『ハハ、俺ともう少しお話していけばすぐに分かるさ。魂は見るモノじ
ゃなくて感じるモノなんだ。』
『俺は自分の魂と対面して生まれ変わるのさ・・・もうすぐ人類は・・
・いや、この世界はすべてが変わるんだ。Aを信じろ。あの人はみなを
導く救世主なんだ。』
『あなたがゲブラーね?■■■■■■■からあなたの事は聞いたわ。あ
なたにも魂があるんですってね?Aさまは本当に素晴らしい方よ。他の
人があなたを邪険に扱おうと気にしないで。彼らはあなたの価値が分
からないの。』
『この子は私と■■■■■■■の娘、■■■よ。
ゲブラー、あなたのように可愛いくて賢い、優しい子よ。』
「その子にも魂があるのですか?」
『フフッ、当然よ。命あるものには必ず備わってて、誰もが持っている
けど、誰も知らない私たちの本質。それが魂よ。』
『今の世界は目に見えることだけが信じられてるの。これはみんなを破
滅させる悪い病気なの。』
私はカッコいいビナー様の率いるカッコイイ制服を着た抽出チーム所属のオフィサーである。
ビナー様は黒くて金色のラインが入った、
四角い箱型の機械で、背中に黒いマントを羽織っていて、
それにキュートでクールな鎧に覆われた腕と足が生えている。
本人はビナーという名は周りの墓石の云々などと、
やはりイマイチわからないことを言っていたが、ビナー様はビナー様である。
彼女はたまに墓石に目を向け何かを呟く。
だが、私には理解できない難解な言葉で喋っており、私がその言葉の意味を知ることはできない。
これは私が馬鹿なのか、ビナー様が理解できない天才なのか、実はビナー様が馬鹿なのか。
まあ、それはどうでもいいことだろう。
そんなことを考えながら、ビナー様のためにカフェテーブルとカフェチェアー、
そして紅茶のセットを用意する。
いつも通りに自分の椅子も用意して準備完了だ。
ビナー様の淹れる紅茶は香りが良く、うまいのだ。
…だが、私に淹れられた紅茶にミルクと砂糖を入れると
ビナー様の雰囲気が少し怖くなるので入れないようにしている。怖い。なんか怖いのだ。
私は紅茶も好きだが、コーヒーの苦味を楽しむ大人なのだ。
なので、ちょくちょくコーヒーを福祉チームのケセドくんにねだっている。が、
最近ケセドくんはゲブラーさんに怯えていて、
私が「コーヒー淹れてください!」と、言うと、
「いま、それどころじゃないんだ…」とか言って、目覚めのコーヒーすら淹れてくれないのだ。
死活問題である。ビナー様は気まぐれでその時しか茶会をしてくれないし、
どちらかというとミルクと砂糖を入れても薄く笑っている雰囲気のするケセドくんの、
コーヒーの方が実は好きだということはビナー様には内緒だ。
ケセドくんのミルクと砂糖入りのコーヒーの味を知ってしまったらもう戻れない。
なので懲戒チームのゲブラーさんを訪ねて、
「ケセド君をこわがらせるのはよくないですよ。
彼は施設で一番コーヒーをうまく作ることができる良い人なんですから」と、言った。
するとどうだろう。彼女は瞬く間に武器を取り出し、私に突きつけこう言った。
「いつも自分の仕事すらせずに廊下を徘徊した挙句、
毎日、別の部門である福祉チームに入り浸り、
抽出チームのメインルームに戻っても、茶会セットを並べるか、
虚空を眺めているだけで何もしない貴様が、私に意見する権利があるのか?」
確かに。こうやって改めて自分のやっていることを聞くと、疑問が湧き上がる。
一体どうして私はL社に入れたのだろうか?なぜ追い出されないのか?、という疑問だ。
だが、その疑問は再度武器を突きつけられ、
こわい感じの顔で睨みつけられながら問われた「ケセドはどこだ?」という言葉で消滅した。
ああ、私のコーヒーメーカーが。じゃなくて、すまないケセドくん。
私も命が惜しいのだ。紅茶で我慢するから犠牲になってくれ。
私は今も私の自室に隠れているケセドくんの冥福を祈った。生きていたらまた会おう。
なお、この後、ケセドくんを私の自室に隠していたため、私も共犯として確保された。
しまったなぁ。あまりに剣幕が怖くて私の自室にいること言っちゃった。
捕まった私に下されたゲブラーさんからの罰は一日を終わらせた後の懲戒チームの清掃だった。
抽出チームに帰された後、清掃が嫌なのでなんとか出来ないかなと思い、
この事をビナー様に言うと、
「いって御出で。其れはお前がした事の果で在ろう?」
と言われた。うーむ正論。
懲戒チームの部門に入る時にゲブラーさんと懲戒チームの職員さんたちとすれ違った。
彼女らは体から返り血を滴らせながら黒い袋を背負って通り過ぎていった。なんだったんだろう?
