家入成り代わり(但し夏油傑は存在しないとする)   作:春さん

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※なお再会時期は宿儺受肉同時とする。




第一章
呪術廻戦の世界に転生したけれどもう一人の同級生がそもそもいなかったので私が家入に成りながら常識を教えて失踪するまでの話。


 

 

 

違和感、違和感、違和感、違和感、違和感。

産まれてから私はずっとその違和感を抱えながら生きてきた。

 

例えば、小学生。

1+1=?という問題が最初に出された時、誰も2と答えられないことに疑問を持ったし、初めてやる筈の計算式にどこか覚えがあったりした。

 

例えば、中学生。

なぜかはわからないけれど告白されたりした日々だったけど己の顔面に違和感を持ったり、なんなら20時を夜8時と即座に言えないことにも疑問を持った。

 

その " 違和感(引っ掛かって取れないモノ) " が、ふと鏡を見て私の名前を思い出して消え去った。

……そうだ。なんで今の今まで忘れてたんだろう。こんなにも違和感があったのに。

 

 

 

 

 

 

 

「──私家入硝子じゃん」

私の顔は家入硝子にすごく似合わない驚愕顔だった。

解釈違いで死のうかと考えたがやめといた。

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

家入硝子。

呪術廻戦のキャラの一人。

 

貴重な反転術式の使い手であり、2005年に黄金の世代と呼ばれた世代でさしす組の中の一人でもある。

ちなみに当然知っているかと思うがさしす組は悟、硝子、傑と初めの名前から来ていたりもする。

 

さて、そんなどうでもいいことは置いておこう。

実は原作の作中で使用したシーンが一度も描写されていないらしく、家入硝子が使う反転術式をなぜ作者が絵写しなかったのかと思っていたが成程と納得した。

 

 

──普通にめちゃグロい。

 

 

なんなら見せられるものじゃない。多分私が前世生きてなかったら普通に吐いてた。原作の家入さんも反転術式を使った最初ら辺はめっちゃ吐いてたと察せるもん。

 

だって考えても見て?死体同然の物体(モノ)が送られてくるとします、それを反転術式を使って死物狂いで直します、お礼もされずに戻りまた送られて来ます…このループ。

 

反転術式は元々呪力操作が(キモ)だからそんな多くは治せない筈なのよ?でもどんどん人が送られてくる。人も呪力を消費するからね、無限じゃないの。

無能呪術師が死地へ言って秒で帰って来るのと同じよ。そんなの私にはムリ。

…でも家入さんなら多分吐いてでもやってたんだろうな〜なんて思うから私も家入さんと同じように吐きながらやらざるを得ないんよね。

 

 

 

時は過ぎ、高校1年の入学式。

ようやくアニメのキャラたち(五条悟と夏油傑)に会えるのか、楽しみだなぁなんて思っていた。

生オッエ”ーも聞けるのかなーなんて期待していた。

 

 

「…へぇ、オマエ反転術式使えるんだ。マ、ヨロシク」

好奇心、興味深いなんて視線を向ける隣の五条悟。

 

 

しかし── そこに、夏油傑の姿はない。

なんなら席も2つしかない。

この時点でなんとなーく嫌な予感はしてたんだよね。

ホントに。

 

その嫌な予感が確信に変わったのは、あの夜蛾先生…未来では学長となる人物が来てからだった。

 

「担任の夜蛾正道だ。今年はこの呪術高専で2人(・・)の生徒を持てたこと、誇りに思う。」

 

2人…???え?夏油傑がいないってマジ????

どうやら私は原作の呪術廻戦ではなく夏油傑がいない世界線に来てしまったらしい。

 

「長話はいいからさっさと進めろよ」

気怠げにそう言う五条悟に私も表面上は気怠げそうにする。確実にここから夜蛾先生の胃もたれの日々が始まるのだ、どんまい。

 

(なーんか面倒くさいことになったなぁ)

 

「はぁ」なんて溜め息をついて、ついでにポケットの中を漁ってバレないように本数を数えてみる。

箱の中にはなにも入っていない。

 

(あ、煙草切らしてたんだった)

 

どうでもいいことだが私は原作の家入硝子と同じく煙草を吸っている。なんなら私の人生そのものを家入硝子と演じた。私は家入硝子になったのである(?)

