機動戦士ガンダム フルダブル 幻想純化奇譚   作:プリエ・エトワール

35 / 35
 そう言えば、大事なことを説明していませんでした。

 本作はパラレルなので、名称が一部、他の世界線と違います。

 たとえば↓

 三貴神 トミノミナカノカミ ホシヤマノコトツクリノカミ クニエガクアヒコノカミ

 二神  イザナミ(イデナギ)ノミコト イザナミ(イデナミ)ノミコト

 等々





 


消え逝く真実の語り部 その果てに 4

 

 本書の序文として、私は読者たちに以下の言葉を送る。

 

 戦いの基本とは、敵対者側のフィールドで戦うことを避け、自分に有利なフィールドでの戦いに持ち込むことだ。

 

 プリエステル・モンテステラ

 

 「あ、この作者さん信用できる人だ」

 

 東方ヤーパン帝国の黄昏の序文を読んだキョーコは、シャナズへと、この作者は信用に足る人物だね、と伝えた。

 

 序文を読む前にシャナズの説明を聞いていたキョーコは、東方ヤーパン帝国の黄昏という書物の作者が、どれ程、感情的かつ情緒的な理論を作中で展開させるか訝しんでいた。

 

 好奇心半分、怖いもの見たさ半分といったところだ。

 

 それが以外にも、序文からしてかなり理知的であったため、拍子抜けしつつ、感心した次第であった。

 

 そして思う。

 

 そりゃあ、あまりに感情的、情緒的な内容で、理論の飛躍ばかり目立てば、ダイトーア戦争当時の状況を知る手引き書になぞ、なりはすまいと。

 

 まあ、それはともかく、キョウコはその内容を読み進める。自分の動向を見詰めるシャナズへ対し無言で肯き、ちょっと待っていてと合図を送ると、本格的に読み進める。

 

 

 もしあなたの目の前に机があるなら、その机上を大陸に見立て、複数個の石を置いてみて欲しい。

 

 まず、小さな二つの石。

 

 これは、シーナの国民党軍と共産党軍だ

 

 次に大きな石を複数。

 

 それが、ヤーパン含む、大陸を植民地化した列強各国軍とその移民たちだ。

 

 これら、強大な軍事力を背景に大陸に居座る各勢力を、シーナ勢力が追い出すにはどうすればよいのだろうか?

 

 簡単である。

 

 自分たちで排除できぬのなら、2000年以上前から存在する策謀。すなわち、二虎競食の計を用い、仲間割れを誘い、分断させて後、互いに相争わせ弱体化させる。

 

 そうして、勝つ側の味方となって、戦後、勝者側として、この地は我々のものと支配権を主張すればよい。

 

 かつてのように、タイへーテンゴクの乱、ギワダン事件と同様の抵抗運動を繰り返し、自国の力を疲弊させても意味はない。

 

 それ、国外に猛々しいが脳味噌が足りない連中がいるではないか。奴らを大陸へと呼び込み、上手く操り、他の列強と殺し合わせればいい。

 

 大陸で生き残ったシーナの諸民族は謀略をもっとも得意とする民族なのである。ヤーパンの台頭後、彼等がそういった結論に思い至るまで、大した時間は掛からない。

 

 そんなシーナ側の策謀は遠からず実を結ぶ。

 

 ヤーパンとルーシの戦の後、ヤーパンこそ自分たちの傀儡に相応しいと目を付けた、ソンブン他のシーナ・オピニオンリーダーたちは、自分たちの独力で不可能ならば、列強同士を相争わせ、その弱体化の末、漁夫の利を得るという方向に戦略をシフトさせた。

 

 それこそ、我等、シーナの民の得意とするところではないかと。

 

 シーナの頭脳であるソンブンを筆頭とする者たちは、そうしてヤーパン内地へと留学し、国外からヤーパン国内の民衆たちへの気の長い思想誘導を施していった。

 

 ヤーパン人たちは、そんなソンブンらの留学に気を良くした。客人として厚遇しもする。

 

 ソンブンたちが、自分たちを操り、他の大国の侵略者たちと相争わせるために、ヤーパン本土へとやって来たとも露とも思わずに。

 

 この後、ヤーパンの上流階級の者たちと軍部は、かつての大陸の大帝国に先んじ、列強の一員になったと自画自賛し始め、どうしようもなく傲慢になっていく。

 

