この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。 作:パンダ2世
──2030年8月17日18時12分
『──まぁこのくらい話したらそろそろ終わってもいいですよね。はい、それではみなさんさようなら。では、また会いましょう。…………これでよかったのか……? っていうかどうやって放送切るんだっけ。あ、ここかな。……んー、違うっぽいな。えっまってわからん。……あーたぶんこれか。わかりづ』
──終末ラジオ 第94回放送 聴取人数0人
──2030年8月18日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています』
『この放送は僕こと佐藤がお送りします。まだまだパーソナリティとして未熟ですが、これから頑張っていきます。先代パーソナリティのAちゃんは結局本名不詳のままでしたが、僕は名前をちゃんと誰かに覚えてもらいたいので、しっかり本名です。まぁ一応先代に則って、下の名前は秘密でいきます』
『このラジオは名前に反して、明るくいくのがモットーらしいので無理矢理テンション上げますよ。みんな聴いてるかー? うおー! …………なんか違うな』
『実際放送する立場に回ってみるとわかると思うんですが、毎日いるかもわからない相手に1人で喋る続けるのって割と狂気の沙汰ですよ。いや、Aちゃんをディスってるわけじゃなくて褒めてるんですよ、これ』
『普通、1時間くらい話したら話すことなくなりますからね。あの人の頭はどうなってるんでしょうか。まぁ僕も追いつけるように、ぼちぼちやっていきますよ』
『今日はそうですね、海外に行くならどこに行きたいかについて話しますか。ありきたりなお題選んだなーって思いましたね? そうです。それの何が悪いんだ──』
『──────────────────』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第95回放送 聴取人数0人
──2030年8月19日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。佐藤がお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています』
『今日は──』
『────────────────ー』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第96回放送 聴取人数0人
──2030年8月20日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。今日も僕、佐藤がお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています──』
『────────────────』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第97回放送 聴取人数0人
──2030年8月21日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。僕、佐藤は今日も元気です。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています──』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第98回放送 聴取人数0人
──2030年8月22日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。佐藤です。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています──』
『────────────────』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第99回放送 聴取人数0人
──2030年8月23日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。今日も僕、佐藤がお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています』
『みなさん、今日は何の日か知っていますか? そう、『終末ラジオ』放送100回記念日です。……まぁ、僕はまだ5、6回くらいしか放送してないんですけど』
『ともかく、100回放送を記念して今日はスペシャル回です。あ、みなさん今こう思いましたね。スペシャル回って一体何をするんだ? と。お答えしましょう。特にないです』
『いやまぁ気持ち長めの放送にはしますよ。ただそれだけです。……いや違くて。これは僕のせいじゃないです。ここにAちゃんが書いていたメモがあるんですけど、──あっ、知らない人に説明しますとAちゃんは先代パーソナリティの自称天才たぶん馬鹿の子です──そのメモに『スペシャル回はなんと放送時間延長! 私の声がいつもより長く聴けるなんて羨ましい!』ってだけ書いてます』
