機動戦士ガンダム フルダブル 幻想純化奇譚 作:プリエ・エトワール
…いつも投稿してから、あそこの表現はこうしておけば…そう思い付くのか。
パソコンの電源を落としてから思い付くと、最悪な気分になる。
翌日は仕事だから寝る必要があって、だいたい手直しできないし。
誤字や脱字も直したい。
まあ、少しづつでも改善させていくので、大目に見てください。
地上の戦い4
そこは、連邦軍東欧管区クラクフ基地より、南東80キロ付近であった。
迫りくる追っ手を前に、この地に鎮座した小隊の隊長、アギト・オルタリングは滾っていた。アギトたちはクラクフ基地襲撃からの戦いで、これまで追手のジムタイプ8機を撃破、2機の戦術輸送機ミデアを撃墜していた。
また、連邦軍基地へと与えた人的、物理的、戦略的被害は甚大なものであった。今後、地球連邦軍の同地方軍管区での作戦行動は、どれも厳しいものとなるだろう。
クラクフを中継基地とした作戦統制能力は著しく低下し、物資、戦力の運搬能力を元通りに改善するには、かなりの日数が必要となる。
それのみならず、一方的に攻撃され、その下手人も逃がしたとあっては、先の大戦での欧州全体での大敗も併せて、クラクフ基地の評価は地に落ちる。
その汚名を雪ぐことは、下手人の駆除なくしては儘ならないだろう。
このまま雪辱を果たせぬのなら、同軍管区の連邦軍将兵たちは、ジオン残党狩り部隊ティターンズの風下に追いやられ、顎で使われる立場となるだろう。
それ故に、連邦の東欧管区方面軍は、執拗にアギト隊へと襲い掛かってきていた。
そして、三度、襲い来る連邦軍の追手。相手の数はモビルスーツ9!
これが滾らずにいられようか。
「いくぞ! ギャレン! カリス! ジェットストリームアタックαを仕掛ける!」
「準備はできているぜ!」
「承った! 参る!」
一体、どこからそのように高度な技術の塊を手に入れたのか?
Iフィールド集積装甲によって強化された量産型ビグザム改を先鋒とし、二番手、三番手をドムタイプが務めるジェットストリームアタックが開始される。
迎え撃つは、公国軍残党によるクラクフ基地襲撃を知り、追手となった同管区所属のジムタイプ部隊であった。
「くそ! ビームスプレーも実体弾も寄せ付けんだと! シュツルムファウストを使え! ビームサーベルの間合いへ潜り込む隙をつくれ!」
さすがはジムタイプ3個小隊を率いる中隊長(三個小隊合わせて中隊)である。Iフィールドとルナチタニウム合金合わせ技の集積装甲相手では、ビームスプレーガンも大型マシンガンも通用しないとすぐさま見切った。
対MS戦で、高い装甲貫通能力を持つシュツルムファウスト使用は、適確な判断だ。
だが遅い。
この時、ベルトタイミングで大地へと着弾する別動隊ギルスからの砲撃。その砲撃が牽制となり、
すわ伏兵か!?
と、連邦軍ジムタイプ全機の動きが一瞬止まった。当然、シュツルムファウスト、ビームサーベルへと武装を持ち替える手もだ。
「はっ! はあっ!(いいタイミングだ! ギルス隊!)」
「貰った!」
「大地に散れ!」
閃光弾雨飛び交う戦場を、量産型ビグザム改を先鋒にしたアギト隊が駆け抜けていく。敵機先陣へと急速に間合いを詰め、ジムタイプ3機へと襲い掛かっていった。
さらに。
「目潰しを喰らいな!」
後方ドムタイプ2機による胸部拡散ビーム砲二重奏である。ドムタイプの放つ拡散ビーム砲は、敵モビルスーツを撃破するほどの出力はないが、周囲のモビルスーツ隊のセンサーを一時的に晦ますには最適である。
拡散ビームが闇夜を斬り裂き、周辺広範囲を閃光に染め上げた。
「く!? うおおお!!」
見えぬ!