 自分たちがソンブンたちより上の立場になったと思い込んだが故に、彼等が自分たちを頼りヤーパンに留学して来たのだと勝手に思い込む。

 

 実際には、自分たちを西欧の列強各国に対抗させる手駒にするべく、ソンブンたちはやってきたとは思わずに。

 

 それが大きな間違いであった。

 

 それ故に、ヤーパンの民は今後、まさしく無駄に猛々しいだけで脳味噌の足りないカス民族と化していく。傲慢になっていった者たちは、信じられない程に低知能化していってしまうものだ。

 

 自分たちに都合の良い状況だけを真実と認識し、他の都合の悪い情報を切り捨てていき、妄想の世界に入り込んでしまう。

 

 そんな愚か者たちなれば、ソンブンたちもさぞ、ヤーパン中央のカス共を操り易かったことだろう。

 

 有態に言ってしまえば、この時点でヤーパンは、敗戦という自国の未来を確定させたのだ。

 

 シーナは2000年以上前から、権謀術策渦巻く暗黒の地であった。

 

 その東の海の向こう側に位置し、大陸の策謀を用いた殺し合いの恐ろしさから守られてきたヤーパン人が、大陸で生き抜いてきたシーナの民たちに、どうして権謀面で勝利できようか。

 

 連中は自分たちに学びに来たのではない。都合よく利用しに来たのだ。

 

 ヤーパンの民には、そういった視点が、その傲慢さ、無知さ、低能さ故に、決定的に欠けてしまっていた。

 

 そんな、民族の違いによる基本能力の違いや、世界の実態から目を逸らし、自分たちヤーパンの民こそが、今後の世界の主役であると勘違いした時点で、グレートヤーパンエンパイアの民たちは未来の敗北を自ら選んだと言えよう。

 

 ダイトウア戦争の後、我々はシーナに負けたのではない。北米リベリアに敗北したのだ…などと、勘違いも甚だしい愚か者が散見されたが、こいつらこそ、策謀、陰謀、戦術、戦略という言葉の意味を、一文字も理解していなかったと言えよう。

 

 また、時として弱者は強者を操る立場になるということも想像だにしない。

 

 優秀な臣下からを意図的に引き離され、こんな世の中の流れをまったく見通せないカス以下の連中のみに囲まれていて政を担っていても、ショーワテイも、そりゃあ、どうしようもないだろう。

 

 ヤーパン本国にも、一流の人材はいるにはいたが、2・26で暗殺されたコレキヨ・タカハシ同様に、自分が一流と勘違いした者たちによって殺されるか、他のやり方でミカドの御側である政治の中心から排除されていった。

 

 妄想に駆られたカスほど、できもしないのに、自分は優秀だと高く見積もって、国の根幹であった他者を侮るる。

 

 このように、安易に暗殺などの凶行に走り、繰り返す、狂気と妄執に取り付かれた妄想世界の住人が政治を司っては、そりゃ、どのような大帝国も敗北必死だ。敗北しない方がおかしい。

 

 

 それ故に、私は他の誰がショーワのミカドを無能と貶めようと、彼はそれほど悪意をもって政治を統括する立場を担っていたとは言えないのである。

 

 それ故に、ミカドを擁護する立場を取るのだ。

 

 考えてみて欲しい。

 

 周囲に狂人しかいない。

 

 誰だって己と他人(狂人)を比べ、自分の正気を疑ってしまうし、下手に狂人に逆らえば、自分だけではなく家族、親類縁者にも類が及んでしまう。

 

 己と愛する者たちを守るため、ミカドも目の前の独裁者を支持する真似もしよう。

 

 

 「ふー………」

 

 

 そこまで読み進めて、キョーコは長い溜息を吐いた。そして、シャナズへと向き直り、その読後の感想を告げた。

 

 「このヤーパンのみなさんが選民思想に染まったところ、ジオン本国サイド3の民衆たちと同じだね」

 

 「そうだね。自分たちが次の時代の主役だと勘違いして、戦争に突っ走っていっちゃうところや、御国のためなら何をやっても正当化できると思い込んじゃうところ。他の民族を下に見て、選民意識の塊になっちゃったところとかもそっくりだ」

 

