

「罪ってどんな味ですか」

 

「先生に聞けばいいじゃない」

 

 事件に巻き込まれていた給食部に質問を投げかけ。

 

 

「罰ってどんな味ですか」

 

「いや、うーん…」

 

 最終的に先生にまで被害が及んだ。

 

 

―――数時間後。

 

「と、言うわけで風紀委員や先生を始め、トリニティのティーパーティーやらにも聞いてきました」

 

「クソ、何から言ってやろうか」

 

 

 さて、各方面にどうしようもないアホさを晒した側近Cは頭を抱えていた。

 

『これ何で怒られたんでしょうか』

 

『なんでだろうねぇ』

 

 モモトークを使ってトリニティの側近Bにメッセージを送る。

 

『色々と料理を食べている美食研究会ですら分からなかったんです』

 

『ティーパーティーの人が腹痛に苛まれながら増えたッ…って言ってた』

 

『持病ですか? ご自愛下さいと伝えてください』

 

 側近Bはその言葉を聞いて笑いながら了解のメッセージを送った。

 

 

『ああそうだ。エデン条約の日は会場で3人集まろう』

 

『久しぶりに顔合わせと行きましょうか』

 

 

 

 ゲヘナの万魔殿には関わるとダメな生徒がいる。

 

 その生徒はとても素直で、命令やお願いを「分かりました」と直ぐに引き受けてくれる。

 しっかりと手順や言葉を選べば文句のない結果を出せる生徒だ。

 

 だが、気を付ける事はある。

 

 彼女に頼み事をしようとするのであれば、決して比喩表現などを使わないように。

 

 

 

 




感想と高評価よろしくお願いします

↓どうせなら簡単なプロフィール

側近A ティーパーティーの制服着たモブ(白髪) 
バカだが無駄に強い

側近B ティーパーティーの制服着たモブ(茶髪)
割とクズのメンタルお化け

側近C 万魔殿の制服を来たモブ(黒髪)
アホだがやたらと強い

3人揃うとアリウスが理不尽に崩壊する

読んでいただきありがとうございました。

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