お嬢様はカリスマブレイクしたくない   作:セレシア

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いくつか後日談のネタは考えてるけど二作も新作書き始めてる(投稿するかは未定)から投稿ペースはのんびりです。
後日談は基本的に一話完結ものの予定です。


後日談2 幽香とのお茶会

 妖々夢と萃夢想が終わった。え? あっさりしすぎ? 関わりがあったのは咲夜だけで私達はほとんど関与しなかったから特筆することはないのさ。

 

 強いて言えばそうだな。妖々夢では私の助言を聞いた霊夢が早めに動いたから西行妖はほとんど開花しないで終わったから後日幽々子に文句を言われたこと、翠夢想では害がないから分かっていた上で放置して宴会に興じていたことくらいか?

 後は......屋敷を管理するメイド妖精や力の弱い妖怪達が増えた気もするが......大したことじゃないな。

 

 そういえば鬼退治の裏でフランが萃香にリベンジマッチを仕掛けていたけどたいしたことじゃないな。勝敗? 鬼にはまだ勝てなそうだな。前回はフランが勝ったと言っても傷一つ付けられずに終わっていたのが全力の鬼を怪我させたから善戦したで良いんじゃないかな。

 能力の相性が悪い中頑張っていたから目一杯甘やかしてやったぞ?

 

 そして少しの時が流れた現在、幻想郷には多種多様の花々が咲き乱れている。

 魔理沙が異変か? とワクワクしていたけどフランが種明かしをしたからガッカリしていた。異変がないのは喜ばしいことじゃないのか? 長い生の中で刺激を求める妖怪と違ってすぐに死んでしまう人間がそんなに慌ただしい生を求めなくても良いのにな。

 霊夢を見習え。あいつは一日中日向ぼっこしてるぞ。それはそれで枯れすぎだな。あいつはまだ十代だったよな?

 

 とまあ人間組は放っておいてせっかく花が綺麗だから美鈴を連れて幽香のところに遊びに行くことにした。

 

「来てやったぞ幽香」

「残念ながら私は異変の黒幕じゃないわよ?」

「そんなことは知っている。そもそも招待したのはそっちだろう」

 

 美鈴が頭を下げる横で簡単に挨拶を交わす。

 少し前に幽香からお茶会の招待状が届いていたのだ。忙しくて時間が空いたけど長い生を生きる妖怪同士の約束なんざ期限はあってないようなものだから日程の指示はない。

 暇だったら来て良いよ~。くらいの軽いものだ。

 

 そのまま幽香の案内に従って移動する。

 道中幽香が花の説明をしてくれるからかなり楽しめた。美鈴はメモ帳まで取り出して熱心に話を聞いていたな。

 これは来年辺りの中庭に期待できそうだ。

 

「あそこが目的地よ」

「ほぅ......。圧巻 だな」

 

 目の前に広がるのは四季折々の花畑。綺麗すぎて写真に撮るのも勿体無い景色だな。余計な感想で装飾してこの景色の価値を貶しめたくないと思ったのは美鈴も同じようで、しばらく無言の時間が続いた。

 

「気に入ってくれたかしら」

「ああ。だが......美鈴には酷なことをしたな」

 

 幽香の質問に頷いた後、美鈴の顔を確認する。

 私の中の花へのハードルがかなり高くなってしまったな。私が満足できる中庭を造り上げられると良いが......。

 

「いえ、必ずお嬢様にこの景色を献上いたしましょう」

 

 私の言葉の意図を正確に読み取った美鈴は、それでも尚自信満々に断言してくれた。そうかそうか。

 

「それでこそ美鈴だ」

 

 思わず呟いた私の一言に美鈴は黙って頭を下げた。

 

 


 

 美鈴がてきぱきと場を整え、三人で花畑を楽しみながら紅茶を口に含む。

 

「さすがだな。植物の専門家が淹れる紅茶はとても素晴らしい。咲夜もかなり上手いと思っていたが......上には上がいるな」

「私の紅茶は新鮮だもの。それに花の妖怪として人間に負けるわけにはいかないわ」

 

 比較対象に咲夜を出すのは少し失礼かと思ったが気分を害したわけではなさそうだ。私としては咲夜ほど優秀なメイドもいないから最上級の誉め言葉として使ったが、しっかりと伝わったようだな。

 

 美鈴は少し悔しそうな顔をしている。メイドをしていた時期があったから対抗意識でも燃やしているのかもしれん。

 

 本来であれば門番の美鈴はお茶会に参加しないで私の後ろに立つべきなんだが......今日は友人同士のお茶会だから堅苦しいマナーなんてどうでも良いし、むしろ私よりも美鈴のほうが幽香と仲が良いから一緒にテーブルを囲っている。

 

「あの、この紅茶の茶葉は......」

「それはこれよ......」

「淹れ方は......」

「温度はだいたい......」

 

 紅茶の入れ方談義を聞き流しながら平和な一時を過ごす。

 刺激ある日常は素晴らしいがたまにはこういった日々も大事にしないといけないな。......ん?

