機動戦士ガンダム フルダブル 幻想純化奇譚   作:プリエ・エトワール

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 ジークなんちゃらってガンダムの新作発表されたね。

 詳細は寝て待つんよ。

 ウドンでも啜りつつ、あまり期待はしないでユーチューブをチラ見しとくんよ。


殺し間とされた宙域で 12

 ハチワレン・ナイトが乗り込んだザクⅡサバイブが、チベ級格納庫より離脱したその直後、シャドールは爆散、轟沈した。

 

 地球連邦と公国の戦時下にあって、戦況とはまったく関係のない宙域、サイド4近海での最後であった。

 

 「敵艦パプア級2隻! 進路変更! それぞれ別航路を選び、戦闘宙域から逃走を開始!」

 

 「チベ級より発進したMS確認! 轟沈前に脱出したザクⅡと思われます!」

 

 (全艦、気を抜くな! 迎撃準備!)

 

 (了解!)

 

 「あれ? ザクⅡも逃げていきます!」

 

 (何? 釣り野伏…か? とにかく敵機MSの状況を、逐次確認して!)

 

 「了解!」

 

 「了解!」

 

 その結果を受け、シャドールに随行していたパプア級2隻は逃走を選び、それぞれ独自の判断で行動し始める。

 

 シャドールから逃亡したハチワレン・ナイト駆るザクⅡサバイブ、ダークウイングといえば、メイストームの乗組員たちが困惑する行動に出ていた。

 

 僚艦であるパプア級2隻の防衛行動に出るでもなく、味方艦を囮にして、己だけ逃げ延びるムーブを取ったのだ。

 

 この行動を見知って、マゼラン級メイストームの乗組員たちも拍子抜けする。

 

 (逃げるなら放っておきましょう。ブラックリリー旗下のコロンブス級艦隊には向かっていないのでしょう?)

 

 メイ・メイはメイストーム艦橋の艦長専用シート上でそう指示(感応波で)すると、ホッと一息吐く。

 

 しかし。

 

 (トマホーク、セイバーフィッシュ隊各機パイロットに告ぐ! パプア級2隻を撃沈せよ! サイド1、2の民間人たちの敵を! 頼みます!)

 

 すぐさま新たな支持を出し、戦闘続行の意思を示した。

 

 (メイストーム180°回頭! これより本艦は後方艦体と合流! 敵艦を挟撃! ジオン公国軍残存兵力の殲滅戦に移行する!)

 

 「操舵担当フブキ・チェリーブロッサム了解! これより本艦は殲滅戦に移行します! 回頭180°! パプア級を追います!」

 

 「こちら管制担当サクラ・スプリングフィールド了解! 感応波を併用し、敵機の位置確認続けます!」

 

 メイ・メイ、フブキ、サクラ、三名のみのメイストーム艦橋に、少女ふたりの元気な叫び声が響く。

 

 そんな彼女たちによって航路を決められたメイストームは、すぐさま回頭を開始。

 

 新たな戦場へと足を踏み入れていった。

 

 

 「ふん…回頭したか」

 

 

 回頭し遠ざかっていく敵艦を見送り、ダークウイングコックピットでそう呟くナイト。パプア級2隻を囮として何とか戦場から逃げ出せたと思い込み、フウ…と、安堵のため息を吐く。

 

 そうして。

 

 「この俺がいなければ情報は失われる。これは逃走ではない。ミリシア侮りがたしとの情報を、サイド4に残る味方に伝えるために………この退却は必要な処置なのだよ」

 

 単機、逃げ出したザクⅡサバイブ、ダークウイングコックピットで、この逃走にも大義はあるのだと、ナイトは自分に都合良く嘯いた。

 

 正直、味方を見捨てて自分だけ逃げ出した、クズの中のクズの理論展開であった。

 

 知れば、十人中十人が、恥を知れと弾題する行為。

 

 古今東西、どんな戦闘集団でも、敵前逃亡はケジメ案件。

 

 いくら情報の伝達と言い訳をしても、許されざる行為だった。

 

 まあ、上司であるキシリア・ザビからして、その最後は、私がいなければジオンは失われるとかいって、ア・バオア・クーから逃げ出そうとするクズなので、一概にナイトだけが悪いって訳ではないのですけどね。

 

 うん、どう自己正当化しようとクズムーブ。

 

 キシリア旗下の人材は、シャア含めてどいつもこいつもクズ・オブ・クズ!

