ブルーアーカイブ "旅する少年と記憶の欠片”   作:天風 月夜

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あの日、空春街に流れ着いてから4年の月日がった。
空春街育成学園の生徒になった後、キヴォトスの行けるところすべてを旅してまわった。
アビドス、ミレニアム、ゲヘナ、トリニティ、百鬼夜行、DU地区、レッドウインター、あとは…山海経かな。
初めての場所がたくさんだった。
はぐれた子達や学籍を失った子達を空春街に入れて、学園も100人を超えた。
自分より年上の人もいるけど、会長って慕ってくれてる。
そして、学園のカリキュラムもセルヴィスと話して整えた。
生きるための学園。そう銘打って作った。
連邦生徒会長も何度も来てくれた。
ここまでたくさんのことがあった。
あの場所から逃げ出したことを後悔はしていない。

だけど

家族は元気かな


2話:旅路を終えたプロローグ

気が付くと僕は列車の中にいた。

どこまでも。見える限りずっと車両が続いている。

何の気もなく、僕は歩き出す

 

車両が3両くらい歩いた時、学園に何度か遊びに来てくれていた彼女の姿を見た。

もう、彼女の名前は思い出せなくなってしまった。

他愛ない話をして、仕事の愚痴を聞いて、お茶を飲んで、お菓子を食べて……。

思い出はあるはずなのに、夢のようにあるかもあやふやな記憶。

 

「お久しぶりです。クオンくん」

「はい。お久しぶりですね、ーー会長」

「もう。二人きりの時は敬称は抜いてくださいって言ったじゃないですか」

「あなたにも敬語はなしでって言いましたよ。お互い様です」

 

僕の返しにーーは頬を膨らませて拗ねた様子を見せる。

そんな顔に僕は笑ってしまう。

 

「笑わないでくださいよ」

「ごめんね。でもこのやり取りもしばらくできないんだね」

「そうですね。ごめんなさい」

 

彼女は血に濡れてしまった服のまま、僕に頭を下げた。

 

「頭を上げてください。僕h「違います」っ」

 

止めようとした僕の言葉がさえぎられる。

 

「ごめんなさい。あなたに、すべてを任せてしまうような形になってしまって」

 

ーーの声に嗚咽が混じり始める。

 

「私がいることで、どの先も捻じれて歪んだ先の終着点に変わっていってしまうから。先生とクオン君にすべてを託して消えることしか私にはできなかった。だから……っ!」

 

僕は彼女の前に行き、体を抱きしめる。

 

「ーーは頑張ったよ。知り合って1年間、その中で会うことのできた短い時間の中でーーのことを理解したとは僕は言わない。けど」

 

一度僕は言葉を区切って、呼吸を整える。

 

「でも、君に会うことがなければ、僕は空春街育成学園の人として認識さえされなかった。君のおかげで正式な学園として認められた。とても感謝してる。だから、ーーからもらった恩はこのことで返す。そうじゃないと、何一つ返せないからね」

 

抱きしめていた腕を離して、ーーに向き直る。

 

「時間切れ、だね」

 

僕の体が透けていく。

 

「はい。もう会えなくなります。なので、先生のことをお願いします」

 

意識が少しずつ消えていく。

言葉もうまく発せているかもわからないし、聞けているかもわからない。

 

「さようなら。クオン君」

「ーーー。ーーー」

「っ!~~~はいっ」

 

ーーは最後に笑顔を見せてくれた。

 

ーーーーーーーーーーー

……私のミスでした。

 

私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況

結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったこをと悟るだなんて……。

 

……今更図々しいですが、お願いします。

 

先生。

きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。

何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……。

 

ですから……大事なのは経験ではなく、選択。

あなたにしかできない選択の数々。

 

責任を負うものについて、話したことがありましたね。

あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます。

大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。

それが意味する心延えも。

 

……。

ですから、先生。

私が信じられる大人である、あなたなら。

この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……。

そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。

だから先生……どうか。

 

"うん。まかせて"

 

ーーーーーーーーーー

 

プルルルル プルルルル

"電話、なってるけど"

「えぇ。誰でしょうか?この非常事態に」

 

ピッ

 

「はい七神です。誰ですか?」

『やーっと出てくれた、リンさん』

「その声はクオンさんですか。どうしたんですか、こちらは非常事態なのですが」

『知ってるよ。会長がいなくなって、治安が悪化。その理由を各学校の何人かが問い詰めに来たってところでしょ』

「よくわかりましたね。それでご用件は?」

『それはね……。会長に頼まれたからってところかな」

 

