桐生悟は見守りたい   作:仮面大佐

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第13話 石上優は生き残りたい

 藤原と悟が白銀の地獄のバレー特訓を経験した後、相合傘関連のイベントがあった事は、悟は知らなかった。

 ちなみに、用事があって早く帰ったからだ。

 そんな事はさておき、生徒会メンバーは、もう1人存在する。

 生徒会第五のメンバー、石上優。

 彼は会計担当であり、白銀がスカウトしたのだ。

 

「今月の会計報告です」

「ああ、ありがとう」

「…………どうした?石上?」

 

 石上は会計報告をまとめたUSBメモリを置くと、白銀はそう言う。

 悟は石上が何かを言いたそうにしているのに気づいて、そう聞く。

 すると、石上は口を開く。

 

「はい。生徒会を辞めたいんです」

 

 石上は登場早々、生徒会を辞めようとしていた。

 それを聞いた白銀は。

 

「なるほど。生徒会を辞める……………」

 

 白銀は石上の言葉を確認する為にそう言う。

 すると。

 

勘弁してくれ!お前が居ないと、桐生の負担が倍増して、この生徒会マジで破綻する!このとーり!

「嘘だろ……………⁉︎」

 

 白銀はそう叫ぶと、机に頭をぶつけて頭を下げ、思い留まる様に説得する。

 悟はそれを聞いて、唖然としていた。

 石上優。

 彼はデータ処理のエキスパートである。

 この秀知院学園は、会長のみが選挙で選出されて、他の役員は能力に応じて任命されるシステムである。

 石上は入学間も無い一年生でありながらも、生徒会にスカウトされた逸材である。

 普段、仕事は持ち帰り、生徒会には顔合わせ程度でしか顔を出さないが、歴とした生徒会のメンバーである。

 すると、悟は口を開く。

 

「…………まあ、最終的な結論は置いておくとして、何で辞めるんだ?何かあったのか?」

「僕としても辞めたくて辞める訳じゃありません。けれど、どうしようもない理由があって…………」

「理由?」

 

 悟はひとまず、事情を聞く事にした。

 家庭の事情など、やむを得ない可能性があるからだ。

 悟の問いに石上がそう答えると、白銀は話す様に促す。

 すると。

 

「…………僕、多分殺されると思うんです」

「ころっ⁉︎」

「えっ?誰に?」

「四宮先輩です。多分僕あの人にそろそろ殺されると思うんです」

「な…………何で四宮がお前を殺すなんて言うんだ?何を根拠にして…………」

 

 石上は涙を流しながらそんな風に言う。

 かぐやに殺されるかもしれない。

 そんな言葉に2人が動揺し、白銀がそう聞くと、石上は口を開く。

 

「眼です」

「「眼…………?」」

「人の眼球は脳に直結した器官であり常時脳の半分は視覚処理に使われています。眼球の動きは何を警戒して何に飢えてるか脳の活動が明確にでる器官なのです。僕、眼を見ればその人の本性が5~6%判るんです」

「微妙な数字!それくらいなら多分俺も出来るわ!」

 

 石上がそう言うと、2人はそう聞く。

 それに対して、石上はその根拠を語っていく。

 石上の5〜6%という数字を聞いて、白銀がそう言う中、石上は口を開く。

 

「四宮先輩はたまに、すごい眼で僕を見るんです。あれはそう…………紛れもなく殺意です」

「一体、何があったんだ…………?」

 

 石上がそんな風に言うと、悟はそんな風に問いかける。

 すると、石上はある事を思い出していた。

 


 

 それは、先月の事だった。

 その日は、悟と石上が生徒会室に居て、2人は作業をしていた。

 プリントを机の下に落としてしまい、石上はそのプリントを拾おうとする。

 すると、石上はある物に気づいた。

 それは、喫茶店のブレンドコーヒーの無料引換券だった。

 

『何だろ?これ…………』

 

 石上はそれを見て、首を傾げる中、生徒会室に白銀とかぐやの2人が入ってくる。

 

『でもやはり、時間を潰すのは最適だと考える人は多いのではないでしょうか?』

『喫茶店はなかなか行かないな。結構高くつくだろ?あれ』

『そうですね。どこかに割引券でもあれば…………話は別なんですが……………』

 

 白銀とかぐやはそんな風に話していた。

 かぐやはそんな風に言うと、机の下を探る。

 だが、かぐやは何もない事に違和感を抱いていた。

 そんな中、悟は口を開く。

 

『何の話だ?』

『いやな、四宮が喫茶店で時間を潰すのが最適だと話していてな。まあ、安ければたまには良いかもな』

 

 悟がそう聞くと、白銀は新聞を読みながらそんな風に答える。

 すると、かぐやはある事に気づいた。

 机の下に隠していた割引券が無い事に。

 そして、その割引券を石上が持っている事に。

 