 

 

 

閑話休題。

 

 

「………」

親友(相棒)がいなくて少し寂しそう、なんて思う私は異常だろうか。いや、正常だろう。

夏油傑がいないということはほぼ原作にはならないということでなにか異常が起きない限りは誰も離反もしないし親友という存在自体がいないということでもある。

つまり原作ブレイクになることは確定であるとも断言できる。

 

夏油傑がいない。

夏油傑がいなければ物語が成立しない。

 

 

…………あ、そうか。

 

 

 

 

 

 

なら、私がなればいいじゃん

 

 

 

 

 

 

 

五条悟と仲良くなって学友というポジションを勝ち取る。性格の補正は私がやればいい。

私は前線には行けないけど、待ってればいい。

2年後に五条が覚醒するのは確定だろう。任務がどうなるのかはわからないし少女がどうなるのかも不明だけど私はそこまで助けられない。

必要になるなら私が失踪か行方不明になればいい。死を偽装するのが1番いいけどそれは未来の私に全任せ。状況によって変えてもらおう。

 

 

そうして私は計画を建てていき………少女の件など色々あったけれど大体順調。

ようやく失踪する時期になった。

 

 

──2007年、4月15日。

 

私はこれから腐ったミカンの命令で前線に行く。

ここで血を撒き散らして死を偽装。ちゃんと呪力の残骸と反転術式を使った跡も残しておく。

左手の人差し指を自分で切って、それを地面に置いた。回復するわけじゃないけど偽装にはうってつけだ。

 

五条が長期任務で携帯を取られていることは確認済。

あとはガラケーに留守電を入れるだけだ。

 

 

「五条……ごめ、ん」

 

 

自分の演技力も大したものだなぁと思いながら私はその場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───思い出の詰まったガラケーを草むらの中に捨てて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

長期任務が終わってガラケーを返された時、一件の留守電を見つけた。

相手は家入硝子。──はじめは、それだけだった。

 

 

 

『五条……ごめ、ん』

 

 

 

掠れた声。

その声が誰なのかは一瞬で判った。

 

「硝子…!!」

 

すぐに夜蛾センに連絡した。

夜蛾センは焦った声をして硝子の安否を今取っている。

 

たった一人の学友なんだ、俺の。

たった一人の、友達。

たった、ひとりの。

 

 

 

やっと出来た、対等の "ともだち" なんだよ…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから硝子は帰ってくることがなかった。

腐ったミカンが硝子を前線に向かわせたらしい。

今でも鮮明に思い出される、硝子の言葉。

 

“五条は五条が思ってるより結構優しいよ”

“は?どこがだよ”

“非術師を守ってるとこ。私ならそのままほっとくからな”

“そんな難しいことじゃねぇ、呪術規定に則ってるだけだ”

“それを当たり前に出来てるとこが凄いんだよ。ま、それを補えないくらいクズだけどな”

 

“五条、目上の人には俺じゃなくて私…せめて僕にした方がいいぞ”

“はぁ?急になんだよ”

“これから天元様の下へ天内理子を送り届けるんだろ?最低限の言葉遣いはしてもらわないと私が困る”

“ぜってーしねぇ”

 

 

思い出される記憶の欠片。

沢山ある中の一つ一つを鮮明に思い出す。

 

 

“五条、これ飲んでみろよ”

“あ?………ぅわっ!なんだこれ、ばちばちする!!”

“ははっ、ウケる。歌姫先輩に送ろ”

 

 

ひとつひとつ大切な大事な思い出(宝物)を噛み締めて、蓋をする。

 

「あー、そっか。……俺が助けられるのは助けを求めるヤツだけなんだ」

 

 

 

間に合わないときも、ある。

 

 

 

そうして() は、教師になった。

もう間に合わないことがないように。

もう、こんなことを起こさないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六眼と僕の魂が彼女を本物としてみていたから二度と会えないと思っていた彼女は生きていたと判った。遺物として回収した左の人差し指がないのも、家入硝子本人の証明となった。

 

これまで通りだと思うだろう。出会う場所が違かったならきっと僕は大喜びして抱きついていた。

でも、それが出来ない理由がある。

 

その理由は……

 

 

───家入硝子が呪詛師側に立っていたからである。

 

 

なんで、どうして。

どうして───

 

 

 

 

「どうして、硝子がそっちにいるんだよ」

家入硝子の遺品だった筈のガラケーを壊れないよう密かにそっと握りしめながら五条悟は問いかける。

 

 

 

 

硝子はその言葉に無言で僕を見つめていた。

僕と再会してなにを思って感じているのかは、わからなかった。

 

 





余談。
あらすじ一回消えて泣きそうになった。
来月の日曜のどこかにまた投稿します。

2026.3.26
終え→を得に変更しました。
脱字報告ありがとうございます!助かります。

やるならどっち?

  • 家入成り原作世界転移
  • 原作五家成り世界転移
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