ブルーアーカイブ "旅する少年と記憶の欠片” 作:天風 月夜
砂漠地帯、カタコンベを使ってついた先はアビドス自治区と呼ばれる場所のようだった。
ついた先の住民に聞いたがどうやら砂嵐が起こっていたらしい。
住民はもう住んでいられないようで別の自治区へ引っ越すらしい。
砂嵐の場所は大体が放棄されているらしいから、物資や物は自由にしていいとのことだった。
それならありがたくもらいに行くことにしよう。今日はこのままこちらで寝泊まりし、翌日に物資の確保及び調査に向かおうと思う。
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砂漠地帯にて、瀕死の重傷者を発見。衰弱しているようだけど息はあった。
しばらく治療にあたろうと思う
幼い日。あたしは全てを失った。
父も母も家も友達も、
文字通り全てが埋もれていった。
砂嵐に飲み込まれて、意識が薄れてゆく中であたしは見た。
砂の舞う中で、白い体の巨大な機械の蛇を見た。
そのままあたしはここで死ぬと思っていた。
目が覚めた時、あたしは緑色の、植物に覆われた知らない天井が見えた。
体を起き上がらせて窓の外を見たとき、日の光が入るきれいな森と湖を見た。
砂しか見たことのなく、すでに死んだと思っているあたしには天国か何かと思った。
「目が覚めた?」
後ろを振り返るとタオルを持った少女が私を見ていた。
「立ってないでベッドで横になって。キズ、まだ回復してないから」
そういって少女はあたしの手を取ってベッドに連れていく。
「おい、ここはどこなんだよ。あたしは死んでないのか?」
「何言ってるの?あなたはまだ死んでないよ。死にそうなところを先輩が拾ってきた。体中ボロボロでひどい傷だったらしいよ」
言いながら少女は手当の準備を進めていく。
「この場所についての質問ね、ここは空春町育成学園。といっても、生徒の数はそんなに多くないけどね。生徒会の席も空けているみたいだし、最近やっと三十人を超えたって先輩が言ってた気がする」
「……アビドスからどれくらい離れてるんだ?」
「さぁ?僕はアビドス出身でもないし、ここの出身でもないからわからない。先輩なら知ってるかもね。この学校の生徒会長だし、僕をここに連れてきたのも先輩だしね」
少女は、あたしの包帯を取り換えながら、あたしが聞いたことに答えていく。
「はい。取り換え終わり。先輩呼んでくるからおとなしく待ってて」
「あ、ああ」
返事をして少女を見送る。気づかなかったが扉を閉めるときに見えた彼女には、角としっぽが見えた。
ただその角は……
「折れていたな、角」
右に生えてあったであろう角が根元の部分から折れていた。
それにしても、
「緑の多い学校だな……」
周りを見てみるとさっき見た外だけでなく、今自分が寝ている部屋もさっき見た天井以外にも壁だけでなく、窓の枠にさえも植物が生えていたり、巻き付いている。
やることもなくて、暇を持て余していると、先ほどの少女が出て行った扉が開く。
身長が少し高く中性的な女性が部屋に入ってくる。
「目が覚めて気分はどうかな?できる限りの治療はしたつもりだけど」
「あ、えっと、はい。治療してくれてありがとうございます」
「気にしないで。それよりも気分の方は大丈夫かい」
「はい。体はもう大丈夫……そうだ!家族は!」
「……残念だけど、あの場には君しかいなかった」
「え……」
そう言って女性は目を閉じる。
砂嵐が晴れた後、その場所についたときには砂漠の真ん中で倒れてる傷だらけのあたしが居たらしい。
巨大な機械の蛇について聞いても、わからないと言っていた。
久しぶりに泣いた。
周りの目も気にすることができないくらいに、泣き喚いた。
女の人も察したのか、抱き着いて泣くあたしの頭を何も言わず撫でていた。
「すみません。服、初対面なのにぐちゃぐちゃにしちゃって」
「気にしないでよ。あの砂嵐で家族を亡くしたのだろう?傷がいえるまではここで休んでいくといいよ。治ったらアビドスまで送り届けてあげる」
「ありがとう、ございます」
「一応安静にしとくのがいいけど、歩き回る分には問題ないから。学校を見て回りたいのなら好きにしていいよ」
あたしを気遣ってくれたのか、学校を歩き回る許可をくれた。
「そういえば名前を聞いてなかったです」
「おっとと、僕としたことが忘れてた。空春街育成学園、生徒会長の國見クオンだ。君の名前も教えてくれる?」
「あたしは荒砂カゲロウって言います。よろしくお願いしますクオンさん」
それから数日たち、クオンさんたちの助けもあって、あたしの傷は全快した。
「傷も治ったし、これで好きに動いてもいいよ。前にも言ったかもだけどアビドスには送ってあげる。いつでもいいよ」
「それでなんですけどクオンさん」
「どうしたのカゲロウ?」
あたしの言葉にクオンさんが首をかしげる。
「あたしをここの、空春街の生徒にしてください!!」
そういってあたしは頭を下げる。
案内をしてもらった時にあたしはすでに決めていた。
大切なものも好きなものも全てが砂に埋まって帰る場所もなくなった。
だから、今更アビドスに戻る気はあたしには無かった。
「頭を上げて」
クオンさんの言葉に頭を上げると、一つの手帳をこちらに差し出していた。
「そういうと思っていたよ。だからカゲロウにはこれを受け取ってほしい」
「これは?」
「空春街の学生手帳。これを手にしたとき、君はここの生徒として認められる。そしたらカリキュラムに参加することになる。生徒会長の僕も参加してるけどね。カゲロウ、生きていくための術と知識と力を学ぶ覚悟が君にある?」
その言葉にあたしは、手帳を受け取った。
「当たり前です。助けられた恩とあの蛇に復讐するまで、あたしはもう折れないと決めたから」
迷いはもうない、ただ一つ心残りがあるならば……
(また会えるよなセリカ)
ともに学校へ通っていた友人の顔を思い出していた。