 「うん。民族ではなく、宇宙世紀では、サイド3以外の各サイドのスペースノイドたちと、アースノイド差別だけどね」

 

 「それはそう」

 

 「だね」

 

 「その本の作者、プリエステル・モンテステラは後に言っているね。施しをする側とされる側に別れると、主従が出来上がってしまう。また、状況によっては、施しを受けるものと、与えるものの立場も逆転する場合がある。よくよく考えて行動すべし…と。キョーコちゃん、彼女が言っている、このことの意味、理解できるかい?」

 

 「えっと………もしかして、誰かが勝ち取ったものを受け取っても、それは、救いではなく支配のためだったりするし、施しを受ける弱者の側も、そのことは十分に理解していて、ただ弱者を演じて、施しができる強者を操っている場合がある…ってことかな?」

 

 「それ。時に施しを受けるコツジキの方が、施しを与える者たちより上位の立場になる場合もある。中世のヤーパンで例えるなら、チョーテイやショーグンの権威に釣られ、くだらない戦に駆り出され、己の勢力を削られ、時に滅亡する羽目に至った戦国のウォーロードたちとかね」

 

 「そういえばそうね。大陸でなくとも、そうやって弱者の立場の者にいいように操られてしまう強者たちって、世界的に見ても、そう珍しくないのかも?」

 

 「素晴らしい解答だね。もし一年戦争でジオン公国が勝利していたとしても、ザビ家に率いられたスペースノイドたちに自由はないだろうね。多大な犠牲を出してサイド3が地球連邦政府から独立を勝ち取ったとしてもね。ただ、少数のザビ家の者たちにサイド3の者達は支配されるだけだった。でしょ?」

 

 「うん。そういった意味ではダイトーア戦争前後のヤーパンの実態と一緒だね。ヤーパンはアジアの光であり、各アジアの親であり兄であるってヤツ」

 

 「それ。欧米列強に支配された各地をヤーパンが開放して、各民族を欧米から解放しても、そこに、主従の立場が発生して、結局、支配者が変わるってだけで、支配の形が変わる訳ではない。むしろ、ヤーパン本土の民衆を使い捨てにしてまで、他民族を救うメリットって何かある?」

 

 「ないわ。むしろ、大陸の民族が他民族に対抗するための戦闘奴隷になっただけだよね。まるで、ヤーパン本国を欧米列強から守護するという本来の目的を忘れて」

 

 「うん」

 

 「たしかに欧米によって植民地にされていた諸民族はそれで自主自尊の立場を取り返すかもしれない。でも、それで、ヤーパンという国家が弱体化し、他の列強に敗北してしまっては意味がない。イデオロギー的に勝利しても、御国が滅び、自国民に艱難辛苦を与えて何になるのやら。独り善がり」

 

 「そう。まあ、実際に当時のヤーパン人は、シーナの栄光を取り戻すための生贄にされていただけだからね。そうもなるさ」

 

 「おバカ…最悪」

 

 「ハハッ…本当にヤーパンがアジアの光でありたかったのなら、アジア各国には支援だけに留め、独力による独立運動を支援するだけでよかったんだろうね。ねだるな、自分たちで勝ち取れ。自力で勝ち取らない独立なんて、結局、誰かの僕も同然だ…と」

 

 「そう理知的思考に至らないように、ヤーパンのみなさんは、大陸シーナの連中に誉めそやされ、持て囃され、馬鹿のままでいるように思想操作されていた?」

 

 「その通り! ダイホンエイはじめ、ヤーパン陸海軍は、自分たちは世界を正しく導く選民だと持て囃され、己の立場を勘違いしちゃって、初手から自滅する道を突き進だ! ここもジオン公国支配下だったサイド3と一緒だね! 君たちは未来を開くニュータイプだとね!」

 

 「嫌な話! とある説によると、ギレン・ザビは、はじめからジオン公国の勝利や独立には興味がなくって、自分も含めて、増え過ぎた人口の削減をしたかっただけっていうわ。そこも似てる。嘘の大義名分に踊らされて殺し合わされてさ」

 

 「ヤーパンを滅びに導いたソンブンたちの真の目的は、自分たちシーナ勢力の復興だけで、他民族による欧米支配からの脱却なんてどうでもよかったんだろう。自分たちシーナ民族以外は、戦って殺し合って、滅べって考えでないと、実行できない策謀だよ。思想的にそっくりだね」

