暴れていたラブーンが大人しくなって数分後、戻ってきたクロッカスに連れられて一同は再び外の光を浴びることが出来た。
ルフィと一緒にラブーンの体内に落ちてきた二人が捨て台詞を残し去った後、クロッカスからラブーンの身の上話を聞いたルフィは船のマストをへし折りラブーンの怪我をした部分へと思い切り突き刺した。
当然のように暴れるラブーン。ルフィの行動を見てクロトは呆然とし、残りの皆は叫び声をあげる。
「ってか船ェーーー!!!!!」
ウソップだけは叫び声の種類が違ったようだが…。
ラブーンは痛みで怒り、ルフィを潰しにかかる。その際マストも更に深く刺さることになり結果血が更に吹き出る。その様子を見て馬鹿にするルフィにラブーンは続く一撃を見舞った。灯台に吹っ飛ばされたルフィだったが仕返すようにラブーンの目へとパンチを伸ばす。
それを何度か繰り返しルフィはついに灯台に倒れこんだ。
ラブーンはまだ怒りが収まっていないようで更なる一撃を与えようと突っ込んでくるが
「引き分けだ!!!」
ルフィの発した言葉にその動きを止める。
「おれは強いだろうが!!!いいか、おれとお前の勝負はまだついてないからおれ達はまた戦うんだ!」
話についていけていないラブーンは目をパチクリさせている。
「お前の仲間は死んだけど、おれはお前のライバルだ。おれ達がグランドラインを一周したら必ずお前に会いに来るから!」
「そしたらまたケンカしよう!!!」
ルフィの言葉に納得がいった皆には笑顔が浮かんでいた。
そして新たな約束を受けたラブーンは歓喜の声を上げた。
その中で
「なるほど、そういうことだったか。本当に大概の内容を忘れているな…」
などと言うクロトの呟きは誰の耳にも届かなかった。
クロッカスを含めた全員(とはいってもゾロは船で寝ているが)でサンジがローグタウンで仕入れたエレファントホンマグロに舌鼓を打っているとき、服の端々を焦がして先ほどの二人が頭を下げてやってきた。
『お願いします、ウイスキーパークまで乗せてください!!』
詳しく聞くとドジな男のほうがログポースをラブーンの体内に落としてしまったらしい。
だがログポースだけならクロトが持っていたため、クロッカスから譲り受けた予備のログポースをあげれば済む話だったが、二人は何故か船も失ってしまったため自分達の島に戻れないというのだ。
「おう、いいぞ」
低姿勢の二人の言葉にルフィはいつぞやのように即答する。
「『いいぞ』じゃないでしょ!いいのルフィ?クロッカスさんが言ったとおりなら、グランドラインで選べる七つの航路は最初のここだけなのよ。それをこんな胡散臭い奴等のために決めちゃっていいの!?しかもタダで!!!」
「いいんだ、困ったときはアレって言うだろ、アレって」
「お互い様だってこと?」
「そう、それだ!それによ、気に食わなかったらもう一周すればいいだけじゃねぇか」
あまりにもあっけらかんに答えるお気楽船長にナミは頭を痛める。
「そうか、ならば楽しんで行って来い」
クロッカスはどこか懐かしい者を見るような優しい目でルフィ達を見送った。
~ SIDE ゾロ ~
「ん~~~~、あーよく寝た。ん?おいおい、いくら陽気な天気だからってんなダラけてて大丈夫なのか?」
ぽかぽかとした陽気に気持ちよく目を覚ましたおれが最初に見たのは船首で海を眺めてるルフィ以外のぐったりとだれた一同と、クジラを襲おうとしていた二人組の、同じくだれた姿だった。
「おいルフィ、コイツ等なんで船に乗ってるんだ?」
「ソイツ等船がないって言うからよ、島まで送ってやることにしたんだ」
おいおい、うちの船長はどうしてこうもお人好しで楽観者なのかね。まぁだからこそこんな個性的な一味が集まったんだろうがな。
にしてもコイツ等の名前…。
「おぅお前等、名前何つったっけ?」
「ミ、Mr.9と申します」
「ミス・ウェンズデーよMrブシドー」
「そうその名前、どっかで聞いたことがあるんだよなぁ」
擬音の描写があるとしたらコイツ等の今の顔は確実に『ギクギクッ!?』と描かれているだろうな。
さらに追求しようとしたが突如頭を痛みが襲う。
殴られたのだと認識し文句を言うべく振り向くと、そこにはまるで般若のような顔をしたナミがいた。
そのあまりもの形相におれは思わず声が詰まってしまった。
「アンタは起こそうとしてもグースカグースカと!クロトが三倍働いてくれたから何とかなったけど、ちょっとは気を張っていなさいよね!」
そういやクロトの奴がいねぇな。アイツもどっかでくたばってんのか?
