個性【不変】のヒーローアカデミア 作:アンデラ伝道したいマン
『アンデットアンラック』のジーナ=チェンバーの持つ能力に関しても独自解釈や考察が多分に含まれています。
読まなくとも大きく問題はないかと。
苦手な方は〔後書き〕より、あらすじを確認してください。
あの日、爆豪勝己がヘドロ
これまでは正直、ヒーローに成りたいというだけの口だけの子どもだったのが、少しずつ筋肉が付きはじめ、朝や夜に日課にしていたランニングで一緒になる機会もあった。家が近いから、もちろん偶に勝己ともバッティングしてしまい、勝己が「チ゛」みたいな舌打ちをしていた。
まぁともあれ、言い方は悪いが出久は随分とらしくなってきたと思う。
そのせいなのか、出久と勝己の関係も少し変わって、あの日から出久に勝己が絡むことはなくなった。
雄英高等学校ヒーロー科の実技入学試験までおよそ7か月。
冬の匂いが残った春の陽気も過ぎ去り、季節はすっかり夏へと移り変わった。
期末試験も終わりもう夏季長期休暇、つまり夏休みに入った。
トレーニングをし続けていた勝己、そして始めた出久に見習って私もしっかりと計画していた。
私、ジーナ=チェンバーの身体能力はかなり高い方だ。
身長は女子にしても小さい方だが、身体能力は男子、それこそ勝己と比べても遜色なく、一部の体力測定の種目では勝っているものすら存在する。
まぁ、アニメのジーナさんの健脚具合をみたら当然だ。
体力、肉体づくり、という面に関しては元から恵まれているのと、日々のトレーニングによってある程度形になっているように思う。
そうなると、後は武道とかそういう戦いの術と〝個性〟の特訓が必要だと思い、まとまった時間が取れたら一度じっくりと時間をかけよう、そう考えていたのだ。
実は転生してから最初はものすごく興奮した。
だって、好きな漫画の好きなキャラクターになったんだから、そのキャラがどんな力なのか原作再現とか色々自分の手でやってみたくなるのが道理、いや作法というものじゃないか?
でも、その考えはすぐになくなった。
なんてことはない。
ただ、
「私も…向き合う時が来た、てことかなお祖母ちゃん…」
チーン、とおりんを鳴らし、朝の日課である家族への挨拶を済ませ私は息を一つ吐いた。
朝食や朝の身支度を全て終わらせると、私は家の地下室の方へと歩き出す。
地下室は無機質な感じの部屋で床、壁、天井、全面に防音や刺突打撃など各種衝撃等に強い素材で地面はある程度柔らかくて体術のトレーニングをしても問題がないような作りになっている。
「いやぁ…元々ヒーローのサポートアイテムの制作とかしてたらしいけど、お父さんどんな物作ってたわけ? 家引き継ぐ時に爆弾とか爆破処理させる予定でもあるの? て弁護士さんとかに言われた時は耳を疑ったよね」
お父さんが使っていたテーブルなどはそのままに、部屋にはトレーニング用の器具が置いてあるが、それでも十分広くてここで模擬戦をしても困らないくらいはある。ちなみに天井もかなりの高さがとられている。…ほんと、お父さんココで何つくってたんだろうね?
「でもまぁ…今はソレが助かってるんだけどね」
グっグっ、と体を解し、身体を動かすための準備運動をしながら独り言を呟く。
「さて、始めよっか」
最後にもう一度、手を重ねて名いっぱい伸びをする。
そして、手をギュっと握って開けて、を何度か繰り返す。
――§――
私の〝個性〟の由来となっているだろう『アンデットアンラック』のジーナ=チェンバーの持つ【否定能力】である【
これは文字通り、自分以外に能力を任意で付与する、という形の能力だ。
そして、発動条件は素手、または素足に触れる事。
そうすることで、触れた生物以外のモノの形の変化を否定する、そういう能力だとされていた。
「よし。念の為ね、一からちゃんと確認するよ」
そう独りごちると、バケツの水を桶に移して私は素手で触っていく。
何度か素手や素足で接触する部分を変えて具体的な接触範囲を洗い出していく。
一応入浴の時などで手と足以外の素肌に触れることで発動するのか、という確認をしたが素手と素足以外での接触で発動することはできなかった。
「うん。発動条件は原作の方と違いなさそうだね。もっというと掌と足の裏で直接素手、素足の状態で一部でも接触すれば発動可能、と」
しっかりと自分自身で理解するように声に出しながら、分かったことを幼馴染に習ってノートに付けていく。
「次は発動した〝不変〟の範囲変更と接触した状態での発動対象の選定、と……」
もう一度、桶に入った水に掌全体で接触する。
今回確認したい発動対象の選定、というのは生物以外~という様な事ではない。