 

「優雅なお茶会の裏に隠された真意とは!? 幻想郷一二を争う危険な妖怪の密会! 犠牲者になるのは誰だ!! とか良さそうですね! これで私の新聞の人気もうなぎ登りに......!」

 

 随分と無粋な鳥が隠れているようだ。今日の夕飯は焼き鳥が良いか?

 幽香とアイコンタクトをとってからよだれを垂らしてトリップしてる烏天狗の背後に回る。

 

「きっとその犠牲者には黒い羽根が生えていたのね」

「ぴぃ!?」

 

 肩にそっと手をおいて幽香が話かけると変な声を出して肩を震わせた。

 

「どうした? 顔色が悪いようだが......介抱してやろうか?」

「あ、あやややや。遠慮しときますぅ」

「まあ遠慮するな。ちと力が入りすぎるかもしれんがな」

「骨が粉砕されるやつですよね!? って、逃げられない!?」

 

 よく見たら足に蔦が絡み付いている。風を操って空を飛ばれたら逃げられるからその前に対処したのか。さすが幽香だな。

 その後三人で話し合い(・・・・)をしてから解放した。当分は突っ込んでこないと思うが......三歩で忘れてまたやって来るかもな。

 

 


 

 その後は特に問題も起きずにお茶会を楽しんだ。日が沈みそろそろ解散のタイミングになってきたところで幽香の雰囲気が一変する。

 

 先程までの友好的な雰囲気から剣呑な雰囲気へと......。

 妖力を滾らせて傘の先端を私に向ける。

 

「どこまで支配圏を広げるつもり?」

「......もっと早くに聞かれると思っていたんだがな」

「思っていたよりもお話が楽しくて。ほら、普段はみんな怖がっちゃってお話できないのよ」

 

 目付きを直せば多少は改善されるのでは? とは思っても口に出すのは止めておこう。

 このまま妖力を撃ち込まれそうだ。

 

 とりあえず質問には答えておこう。幻想郷の勢力図として私達が力を持ちすぎないように牽制を入れろって紫に頼まれただけだろうしな。

 

「答えは”分からん”だな。そもそも誰かを支配しようと考えたこともない」

 

 

「......そうだったのね」

 

 じっと見詰め合うこと数秒。幽香の出していた妖力が霧散して雰囲気が元に戻る。

 そして傘を下ろしながらすごくしみじみと頷かれた。

 

 ......なんとなく理解したぞ? 自分と一緒で周りが勝手に勘違いして迷惑を受けてるだけだと思われたな?

 幽香は戦闘狂との謗りを受け、私は反逆者集団のリーダーとしての謗りを受けている。それも自分達の意思に関係なく。

 確かに勝手に妖怪達が集まって勢力が拡大してるのは本当だが......。まあいいか。共感させておいた方が万が一の時の保険になるだろう。

 

「ま、お互い大変だな。美鈴のこともあるし......これからも仲良くしてくれると嬉しい」

「ええ、気持ちは良く分かるもの。初めての友達だし......。困ったことがあったら声をかけて頂戴。力になるわ」

「ああ、助かる。今度は我が家に遊びに来てくれ。最上級のおもてなしをさせてもらおう」

 

 和気藹々とした雰囲気のままお茶会はお開きになった。

 ふっ、隙間の向こう側で頭を抱えてる紫の存在なんて知らんな。




勢力拡大中のカリスマ
 お話をしたり面倒をみたり弱っているところを助けたりしていたら徐々に庇護者が増えていった。これぞカリスマ......!
 特に勢力を増やしたいわけじゃないけど来るもの拒まず去るもの追わずのスタンス。使えるなら便利だから使ってしまえの気概。なお来た者は基本的にお嬢様に沼るため去った者はいない。これがカリスマパワー?
 それぞれの異変の後に食いしん坊の幽霊や二本角の鬼を館で見かけるようになった。お前達なにしてんの?

脱ボッチの目付き悪いヒト
 初めての友達に気分がルンルン。同じ強者側なのに弱者に懐かれているお嬢様を羨ましがっている。
 幻想郷のパワーバランスを担う一角なのに紅魔館組を手伝う宣言しちゃった。
 友達とのお茶会に浮かれていたから牽制をいれるつもりがいつの間にか手を組むことになっていたことに気付いていない。

勤勉な門番
 今回のお茶会で得た学びをもとに打倒咲夜さんを目指す。
 幽香とはお友達というよりも師弟関係に近い。私もお友達だよ~と控えめに主張している。

焼き鳥
 花が咲く異変だと思って聞き込みをしていた。花と言ったら幽香ということで取材に来たら良い絵があって思わずパシャリ。地獄への片道切符を押し売りされました。
 幽香さんが怖すぎて相対的にお嬢様優しい! 懐が深い! ってなってるかもしれない。

紫
 策士策に溺れるを地でいったヒト。レミリアに悪意があるとは思っていないけど少し遠慮してね? と思って幽香をけしかけたら取り込まれて頭を抱えた。まあレミリアなら大丈夫......だよね? と願っている。
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