ようこそ褐色イケメン長身娘が行く実力至上主義の教室へ 作:褐色すこすこすこ太郎
さらに翌日。クラス内は目撃者、又は当時須藤が事を起こした場所の近くにいた人を探すのに躍起になっている。
「はー。本当にCクラスの奴らが悪いって証明なんて出来んのかな……」
「目撃した人さえ見つかれば、それも不可能じゃないよ。頑張ろう池くん」
「頑張ろうってったってさ、そもそも本当に目撃者なんているのかよ。須藤が何となくいたと思ったってだけだろ? やっぱり嘘なんじゃねえの? あいつって暴力的だしよく人を挑発するし」
「僕らが疑ってたら、そこから何も進展しない。違う?」
そんな会話も聞こえ、須藤を疑いながらもクラスと自己のポイントのために頭を悩ませているのがわかる。
桔梗に聞いた話だが、どうやら堀北や綾小路と共に一之瀬、もといBクラスの協力を取り付けたらしい。何者かの策略に嵌らなければいいんだがな…。
「目撃者…ねぇ」
目撃者が居る前提での話になるが、その目撃者が誰かわかっていない以上、須藤らの事件を目撃した際、そいつは身を潜めていたはずだ。
そしてその目撃者は証言も証拠も出さずに、微動だにしない理由がある。そうすることで利益を得られるのか、不利益を被らない為の行動か。
クラス外にいた場合、Cクラスの生徒ならば利益のために黙っていることになり、AやBクラスであれば、余計な被害を出したくない為に黙っているということで筋は通せる。
そして最後―――このクラスに居る場合だ。
このクラスに目撃者が居た場合、どんな理由で口を閉ざしているのか。
「…内通? いや、このクラスにそんな諜報に長けた生徒は恐らくいない。やはり関わりたくない、と仮定するべき…か」
須藤に関わりたくない、と考える者はこのクラスで誰になるか。そう考えると、自然と女子の可能性が高くなる。女子で、尚且つ大人しめの、平穏を好みそうな気弱な女子。
そこから導き出される人物は……王美雨、井の頭心、佐倉愛里。この三人が濃厚であるとオレは推察する。そいつらには、少し探りを入れてみるか。
なんて考えていると、気が付けば授業は終わり、休み時間になっていた。
▽▽▽
「よう、みーちゃん」
「あっ、凛音ちゃん! どうしたの?」
校内の自販機の前で唸っていたみーちゃん、もとい王美雨へと声をかける。
お互いの呼び方でわかるかもしれないが、ある程度のコミュニケーションは取っており、友人と言える関係だ。最初こそオレの容姿から警戒されていたものの、何度も話すうちにその警戒心は日の光に照らされた氷のように解けていった。
「いや、最近はどうだ? と思ってな。ほら、須藤の件でバタバタしてるだろ?」
「うん…みんなちょっとピリピリしてるというか、なんだかちょっと怖いかも」
表情と筋肉の弛緩から、相手の感情を読み取る。特に嘘をつこうとしていたり、何かを隠そうとしている様子は見られない。
「ところで……何買うか迷ってたのか?」
「その…新作のジュースが入荷されてて、買おうと思ったんだけどポイントにあんまり余裕がないから…」
「ああ、これか。……ほらよ」
オレはみーちゃんの言っていたジュースを購入し、軽く投げてやる。すると慌ててキャッチし、ポイントを返すと言ってきた。
「いや、ポイントには余裕があるから構わねぇよ。それと、目撃者探しは無理のないでな」
「えっ? あ、ありがとう……またね!」
オレは自販機がある場所から離れる。さっきの会話から分かったが、みーちゃんは候補から外してもいいだろう。そもそも目撃者探しに積極的なみーちゃんが、隠れる理由がないとオレは結論付けた。
なんて考えながら歩いていると、オレは身体に何かがぶつかる感覚に襲われる。
「ん、悪ぃ。大丈夫か……?」
「だっ、だだ、大丈夫です! …あ、カメラが…!」
桃色の髪の、眼鏡をかけた地味な女子。オレとぶつかったのは、目撃者がクラスに居た場合の目撃者候補の一人である佐倉愛里その人であった。
「カメラ、壊しちまったか?」
「い、いえ、そんなことは……」
落としたカメラを拾い上げ、カチカチとボタンを押して顔を青くさせていたが、今はカメラを背に隠してオレと目を合わせようとしない。これ100%壊れただろ。
「すまん。ポイントやるから、これで修理するか新しいの買ってくれ。他に問題が起こったら、これに連絡してきていいから」
佐倉にポイントを数万ほど送った後、メモを取り出し、オレの端末の電話番号を書いた紙を渡す。
「えっ? え、えっと……」
佐倉はグルグルと目を回し、あたふたと手を震わせている。
「…一旦落ち着け。ほら深呼吸」
「は、はい! ひっひっふ~。ひっひっふ~」
いや、それは妊婦がするやつじゃねぇか。
「…とりあえず、落ち着いたか?」
「は、はい…すみません…」
一先ず佐倉は落ち着いたようで、チラチラとオレの顔を覗いては、オレが目を合わせようとした瞬間に目をそらすという、謎の心理戦を仕掛けて来ていた。何が面白いんだこれ。
「あ…私、やることがあるので…すみません!」
そう言うと、佐倉は慌ててその場から去っていった。
「佐倉愛里………か」
オレは佐倉が目撃者である可能性が高くなったと、そう感じた。
▽▽▽
佐倉とぶつかった日からまた後日の昼休み。オレは今、一之瀬に呼び出されて人のいない体育館裏にいる。なんでこんなことになってんだ。
「さてと………」
一息つき、一之瀬はオレの眼を見てくる。マジでなんだよこれ。
「私―――ここで告白されるみたいなの」
………?
