ブルーアーカイブ "旅する少年と記憶の欠片”   作:天風 月夜

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1日目 
アリウスを抜け出して流れ着いたここはカタコンベの奥の奥だった。
どうやらここには誰かがいた形跡が残っているようだけど、最低でも2年くらいは立っている気がする。サバイバルはみんなと生活していた時で慣れているから苦しくはない。
早く、拠点になりそうなところを探さないと

・・・

6日目
寂れた校舎を見つけた。ここも昔は自治区だったらしい。
今日はここで休んで、明日、校舎の探索をしよう。


1話:寂れた学び舎と神秘の園

昨日かいていた日記をしまい、目の前にある校舎を見据える。

樹木や蔓、植物に覆われてしまった、建物の入り口を探す。

本当に人が暮らしていたのか?

そんな疑問がよぎったとき、建物の入り口。校門にあたる部分に来た。

 

「空春街育成学校……」

 

標札にあった学校名は聞き覚えがない。まぁアリウスとゲヘナ、トリニティ以外わからないんだけど。あとは、教官たちが話題にしてたミレニアムくらい。

校門をくぐり、校舎への道を歩く。

歩いている道は不思議と植物に覆われてはおらず、導いていく道が自然とできていた。

周囲を見ると、樹木によってふさがれた小屋や、蔦で覆われた窓があった。

周りを見ながら歩いているうちに正面玄関来たみたいで、昇降口が見えてきた。

 

「鍵、かかってる」

 

鍵のかかっている木製の扉の前で。いっそ壊そうか考えていると、

 

「(なんか鳴き声が聞こえる。)」

 

校舎の裏へ続く道から鳴き声が聞こえてくる。

 

「行ってみよう」

 

少し怖いが、勇気を出してその道を進む。

裏へ向かう道も後者に向かう時と同じで不思議と植物に侵されてはいなかった。

 

「これは…」

 

校舎の裏。そこには広大な畑と厩舎があり、中にはニワトリや牛などの動物がおり、奥には湖も広がっていた。

 

「ここは畑?それに飼育小屋もある……」

「ジジ・・・ジ」

「だれっ!!」

 

音が聞こえ、後ろを振り向くとそこには所々壊れていて、配線がむき出しになっているオートマタが壁に寄りかかっていた。

 

「オンセイヲニンシキシマシタ。キュウミンモードカラ、アクティブモードへイコウシマス」

 

オートマタが音声を発しながら、目に光をともし始めた。

銃を構え、戦闘態勢を整える。

バチバチとむき出しの配線から電流を出しながら立ちあがる。

 

「キドウカンリョウ,イタシマシタ。お初にお目にかかります。……ひと先ずは銃をおろしていただけると幸いです。こちらに敵意はなく、戦闘機能もありませんので」

「……わかった。けど警戒はする」

「結構です。さすがに怪しすぎますからね。まずは、ここ、空春街育成学校によくおいでくださいました」

「空春街育成学校どういう場所?あなたは何者?」

「ひとつずつお答えしますので、こちらへどうぞ」

 

そういってオートマタは歩いていき昇降口へ向かった。僕もそれについていく。

 

「それで、ここはどこなの?」

「そうですね……。キヴォトスの地図には載っておらず、ここに来るには一部の神秘を持つものとその持つものに導かれた生徒のみがここに来れるとされています、詳しくは中に資料がありますのでそこで話します。まずは」

 

木製の昇降口の前に来て、オートマタは懐から鍵を取り出して鍵穴に差し込む。

ガチャリ、と。鍵の開く音が聞こえた。

 

「それでは改めまして」

 

オートマタは扉を開くと、こちらを向いて襟元を正し、恭しく頭を下げた。

 

「ようこそおいでくださいました。空春街育成学園へ。私は箱庭の管理者兼学園理事長代理です。過去の生徒の皆様からは”セルヴィス”とよばれていました。どうぞ、そうお呼びください」

「國見クオンです。今は学校に所属していない無所属」

「ほう。それはそれは、都合がいいです」

 

セルヴィスと名乗ったオートマタは、表情を笑顔で僕が来たことに対して都合が良いと言った。

 

「どういうこと?」

「気を悪くいたしましたら申し訳ございません。都合がいいというのは、クオン様にはここの生徒になっていただきたく思っております」

「それは……」

「今決めなくても結構です。とりあえずは中へどうぞ。何も知らないでは決めようがありませんから。ゆっくりと、この学校のことをお話いたしますよ」

 

そう言うと、校舎の中に入って行った。

僕もそれに続いて中に入っていく。

 

ーーーーーーーーーー

 

校舎の中はきれいに整備されており、掃除も行き届いてるようだった。

ただ、所々植物に浸食されている箇所があって、入れない部屋や壊れてしまった部屋を見つけた。

 

「気になりますか?」

「えっと、はい」

「大丈夫です。……つきました。中へどうぞ」

 

そういってセルヴィスは生徒会室と書かれている部屋の扉を開けた。

 

「(理事長室じゃなくて、生徒会室?)」

 

疑問を抱きつつも僕は中に入った。

 

部屋には奥の少し大きなデスクと、奥のデスクよりも少し小さめの8個のデスクがあった。

 

「それでは、奥にある席へおかけになっておまちください」

 

