超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第68話 別れ

『原作でちょろっと名前が出ただけのキャラが強化版ハーベストタイム持ってるとか聞いてへんで!』

(……前の局で捨てた1段目の河が次局の手牌に来る、だけやと思っとったら2段目まで回収できるとかチートやろあんなん)

『いやまあ未来改変しとるうちらがそれ言ったらあかんのやけど。

準決勝で妹の方倒すのに未来改変2回切ったのが辛かったな』

(妹も妹の方で前の局、対戦相手の捨てた牌を回収出来るってなんやねん。

……前の局で何巡目に何捨てたかとか全部記憶できるもんでもないし、純粋にねじ伏せるしかなかったのが痛かったで)

 

全米オープンが終わり、帰国した怜を待っていたのは準優勝を祝う声ばかり。この時期、日本国内ではプロリーグの日程が詰まっており、そこに複数のタイトル戦も同時進行で行われているため、全米オープンに出場する日本のプロ麻雀選手は極めて少ない。そのため、準優勝でも快挙であった。

 

なお、勝てた試合を落とした怜は荒れに荒れていた。準決勝での消耗を抑えていれば、決勝でもう少し未来改変を行えており、それでブルーメンタール(姉)を抑え込んでいれば優勝出来ていた。世界ランカーの日本勢がおらず、未来視を改変してくるような打ち手が少なかったために怜としては優勝を逃したのが大きかった。

 

「決勝戦、みんなで見てたで。

……残念やったな」

「おお、さすがは竜華や。うちの欲しい反応が分かっとる。

もうちょっと叱責してや」

「ええー?うちだって祝いたいで?

……準決勝で力使いすぎや。妹の方は前局で捨てられた牌を次局で拾って行くだけやし、力そんなに使わんでも勝てたんちゃう?」

「せやなあ……いや前の局で捨てられた牌、最初から全部憶えられるわけないやん」

「うちは憶えられるけど?」

「それは竜華が化け物やからや」

 

中学校は既に2学期が始まっており、麻雀部は3年生が引退したことで空いたレギュラー枠を狙って切磋琢磨している。そんな中、激戦を終えた怜は優勝できなかったことについてもっと責めてーやと竜華に依頼し、竜華もそれに対して律儀に付き合っていた。

 

「……なあ、あれ何や?」

「怜さんが世界大会とかで負けるとよくやってる反省会ですね。

去年、欧州選手権で準々決勝敗退の時なんかは一日中あれやってましたよ」

「優勝できなかった、であそこまで凹むんか。

一応準優勝したことでポイントも入って世界ランク上がったんやろ?」

「……11位まで上がって、トップ10入りが見えて来たので喜んで良いと思うのですが」

 

千里山中学麻雀部の部室は、いつも通りの雰囲気が流れていた。やがて1年生4人組で麻雀を打ちはじめ……葉子が、10月の頭には引っ越すという話を告げる。

 

「……年末って話やったやん」

「それが、早めになって10月1日に転勤になるみたいで……私が引っ越すのは、10月の初めの週の土日になりました」

「ということは……あと1ヶ月もないやん!?」

 

インターミドルの団体戦において、葉子の活躍は非常に大きなものだった。個人戦でも準決勝では怜に敗れたが、5位決定戦では松実宥とのトップ争いを制して5位となっている。

 

その葉子が抜けるというのは大きな痛手であり、何より怜は数少ない友人がいなくなるということに対し非常に憂鬱な気持ちになる。

 

葉子が部活に参加する最終日には、怜、竜華、葉子、セーラのいつメンで公式戦さながらの本気の麻雀の試合を行い、葉子はいつも竜華と2位争いをしているのだが、この日はオーラスまでトップをキープし続け……。

 

「チー!」

「怜さんなら鳴くと思いましたよ。これで私のツモ牌がズレて、ドラじゃなくなるんですよね?もう、何万回も見た光景です」

「……そうか。

花持たせる気はなかったんやけどな。全力じゃなかったけど本気だったことは認めるで」

「素直じゃない怜さん、好きでしたよ。

……今までありがとうございました。

ツモ!リーチツモドラ3!2000・4000!」

 

この日、怜は葉子に負けた。未来視でツモ順をズラしたのにも拘わらず、ドラでツモ上がりしたということは、ツモ牌を力で塗り替えたことに他ならない。実際、怜が鳴かなかった時の葉子のツモ牌は、怜が未来視で視たドラから別の牌に置き換わっていた。

 

『世界ランカーと何ら変わらんようになって来たって段階で抜けられるの本当に辛いな』

(……インターミドル団体戦でMVPを取った全国5位の選手が転校ってことで、関東中の強豪校が挙ってスカウトに来たらしいしな。中には寮があるからって西日本の中学校からもスカウトが来たみたいや)

『……千里山中学に寮があったら残ってくれてたのかなあ』

(千里山中学、ただの公立中学やからなあ……)

 

引っ越し当日は怜達も荷造りを手伝い、最後に葉子は竜華、怜、セーラの順番で抱き合って別れを告げる。最後、スーツケースを持って新幹線の乗り場へと移動していった葉子を、怜と竜華は涙を堪えて見送った。




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