自由と解放のために   作:風ノ華

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にじファン時代と同じユーザ名の風ノ華です。
ここ、ハーメルンでは初めての投稿となります。

以前より書き溜めていましたが、2014/09時点で10話分しかストックがない状態で、かつ他作品に浮気もするため相変わらずの亀更新となります。

内容も自己満足の域を出ていないかもしれませんが、お暇な方・少しでも興味を持たれた方、読んでいただけると嬉しいです。


旅の始まり
第01話「始まりは突然に 麦わらと黒龍」


 雨が降り嵐が起きるローグタウン、かつての海賊王が処刑された街の中央広場にある高台に、麦わら帽子をかぶった男が一人拘束されていた。そしてそのそばには剣を構えた赤鼻の男。どうやら麦わらの男は今にも処刑されるところだった。

 

「テメー等邪魔だ!」

「このっどきやがれ!」

 

 その台の下では二人の男が赤鼻の部下であろう数十人と争いながら処刑台へと目指す。軽々と吹き飛ぶ人の群れ、二人の男との実力差はかなり大きいが彼等に今求められているのは単なる時間稼ぎ、それだけでいいのだ。引く事をせず更に群がる敵に男達は焦りを抱く。

 処刑台までもう少し、だがその少しが届かない。

 

「覚悟はいいか麦わら?」

「二人とも悪ィ、おれ死んだ」

 

 麦わらの男は笑った、まるで死を受け入れたかのように。

 

『バカな事言ってんじゃねぇ!!』

「ハデに死にやがれぇっ麦わ グォッ!!?」

 

 赤鼻の男が剣を振り下ろそうとしたそのとき、天から降ってきた人と頭がぶつかり吹っ飛ばされ、その衝撃で処刑台は壊れてしまった。

 

 周囲が唖然とする中、崩れた残骸の中から這い出てヒラヒラと地面に落ちてきた麦わら帽子をかぶりなおし男は先程と同様に笑みを浮かべる。

 

「なははっ!やっぱ生きてた、もうけっ!」

「ドアホッ!」

 

 麦わらの男を救出しようとしていた男達の一人、緑髪の男はあまりにも楽観したその言葉に思わず頭を殴る。だが殴られた筈の麦わらの男は全く痛がる様子を見せず何故罵倒されたのか腕を組み頭を捻った。

 

「この男に感謝しろよ?どんな偶然かはわからねぇが一応お前の命の恩人だ」

 

 もう一方の金髪の男は崩れた処刑台に埋もれていた人物を引っ張り出す。足を持たれていることと気絶しているためか首にも力がかからず長髪で顔も分からないが体つきから男だと分かる。その際地面に出来ていた妙なクレーターが珍しい形だと気になったが状況が状況なだけに何かの偶然かと気にする事をやめた。

 

「そーなのか?ならそいつメリー号に連れていってくれ」

「オーケー船長」

 

 その言葉に金髪の男は肩に担ぎなおす。

 

「海賊を一人も逃がすなー!!」

「どうやら海軍も来たようだぜ、どうする船長?」

 

 海賊達を一網打尽にしようと広場の周囲を取り囲んでいた海兵が一斉になだれ込んできた。

 

「よーし、ゾロ!サンジ!逃げるぞ!!」

『了解!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここはどこだ?」

 

 目を覚ました男は寝かされていた長椅子から身体を起こして部屋を見渡す。

 暗がりではあるが手入れの行き届いたキッチンにテーブルや椅子があることからラウンジのような場所だと推測した。そして、揺れる部屋に聞こえてくる荒れる波の音と激しい雨風、このことから嵐の海にいることが分かった。

 だがどうしてこんなところにいるのか、そもそもこの船は誰の船なのか、そして何故頭がズキズキと痛むのか、等々疑問が尽きることがなかったため男は少し前のことから自分の身に何が起こったかを思い返すことにした。

 

 

 

~ IN Reminiscence ~

 

 とある無人の島で浜辺に一隻の海軍の船が停泊していた。

 表には誰もいないが中からは慌しく動き回る音が響く。その中はまるで野戦病院のように大小様々な怪我を負った者達で溢れていた。

 船の責任者であり海軍本部准将であるベリーグッドにいたっては体に欠損箇所まである。だが彼の顔は傷の痛みではなく怒りで歪んでいた。

 それもその筈、彼はベリベリの実と呼ばれる悪魔の実の能力者だったからだ。

 彼は戦闘の際いつものように体の各部をとって組みなおそうとしたところ、敵にいくつかのパーツを奪われてしまった。

 奪われたとはいえ元は自分の体、方角とある程度の距離は分かっているのですぐさまその場所に部下達を何度も向かわせたが奪還には失敗し被害は拡大するばかり。

 

 今はかかってきたでんでん虫の先の上司にひたすら頭を下げているところだった。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、だいぶ海兵は減らせたが肝心の船は壊されてしまったし…どうやって逃げるか」

 

