機動戦士ガンダム フルダブル 幻想純化奇譚   作:プリエ・エトワール

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 主人公過去編。

 故郷サイド4での戦いです。


殺し間とされた宙域(そら)で 1

 宇宙世紀0079 

 

 新年が明けた地球圏は地獄と化していた。

 

 地球から月周辺の宙域からなるそこは、一時、核の炎とメガ粒子の火箭による光芒が支配し、その炎と光芒の最中、人類史上最大建の造物と共に、数十億の人々が命を散らせていった。

 

 心無い人が、新緑の中に咲いた一時の命しか持たぬ花々を、次々と手折っていくように。

 

 彼らの生きたいという望みは無残に断たれた。

 

 人々の命を道端にある小石を退かすが如く扱い。

 

 自分たちが何をしているかよく理解もせず、その尊さに気付きもせぬ者たちの手によって。

 

 

 その日、サイド3で武力蜂起をしたジオン公国軍が、突如、各サイドへと奇襲攻撃を決行。

 

 後に、一週間戦争と呼ばれる虐殺戦が開始された。

 

 この戦時中、最後の仕上げに実施された地球へのコロニー落しまでの期間に、殺害された人々の総数は、じつにこの時代の人類総人口の半数以上であった。

 

 総人口110強の中、50~60億もの人々が虐殺されたのである。

 

 これまでの人類史上、最悪の虐殺であった。

 

 その最中、壊滅したと思われたサイド4のコロニー群の中に、あえて見逃されていた場所があった。

 

 その内部の住民たちに、意図的に救助要請のSOS信号を出させ、ノコノコと救助にやってきた連邦軍艦艇を補足、撃沈しようという、ジオン公国軍艦隊の悪辣な罠であった。

 

 効率的に敵艦艇の数を減らすための、ジオン公国軍による殺し間の設置である。

 

 まだ、地球連邦政府とジオン公国が南極条約を締結する以前のこと。

 

 この後、一年戦争が開始されるまでの僅かな期間のことであった。

 

 

 哀しい 哀しい 哀しい 物語は終わらず

 

 これより 新たな 哀しい 哀しい 哀しい 物語が積み重なっていく

 

 

 地球連邦側のレジスタンスたちにより、サイド4に残された数千万の人々を救う、コロニーサルベージ作戦が開始される。

 

 

 それは、年端もいかぬ少年が示した黄金の意思の結晶であった。

 

 

 もしも、もしも。

 

 僕がここから逃げ出したとして、どれほど世界が変わるというのか?

 

 ジオン公国軍の奇襲によってなされた、人類史上最悪の大虐殺がなかったことになるとでも?

 

 滅ばされた各サイドと、僕の故郷であるのサイド4が、何事もなかったかのように復活するとでも?

 

 そんなはずはない………

 

 …一人、大金を抱えてここから逃げ出して、僕にどんな未来があると言うんだ………

 

 …そんな紛い物の希望…何の意味がある………

 

 …そりゃ、僕が抱かえた多額の遺産を狙う人々は………

 

 …僕を優しく迎えてくれるだろうさ…金蔓として………

 

 …滑稽だよ………

 

 …そんな人々の偽りの優しさや慈しみ、労わりや哀れみの中では………

 

 …僕には、お人形のように生きていく選択肢しかありはしない………

 

 …実質、死んだも同然だ………

 

 …同胞を見殺しにして保身だけを謀った臆病者として!

 

 

 その罪悪感に一生苛まれ続けて!

 

 

 ははっ!

 

 

 融けてしまえ! 消えてしまえ! 全部! 所詮! なくなるものならば!

 

 

 そうだとも!

 

 

 金銭や各種債権、特許、土地や小惑星の権利書。大量のレアメタル! 黄金や宝石! 美術品!

 

 その他諸々!

 

 そんな物、いくら積み上げても意味なんてないんだ!

 

 誰かのために使ってこそ、金銭には意味が生まれる!

 

 父さんや、叔父さんが!

 

 地球圏の共に生きる人々にそうしていたように!

 

 僕は…僕は…迷わない! 迷うものか!

 

 それで! 