『ん?』

 

 石上はある気配に気づいて、かぐやの方を見る。

 そこには、凄まじい目を向けるかぐやの姿があった。

 かぐやは石上に近づき、石上のヘッドホンの左耳部分を開けると。

 

そのチケットについては、他言しないでおく事ね

 

 かぐやはそんな風に脅しをかけた。

 


 

 それを思い出した石上は。

 

「何があったかは……脅されているので、言えません」

「おどっ⁉︎」

「えっ…………⁉︎」

「多分あの人、既に2〜3人は殺ってますよ」

「何があったんだ⁉︎」

 

 石上はそんな風に言う。

 それを聞いて、白銀と悟が困惑すると石上はそう言う。

 白銀がそう聞くと。

 

「あれは…………先週の事です」

 

 石上はそう言うと、ある出来事を話す。

 


 

 それは、生徒会室にかぐやと石上以外がいない状況。

 石上は、かぐやに質問をする。

 

『四宮先輩って、会長の事好きなんですか?』

『ぶーっ⁉︎私が…………会長を⁉︎馬鹿な事言わないで頂戴!そんな訳ないでしょう!』

 

 石上がそう聞くと、かぐやは飲んでいた紅茶を噴き出して、そんな風に答える。

 核心をつかれて、かなり動揺していた。

 それを聞いた石上は。

 

『恋愛対象として、見てないんですか?』

『え、ええ…………もちろん……………!』

『本当に?』

『むしろ、そんな噂されて迷惑な位です!』

 

 石上がそう聞くと、かぐやはそう答える。

 かなり動揺しているのか、紅茶の入ったカップを揺らしまくっていた。

 それを聞いた石上は。

 

『『そうなのか…………2人はお似合いだと思っていたんだけど…………』じゃあ、それとなく会長に伝えておきますよ。脈なしだって』

 

 石上は、かぐやの言葉を真に受けて、そんな風に思うとそう言って去ろうとする。

 かぐやの言葉は、プライドの高さからくる照れ隠しの類だったのだが。

 すると、それを聞いたかぐやは石上の制服のシャツの部分を掴むと。

 

『絶対にやめなさい……………!聞いてますか…………⁉︎』

 

 かぐやはソファーの角を使って石上の首を絞める。

 


 

 それを聞いた悟は。

 

「そんな事が…………⁉︎」

「多分、暗殺術極めてます」

「暗殺術⁉︎」

「ソファの角使って絞めに来るとか、プロですよ」

「お前は四宮を何だと思ってるんだ⁉︎」

 

 悟はそう呟いた。

 石上に対する発言が照れ隠しの類なのが分かっていたが、それよりもソファの角を使って絞めに来る方のインパクトが強かったのだ。

 石上がそう呟くと、白銀はそう聞く。

 すると。

 

「彼女は恐らく、根っからのシリアルキラーです。目を見れば分かります」

「精度5〜6%の目、信じすぎじゃね⁉︎」

「藤原先輩なんて、僕よりもヤバいです。時々、人として見てない眼で見られてます。あれはもって2ヶ月と言ったところですね。お別れを済ませておいた方がいいでしょう」

「余命宣告⁉︎」

『…………まあ、あれは藤原が四宮さんの怒りを買う真似をしてるからだけど…………』

 

 石上は震えながらそんな風に言う。

 それを聞いて、白銀がそう突っ込む中、石上は藤原に関してそう言うと、白銀はそう突っ込み、悟はそう思う。

 藤原がかぐやの怒りを買う様な真似をしているのは分かっているからだ。

 すると。

 

「会長だって危ないんですよ。たまに会長を獲物を狙う目で見てますよ。心当たりありませんか?」

「心当たりなんて、そんなもんない筈………」

 

 石上はそんな風に聞くと、白銀はそう言いながら、これまでの事を振り返る。

 すると、心当たりがあったのか、顔を青ざめて口を開く。

 

「心当たり、あるんだな…………」

「ば、バカな……そんな筈……」

「会長。ああいうタイプはヤバ…………」

 

 白銀の反応を見て、悟がそう聞くと、白銀はそう呟く。

 石上がそう言いかける中、扉が開くと。

 

会長………石上くん来てますか………?