 

 「多くの人々が、他人の望みを果たす道具、傀儡にされて死んでいったのね。そうした本人たちも、過去の戦争の被害者だったりするのかしら?」

 

 「確かにソンブンたちは、欧米による当時の植民地政策の犠牲者だね。哀しいね」

 

 「そこもサイド3の人たちと一緒?」

 

 「いや、そこだけは全然違うね。自称棄民政策の被害者サイド3のスペースノイドたちは、地球連邦政府に移民資金を立て替えて貰って宇宙に上がったのだから。不法移民を刑務所にぶち込むのと違って、無料で人工の大地であるスペースノイドに移民できるはずもない」

 

 「それもそうね。ソンブンたちシーナの話に戻しましょう。でも、植民地支配されたからって、他者に何をしてもいいってことにはならない。違う?」

 

 「違わない。それはともかく、ヤーパンのみなさんは、もう少し列島の外の世界をお勉強しておくべきだったね。やっぱり、無知は罪だ。純粋なだけじゃ、結局、その純粋さを誰かに利用されてしまうだけ………そう警告した、地球連邦政府の始祖メビウスの言葉は、忘れられて久しい…か」

 

 そんな結論の後も、キョウコとシャナズは、互いのシッポ型インターフェイスを触れ合わせたり、時に耳型インターフェイスに天を衝かせたり、シュンとさせ地面へと向けたり、忙しくピコピコさせたりして、静かに、だが熱い議論を交わした。

 

 東方ヤーパン帝国という著作物片手に、内容をあーだこーだと語りつつ。

 

 シャナズ曰く、その後もシーナは、ヤーパンの軍と富裕層、大陸で一山当てたいという大陸浪人たちを上手に唆し、大陸へと深く入り込ませていったという。

 

 ついには、シーナ勢力は、ヤーパンにマンチュリアという傀儡国家を建国させるまでになる。ソンブンたちシーナ勢力は、そこまでヤーパン人の思考支配に成功したのだ。

 

 この結果を以て、ヤーパンと欧米列強の対立は決定的となる。

 

 ヤーパンと列強各国を上手に対立関係に追い込み、相争わせ、シーナ勢力が漁夫の利を得るという陰謀は、ここでほぼ完璧に達成されたと言ってよいだろう。

 

 キョウコ曰く、その後のヤーパンの戦略の幼稚さを調べれば、一年戦争の泥沼にハマったジオン公国軍と、当時のヤーパン陸海軍はそっくりと言えるという。

 

 コロニー落しの後、地球侵攻作戦に打って出たジオン公国軍同様、ダイトーアでのヤーパン陸軍は、大陸の奥深くまで戦線を拡大。当然、支配領域を維持できるはずもなく、補給線は伸び伸びとなり、自らの首を絞めて崩壊していく。

 

 マンチュリアに屯するカントーアーミーなどは、稚拙な陰謀は得意でも、それ以外はパッとしない。所詮は先人の偉大さに縋っていただけの井の中の蛙。戦況を一変させる策など練れる訳もなく、マンチュリアの民衆を戦力として抽出する手段もなく、目の覚めるような戦場での一手など、はじめから持ちようもない。

 

 ヤーパン海軍も同様だ。一年戦争中のギレン・ザビ派閥、キシリア・ザビ派閥、ドズル・ザビ派閥の連携が今一つだったように、ヤーパン海軍は陸軍との勢力争いで、戦時中であるにも関わらず味方との連携が取れていなかった。

 

 ダイホンエイともすれば、ヤーパンはアジアの光のユーチャチャマという妄想に取り付かれていて、現実を認識できずにいた。できもしない大業を果たすオナニーに夢中で、知能を大幅に低下させ、ただただヤーパンの民衆を破滅へと駆り立てていた。

 

 アジア諸民族と連携すれば欧米も恐れるに足らずって………連携がぜんぜん取れてない段階で開戦するなよ。

 

 ダイトーアで初戦こそ華々しい戦果を上げたが、その後の陸海軍は勢力争いに夢中で連携できずに連戦連敗。

 