『うーん、この…………。僕は一応Aちゃんを尊敬はしてるんですけど、Aちゃんみたいになりたいとは思えないこの感じ。伝わりますかね』
『はい、というわけで今日は放送時間倍で放送します。とはいってもこのラジオはいつも、パーソナリティが好きな時に始めて好きな時に終わることができるので、スペシャル回とは名ばかりです。通常回と比べて誤差です。誤差回です』
『じゃあ今日は何について話しましょうか。一応100回記念だし、過去回を振り返るとかしたかったんですけど、正直僕は直近の15回くらいしか知らないので振り返るも何もないんですよね。僕より詳しい方がいたら、早く世界の中心まで来てください』
『仕方ないので、僕の好きな食べ物ランキングでも発表しますか。ありきたりですみません。でも反省はしていません。最近気づいたんですけど、僕って話題出すの死ぬほど下手かもしれないです。いや、普通の会話だったらそうでもないんですけど、ラジオは向いてないのかなーって思ったり。まぁいいや』
『好きな食べ物かー。自分で言っておいてあれですけど、いろいろあって選ぶのが難しいですね……。じゃあ発表します。第10位は──』
『──────────────ー』
『結構長く話しましたね。以上、スペシャル回でした。それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第100回放送 聴取人数0人
『では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第101回放送 聴取人数0人
『世界の中心は────です』
──終末ラジオ 第102回放送 聴取人数0人
『あなたの元に届いていると──』
──終末ラジオ 第108回放送 聴取人数0人
『それではみなさんさようなら』
──終末ラジオ 第124回放送 聴取人数0人
『世界の中心から放送しています』
──終末ラジオ 第185回放送 聴取人数0人
『ではまた会いましょう』
──終末ラジオ 第203回放送 聴取人数0人
──2031年1月6日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。本日も佐藤がお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています』
『そろそろお正月気分から抜け出さないといけませんね。僕は──』
『──────────ー』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
──終末ラジオ 第236回放送 聴取人数2人
──2031年2月7日17時00分
『どうもみなさんこんにちは! 『終末ラジオ』の時間です! この放送は鈴木と!』
『佐藤でお送りします』
『ちょっと佐藤さん、テンション低くないですか? ほら笑って笑って!』
『お前がテンション高すぎるんだよ……。えー、この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています』
『世界の中心は────です! いつでも来てくださいね!』
『それじゃ今日は何について話しましょうか。僕の好きなスポーツ選手の話でも……』
『佐藤さん、それ前も話してましたよ。俺がこのラジオを初めて聞いた時に話してたからめっちゃ覚えてます』
『えー、じゃあ好きな食べ物の話でも……』
『それは3回は聞きましたって。もう、佐藤さんラジオスキル低いんだから俺に任せてください』
『あ、うん。普通にショック』
『────────────』
『────────────』
『それではみなさんさようなら! では、また会いましょう!』
『明日は鈴木と田中でお送りします』
──終末ラジオ 第268回放送 聴取人数3人
──2031年5月6日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています』
『この放送は佐藤と』
『鈴木と!』
『田中と』
『西と』
『山田でお送りしますー』
『なぜ今日は5人も集まったかというと、実は今日が『終末ラジオ』1周年記念日らしいからです』
『らしいってなんですか』
『いや、誰も第1回放送がいつだったかわかんないじゃん』
『あー、勘違いしがちですけど、佐藤さんって2代目でしたっけ』
『そうそう。だから放送回数から逆算してたぶん今日が1周年……だと思う、たぶん。きっと』
『まぁつまり、今日はスペシャル回ってわけですね!』
『今日は何するんですか佐藤さん! 企画は僕に任せてって言ってたので、実は私たちもまだ何も知らないんですよ!』
『スペシャル回はいつもより長めの放送にします』
『…………え、それだけ?』
『うん』
『しまった。佐藤さんに任せた俺たちが馬鹿だった』
『佐藤さんのラジオスキルの低さを忘れてました』
『いや、これは僕のせいじゃなくて先代のAちゃんが……』
『都合が悪くなったからって、先代に責任を押し付けるのはダメですよ!』
『本当に違うのに……』
『────────────』