 

 ジオン公国軍によって殺される者を一人でも減らせるのなら!

 

 すべて投げ捨てても惜しくはない!

 

 僕が一族から受け継いだ遺産!

 

 すべて!

 

 サイド4の残されたコロニーすべてに!

 

 閉じ込められた人々を救い出すために使ってやる!

 

 それが!

 

 地球圏に冠たるサイド4の大企業!

 

 ムゲンカンコスモフーズの御曹司であった僕の覚悟!

 

 ユウ・カリンの決断だ!

 

 

 人類が宇宙開拓を続けた先で、地上での共食い殺し合いを忘れ去り、相争うことを止めた新人類として革新を向える。

 

 そんな御伽噺は死んでしまった。

 

 宇宙にはいずれ超越者的な存在が誕生し、その存在こそが人類の革新とする狂信によって殺されたのだ。

 

 

 これより開始される物語は、御伽噺に別れを告げ、過酷な現実に立ち向かう決断をした少年少女、彼らを支える大人たちの命の軌跡。その行き付く先を示す物語だ。

 

 残酷で容赦のない内容を嫌う者たちは見ない振りをすればいい。

 

 そういった過酷さ、辛さは、自分の目の前にある現実だけでいい。他人の苦しさなど知りたくはない。

 

 そう考える者も同様だ。

 

 それらの過酷さに向き合っても、心豊かでいられる強者だけが知ればよい。

 

 

 サイド4での激戦の果てに、リーン・イオギィの翼の力を得た少年の物語を知る者は幸せである。

 

 心豊かでいられるのだから。

 

 殺し間とされた宇宙(そら)で 2 へと続く 

 

 

 メモ1

 

 この世界の造化三神の力の発露であるリーン・イオギィの翼の元ネタは、総監督の作詞家としての名前が、いおぎりん…であることと、小説版リーンの翼です。

 

 人類の可能性の一つとして、妖怪の力を人間に付与できるかどうか、サイド4の太陽の畑計画で試していたら、黄金の精神を持つお子様が誕生して、なんと神々の力を宇宙世紀に操る存在になっちゃった。マジか。

 

 アムロ・レイという可能性が、戦争という極限状態の最中、戦闘型ニュータイプとして覚醒する。

 

 ならば、違う可能性を持つユウ・カリンが、戦争という極限状態の最中、別種の可能性に覚醒したとしても、何の問題もないということです。

 

 この機動戦士ガンダム フルダブルという作品はパラレルだし。

 

 初手からニュータイプとかサイキックとか超越だ!

 

 主人公なんだから、チートパワー持ちなんて当然なんよ!

 

 モビルスーツ、GP04ガーベラ・フルダブルは、リーン・イオギィの翼の力を使ったユウの戦い方を参考に、モビルスーツが再現できるように設計を見直した機体だったりして。

 

 本エピソードはこれから書き下ろしていきます。

 

 だから終了まで長いかも。

 

 

 メモ2

 

 地球で互いに殺し合い共食いを続ける人類は、知的生命体としての破滅であるオーバーマインドや、その出来損ないである邪神へと成り果てる道を、真っ直ぐ突き進んでいた。

 

 だからこそ、地球連邦政府を誕生させた始祖たちは、人類が人類のままで宇宙進出し、オーバーマインドや邪神と化さない人類の革新たる宇宙種を誕生させるべく、活動していた。

 

 それなのに、人類のままで邪神も同然に大罪を犯すジオン公国の軍民や、その頭脳ともいうべきザビ家の虐殺者たちを誕生させてしまう。

 

 だから、人類の悪癖である、優生、選民思想、差別主義は救いようがない。

 

 自分たちが支配者になるために、貴様等はその犠牲となるべき。

 

 そんな、共食いがやめられない者たちの思想なんで、当然っちゃ当然か。

 

 サツバツ!

 

 




 ただ見ていて満足?

 たとえ誰かに傷付けられても、自分の想いをさらけ出す物語を書いた方が楽しくない?

 意訳

 人の物語に文句があるなら、自分で素晴らしい物語を書いて、気に入らない物語を書く作者を黙らせれば?
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