「猫耳が生えました」
「イヤなんでっ!?」
薪拾いから帰ってきたらフェルンに猫耳が生えていた。髪と同じ色の耳、おまけに尻尾まで生えていた。……イヤなんでっ!?
「なんでこんなことになったんだ?」
「……『猫の気持ちがわかる魔法』を使ったらいきなり生えてきたんです」
「……その魔法、いる?」
正直いらねーと思ったがそんなことはどうでもいい。問題は耳と尻尾だ。
さらさらした毛並み、ぴこぴこ動く耳、揺れ動く尻尾。どれも人体には無いものだし、何か弊害があったりとかは……。
……いや、それよりもまず、
ふみ。
「ひゃっ!?」
おお……本当に猫の耳だ。ふみふみしてる。ちゃんと反応もあったし、飾りじゃないんだn……
「シュタルク様、怒りますよ」
「ごめんなさい怒らないで!」
「……まったく」
あれ?なんかフェルンの顔が赤いような……。魔法の副作用か!?
「ほら、フリーレン様を探しに行きますよ」
「え、でも……」
「フリーレン様ならこの魔法を解く術を知っているかもしれませんから」
大丈夫、なのか?まあ今すぐ何か起こることはなさそうだな。それより早くフリーレンを探して、魔法を解いてもらわねーと。
「なあ、その魔法本当に猫の気持ちがわかるのか?猫耳が生えるだけじゃなく?」
「はい。先程も、猫に使ったら脳内に猫の考えが流れ込んできました」
「へぇ〜。なんて言ってたんだ?」
「……『うわっ、俺たちと同じ耳が生えてる!きも!』って」
「うわぁ……」
まあ確かに、猫が人の言葉とか喋り出したら怖いかも。
「ま、まあ気にすんなよ。可愛い見た目してるんだし、猫の意見なんて気にすることねーよ」
「……ありがとう、ございます」
また顔赤くなってねーか?やっぱり何か副作用があるんじゃ……。
「あっ」
「どうした!?」
やっぱり何かあったんだ!どうしよう!?助けてフリーレン!?
「い、いえ。なんでもありません」
……ん?さっきから何か見てる?あれは……。
「ネコじゃらし?」
「……っ!」
あれが気になってたのか?さっきから尻尾動きっぱなしだし……。ていうかこの魔法、『猫の気持ちがわかる魔法』じゃなくて『猫になる魔法』だろ。
「これが気になってたのか?」
「……っいえ、全然気になってません」
うわ、めっちゃ尻尾ブンブンしてる。耳もぴこぴこ動いてるし。
「本当は気になるんだろ。ほれほれ」
「〜〜〜っ!」
ガン見してるじゃん。今にも襲いかかってきそうな勢いだし……
「ってうわぁ!」
フェルンが飛びついてきた。一切の躊躇もなく、ただ真っ直ぐに俺の持っていた猫じゃらしへと。
「ちょっ、フェルンッ、フェルンさん!?」
「はぁ、はぁ……!なに、これ……っ、楽しい……!」
……不覚にも、ちょっとドキッとした。いつも通り表情にはあまり変化がないが、息を乱し、頬が赤く染まっている。猫じゃらしを動かしてやると、それにあわせて耳と尻尾も反応する。いつものフェルンじゃ考えられない姿に、俺は少し見惚れていた。
……待てよ?普通に遊んでたけど……今の絵面、ヤバくね?年頃の男子と女子がこんなにくっついてたら絶対誤解されるだろ!こんなところフリーレンに見られたら……!
「面白そうなことしてるね」
「「……あ」」
……フリーレンの誤解を解くのに一時間はかかった。
後日、私だけあんな姿を見られるのはずるいとフェルンが言い出し、俺にも同じ魔法がかけられ遊ばれたのはまた別の話だ。