例えるなら、お風呂とかプールとかそういう一つの大きな水溜まりに能力を付与しようとした場合、接触した場所から放射線状にしか〝個性〟を付与できないのか。
あるいは接触していたら全体が発動の対象として認識され、こちらの任意によって手から離れた場所の一部分を任意の形だけを不変にすることができるのかという事である。
まずは桶に入った水の輪郭に沿うようにして、周りだけに〝不変〟を付与する。
桶を逆さまにすると、まるで周りだけ凍ってしまったように水が固体化して出てきた。
ソレを持って振ると、チャポチャポと音がして、やはり凍ったばかりの水のように周りだけが固体化している。
それを見て一つ頷くと、今度はその固定した水を置き、少し離れてから触らずに〝個性〟を今度は内までしっかりと〝不変〟にするイメージで使用する。
しかし、案の定、〝個性〟が発動した感覚はなかった。
「遠隔での〝不変〟範囲の変更は無理そうね……」
次に水を持った状態で外殻だけでなく、中まで〝個性〟を使用する。
今度は、さっきと違って〝個性〟が発動した感覚がした。
そのまま〝不変〟にした水を桶の上に持っていき、個性の範囲の変更を行っていく。
まずは、また内部だけを解除――成功。次に、また全部を〝不変〟にして、今度はゆで卵の殻を剝くようなイメージで外側の一部分だけを解除――成功。更にその水から中心に球体状のみを残して解除――成功。残した球体の中にも何層かに重ねるようにして水を〝不変〟の膜のような形に生成――成功。最後に多層構造にした水を桶に入れて、遠隔で一枚ずつ外側を解除――成功。
「おー。解除は接触してなくてもできるんだ。うーん接触ていう条件は必要になるけど、一度〝不変〟にしたモノでも再度、〝不変〟にする形状とかの変更はノータイムで問題なさそう。ていうか〝個性〟の感覚的に一瞬解除して即座に発動してる感じかな? んで後、これが一番大事かも」
そう言って一度言葉を区切る。
「接触時間によって〝個性〟の影響範囲が増減するすることはないんだね。一瞬でも触れたら最大範囲まとめて〝不変〟にできそう。あと、全然使ったことなかったから知らなかったけど、発動しようと意識しながらモノに接触すると〝個性〟の影響範囲が感覚的に理解できるんだね……」
ここに勝己でもいれば、ジーナのこともたいがい
よし、と気を良くした私は、桶の上で手を振り水を飛ばすと、そのまま右手を上に上げて部屋の空気に〝不変〟を使おうとする。
すると、感覚的に部屋のものに沿って空気の形が理解できる。
「まじでか。よもやよもやとは思ってたけど、密室とか建物の中の空気に〝不変〟使おうとすると人の形とか浮き彫りになって索敵とかできるじゃんか……今度ショッピングモールとかで使おうとしてみようかな……」
そんな邪な考えを抱いてしまい、頭を振ってまだ確認すべきことはたくさんある、と気持ちを入れ替える。
ブツブツ、と確認できたものを自分で理解できるように口に出しながら、顎に手をあてながら桶の方へと歩いていく。
「よし、次は発動条件を満たした〝不変〟の対象選定、まぁ柔軟に使えるかだよね」
そう一人で言いながら、今度はピンッと、人差し指だけを立てて桶に張ってある水に接触する。
接触箇所での〝不変〟付与が可能なのはさっきら何度も〝個性〟を使用している所からも間違いはない。
だから、今度は触っている部分とは違う場所
「くぅ……あーなるほど? 自分の近くじゃない場所だけを〝不変〟にすることもできるんだね……だから空気なのか。でも、死ぬほど精神削られるんですけど!」
大きな声を上げて思わずへたり込む。
この実験で分かったのは、自分から離れた場所だけでも〝不変〟にすることは可能。しかし、〝不変〟にする形状などは全部自分の感覚、もっと言うならイメージでやるから自分から繋がって離れた場所
今は〝個性〟の確認として視覚化できる水を用いているが、実際の運用では視覚化の難しい空気を用いることが大きな要因だろう。
結論。自身、接触個所から離れた場所であっても連続した一塊の〝不変〟の効果対象で範囲内であるならば問題なく特定の場所だけを〝不変〟にすることはできるが、実際の戦闘では主に空気という見えないものを〝個性〟の対象として用いるため、細かな制御や〝不変〟にするために意識を割く必要があり実践投入は現段階では不可能。
「後なんか……あ! そうだそうだ。アレ確認しときたいや」
実は『アンデッドアンラック』の漫画を前世で読んでいた時から何個か気になっていた描写がある。
まず、原作においてジーナさんはバイカル湖を調査する際に湖を何回か【