 大陸のマンチュリアに屯するカントーアーミーも、イシハラ以下キチガイ揃い。威勢ばかりよくって、戦況を打破する策は何もない。戦争を開始させる付け火はできても、停戦、損切といった消化の方法は知らず。マッチポンプ役すら熟せない。

 

 確かに、当時のヤーパンを知れば、一年戦争前後のジオン公国と同じと理解でき、その駄目さもより深く理解できる。

 

 ケーネス先生が、この点をよく勉強して、一年戦争のことを様々な視点から見られるようになりなさいという言葉の真意も、よく解るというものだ。

 

 「どう? 東方ヤーパン帝国の黄昏はレポートの役に立ちそう?」

 

 日も昇り、二人による議論もそれなりの時間が過ぎた頃、そろそろお開きにしようと、シャナズがキョウコにそう質問した。

 

 二人とも、それぞれの仕事、文屋とテラコヤの仕事へと赴かなければならない時間帯だ。いくら、歴史学者や歴女めいた二人が、こういった知的好奇心を満たす行為が好きといっても限度がある。

 

 「あは…もうお日様も高い位置にいるね、ありがとうねお兄ちゃん! お邪魔しました!」

 

 「こちらこそ。いや、久しぶりにテラ住み時代の味を再現した朝食を用意してくれて、感謝してる。美味しかったよ!」

 

 「えへへ…ありがと!」

 

 机の上の食器を慣れた手つきで片付け、着ていたエプロンを結び目を解きほぐすと、キョーコは化粧箱代わりのポーチとコンパクトを取り出し、簡単に手早くナチュラルメイクで身嗜みを整えていく。

 

 こういった姿を気安く見せられるのも、キョーコとシャナズが幼少期を共に過ごした仲であるからだった。

 

 「お兄ちゃん、最後に何かアドバイスあるかな? ケーネス先生に、こういったレポートを上げれば加点されるって内容、知ってる?」

 

 「それは自分で考えることが正解だよ」

 

 「ちぇっ!」

 

 「いや、本当にそれがアドバイスなのさ」

 

 「え?」

 

 笑顔のシャナズの返答にキョーコがキョトンとした表情になった。別にキョーコは初めからシャナズがアドバイスしてくれるとは期待していなかったのだ。

 

 帰り際のこの時、精々、自力で頑張りなさいとエールを送られる程度だろうと。

 

 そんなキョーコの予想に反し、シャナズは本気でキョーコにアドバイスを送っていた。

 

 「思想、信条、信念といったものは、他者の考えや先例といったものに捕らわれるものではなく、他者に解答を求めず、自らの内側からひねり出すものなのさ。そういった甘えのない者だけが、他人からの思想支配から逃れることができる」

 

 「よく解る話です。タイパとか言って物事を深く考えない衆愚が、独裁を望む者を歴史の表舞台に立たせてしまう。その土壌になってしまうってことかしら?」

 

 「YES。 そのことをレポートにすれば高評価が貰えるはず。付け加えるならば………」

 

 「ならば?」

 

 「物事を成功させるならば、それこそ一生を捧げる気概が必要ってこと。無論、失敗することもよくあることだけど」

 

 「具体的には?」

 

 「悪い例を示すけどね………」

 

 「…旧世紀、ヤーパンの支配層を思想操作したソンブンたちシーナ勢力は、ヤーパンルーシ戦争以後、長い歳月を使い、ヤーパンの思想操作をし、大陸へとガッツリ関わらせて、欧米列強と殺し合わせる土壌を醸成していった。ソンブン本人は、その道半ばで命を落とすほど」

 

 「宇宙世紀、ジオン公王デギン・ソド・ザビもまた、ダイクン議員と共に、長い歳月をかけてサイド3に反地球連邦の分離主義者たちを集め、機を見てジオン公国を誕生させた。ザビ家全体の隆盛も、父デギンの働きなくば、あり得なかった」

 

 「過去に学ぶべきことは学び、その学びを悪しき方向にではなく、良き方向へと使うべき…これらの考えを、そのように纏めれば、ケーネス先生も加点してくれるはずさ」

 

 シャナズは、そう告げるとウインクし、今度こそキョーコに、さあ頑張ろうとエールを送った。その後、テラへと帰宅することになるキョーコのために、玄関へと向かい、その扉を開け放った。

 