 見晴らしのよい山の頂上から一人の男が軍艦のある浜辺を見渡す。軍艦の横には見るも無残な状態の小船が一隻、どうやら男が乗ってきた船のようだ。

 男の足元には五組の新聞が放置されている。東西南北四つの海にグランドラインの新聞。情報は命ということもあり男がニュース・クーと個人契約をし毎日新聞を運んでもらっているものだ。羽振りが良いためか専用のカモメまで用意してくれている。何でも新世界生まれの超カモメらしく、凪の海でも根性で乗り越える猛者らしい。

 

 男は受け取った新聞から取り出した数人の手配書の中から一枚を抜き取り、ついに始まったのかとここ数日の間脱出の機会を練っていた。

 やはりこの状況では船を奪うのが一番労力がかからないかと考えていると不意に影が差した。

 

「お前が【黒龍】か」

 

 その影と突然かけられた言葉にギョッとして思わずその場から飛び退いた。

 いつの間にそこに居たのか、手に本を携えている自分の二倍以上の身長を持つ男を黒龍と呼ばれた男は油断なく見上げる。

 

「まさかアンタのような大物が俺みたいな小物の賞金首を狙うなんてな、【王下七部海 暴君】バーロソミュー・くま!」

「初頭額が億超えの者を小物とは言うまい」

 

 くまと呼ばれた男は懐から一枚の紙を取り出しつきつけた。

 そこに載っていたのは男の昔の姿であろう子供の頃の写真と【DEAD OR ALIVE】の文字に賞金額、所謂手配書だった。

 

 

*************************

【黒龍】のクロト

賞金額:二億一千万ベリー

DEAD OR ALIVE

*************************

 

 

 

「そんなもの海軍…いや、世界政府に都合が悪い奴とお偉いさんの体裁のためだけに高くしてるだけだろうが!」

「確かに、その考えは的を得ている」

 

 クロトは予想外の訪問客に考えを巡らせている。

 バーソロミュー・くま、超人系悪魔の実であるニキュニキュの実を食べた肉球人間。両手に肉球持ちの人間、聞くだけだとなごみ系と思ってしまうかもしれないが能力を知っている者としてはかなり厄介な人物だといえる。更にいうならば、最近のこの男は身体が異様に硬くなっているためダメージを与えるのも一苦労だという情報も得た。

 だが何故か様子がおかしい、この距離でも能力を使うための手袋を外さない上に全くといっていいほど殺気や闘気を出していない。

 

「…何が目的だ?」

「お前を逃がしてやる」

「なに?」

 

 その答えはクロトの戦闘態勢を解かせるのに十分すぎるものだった。

 

「それを信じろと?」

「今のお前に他の選択肢があるとでも?これからしばらくの後、大将赤犬が大艦隊と供にやってくる」

 

 確かにクロトはその情報も得ていた、だからこそ脱出を急いでいたのだから。

 

 大将赤犬、海軍が誇る三大将の一人。絶対的正義を掲げる海軍の中でも一際苛烈・過激な思想の持ち主で【徹底的な正義】を信条としている。その思想から海軍の中では一般人のいる場所では一、二を争う程に会いたくない人物だ。

 提案を投げかける王下七部海の中で謎の多いこの暴君だが、態々虚偽を話すためにやってくるとは考えられないため少しの思考の後クロトは頷いた。

 

「………分かった、信じよう。代わりに俺は何をすればいい?」

 

 どれだけ荒れようがこの世はギブ・アンド・テイク、受けた恩は出来るだけ返しておきたいクロトはくまに条件を聞く事にした。

 

「律儀だな…では、それらを起こした中心人物である数人のうち誰かに会ってもらいたい」

 

 くまは足元に転がっている新聞を指差す。

 四つの海の新聞全ての見出しに共通で出ている文字、それは【革命軍】だった。

 なぜに七武海の人間が革命軍に関わりがあるのか疑問は残ったが詮索は後でいいと考え頷いたクロトにくまは手袋を外して本を開く。

 

「では質問だ、旅行するならどこがいい?」

「なら………で」

「そうか、ではさらばだ」

 

~ OUT Reminiscence ~

 

 

 

「それで俺はくまに飛ばされたってわけか。なるほど、状況は少し分かった」

 

 ここが海軍の船という事はないだろう、もしそうならば今頃は力を封じる特殊な錠に繋がれた上で何重に拘束され牢屋に放り込まれている筈だ。

 ならばくまが会わせたいと言っていたあの人物に助けられたということか?