その際に調査を行ったディスクという
しかしアニメや漫画においてジーナさんが鍔迫り合いをするシーンに、高さを盛るために足元のその【
作者の方がかなり細かな描写をするので、もしジーナさんが戦闘中にそういう援助を求めていたなら何かしら通信機であるバッチに触れたり、ボソッというような描写があるように思う。
もっともその際に、戦った相手が好きな人で誰にも邪魔されたくないジーナさんがそういう援護であれなんであれ自分とその人、アンディ以外の介入を求めるとは思えなかった。
つまり、【
使用―――解除―――使用―――解除
という形であれば、間に木などがあっても壊れない。なぜなら解除し、再使用して範囲を断続的に伸ばしているのなら、それは一見すると連続して伸びているように錯覚するが、実際にはその部分を範囲になっているだけで何か物がぶつかる訳ではない。
しかし、実際の描写では【
続けてもう一つ気になる点を列挙しておこう。それは、【
原作では主に形状の変化、という限られたものを否定して用いられているが、それだけでは説明が付きづらい現象が起きていると思う。
例えば、ジーナさんが【
ジーナさんは防御の際に空気を【
このバリアに対してアンディという大柄、筋肉質でさらに速度をブーストさせた抜刀術による一撃を繰り出し、難なく防ぐ。この一撃を防げたこと自体に疑問はない。ただ、その一撃を受けてジーナさんが衝撃で吹っ飛ばなかったことが疑問なのだ。
吹っ飛ばないことが疑問、というのはジーナさんはあくまでも空気の形状の変化を否定することで、空気を物質化するような方法だと思うが、最強の絶対に壊れない盾を持っていても女性が身の丈の倍もあるような大男に、突進され、踏ん張ることもなく直立で難なく後ろへと押し負けない、ということはあるのだろうか、という事だ。
また、これに加えてジーナさんの攻撃の方法に関しても首をひねる所がある。
攻撃に関してジーナさんは主に二つの運用で扱っていた。
一つ、噴出した空気の形状を固定し、それを高速回転させることで切り裂く、チェンソーの様な運用。また、この運用と類似する方法として直線上に固定した空気で敵を周囲の木々もろとも両断する運用も行っている。
そしてもう一つ、周囲の空気の形状そのものを好きに固定して、それを用いた打撃や圧殺。
後者に関してはさっき考えたようにジーナさんの感覚的には断続的に使用している【否定能力】だが、実際には連続した現象、絶対に壊れない壁が高速で迫ってくる、と考えればある程度納得がいく。
そして、前者に関してだが、これは木々を破壊できること自体に疑問はないのだが、熱した包丁で発泡スチロールを切るように平らで滑らかな平面を一撫でするだけで両断することができるのだろうか。
そして、これらの運用方法を形状変化の否定
これを説明するためには、『アンデットアンラック』における【否定能力】の立ち位置や世界観を知る必要があると思う。
『アンデットアンラック』という作品において【否定能力】は、〝個性〟のように身体能力の延長、という捉え方をされていない。そもそも世界が神によって作り出され、世界における
例えば「秋」というUMAがいなくなれば、秋という季節自体はなくなるが、温度や雪、風など様々なUMAを使って、疑似的に秋の気候をもたらすことが出来る。
逆に言えば温度は、四季を司るUMAがいればそれに即した気温となって、別にいなくとも問題なく世界の運行はできるのだろう。多分。
ともかく、〝否定能力〟は、その理の一つを【否定】する力で神から魂に付与されるものだ。
そして【
では、変化のUMAとはどのような存在なのか。
『アンデットアンラック』の作中には「
これを踏まえて考えると、『アンデットアンラック』の世界では初めに魂があり、死という現象が生じて人に肉体がもたらされた。
だが、それでも世界は停滞している。
ただ魂という不滅の状態といずれ死に至る肉体が存在するが、実際にはどちらかの状態で人々は固定され、二分されていて、時間が止まった世界みたいなものではないか。
そして、そこに「変化」という理が生まれることで世界はやっと動き出す。
破壊、移動、老化、減少、進化、成長、退化、どのような歩みであってもそれらは「変化」という理に総括することができるということではないか。
つまり【
何度も言う様に【否定能力】は〝個性〟とは異なり、身体能力の延長ではなく、間違いなく神から与えられる概念を世界の理を否定するルールそのものだ。
物理的だけでなくその【否定能力】が否定するモノの範囲であれば物理法則や形而上学的なモノであろうとも無視される。