後ろから電話を片手に持った子が現れた。

 

ーーーーーーーーーー

「やっほー、リンさん。手伝いに来たよ」

「「クオン先輩!?」

「チナツ、スズミ。久しぶりだね。そっちの二人は初めましてだね。國見クオンです」

「あ、はい。ミレニアムサイエンススクール、セミナーの早瀬ユウカよ」

「トリニティ総合学園、正義実現委員会副委員長の羽川ハスミです」

 

自己紹介をサラッと済ませて僕はリンさんに向き直る。

 

「で、リンさん。そちらの方が連邦制と会長が指名した先生であってますか?」

「はい。現在連邦生徒会は制御権を持っている人がいませんが、先生がフィクサーとなってくれるはずです」

 

リンさんが、先生がここに来た経緯と役割を説明してくれる。

途中、モモカにキレてるみたいだったから今度差し入れしなきゃね。

 

とりあえず。まぁ、

 

ダダダダダ 

 

「まぁ、こうなるよねぇ」

「なんで私たちが行かなくちゃいけないのよ!いたっ!痛いってば!……あいつら違法JHP弾使ってるじゃない!!」

「ホローポイント弾はまだ、違法じゃないですよ」

「うちの学校ではこれから違法になるのよ!傷跡が残るじゃない」

 

と、連邦生徒会長が消えたことによって治安がもともと悪いのにさらに悪化した結果、シャーレのオフィスの区画で暴動が起きているらしく、リンさんに駆り出されたのである。

 

「とりあえず、先生はこれを着てください」

 

僕はこのために持ってきたエナジーコアをわたす。

 

"これは?"

「僕の学園で正式採用されているエナジーコアと呼ばれるものです。ある程度のダメージであれば防いでくれますが、衝撃は来るので気を付けてください。先生は弾丸一つで致命傷になりますから」

"ありがとう。えっと、クオンでよかった?"

「そういえば、先生に自己紹介をしてませんでしたね。失礼しました。國見クオンといいます。よろしくお願いしますね、先生」

"うん。よろしくね。他のみんなもお願いできる?"

 

と先生の一言でそれぞれの自己紹介を始めた。

 

「それでは、行きましょう。先生はあまり前でないようにしてくださいね」

"私が指揮するよ"

「先生がですか?でも、せんせいなら……」

「わかりました。それではお願いします」

 

先生の言葉に使っている武器と立ち位置を話し始めた。

"ありがとう。それじゃ、始めるよ"

「「はい!」」

 

ーーーーーーーーー

 

「ふふふ、さて連邦生徒会が守っているものを探しますか。っと」

 

狐の面をかぶった少女の前を弾丸が通り過ぎていく。

 

「あらあら。物騒なご挨拶ですわね、クオンさん」

「久しぶりだね、ワカモ。また、破壊してるのかい?」

「ええ。それが私の楽しみですもの。それともクオンさんが満たしていただけますか?」

「そういって満足したことなんて一度もないじゃん」

「それはそうです。だって……」

 

ワカモは地面を踏み込んで僕に一気に近づいてくる。

 

「こんなにも楽しいんですもの!!」

「こうなると思ってたよ!!」

 

ワカモの回し蹴りに、同じような蹴りを合わせて相殺する。

お互いに一度距離を話して武器を向けあう。

 

「今日の獲物はそちらなんですのね」

 

構えた僕の銃、スナイパーライフルを見て言う。

 

「今日は先生の護衛が本来の任務だったからね。ワカモがいた想定外だったんだけど…。こうして対面したなら仕方ないよ」

「ええ。なら存分に楽しませてもらいますわ!」

「はぁ~。今日はとっとと帰ってももらうからね!」

 

お互いに武器から硝煙がでて、銃声が響き渡る。

 

ーーーーーーーーー

 

「クオン先輩、お疲れ様です」

「ケガが多いですね。治療しますね」

「大丈夫だよチナツ。先生はどうなった?」

「今はシャーレの中で代理と話していると思います」

「そっか。無事に届けられてよかったよ」

 

この後に先生のおかげでサンクトゥムタワーの制御権が回復したため、治安も数日でよくなった。

 

数日後

 

先生が来てから数日たったけど、シャーレにはまだ様子は見てなかったな~。

そう思って今日はシャーレに足を運んだ。

コンコンコン

 

「先生、いますかー?」

 

シーン

 