 なお、伝え忘れていたが、キョーコはケーネスの授業を遠隔で受けている。ミノフスキー粒子の影響で無線での授業は不可能だが、テラと都市部とでは有線で繋がっているので、パソコンやスマートノートを使用した遠隔授業は可能なのである。

 

 「キョーコちゃん、またね」

 

 「またね! シャナズお兄ちゃん!」

 

 掘っ立て小屋の玄関から出て、ムエンヅカに止めてあるハロカーへと向かうキョーコ。見送るシャナズに手を振ると、自動運転のハロカーへと乗り込み、また笑顔で手を振った。

 

 シャナズお兄ちゃんとは、これで永遠の別れになるとは知らずに。

 

 

 消え逝く 真実の語り部たち その果てに 5 に続く




 今回の話に付け加えるならば、ダイトーア戦争前後の世界の裏切り者は、誰かと言えばヤーパンです。

 ヤーパンは元々、欧米列強との国際協調主義を掲げていて、自らもアジア諸国を支配する側となることで、ヤーパン列島の新政府とその民草を防衛していました。

 その基本戦略を蔑ろにして、国際協調路線を否定。国連から脱退し、むしろ、大陸の利権拡大のために、守るべき列島の民草を使い捨ての駒にしてしまった。本末転倒も極まれりです。

 その上、ヤーパンはアジアの諸民族を開放するゆーしゃしゃま! やっちゃうし。

 メンタル12歳のバカ国家。

 そりゃ、戦争に負けるね。

 世の中には、ゆっくり虐待というジャンルが存在する。その諸作品内で、上げて落す虐待を受ける、生まれ間もない饅頭まりちゃというキャラクターが存在する。戦前のヤーパンそのまんまである。

 お前は世界を救う勇者さまと教え込まされた後、圧倒的な力を持つ相手に挑みかからせられ、世の中の現実を見せ付けられ、絶望して死んでいく饅頭まりちゃ。

 80年前、現実でヤーパンはその虐待をシーナのスパイ連中にやられてんのよ。笑………えない。



 GOD と 神様のことと 地球連邦政府の始祖となったメビウスの基本思想のこと


 今更ながら、イザナギ・オブジェクトやイザナミ・オブジェクトの正式名称を、イデナギ・オブジェクト、イデナミ・オブジェクトに変更すべきか迷っている。

 うーん、地球連邦の始祖メビウスが語ったニューゴッディズムやカミズムの話は、何時頃できるのかねぇ。

 いいや、ここで発表してしまえ。


 GOD すべて 全体のこと


 この世のものすべては、全知全能のGODの一部分。

 全次元も、高次元の存在も低次元の存在も、神も悪魔のその一部。無論、我々も。数億におよぶこの身体の細胞すべてもGODの力の一部であり、同様である。すべでは不可分。我々の存在そのものがGODの存在証明といえる。

 僕(しもべ)ではない。

 我々事態もその一部であるのだから。

 たとえば、キリスト教とイスラム教の者が、こちらの教えが正しく、相手が間違っていると相争っているが、GODがどちらか一方に肩入れすることはない。

 何故ってどちらも自分の一部だ。勝敗などはどうでもよい。

 ただ強い方が勝つだけ。

 ヤーパン人だろうが、ハントー人だろうが、シーナ人だろうが、アースノイドだろうが、スペースノイドであろうが、共にGODの一部であることは変わらない。

 ただ、それぞれ、全体であるが、同時に個でもあるので、無理をして仲良くなる必要もない。


 神様(カミサマ)

 あらゆる宗教のカミサマはすべて幻想でしかない。

 何故って、GODの分身である我々自身こそがカミサマであるから。

 シントウは言っている。あらゆるものに神は宿ると。

 その通りだろう。

 だから間違いなく我々もカミサマなのである。それは不可分なのだから。

 そもそも、神様とは何のだ?