 

 まあ、それはそれとして…だ。

 

 やはりと言えばやはりなのだが、現実はそうそう甘くはなかった。

 

 ナイト自身も、これより未来のキシリアと似たような最期を迎えることになる。

 

 

 ん?

 

 光の翼???

 

 

 「は…?」

 

 

 ザクⅡサバイブのモノアイがそれを捉えた、瞬間。

 

 高速で接近するその者が、己の光の翼をMSの装甲すら容易に切り裂く死の刃とし、ダークウイングを無慈悲に切り裂いていった。

 

 ダークウイングは、その攻撃をまったく回避できなかった。

 

 いや。

 

 回避しようにも、それは不可能なことだった。

 

 V字状に展開されたメガ粒子の翼の磁界に囚われると、精密なマシーンほど各種機器がダメージを受け、満足に作動できなくなってしまう。

 

 躱したくとも、機体がパイロットの操作を受け付けなければどうしようもない。

 

 よしんば、ナイトが他のザクⅡライダーたち同様、生体部品としてザクⅡサバイブと融合状態にあったなら、それも可能であったのだろうが、ナイトがダークウイングに搭乗したのは今さっきのこと。

 

 ミノフスキーニンジャドライブを操るニンジャスレイヤーネオ相手では、その、まだ中途半端な状態ではどうしようもない。

 

 かくして。

 

 ダークウイングは何の反攻もできず、ネオに一方的に攻撃され、爆散。

 

 コックピットのハチワレン・ナイトも、MSパイロットとしての実力を一切発揮できぬまま、その生涯を終えた。

 

 ハヤシニンジャによって死神博士めいたカイゾウシュジツを受けたザクⅡサバイブ。そんなベーシック型ザクⅡを遙かに凌ぐスペックを誇る自機の実力を、まったく扱えないままに。

 

 その上、敵前逃亡をやらかしたクズは、ハヤシニンジャによってヴァルハラに迎えられ、復活することもない。

 

 君の冒険はここで終わってしまった!

 

 オツカレサマドスエ。

 

 サヨナラ!

 

 

 ニンジャ殺すべし!

 

 イクサバの作法を知らぬスクタレモノ滅ぶべし!

 

 

 光の翼に切り裂かれ、爆散し、無残な姿を宇宙に晒すダークウイング。

 

 その残骸を背にして、ニンジャスレイヤーネオがそのように思念波を宇宙(ソラ)に飛ばした。ミノフスキーニンジャドライブによって発生させた、灼熱のメガ粒子の翼をその背で羽搏かながら。

 

 

 ナムアミダブツ! 

 

 

 

 そのころ。

 

 

 「ちっ! ナイトのヤツめ、つまらん指揮を執ってくれたな…」

 

 旗艦撃沈とナイトの戦死を知り、ザクⅡサバイブ中の1機ミラードラゴンのコックピットで、リュウガ・ミラーが舌打ちし、そう呟いた。

 

 この時。

 

 リュウガ・ミラーには恐怖はなかった。

 

 むしろ、今からでもこの不利な盤上を覆せる。十分、どうとでもできる…と、全身で神の如き全能感を感じていた。

 

 被弾し、各部が欠損している自機のコックピット内部にあろうとも、そう確信していた。

 

 そう。

 

 戦場で多くの戦友が斃れ、自機の周囲を、アムロ・レイ並みの先読み能力を有するパイロットたち駆る敵機に囲まれていても。

 

 ザクⅡサバイブの生体ユニットとなっていたリュウガは、多くの敵機を撃墜し、それらのパイロットたちの命のオーラ力を吸収したことで、次の段階へと進化し始めていたのだ。

 

 サバイブACT1から、カイゾウシュジツによる、自己再生・自己増殖・自己進化の三台理論を花開かせるACT2へと。

 

 そして、理解していた。

 

 自分がさらなる力を手にするためには、何者を取り込み融合進化しなければならないのか…を。

 

 「シンジ………貴様とリュウキを取り込ませて貰うぞ」

 

 ミラードラゴンコックピットで、すでに生機融合態となっていたリュウガは、深紅の輝きを発するようになった両眼をギラつかせ、そう呟く。

 

 パイロット同様、ザクⅡサバイブ、ミラードラゴンの機体全体も変化を開始していた。

 

 邪悪なる漆黒のオーラ力が包み込み、今か今かと、ACT2ユナイトジェノサイダーとなる時を待ち侘びていた。

 

 ミラードラゴンより虚空へと溢れ出る漆黒のオーラ力。

 