どうやら、一之瀬にラブレターが届き、そのラブレターが明らかに女性のものとのことだ。名前は白波千尋と、十中八九女性だ。
「…まぁ、事態は理解した。んで、なんでオレを?」
「私、恋愛には疎くって………。どう接したら相手を傷つけずに済むのか。仲のいい友達でいられるかがわからないから……。それで助けてほしかったの」
一之瀬は少し頬を染めながら、恥ずかしそうにそう話す。
「なるほどな。だが、オレじゃなくてもよかったんじゃねぇのか? ほら、
「それが……Bクラスの子なんだよね……告白相手。だから、クラス内に広まったりしてほしくなくて……」
「クラス内の奴に頼れないのはわかった。だが、何でオレなんだ? 桔梗とかの方が仲いいだろ」
「その………噂で聞いたんだけど……長曾我部さんって、その………女の子が、好きだって…」
あぁ、理解出来た。女同士での恋愛についてどうすればいいかが聞きてぇのか。
「悪ぃが、男と女の恋愛も、女同士の恋愛も変わんねぇだろ。告白される側に付き合う気がなけりゃ、告白は断るしかねぇ。そしたら告白した側はもちろん傷つく。そんなの恋愛の基本じゃねぇのか?」
かく言うオレも、恋愛はしたことないが。
「それはわかってるの。告白を断る以上、相手が傷つくのはしょうがないことだって。…だから、せめて出来る限り傷つかない方法で断りたいの。そのために……私と付き合ってるフリ、してほしいの」
一之瀬という女は、人格者であり、リーダーシップのある優秀な女だとオレは認識していた。だが、それは間違いだったみてぇだな。過去に何があったかは知らないが、相手を傷つけたり、自分に非があることをしたくない相当な甘ちゃん…と言う風にオレの眼には映って見えた。
今もオレと付き合っているフリをし、告白相手に告白させる余地すら与えない、というある意味での逃げを選択している。
「一之瀬、自分とクラスメイトのために、他人を傷つけることに怯えるな。そうじゃないとお前はいつか必ず、痛い目を見る」
「………自分と、クラスメイトの、ため……ごめん、ちょっと考え直してみる。ありがとう」
一之瀬は少し俯き、考えながらも、どこかスッキリした表情でその場を去っていった。
それにしても、女が好きな女がBクラスに……ねぇ。
もし一之瀬が断るなら、その後拾って味わっても別にオレは悪くねぇよな?
「その前に、私とエッチするべきだと思います。長曾我部凛音」
オレは何も聞こえない。何も見えない。森下なんて奴知らない。
「無視ですか…。それなら私は貴女のショーツを被って校内を走り回りますよ」
どういう脅しだよ。ただお前が退学になるだけじゃねぇか。
「そもそもよ、何でお前はオレに固執すんだよ。オレお前に何もしてねぇだろ?」
「一目惚れです。………って、その顔は信じていませんね」
いや、お前今までの自分の行動振り返ってみろよ。およそ惚れた相手にする行動じゃねぇだろ。なんだよショーツしゃぶるって。
「兎に角、長曾我部凛音の部屋に行きましょう。そして私とエッチしてください」
「……断ったら?」
「"長曾我部凛音にヤリ捨てされた"と言って周ります」
クッソ、それされると女漁りが難しくなる……うぜぇな…。
「…わかったよ」
「! 本当ですか?」
「あぁ、但し―――5分間、オレの全力の責めに耐えれたら、な」
その後、オレの部屋にて愛撫をしてやると、10秒ちょっとで情けなく絶頂した。しかも軽イキとかじゃなくがっつり潮まで吹いてた。
「今日は抱いてもらえませんでしたが、愛撫はしてもらえました。進歩ですよ、長曾我部凛音」
「なーにが進歩だ。10数秒で潮吹いてる癖に」
「それでも、凄く気持ちよかったです。ありがとうございます」
…なんか、心が痛くなってきた。あまりの奇行に目が行きがちだが、よくよく見れば美少女だし、抱いてやってもいいのかもしれない。
「それで、今日の事を思い出しながら一人でシたいので、今履いているものを頂けますか?」
やっぱりこいつはダメだわ。
ついに愛撫までしてもらえた森下。よかったですね。