「先生?入りますよ~?」

 

ドアを開けると机に突っ伏している先生を発見した。

 

「先生!?大丈夫ですか!」

 

デスクに近づいて先生の様子を見てみると。寝息が聞こえてきた。

よかった、寝ているだけか。

顔をよく見ると目元にはクマができているようで、寝不足なのが見て取れて、机の周りには書類の山が大量にあり、台所にはカップ麺の容器とエナドリの缶が置いてある。

 

「お疲れなんですね。しつれいします。……軽い、ちゃんと食べて…いないみたいだね」

 

事情を察した僕は、先生を仮眠室に連れていってベッドに寝かせる。

携帯を取り出して、通話をつなげる。

 

「もしもし。僕だよ。……うん。うん。ありがと、急にごめんね。…わかった、じゃあお土産は期待しててね。それじゃ」

 

連絡することを終えた後に配送を頼んで、デスクの上にある書類と向き合う。

さーて頑張りますか。

えーと、これはこっちで、頼む先はあの子に任せて……………

 

 

 

 

 

 

"やばい、寝ちゃってた!!"

「おはようございます、先生。勝手にお邪魔して申し訳ございません」

 

空も赤くなり始めた時間に先生は大慌てで仮眠室から出てきた。

顔を見ると目のクマもある程度取れているみたいで安心した。

 

"あ、うん。おはよう、クオン。あれ、ここにあった書類の山は?"

「それなら、やっておきました。先生のサインが必要なものはこちらの箱へまとめておきましたので、後でやっておいてください」

"ありがとう、ごめんね、私の仕事なのにやらせちゃって"

「いいですよ。書類仕事は慣れてますから。それより、どうしてこんなにも書類が?」

"あはは……。どうやらいろんなところからの悩みやら相談などが一手に来るみたいで"

「そういうことですか……。あと、先生。食事はきちんとしたほうがいいですよ?カップ麺とエナドリばっかだといざという時に体が動きませんよ?」

"耳が痛い話だね。どうしても仕事に忙殺されちゃってね"

「そういうと思ってましたよ」

 

僕は座っていたソファから立ち上がって、キッチンのほうへ向かう。

 

「お腹空いてますよね?ご飯、作りますよ」

"いや。悪いよ。もう遅いしクオンは帰ってm『ぐぅぅぅぅ』……"

「お作り、いたしますね?」

"……ハイ"

 

先生を言いくるめてキッチンに入る。

来た時には何も入っていなかった冷蔵庫には、沢山の食材を入れておいた。

お疲れだろうし、腹持ちがよくてスタミナになるものかな。

 

ーーーーーーーーーー

 

"ごちそうさまでした"

「お粗末様です」

"おいしかったよ。ありがとうね、クオン"

「おかわりまでしていただいたので、作ったかいがありました」

 

洗った食器を片付け終えて、先生の対面へ座る。

 

「そういえばシャーレに加入したいって人の書類って届いたことありますか?」

"うーん、まだないんだよね。始まったばかりだからか、募集にあまり来ていなくって"

「そうなんですか。っと忘れるところでした」

"どうしたの?"

 

僕は席を立って、書類を仕訳した箱の中から一通の手紙を持ってくる。

 

「先生。こちらを読んでいただけますか?」

"うん。わかったよ"

 

手紙を開いて読み始めた先生は顔が少しずつ険しくなっていき、読み終えたようで手紙をおいて僕のほうへ向き直る。

 

「内容はなんでしたか?」

"アビドス高等学校からの支援要請だったよ。どうやら物資が少なくて、襲撃も受けているせいで大変みたいなんだ"

「アビドスですか。どういう土地か把握はできてますか?」

"いや。何いも把握してないよ。何か問題があるの?"

 

僕は今わかっているアビドスの現状を伝えた。

地図が長い間更新されていないこと。砂嵐によって自治区が過疎化していること。

 

「という状況です。それで、先生はどうしますか?」

"うん。行くよ。生徒たちが困っているからね。明日には出発するよ"

「わかりました。ですが、準備のため出発は明後日にしてください。先生はキヴォトス人ではないので、おそらく学校までたどり着けません」

 

先生は少し不満なようだが、了承してくれた。

 

ーーーーーーーーーー

 

翌日。アビドスの後輩たちから、遭難していた先生を拾った電話が僕に届いた。

 

「何やってるんですか、先生!!!!!」

 




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ありがとうございます。
気ままに更新しますので、また読んでいただけると幸いです


では。
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