 未だ頭痛の理由だけはわからないが外から聞こえてくる陽気な声にクロトは部屋から出る事にしてドアを開いて目に映った外にいるメンツに思わず思考が止まった。

 

「おい船長、どうやらお客さんが目を覚ましたようだぜ」

 

 金髪黒スーツの男の言葉に麦わら帽子の男が振り向き羊の顔を模した船首からクロトのところへとんだ。その顔には人懐っこい笑顔を浮かべている。

 

「おっ、お前目ぇ覚ましたか。さっきはありがとな、おかげで助かった」

「さっき?助けた?どういう事だ?」

 

 いきなり助かった、ありがとうなどと言われても状況が理解できないクロトは周りに疑問を投げかけた。

 すると一番近くにいた緑髪の剣士が答えてくれた。何でも、この船長が処刑されかけたところに自分が空から降ってきて処刑しようとした奴を処刑台ごと吹っ飛ばしたとのだと。

 その後海軍が追ってきたが船長が直接礼を言いたいということで連れてきたということだった。

 

「なるほど頭の痛みはそういうわけか、状況も理解した。だがこちらこそ礼を言おう、お前等が連れ出してくれなかったら今頃は海軍に捕まってしまうところだった」

「ししし!気にすんなって、お互い様だ」

「そうか。俺の名はクロト、お前等は?船を見たところ………海賊のようだが」

 

 マストに立派に掲げられている髑髏のマークが彼等が海賊だということを雄弁に語っていた。人数は多少少ないようだが、少数精鋭ということなら納得は出来る。

 

「おぅ俺はルフィ、モンキー・D・ルフィ。海賊船ゴーイングメリー号の船長だ!」

「やはり【麦わら】のルフィか。平均賞金額300万ベリーの東の海では破格の初頭額3000万ベリーの大物ルーキー、海軍が噂してたぞ」

「マジかっ!?ししし、大物ルーキー♪大物ルーキー♪」

 

 ルフィは海軍にも知られている事に満面の笑みを浮かべている。というよりかは大物ルーキーと呼ばれている方を喜んでいるように見える。どうやらまだ手配される事の重大性は分かってないようだ。

 

「ところで麦わら、この船はどこに向かってるんだ?」

「おぉ、そりゃ勿論【グランドライン】だ!なぁナミ、後どれくらいだ?」

 

 ナミと呼ばれたオレンジの髪の女性は前方に見えている灯台を指差す。

 

「見て、あの灯台の光を。あの先にグランドラインの入口がある、だからこう呼ばれているわ【導きの灯】ってね。この海図と嵐だと、早くて二時間ってとこね」

「グランドラインか…。(くまには悪いが俺の用事を優先させてもらうか。必要だったらあっちから接触してくるはずだ)なぁ麦わら、こうして出逢えたのも何かの縁、迷惑をかけるかもしれないがもしよかったら俺をしばらくこの船に乗せてくれないか?」

「おぉいいぞ」

「ってうぉい!即断かよ!!?海軍に狙われるような奴だぞ、もっと警戒してだな…」

 

 長鼻の男がルフィの頭をパシッと叩く。やはりこの船ではルフィの船長としての威厳はあまりなさそうだ。

 

「何言ってんだウソップ、そりゃおれ達も一緒だろうが。おれ達ぁ海賊だぞ?」

 

 長鼻の言葉に剣士は呆れながら答える。

 

「そいつの言うとおりだぜ、それに船長が許可したんだ。んじゃまあ、グランドラインに入る前に誓いの進水式といこうか!」

 

 そう言って黒スーツの男は酒樽を船の真ん中に置いた。

 

 

 

 

 

「おれはオールブルーを見つけるため!」

 

 

 一人は恩人の、そして何より自分の夢のために

 

 

「おれは海賊王!」

 

 

 一人は幼い日に預かり受けた帽子と誓いのために

 

 

「おれァ大剣豪に!」

 

 

 一人は幼馴染との約束を果たすために

 

 

「私は世界地図を描くために!」

 

 

 一人は未だ成しえた事のないただ一人の手で世界の全てを描くため

 

 

「お、おれは勇敢な海の戦士になるために!」

 

 

 一人は父親のように果てなき海で命を張り誇りをもって生きるために

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれが酒樽に足を置き、そして皆がクロトを振り向く。

 

「いやいや、俺は乗せてもらうだけだぞ?」

「んなもん関係ねぇ!この船に乗ったんならお前もおれの仲間だッ!!」

 

 同意の言葉はなかったが皆の顔に浮かんでいた笑みが答えだと知りクロトは自分の思いをこめて足を上げる。

 

「………いやはや、なんとも豪快なキャプテンだな。じゃあ………自由と解放のために」

 

 自分の目標を言葉にドンッと樽に足を乗せ

 

「行くぞ、【グランドライン】へ!!!」

『おおっ!!!』

 

 決意の掛け声で足を振り下ろした。

 船は走り出す、皆の夢を乗せて大冒険が広がる偉大なる海に向かって。

 




ローグタウンでの小話

ド「おい麦わら帽、その男…」

ル「何だ刺青のおっさん。コイツの知り合いか?」

ド「いや…連れて行くのか?」

ル「あぁ!一度助けられたからな。目ぇ覚めたら礼が言いてぇ!」

ド「フフフッそれもいいだろう。ならば行って来い……それがお前のやり方ならな!」

ル「ああ!行ってくる!!」
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