ジーナさんの斬撃でいうなら、あらゆる変化を否定したその空気が通ったのだから、空気が変化することなく、経路上にあるものが変化するしかない。
つまり、道開けろやボケェというように私は不変なのでお前が変われ、といって変化を押し付けている、というようなイメージだ。
もっとも、ジーナさんたちがこういったことに気付かなったのは、私たち読者のように「UMA」側の事情を把握していなかった点に加え、なによりもそもそもジーナさんが戦う上でそこまで【否定能力】に関して考察を深める必要なく圧倒することができてしまったからだろう。
「とまぁ、グダグダ考えてみたはいいけど私の〝個性〟として〝不変〟がどこまでやれんのかは謎だけどね! まぁ、自分で考えた最強の○○ってのは楽しいよね後で書いておこっと」
ブツブツ言いながら、私は畳んでいたテーブルを組み立て、そしてその上に空き缶やペットボトルを乗せて、距離をとる。
「まぁ、勝己を助けたときみたいに煙突みたいな形にした空気が勝己の首に引っかかってエリザベスカラーみたいになってないところを見るに位置の変化も否定できそうだよねぇ……。おっと、考察はそこまでにして自分の〝個性〟を確かめないと。付け焼き刃じゃ何年も憧れた人達に勝てないからね」
一つ伸びをして、よしっと自分の手で両頬を勢いよく挟んで気持ちを切り替える。
片手を前に突き出して、照準を合わせるように〝不変〟を伸ばすッ! というイメージ明確に持って〝個性〟を使用する。
(想起しやすいのは普通漫画とアニメで見たジーナさんみたいな手の形のハズなんだけどねぇ……なぜか私は手の形にできないんだよね。捕まえたいとか強い意志がないから、形が手である必要がないからかな? じゃあ、まぁ分かりやすく四角形で)
キューブ状に空気の形を固める。空気をその場にあるように強くイメージすると、物質のようになった空気は落ちることなく、そのままズドンッ!! という大きな音を立て、ペットボトルを吹っ飛ばし、少し壁をへこませた。
「……。えっと伸縮速度はよう調整かな? というか、よかったただの物質化の方で……。ジーナさん達みたいな方法だったら家の壁貫通してた」
想定外、いや喜ばしいことに想定よりもはるかに現段階で威力を出すことができて喜びの武者震いで思わず旋律する。ワクワクである。決してビクビクではない。怖くなんてなかった。うん本当。
「とりま、とりまコレで。あとはあの空中階段やろう。ヒーローなるなら機動力も大事だからね」
地下にいた私は夜も更けてきたことにも気が付かず、さっきの音、いや揺れが運よく様子を見にきていた光己さんがドタドタと引子さんがドバっと涙を溢れさせながら地下室に駆け込んでくるまで私は黙々と〝個性〟を把握するためにあれやこれやと試していた。
蝉がミンミンと鳴き声を上げ、ジリジリと暑い夏。
雄英高等学校ヒーロー科の実技入学試験までおよそ7か月。
小さな頃からヒーローに憧れ、夢見たみんなとは違って、急遽そういう道に進んだ私はもっと頑張らなくてならない。
特訓は踊り、されど検証は進まずといった具合だ。
「ちょっ!? ジーナちゃん!! な、何今の揺れ!」
「じ、じぃなあちゃん!! 怪我、怪我してないぃ!?」
――§――
わたしのかんがえた、さいきょーのじーなさんちゃん!おんとしろく(((殴
【PHASE1】
生物と概念以外の存在する物質の形状を不変、すなわち物質化させることが可能である。
発動条件は素足または素手での接触。すなわち接触できないものには使用ができない。
【PHASE2】
不変の対象は同じだが、不変にできる範囲が広がる。
空気を不変にした場合、【PHASE2】になると、位置の変化も否定することができる。
発動条件は【PHASE1】と同じ。
(ここまでは無意識的に使い分けている)
【PHASE3】
生物、概念など対象の制限がなくなる。
一つ一つ違ったものを細かに指定して変化の否定を行うことができるようになる。
水の温度のみ。水の柔らかさ。水の流れなど。
発動条件が接触が必要なくなり、見る(視界内)あるいは特定範囲内となる。
ついに夏休みに突入し、雄英高等学校ヒーロー科の実技入学試験までおよそ7か月。
恵まれた身体能力をもったジーナな日々、勝己と組手をしたり、ランニングで基礎体力等を付けながらも自身の鍛えるべき点をすでに理解していた。
ある事柄をきっかけに自身の〝個性〟と距離をとっていたジーナだが、幼馴染である出久と勝己がヒーローというクレイジーな夢を叶えるために難関高等学校のヒーロー科を受験することを知ってから覚悟を決めた。
今度こと自分の好きなものを守れるようにジーナは