セルヴィスは扉を閉めるとそういって、生徒会室の隣の部屋に入っていった。

静かな部屋に残され、とりあえずは座ることにした。

 

「?……この人、どこかで」

 

壁側にある棚の中。その中には過去の生徒会と思わしき生徒たちが移っている写真があった。

ピンク色の髪に赤い瞳のこの女性。少し既視感を感じる。

 

「お待たせいたしました。何か気になるものでもございましたか?」

「ああいえ。それで、何をしていたんですか?」

「そうですね。それではお話を始めましょう。長くなるのでお席へ」

 

セルヴィスの言葉で僕は、奥にあったデスクにつく。

僕が席に着くと、机の上に何かの市長が広げられる。

 

「少し長くなりますがよろしいですかな?」

「はい。教えてください。この学校のことを」

 

その言葉にセルヴィスは嬉しそうに笑みを浮かべて話し始めた。

空春街育成学園。ここは連邦生徒会ができる前に作られた学園だそうだ。

連保生徒会ができてからは、裏から連邦生徒会の支援を行い、生徒たちは様々な業務についていたこと。

この学園の特殊なことは、一定のカリキュラムをこなすことで卒業が可能であること。そのため、出席率は問わない。

次に、この自治区だけでも生活が可能であること。

 

「この自治区だけで生活ができる?」

「はい。この地は多くの神秘に満ち溢れています。そのために畑や牧場においての生物についても神秘の影響かわかりませんが成長が早く、湖には飲み水として使用できるほかに魚も住んでいます。仮に必要物資があれば、通路を使うことでほかの自治区に出ることが可能です」

「それだったらこの場所に簡単に来ることができるよね?」

「いえ、この空春街自治区は先ほども言った特殊な神秘があり、生徒会の人もしくは連邦生徒会長の許可がなければ神秘を突破できずに入口に戻されてしまうのです」

「だから。人がいないんだ。……じゃあ、どうして僕がここに?」

 

僕の疑問にセルヴィスは少し頭をひねり、悩む様子をみせた。

 

「ふむ。確認ですが、クオン様はどこか特殊な家柄なら頷けるのでしょうが……」

「僕には特殊な家がというものはなかったよ」

「左様ですか。まぁ、この話は置いといて話の続きと行きましょう」

 

セルヴィスは先ほどの話に戻した。

最後にこの学園の特殊な点としてはこの学校に属しながらもほかの学校に通えるというところにある。

空春街育成学園は何よりも生徒の生き方を重んじるらしい。そのため、この学校に所属しながらも他学校に通い、経験や知識を得ることができる。

 

「以上でお話は終わりとしますが…何か質問は?」

「特に何も」

「そうですか。提案なのですが、この学校に所属するのはどうでしょうか?」

「それは……」

「無理にとは言いません。ですが、無所属であるならばこのキヴォトスでは自身を証明するものがないということになります」

 

セルヴィスの言葉に、僕は考える。

 

「私はいつでも待っております。まずはここで暮らしてみてはどうでしょうか」

「いいんですか?ここの学生になるわけでもないのに」

「大丈夫です。ここの寮は広く、もともとはたくさんの生徒たちがいた学校ですから」

「ありがとうございます」

「ふふ。それでは案内いたしますね」

 

そういってセルヴィスは生徒過失の扉を開いた後、寮がある方角へ向かっていく。

寮へ向かう道も植物に侵されている場所が多く見えた。

 

「今日はこちらでお休みになってください。何かあれば生徒会室へいらしてください」

 

セルヴィスは生徒会室へ戻っていった。

扉を開けて中に入ると、部屋にはデスクとクローゼット、ベッドがひとつずつある簡素な部屋だった。

鞄を置いて、ベッドに倒れこむ。布団からは森と太陽のにおいがして埃っぽさは微塵も感じず、長い間放置されていたのか疑うレベルだった。

 

「みんな」

 

僕はふと、カバンにしまっておいた写真を取り出す。

サオリ、アツコ、ミサキ、ヒヨリ、アズサ。

アリウスの中で辛くても助け合って生きてきた家族。

僕はみんなよりも年上だから兄さんなんて呼ばれて、頼られて。

目をつぶって考える。本当にこれが正しかったのかって。アリウスを出てからずっと考えてる。

おいて行ってしまった後悔。それがずっと僕の心に安寧を許さない。

逃げた僕に戻る場所なんてない。

それなら、

 

ーーーーーーーーーー

「クオン(兄さん)」

 

家族の声が聞こえる。声が聞こえるほうに僕は手を伸ばす。

 

「どうして置いて行ったの?」

「私たちは足手まといだったのか?」

 

声は問う。あの日の間違いを。

 

「違う」

 

自分でも驚くほどにかすれた声が出た。

僕は、この言葉を否定することができない。

 

家族を置いて行ったことには変わりがないから。

 

ーーーーーーーーーー

「……夢」

 

目が覚め、周りを見渡しても声の姿はどこにもない。

窓から外を見ると、緑に隠れながらも日の光がはいってくる。

あの日の行動が間違っていたかもしれないと、いまだに後悔している。

それでも、

 

「うん。これでいい。これでいいんだ」

 

やり始めたことは、もう戻らない。

あの日、決めた覚悟を捨てるつもりも、復讐を諦めるつもりもない。

さぁ行こう。陽の光に照らされ、僕は部屋の扉を開けた。

 

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