敵機との間合いも不完全にしか掴めぬままに、シュツルムファウストを発射し、ビームサーベルを振り回す、あてずっぽうの反撃。
必死、決死の覚悟で反撃に移る、連邦軍先陣のジムタイプ3機であった。
無論、そんな当てずっぽうの攻撃で、重武装と高機動を活かした機動を取る、アギト隊を迎撃できるはずもない。
「星(撃墜マークのこと)、いただく!」
閃光の中、敵前で踊るジムタイプ3機。それらと対照的に、ジオン系列の高性能モノアイ搭載機である量産型ビグザム改、ドムタイプ2機は、拡散粒子の目晦ましをものともせず、ジムタイプを次々捉え、撃破していった。
サブアームに持つビームサーベルで刺突攻撃を繰り出す量産型ビグザム改。星1。
頑強な構造を持つ重モビルスーツドムが、片腕に抱えたジャイアントバズから放った実体弾の一撃。星1。
そして、ジャイアントバズに続き、もう一方の腕からシュツルムファウストを放つ最後尾のドム。前陣のジムタイプに続き、右後方に控えていたもう1機のジムタイプをも沈黙させる。 星2。
そのままアギト隊は動きを止めず、残るジムタイプ小隊が、もう一方のジム小隊の盾になる位置にまで移動を果たすのだった。
この打ち込みの成功により、ついにアギト小隊は撃墜数10の大台に達し、計12機ものジムタイプを撃破したこととなる。ギルス隊との連携あってのこととはいえ、恐るべき戦果であった。
強い!
我々は強い!
連邦軍の心胆寒からしめるほどに!
アギト隊隊長、アギト・オルタリングはさらに滾った。
アギトは、これまでジオン公国軍敗残兵として、地球各地を転々と逃げ回った身の上であった。アギトは、その哀れな狩られる立場から一転、狩る立場となったのである。
これが滾らずにいられようか。正気を失いそうになるほどに。
アギトは、もう乗機の量産型ビグザム改が、善意の支援者から送られた出自不明の機体であることも忘れ、子供のようにその力に酔い痴れていた。
自分の身の丈に合わない力を準備もないまま突然渡されたなら、誰だって一時的に狂ってしまう。それが強力であればあるほど、その狂喜は大きくなる。
アギトの今の状態は、まさにそれであった。
そう。
この瞬間、アギトは、彼と彼たちに量産型ビグザム改を供与してきた、善意の支援者たちの傀儡…人形と成り果てていた。
見るがよい! 連邦の猟犬共よ!
この闘争心が続く限り、俺は戦い続ける!
この地球上を! 紅蓮の炎で焼き尽くすのだ!
「おおっ! うおおおおおお!!」
「はあっ! はっはっはっはぁあっ!!」
「今宵のムラマサは血に飢えておる!!」
闘争心を暴走させ、狂気に支配されてアギトが叫ぶ。生者たちに死を宣告する死神のように。
その獣へと退化したような意思は、すぐさま、僚機を駆る同部隊の部下たちへと伝播していった。
ある意味、過去にその闘争心の赴くままに、地球圏でその人口の半数以上を死に追いやった、人類史上最悪の軍隊残党に相応しい姿であった。
ただ、操る者が、ザビ家の者たちから善意の支援者に交代しただけで。
宇宙空間で虐殺の限りを尽くした獣たちが、地上で再び残虐の限りを尽くさん!…とでも言うかのように。
地上の戦い5に続く
メモ
ドムタイプの胸部拡散ビーム砲いいよね。
ちなみに、アギト隊、ギルス隊が、連邦軍の網にかからず気付かれずにクラクフ基地に接近できた理由も、善意の支援者たちが便宜を図ってくれたから。
いったい、どこのニタ研の連中なのかしらん?
やっぱり、ライバル陣営の弱体化や追い落としは、テロリストを利用する方法が後腐れなくて使い勝手が良いよね。
物理的な優秀な人材の排除、敵方のリソースの低下。
雇ったテロリスト側も、その場で死んでくれれば、なお良し!