実際のところ料理にナミの雑用にとこなすサンジのほうがクロトの二倍以上に働いて疲れていたのだとウソップが言ってたが、ナミの『ありがとね、サンジ君』の言葉一つで|いつもの状態≪メロリンラブコック≫となり更なる雑用もこなす様子を見てエロコックは単純ですんでいいな、と思った。
ならクロトだな、ちょうど頼みたいこともあったしな。
「そいつは悪かったな、ところでクロトの奴はどこにいる?」
「ったく。あっちで目を閉じてじっと座ってるわ、座禅っていうのよねあれって?」
座禅?あいつの戦い方は海軍の六式って体術を使った格闘戦だって言ってたからあまり必要はないって思うが精神修行の一環かなにかか?
その辺も一緒に聞いてみるか。
「ちょっと行ってくる」
そっと船の後方に行くとナミの言ったとおりクロトは確かに禅を組んでいた。
その集中するさまにやっぱ邪魔しちゃマズイかと思って引き返そうとしたら逆に声をかけられた。
「何の用だゾロ?」
こっちを見ずに気配だけでおれだって分かるのかコイツは…。いや、歩き方なんかでも多少の事はわかるが。
「悪いな、邪魔するつもりはなかったんだが…」
「邪魔じゃないさ、日課の訓練をしていただけだから」
やっぱり精神修行の一環だったか。
「いや、精神修行じゃなくて気配や心を読む訓練だ」
コイツ、おれの考えていることを!?殺気や気配ってんなら分かるが心を読むって、んなこと本当に出来んのか!?
「まぁ疑うのは仕方がないと思う。とりあえずそうだな、【信じること】それが近道だ。今はまだグランドラインに入りたてで航海に気を張っていないといけないだろうから、落ちついたら一度皆に話をしようか?」
これだけじゃまだ断定は出来ないが、多分コイツが言っていることは本当なんだろうな。
「そうしてくれ。それともう一つ、お前武器は使えるか?」
抽象的な言い方だったが心が読めるってんなら多分これだけでもおれが言いたいことを分かっているだろうな。
「心が読めるといってもあまり詳しいことまではわからないぞ?まぁ今回は質問の理由はわかったが。剣は使ったことがないし強い奴とは大概素手で戦うが、集団戦や格下相手ではこれをよく使うな」
そう言ってクロトが袋から取り出したのは木と鋼鉄で作られた二種類二組のトンファーだった。
「トンファーか、確かにこれならお前の格闘戦の延長上にもなるな」
「剣とはリーチや型が違うからあまりお前向きの練習にはならないと思うが筋トレや素振りなんかよりは実践的な訓練は出来ると思うぞ」
そいつはありがてぇ。何しろルフィといいエロコックといい格闘戦をする奴ばかりだったからな。コイツの強さと鋼鉄のトンファーだったらいい訓練になりそうだぜ。
鷹の目を超えるためにもおれはもっともっと強くならなきゃならねえ。まず目指すはクロトを超えることからだ。
「どうやら島に着いたようだ、皆の所に行こう」
たしかに、ルフィの奴が騒いでいるな。
クロトと船先に戻ってみるとあの二人組みはいつの間にやらいなくなっていた。
島が近づくにつれ霧が深くなり、ウソップは島に入るのにビビっていたが気にせずに船を進めてみると霧の中から人の声が聞こえてきた。
「ようこそ!歓迎の町ウイスキーピークへ!!」
島に着いたおれ達を待っていたのは歓迎ムードの島の奴等だった。
海賊を歓迎って普通ねぇだろ、それにこの島はさっきの奴等の島だ。
ナミに邪魔されたからちゃんとした確認が取れなかったが奴等の互いの呼び方、おそらくは前に接触してきたあの【会社】に関わっているんだろう。
調子に乗っているルフィ・ウソップ・エロコックの三馬鹿は完全に騙されているみたいだが、ナミやクロトはそんなことはねぇらしいな。
ま、酒造が盛んってことは少しは上等な酒があるんだろうしここは少しの間だけ乗せられてやるとするか♪
~ SIDE OUT ~
歓迎として宴を広げてきたが、酒や食べ物を無理矢理勧めてくるのに辟易したクロトは早々にその場を抜け出しサボテン山の麓にある丘の上で一本だけくすねてきた上等な酒を片手に月を眺めていた。
瓶を傾けゴクッと中身を飲む。
「いい酒だ。………こんないい月夜なんだから邪魔をするのは無粋じゃないか、なぁ【バロックワークス】?」
自分を取り囲む武器を構えた島の住人に問いかけると一様にその顔を驚きへと変えていった。
「な、何故我が社の名前を!?」
「秘密結社だといって完璧に情報が入らないわけじゃない。とりあえず風情を愉しむ邪魔だから………寝てろ」
クロトがひと睨みをするとその場に居た全員が泡を吹いて気絶した。
しばらくの月見酒を楽しんだ後、空になった瓶を気絶した連中の前に置いて町を振り返る。
「ご馳走様っと…どうやらゾロも片付けたようだな」
気配のほとんどが弱まってまともに動けるのは数名といったところだ。
クロトは合流を果たそうと剃でその場を後にした。
【黒龍】のクロト
年齢:18歳
賞金額:2億5千万
賞金首時年齢:4歳
悪魔の実:動物系幻獣亜種・ドラドラの実 モデル紅眼黒龍
※要するにレッドアイズブラックドラゴン
[*UPD*]戦闘スタイル:拳、トンファー、六式