『──────────────』
『──────ー』
『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』
『本当に長めに放送しただけでスペシャル回終わっちゃった……』
『びっくりしました』
『えー、明日は俺と山田が担当なのでよろしく!』
──終末ラジオ 第356回放送 聴取人数6人
『畑にキュウリがなりました! 久しぶりのお野菜はめっちゃ美味しかったです!』
『今度はトマト食べたいなー』
──聴取人数8人
『え、あんたって運動部だったの? 見えねー』
『しばくぞ』
──聴取人数23人
『結局鉄パイプが最強だと思うんですけど、どう思いますか』
『でもあれ重くない? うちは槍が好きだわ』
──聴取人数56人
──2032年9月20日17時00分
『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。ちなみに世界の中心は────です。暇だったらぜひお越しください。いつでも待っています』
『今日から毎週月曜日は、僕こと佐藤と、先週世界の中心にやってきた新人の子でお送りします。ほら〇〇さん、自己紹介して』
『佐藤さん……私思ったんです』
『なに?』
『たしか初代パーソナリティはAちゃんと名乗ってたんですよね』
『うん。正体不明の謎の美少女って自分で言ってたよ』
『かっこいい……!』
『うん?』
『私も謎の美少女になりたいです!』
『……えー、じゃあBちゃんとでも名乗ればいいんじゃないかな』
『いいですねそれ! はい、今週から月曜日担当になったBちゃんです!』
『まさか佐藤さんと組めるなんてびっくりですよ。このラジオを大きくしたのは佐藤さんだって聞いてましたから』
『うん……まぁすごいのは僕じゃなくて、最初に始めたAちゃんなんだけどね。みんなAちゃんのことを知らないからさ』
『なら、Bちゃんたる私も負けてられませんね!』
『佐藤さんは最古参なのにラジオスキルがイマイチだと聞いたので、私頑張っちゃいますよ』
『そんなに酷くはないと思うんだけど』
『なので、私がどんどん話題を出すように努めますね!』
『うん、もうそれでいいよ』
『ではそうですね。あっ、そうだ! 私がじゃんけんが超強いって話をしましょうか!』
『じゃんけんが強いってどういうこと。運でしょ』
『いやいやホントですって。じゃあ佐藤さん、私とじゃんけんしましょう。さいしょはグー……あれ、負けた』
『弱いじゃん』
『……おっかしいですね。お姉ちゃんと何回じゃんけんしても、負けたことなかったのに』
『へー、じゃあ本当に強いんだ』
『はい。私のお姉ちゃんってアホだから、じゃんけんする時はいつも最初にチョキしか出さないんですよ。だから毎回グーで勝ってたのに』
『それはBちゃんが強いんじゃなくて、お姉さんが弱いだけだと思うよ』
『そんな馬鹿な……』
『いやでも────』
『──────────────』
『──────────』
『────────────ー』
『んー、まだ納得いかないですけど』
『そうまで言われると、Bちゃんのお姉さんに会ってみたかったな』
『……私のお姉ちゃんですか。私だって久しぶりに会いたいですけど、たぶんそのうち会えますよ、きっと。お姉ちゃんはアホだけど、謎の行動力を持ってるので、なんやかんやで上手いこと生き延びてる気がします。案外近くにいて、明日にでもこの世界の中心にやってくるかもしれないですよ』
『ははは、楽しみだね。おっと、そろそろこんな時間か。じゃあ今日はここら辺で終わりにしようかな。Bちゃん、締めてくれる?』
『了解です。それではみなさんさようなら! 今日の放送は佐藤さんとBちゃんでお送りしました! 来週からもよろしくお願いします! では、また会いましょう!』
──終末ラジオ 第857回放送 聴取人数258人
『どうもみなさんこんにちは! 『終末ラジオ』の時間です。今日も謎の天才美少女Bちゃんによってお送りします! あ、今日は佐藤さんは休みです。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています!』
──2030年5月6日16時00分
女がいた。
マイクの前に座って、何度も深呼吸をしている。
また誰かと会いたい。
これは、そのための第一歩だ。
暗い世界に明るい話題を提供したいという
今ならできるはず。
最後の希望に縋って、女はマイクの前に座っている。
女は救世主でもなんでもない。
アホで、自意識過剰で、ちょっとだけナルシストで、臆病者。
大したことない、ちっぽけな人間だ。
実際、彼女は自分の本当の願いを叶えられずに、人生に幕を下ろすことになる。
彼女は何も掴み取れないまま、眠りにつくのだ。
だが、彼女の
女は放送開始のボタンに手を伸ばした。
『…………あー、あー……これでいいのかな? こほん。マイクテスマイクテス……本当にこれであってるのか……? えー、聞こえてるでしょうか。聞こえてたらぜひ教えて頂きたいです』
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。