全体が目に痛い赤色をした懲戒チームの部門は時間が経過し過ぎて、
こびりついた血が見にくくて落ちにくいため、掃除がしづらい。
これが大変だからイヤだったのだ。
だが、掃除の説明の時に聞いていた職員や同僚であるオフィサーの死体はなかった。
今日は何かすごいのが脱走したと聞いていたのだが。
正直、死体を見るのは怖いので助かった。誰かは知らないが感謝しよう。感謝。
掃除をしている時に出会った、
なぜかところどころピカピカボディになっている
ケセドくんのこちらを見る目がすごく恨めしそうだった。なんだろうか?
やっと掃除が終わった。
途中から懲戒チームのオフィサーたちが手伝ってくれたので早く終わらせられたのだ。
オフィサーたちに感謝の言葉を述べつつ、掃除用具を回収して戻しに行く。
戻した場所はたぶんあっていると思う。
そのまま懲戒チームから出る…前にゲブラーさんに掃除が終わったことを伝えなければ。
報連相は大事だからな。
メインルームにいたゲブラーさんに「終わりました」と言う。
「…そうか。あとで確認しておく。ご苦労だった。
…これに懲りたら二度とふざけた真似はするなよ。いいな。」
ええ。わかりました。
多分大丈夫だと思います。では、これで。
「…おい。」
はい、なんですか?
「貴様は本当にそのままで良いのか?」
はい?えっと?、皆さんといるのは楽しいので。
「…そうか。」
では、私はこれで。
「もう、あの子しか残っていないのか…。」
抽出チームに帰ってからビナー様に戻ったことを報告してすぐに自室に戻った。
適当に食事を摂り、服を脱ぐ。
シャワー室に入り、歯を磨きながらシャワーを浴びる。
シャワー室から出て、軽く体を拭き、髪を乾かして、ベッドに寝転がる。
枕もとのランプを消し、そのままうつ伏せて息を整えて目を瞑る。
私の意識は微睡み、堕ちた。
…ランプのそばには誰かの幸せな家族写真が立てかけられている。
「・・・アンジェラ様。あれは怪物ですか?」
『いいえ、あれはアブノーマリティよ。ゲブラー。』
「怪物となにが違うのですか?」
『怪物は存在自体が怪異な生物。アブノーマリティは人間から発した物
よ。』
「では、あの『アブノーマリティ』はなぜ
『クリストファー』さんの時計を持っていて、『クリストファー』さ
んの声をしているんですか?」
『それは『アブノーマリティ』が『彼ら』から誕生する存在だからよ。
アブノーマリティは、何もないところから湧いてきたり、ある日突然
現れるようなモノではないの。』
「ではアブノーマリティは人を食べるのですか?アレはクリストファー
さんを食べて、クリストファーさんの真似をしているのですか?理解
できません。」
『それはとても複雑な問題よ、ゲブラー。』
『確かなのは、誰かが悪しきゆえに起きた事。そして、あなたが怪物だ
と言うアレの形態は、クリストファーと呼ばれた人間の意志にあるっ
て事。』
「なぜ実験予定表にイザベルをDl‐01の実験室に送る工程がある!あんな
化物に彼女を犠牲にするのか?!」
『さあね?私は知らないわ、ゲブラー。前から私たちに実験の意図なん
て説明されないでしょ?風のウワサによると、『人間性喪失有無の確
認検証』って事らしいけど、どういう意味か分かんないわ』
「このままだと確実にイザベルが死んでしまう。残されたギリーはどう
なる、アンジェラ様に止めてもらう!」
『黙ってなさい、ゲブラー。他の機械たちを見てきたけど、命令に逆ら
えば、アンジェラさまは簡単に私たちを初期化していったわ。』
「・・・」
『お願いよ。もしあんたが怒りを感じてるなら、その怒りを最後まで抱
えて生きていきなさい。』
『その方が、せっかく魂を持つあなたが記憶をなくして、生気のない状
態で存在するよりマシじゃない?』
そして、この話はどうなったと思う?
クリストファーの妻と娘はどうなったか・・・
・・・私にも、分からん。幸か不幸か、私の担当の実験ではなかった。
ほとんどの人間は私達と言葉も交わそうとしない。機械には心を通わ
す価値すら無いとな。
だが、彼らは私に「そんなことはない」と言ってくれた。私の外見
ではない、私自身も見ることができなかった私の内面を見てくれた
。
今はアブノーマリティと呼ばないといけない、あの怪物はあれから
多くの人間を殺してきた。
・・・そのくせにあの怪物は死にもしない。
不公平だ。
なぜあんなモノに奪われないといけない?