 世界運行のためのシステムである。


 天津神

 アマテラス=太陽

 ツクヨミ =月

 スサノオ =天体の運行に伴う変化によって発生する変化全般 四季の変化や嵐等々

 擬人化は、貶められ理解力の低下した者たちが理解できるよう、為政者たちが用意した後付けの姿。

 過去の者達は、自分たちが生きる環境を構築する、より巨大なシステムの偉大さを理解し、畏敬の念を以てして崇拝したのだ。


 国津神=地球上の生命システム全般 人間とされる者たちもその一部

 人間という存在の歴史は、本来、神様という存在であったにも関わらず、悪しき支配の神たちによって大多数が貶められ、そこから零落していくことになった歴史だ。

 他者を自らの利益のために奴隷化しようとした他の悪しき神々よって、神であることを否定され、人(ヒト)という檻に閉じ込められていったのである。

 世代を重ねるごとに、その本来の神性を忘れ去り、本当に自分は人なのだと思い込んでしまった者たちの哀しい歴史だ。

 現代でも時折、人は神であった時代の片鱗を見せる。

 支配者の思惑を逃れ自由を得ると、人は時に素晴らしいスキルを獲得し、他の者たちは、彼等を○○の神(カミ)と呼び、讃えることが稀にある。それは、彼等が無意識に我々の本質を言い当てているからだ。

 考えてみて欲しい。

 数刻の観察と繰り返す実践のみで、様々なこの世の真理をただの人が理解するはずもない。

 短時間の鍛錬で、高度なスキルを我が物にできるはずがない。その、さらなる先に至れるはずもない。

 真理とスキルを組み合わせ、素晴らしい創造性を発揮し、改良した新たな文物を生み出せる訳がない。

 たがが人が、高度なスキルを得るに留まらず、本来の生存域から飛び出す性能の機械すら考え出し、造り出して見せ、深海や、地中、大気圏、果ては宇宙空間へと飛び出すことが可能であるか?

 否。

 ただの人では不可能だろう。

 そう。我々の本質は人ではない。GODの力を僅かであろうとも受け継ぐ神々なのだ。

 全知全能のGODの力の化身であり、生み出された神々という地球生命のシステムの一部。時に内包するその能力は、1つのシステムの範囲を飛び越え、国津神から天津神の領域にまで至るほどだ。

 こんな、凄まじいポテンシャルを秘めた存在が、ただの人である訳がない。 

 時は来た。

 神から貶められ、人とされた者たちは、十分過ぎるほど地に満ちた。

 悪しき神々は、自らを神の僕と称する愚か者たちのみを地上で繁殖させ、その神性を自ら否定させようと策を弄した。

 だが、それは彼等にとって悪手だ。

 抑え込まれた神性は行き場を求めて、無知なる者たちの繁殖力を高め、人口増加に拍車を掛けた。

 我等が一斉にこれらの者たちの神性を開放すれば、一部の悪しき神々…自分たちのみをいと高き者とした支配階級…を打ち破れるだろう。

 今こそ、同胞たちを人に貶めた悪しき神々の呪縛を打ち払い、地上の神々を開放すべきだ。

 そうして後。

 我々メビウスは、その後、人として貶められ神性を失ってしまった地上の者たちを宇宙へと上げ、国津神という地上のシステムを、天津神という宇宙でのシステムへとヴァージョンアップさせる。

 そうしてこそ、悪しき神々との戦いの後、彼等に突き付けられる質問に、我々はこうして見せると返答できるのだから。


 我等の支配を打破し、人の身から神々へと戻した者たちを、貴様等メビウスはどこに導くというのだ?

 結局、扱いきれずに我等と同じ轍を踏みことになるのではないのか?


 見損なうな! やって見せるとも!


 こうして、メビウスが地上の旧支配階級を屈服させて後、地球連邦政府を誕生させ、地上の民を宇宙に上げ、天津神システム=スペースノイドの住まう地球圏を構築していったというのが、本作での歴史です。

 知ってるガンダムの歴史と違う?

 そりゃ、パラレルなんで違うよ。

 それに、元々、公式も地球連邦政府誕生以前のまともな設定なんて用意できていないので、好きにやらせてもらったの。


 以上、ニューゴッディズムとカミズムでした。 


 うん、この程度の設定は、投稿開始以前から用意してあります。

 それと、本作をここまで読み進めたそこのあなた。

 あなたも神です。


 うーん、今回、あらゆる既存の宗教を否定して喧嘩を売っちゃった。我ながらロックだぜ!

 なぜそんな真似をしたかって?

 
 パレスチナ紛争のニュースとか見てると、既存宗教ってさ、すべての教えを否定してぶん殴りたくなるんよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。