Blue Archive 〜藍の外典〜   作:roimi_mark2

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この話はVol.1-1. 閑話その2「兄妹」のホシノ視点のお話です。
本当は本編に入れたかったけど、どうにもキリが悪くなりそうなので。






忘れられない少女のスキーマ

 

 

 

 

 

 私が最初にその子と出会ったのは、カタカタヘルメット団がアビドスに襲撃してきた時だった。ヘルメット団の中でもずば抜けて戦闘慣れしてたから、遠くで戦っててもすぐに分かった。

 

 戦闘センスは、傍目に見ても凄かったな〜。セリカちゃんやノノミちゃんは手も足も出ないし、シロコちゃんで何とか抑えれるくらい。なんなら何回かシロコちゃんにも勝ってたしね。

 

 そういう時は、私が相手する。シロコちゃんやみんなを傷つけた怒りをぶつけるように、その子を遠慮なく叩きのめした。その子もその子で何とか私に食らいついてたけど、結局その子は1回も私に勝てなかった。

 

 そして月日が流れて、バカをやったおじさんを助けるためにあの子は戦ってくれた。どれだけ傷ついても、どれだけ血を流しても。なんでそこまでしてくれるか分からなかったけど、結果的に私はあの子に助けられた。

 

 だからこれは借りだ。

 

 いつかあの子がピンチになった時に、ちゃんと借りを返そうって、そう心に決めていた。

 

 

 

 

 

「まぁ、こんなに早くなるとは思わなかったけどね〜」

 

 

 そう言いながら、私は辺りの風景を見渡した。ここはD.Uの中でも比較的事件の少ない場所って聞いてたけど、今目の前にはその評判とは正反対の惨状が広がっていた。

 ボロボロになったビルの外壁や道路、割れた窓ガラス、煙を上げる車。その派手な破壊っぷりに、様子を見に来た野次馬が沢山集まっていた。

 

 この騒動の下手人である狐面の子は、さっきセツナ先生に連れられてどこかに行っちゃった。連れてかれる途中、その子の顔が涙でぐしゃぐしゃになってて、おじさんびっくりしちゃった。その後はきっと、セツナ先生から大目玉を受けてるんだろう。

 

 そうして今回の事件の被害者……セキちゃんは、アイ先生に背負わ(おぶら)れて路肩に移動させられた後、すぐに応急処置を受けていた。

 どうも体が動かないみたいで、心做しかセキちゃんのヘイローも輝きが鈍っているように見える。

 

 

「ごめんなさいホシノ先輩、助けてくれてありがとうございます」

 

 

 しばらくして容態が良くなったのか、セキちゃんが申し訳なさそうに口を開いた。いつもより数段しおれた声に、私の中で嫌な不安が湧き出てくる。

 身体のあちこちから出血したり痣があったり、顔色も少し血の気が引いている。それに身体が動かないせいか、投げ出された手足が力なく横たわっていた。

 大丈夫……先生の話じゃ傷はまだ浅い。それに応急処置だってしてくれてる。これならきっと、ヘイローは壊れない。壊れることは……無いはずだ。

 

 

「いいよ〜謝らなくて。この前おじさんも助けてもらったんだから、これでおあいこだね〜」

 

 

 荒ぶる心臓を押さえつけながら、私は務めて平静を保った。そうしてるうちにセキちゃんも体が動くようになったみたいで、アイ先生に支えられながらゆっくりと立ち上がった。

 きっともう、大丈夫。もう私が心配するようなことは起きない。それでもなんでか懐かしい感じがして、私はあの子から視線を外せずにいた。

 

 

 ……わからない、なんでこんな気になるんだろう。

 

 

 ……わからない。なんでこんな安心するんだろう。

 

 

 

 

 

 ……なんでこんな、イライラするんだろう。

 

 

 

 

 

 その答えを持ってるのは、きっと私でも、あの子でもなかった。

 

 

 

 

 

 









スキーマ(Schema
 人間が経験の積み重ねにより獲得する、外界を限られた情報から理解するための枠組のこと。
 例えば人が「赤くて、丸い、シャリシャリした果物」と聞いて「リンゴ」を想像するのも、スキーマのおかげである。





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