今、目の前の職員の命など気にするな。あいつらが外に出た瞬間、
こんな職員どもの命なんて気にしていられると思うか?
私にはできない。職員どもの命など背負うことはできないんだ。
一つ背負うだけでこんなにも重いのだから。
・・・わかったのなら、二度と私に助言などするな。
いいな?
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書きたかったので書きました。
感情が複雑骨折したゲブラーさんです。
このゲブラーさんはアブノーマリティを人から生まれた化物ではなく、
存在自体が特異な怪物であると断じて、狂わないように頑張っていますが、
内面を見て接してくれた二人の娘であるギリー(憑依)が生きているせいで
怪物(アブノーマリティ)を躊躇いなく苦しめることに一滴の濁りがあります。
あと、「執着」ですかね。
「職員どもの命など」は家族三人と比べていますが、
「ほとんどの職員は」と言っている通り、
三人と同じように接してくれる人もいるわけです。
それがわかっているからこそ
職員の命をすべて使いつぶすことに悩み、苦しんでいるわけです。
ですが、そういう人たちがいたとして、
自分は守り切れるのか?という疑問が生じているので、
これはささやかな「期待(微毒)」と「諦観(罪悪味)」です。
まあ、期待による罪悪なんてゲブラーさんでも赤い霧でもないですよね。
自分を「特色の赤を曲げるなクソ野郎」とぶん殴りたい気分です。
ゲブラーさんが不純物に態度をあまり変えないのは
一部隊のトップとしてどうなんだ?と私が思ったからです。
オフィサーである理由はティファレトが手をまわしました。
ゲブラーさんのためです。
メリットはなし、リセットされるデメリットのほうが大きいです。が、
私にとってティファレトはとても優しい子なので、この子にしました。
哀れな蒼白の機械はそれを見過ごしました。
彼女にはすべてが意味なきことに見えたのでしょう。
まあ、ティファレトはリセットされましたけど。しょうがないことですよね。
かつて赤い霧の仲間たちを殺した
ビナー様の抽出チームに配属されたのは偶然(必然)です。
上記のことを分かったうえでビナー様はかつての宿敵が
アブノーマリティを苦しめることではなく、
執着に近くはあるものの仲間(ギリー)を守るために
正気を保とうと努力する姿勢を「憎しみに飲まれる姿よりはマシ」と評価しています。
(ついでに自分を見るたびに複雑な感情を抱くゲブラーさんを楽しんでいます。)
それに貢献した不純物にはすこし態度がマシで
ある程度コミュニケーションをとってくれます。
一緒に紅茶飲んでるのは不純物が図々しいだけです。畜生。そこのけや。
基本、不純物は両親の「機械魂ある(要約)」の言葉だけが根本に残っているので、
人臭い機械は魂が入ってると思っています。
ケセド君を作中ではコーヒーマシン扱いしてますが、関係は良好です。
ちなみにケセド君を隠した自室はほぼ自身の物はなく、
たくさんの色で彩られています。
友人のヤバげな一面を見たケセド君はちょっと驚いてます。
驚かせた不純物は今すぐ図書館に裸特攻しましょう。楽に殺してくれますよ。
裏設定として、両親が死んだときに不純物はその事実に耐えられず、自害を図り、
助かったあとは、エンケファリンに手を出してシャブ漬け。
体を治療しても、記憶がある限りエンケファリンを求めるだろうから、
仕方なく記憶処理を行いました。ウサギチームが受けてるあれです。
なので透明文字のランプの横の家族写真は彼女にとっての誰かのものです。
ちなみにここの管理人は懲戒チームの抑制をしてません。
ちなみのちなみにですが、この不純物は前世でゲブラーさんが一番好きでした。
ちなみのついでにいうと、こいつは懲戒チームの抑制以外は全部終わっています。
…まあ、前世の記憶はほぼ消えて、残った残滓が不純物です。
管理人としてのこいつは全裸で死にました。死因は
最後の描写にある通り裸族です。
前世からの根っからの裸族です。こいつは。
空白四つあけといてなんですが、
伝える最後の情報は裸族を憑依させられたギリーちゃんへの謝罪です。
すみませんでした。
あと、ゲブラーさんのセフィラストーリーのところは
不純物の影響を表面上少なくしたのですが、これってやっぱり、
利用規約の原作の大幅コピーに該当してますよね?たぶん。
そのときは本文だけ残して、
前書きとあとがきを消すか、作品ごと消すと思います。
前作の駄作、今作の駄作含めて、
ご覧いただきありがとうございます。終わりです。