 その力が向かう先。

 

 そこには、不利な戦況で戦い続けているシンジ・キッド駆るザクⅡサバイブ・リュウキの姿があった。

 

 強制合体、融合対象の姿が。 

 

 この時。

 

 炎のドラゴンと漆黒のドラゴンによる、恐るべき饗宴が開始されようとしていた。

 

 かつてない恐怖と共に。

 

 

 そして。

 

 その恐怖は一つではないのだ。

 

 

 「チイィッ! ムカつくぜ!」

 

 

 ミラードラゴン同様、敵機に包囲されたザクⅡサバイブ・アサクラのコックピットで、タケシ・オージャーもまた雄叫びを上げていた。

 

 サバイブACT2への進化を告げる生機融合態の姿となって。

 

 「ハッハァッ! まあいい! これでこの殺戮ゲームはより楽しくなったぜ! この俺様がすべてを滅ぼしてやる!」

 

 強くなければ悪の資格はない。

 

 そう言い放つかのように、本気でタケシ・オージャーは自分一人で、敵も味方もすべて殺し尽くすつもりになっていた。

 

 もう、ユウ・カリンの身柄の確保も、ジオン公国軍内部での権力争いも、タケシにとって、それほど大切なことではなくなっていた。

 

 北欧神話の狂戦士ベルセルクのように、狂乱の中、戦って戦って戦い抜くことのみが、己の目的、存在理由となっていた。

 

 新たな力、サバイブACT2ユナイトジェノサイダー。

 

 その名称の示す通り、強大な力を合わせ持った殺戮者となるために必要なモノ。

 

 それは………これまでに散っていった敵味方の屍すべて。

 

 その命の残滓こそ!

 

 我が成長に必要不可欠な栄養素!

 

 「ハッハアッ!」

 

 迫るミリシア側のトマホーク群に、狙いを定め臆せず襲い掛かっていくザクⅡサバイブ、アサクラ。

 

 速い!

 

 アムロ・レイ並みの先読み能力を有したミリシア側パイロットたちは、アサクラの動きを先読みし、回避&ビームガトリングによる迎撃を試みるが、そのどちらも効果を上げることはできなかった。

 

 なぜなら。

 

 「何なの!? 漆黒のオーラ? バリアーなの?」

 

 「回避してっ!」

 

 「間に合ってぇ!」

 

 (ダメ! 回避、間に合わな…)

 

 そんな感応思念波を最後に、アサクラに狙われたトマホークはパイロット諸共、最新の宇宙戦闘機からガラクタの残骸と化した。

 

 アサクラが振るったベノサーベルで斬り裂かれての最後だった。

 

 如何に先読み能力を有していたとしても、ビームガトリングを弾かれ、自機よりも素早い機動を取られては、撃破されることを免れることはできない。

 

 いまや、この宙域でアサクラは無敵の存在となっていた。

 

 オーラバリアーを張り巡らし、ハンブラビのメガ粒子砲をも防ぐZガンダムめいたチート機体と化していたのだ。

 

 確かに今現在の姿なら、アサクラは単機、この宙域全体に展開したミリシア艦隊をすべて殲滅することも可能だろう。

 

 とはいえ。

 

 それは始まりに過ぎないのだ。

 

 撃破した機体の正面へと迫るアサクラ。

 

 その機体腹部が上下に割れ開いた。

 

 まるで、大口を開けた大蛇のように。

 

 次の瞬間。

 

 ザクⅡサバイブ、アサクラは、撃破したトマホークを一飲みにして融合進化を開始する。

 

 ミラードラゴンに先んじて、サバイブACT2ユナイトジェノサイダーへと至るために。

 

 

 この宙域での戦闘はまだ終わってはいない。

 

 むしろ、これからが本番だった。

 

 

 殺し間とされた宙域で 13に続く

   

 




 まだこの宙域の戦いは終わらせられないんよ。

 これは仕方のない処置なんよ。

 段階的に主人公のユウ・カリンをパワーアップさせていくには、それなりに強力な敵を出現させていかないと。敵にも、格というものが必要なんよ。

 小説になろうじゃないから、いきなりチートで無敵は無理。

 大人と少年。

 主人公との対比になるニンジャスレイヤーネオも活躍させて、その後に、ユウにリーン・イオギーの力に覚醒させて、ユナイト撃破にマスターオーラスパークを使わせる。

 段階的に描写していくのは、結構、大変なんよ。

 うん。次に投稿できるのは、2025年になってからかしらん。
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