「「「ぎゃあああああ⁉︎」」」

 

 そんな声と共に、かぐやが入ってくる。

 だが、かぐやの見た目は血濡れの服を着ていて、血がついた包丁を持っていた。

 それを見て、白銀たちはそう叫ぶと、石上を守る様に白銀と悟は立った。

 

「先ほど会議の……」

「これ以上罪を重ねるなぁー‼︎」

「演劇部の予算の話で……」

「自首するんだ四宮ぁー‼︎」

「もぉ……話を聞いてください!」

 

 かぐやがそう言う中、白銀はそう叫んだ。

 そんな白銀の反応に、かぐやはそんな風に叫んで、血塗れの包丁を勢いよく机に振り下ろす。

 しかし、振り下ろされた包丁はザクッと突き刺さらず、先端でグニャグニャ曲がり始める。

 

「……………え?」

「演劇部の助っ人に借り出されてるって言ったじゃないですか。今日はその衣装合わせなんです」

 

 それを見て、悟が困惑する中、かぐやはそう言う。

 演劇部の助っ人に呼ばれており、その衣装のまま来たのだ。

 

「びっくりした……………⁉︎」

「にしたって、そんな小道具まで持ってくる必要ないだろうに……」

「それは………えっと………ちょっとした悪戯心というか………ふふっ、ごめんなさい」

『可愛い』

 

 悟が安堵のため息を吐きながらそう言うと、白銀はそう指摘する。

 それを指摘されたかぐやはそんな風に答える。

 それを聞いて、白銀がそう思っていると。

 

「会長、これは罠です。そうやって可愛い風を装って油断させたところをザクッです」

「な…………⁉︎こ、怖い事言うなよ…………」

「大体、あれはただの演劇衣装。四宮は誰も殺してなんか…………」

 

 石上はそんなふうに言う。

 まだ信じきれていないのもあってか。

 悟と白銀がそんな風に言うと、扉が再び開いた。

 

「会長…………ぶはぁぁぁ⁉︎」

「「「っ⁉︎」」」

助けて…………!

 

 そんな声が聞こえてきて、3人は体をすくませる。

 すると、扉の方には胸にナイフが刺さった藤原の姿があった。

 それを見て、3人が唖然となっていると。

 

「かぐやさんに殺されちゃいました〜」

「やっぱり!」

「やっぱりってなんですか⁉︎ただの特殊メイクですよ!流れで分かるでしょう!」

「あ、そ、そうだよな……」

「さ、流石にな……………」

 

 藤原はにこやかにそう言い、白銀はそう叫ぶ。

 白銀の叫びにかぐやがツッコミを入れる。

 藤原も特殊メイクが施されているのだと。

 それを聞いて、白銀と悟が思い直すと。

 

「会長、これも罠です。多分彼女本当に死んでて、四宮先輩にヤバめの手術を………」

「…………石上会計。君はいつも被害妄想が過ぎる。四宮は絶対に人を殺したりなんかしない。もっと仲間を信じてみろよ。なっ?」

「仲間を…………信じる…………」

 

 石上は未だに信じきれていないのか、そんな風に言う。

 すると、それを聞いた白銀が諭す様にそう言う。

 石上がそうつぶやく中。

 

「すげーな、これ」

「でしょ〜?」

「どうやって刺さってんの?」

「そりゃあ、こうですよ!こう!」

「うわっ⁉︎」

 

 白銀と悟、藤原はそんな風に話をしていた。

 すると。

 

「仲間を…………信じる…………」

「石上くん。あの件………黙ってもらってて嬉しいです。口が固いのは美徳ですよね」

 

 石上がそう呟く中、四宮は微笑みながら石上に近づく。

 すると。

 

「もし喋っていたら………」

『心中…………⁉︎』

「おもちゃじゃ済みませんから」

 

 かぐやはそんな風に言うと、おもちゃの包丁を石上に当てる。

 ある種の脅しに、石上は恐怖で声も出ず、ただただ頷くだけであった。

 

「それと、会長を困らせてはいけませんよ?辞めるだなんて、もう言わないでくださいね」

「はっ⁉︎」

 

 かぐやは石上に対してそんな風に言う。

 それを聞いた石上は、ある事を悟った。

 

『この人…………もしかして…………最初から聴いてたんじゃ……………⁉︎』

 

 にこやかに話をするかぐやを見て、そんな風に思っていた。

 最初から聴いていたのではと。

 

 

本日の勝敗 石上の負け

かぐやが怖いから辞めたいけど、かぐやが怖いから辞められない為

 

 

 余談だが、2人が演劇部の助っ人として呼ばれたのは、『愛憎の女達』という劇だった。




今回はここまでです。
今回は、石上の初登場回です。
石上は序盤こそ、メンタルが弱く、度々帰っていましたが、最終的には藤原にダメージを与えられる存在になっていきましたからね。
本当に成長しましたね。
次回は、ネイルの回か、心理テストの回のどちらかにしようかなと思います。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
かぐや様のアニメは、劇場版で完結編をやるみたいですね。
この小説では、四宮家のお家騒動に関しては、どうするのかは考え中です。
アニメ版みたいにカットするのか、そのままやるのか。
リクエストがあれば、活動報告から承っております。
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