脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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最終回です。


第12話

「オールマイトへのプレゼント(・・・・・)の準備は?」

 

「うん、準備できてるよ」

 

かつてオールマイトに全てを奪われたオール・フォー・ワンからの、悪意を込めた贈り物。

作ったのはわたしなんだけど、我ながら趣味の悪いものを作ったね。

 

「それじゃ、行こうか・・・黒霧(・・)

 

タルタロスにオール・フォー・ワンを迎えに行った時、黒霧はいなかったんだよね。

黒霧も大事な仲間だから、個性をフル活用して一生懸命探した。セントラル病院にいることをなんとか突き止め、襲撃して黒霧を奪還、そして今に至るって感じ。

 

「荼毘はエンデヴァーの病室へ。ちょうど一家全員が見舞いに来て集合しているはずだよ」

 

「承知しました」

 

今日で、わたし達の前に立ち塞がるものを全て片付ける。

オール・フォー・ワンはオールマイトを完全に殺し、荼毘は家族との因縁に決着をつける。

 

わたしと弔は・・・今の世界をぶち壊すときに最大の障壁になる存在、スターアンドストライプをアメリカごと(・・・・・・)始末する。

 

世界の命運を決める最終決戦・・・と言っても、結果は分かりきってるけどね。

 

「さあ、今こそ全てをわたし達の手に!!」

 


 

「・・・緑谷少年、無事でいてくれ」

 

緑谷出久が行方不明になってから、今日で3日。

未だに連絡は取れず、手掛かりは一切ない。

 

・・・と言っても、犯人は分かりきっている。

 

「オール・フォー・ワン・・・ッ!」

 

タルタロスから脱獄し、世界中を荒らし回る(ヴィラン)

十中八九、犯人は奴だ──「やあ、呼んだかい?」

 

背後から声がかかる。

 

よく知った声・・・できれば聞きたくない声。

 

「おやおや、無視かい?せっかく君にプレゼントを持って来てあげたというのに」

 

「何だと・・・?」

 

振り返るとそこには、緑谷少年の首元あたりを掴んで引きずっている、オール・フォー・ワンの姿があった。

 

「緑谷少年!」

 

「呼んでも無駄だよ、意識を失っているからね」

 

奴はあのマスクを着けておらず、顔の上半分も再生している。

相変わらずニヤニヤと笑みを浮かべている奴に、私は叫ぶ。

 

「緑谷少年を放せ!!」

 

「いいとも。もう個性は貰ったからね」

 

そう言って奴は、緑谷少年の体をこちらへ放り投げた。

 

床に放り投げられた緑谷少年を抱きかかえる。

脈は・・・ある。

 

「よかった・・・」

 

「・・・フフフ」

 

オール・フォー・ワンはこちらを見てニヤニヤ笑っている。

 

「本当にそうかな?ちゃんと聞いてみる(・・・・・・・・・)といい・・・」

 

「何を言って・・・?」

 

呼吸もしている。

心臓も動いて──

 

「・・・!」

 

おかしい。

緑谷少年の体から、複数の拍動(・・・・・)が聞こえる。

 

「前にも言った通り、僕は君にできる限り惨たらしい死を迎えて欲しいんだ。だから──君の全てを奪うことにした

 

「君は、個性も家族も持っていない。なら、今の君から奪えるものとは何か・・・」

 

オール・フォー・ワンがニヤニヤ笑いながら見つめてくる。

 

「そう、生徒だよ」

 

「今君が持っているそれは、君の教え子達を繋ぎ合わせて作ったんだ」

 

「・・・は?」

 

腕の中の緑谷少年から、『メキメキ』と異音が聞こえる。

 

「骸の『オーバーホール』で無理矢理1人分のサイズに押し込めたんだが、無茶な作りだから長くは持たない・・・おや、彼も目を覚ましたらしいね」

 

緑谷少年が僅かに目を開き、こちらを見てくる。

 

「オール・・・マイト・・・。すみません、僕──」

 

私の目の前で、緑谷少年は弾けた。

物言わぬ肉片となって、飛び散った。

 

「フフフ・・・ハハハハッ!実にいい顔だ、八木俊典!!」

 

「オール・フォー・ワンッ!!!」

 

怒りに身を任せ、殴りかかる。

しかしその腕は、簡単に奴に掴んで止められた。

 

「哀れだね・・・怨敵たる僕が目の前にいるのに、君は何の力も持たないんだから」

 

オール・フォー・ワンは拳を握り、腕を振るう。

 

「『OFA』最大出力・・・消え失せろ、オールマイト」

 

私の意識は、そこで途絶えた。

 


 

「弔、準備はできてる?」

 

「ああ」

 

わたし達は今、北アメリカ大陸の端っこにいる。

わたしの個性のうち『光学迷彩』とか『ステルス』を使って、こっそり上陸した。

 

わたしと死柄木はトゥワイスの個性でそれぞれ4人ずつに増えて、大陸の東西南北にそれぞれ配置されている。

 

「『肉体変形』+『肥大化』!!」

 

翼を6枚に増やし、展開する。

 

「『閃光』×63+『レンズ』×50!!」

 

わたしは翼を煌めかせ、弔は地面に触れる。

最大出力で一気に消し飛ばす!

 

「「ぶっ壊れろ!!」」

 

閃光が地上を包み、辛うじて残った大地も一瞬で『崩壊』していく。

 

スター・アンド・ストライプと戦わないのかって?

雄英生徒から奪った『洗脳』と『真実吐き』を併用して、「貴様たちは、死ね!!」するだけだし、誤差だよ誤差。

 

そんな感じでこの日、『アメリカ』は文字通り消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

「死柄木〜、領民の様子はどう?文明発達したりしてない?」

 

「特に事件は起こってないな・・・一昨日、自動車の残骸が地下から発見されてたくらいか」

 

わたし達は今、オール・フォー・ワンの魔王城にいる。

 

わたし達がアメリカを吹き飛ばし、オール・フォー・ワンがオールマイトを始末したあと、トゥワイスがわたし、死柄木、オール・フォー・ワンを増やして全世界を襲撃した。

 

核兵器やら何やらが使用され、地上は荒廃。

それでもあの時代の人類は、わたし達に勝つことはできなかった。

戦争で文明は完全に破壊され、人口は10分の1以下に。

そんな荒れ果てた世界をわたし達は掌握し、500年以上かけて中世くらいまで文明は復興した。

 

オール・フォー・ワンは『大魔王』として、死柄木は『統括官』として、そしてわたしは『大天使』として世界を支配している。

 

死柄木は役職を貰ってはいるけど、実際はほとんど何もしていない。

反乱勢力が出た時に粛清するくらいだ。

 

他のメンバーはどうなったのかって?

 

ドクターは今もオール・フォー・ワンに、黒霧は死柄木に今も仕えている。

 

荼毘はエンデヴァー一家を燃やし尽くしたあと、姿を消した。

どこに行ったかはわたしも知らない。

・・・別れの挨拶くらい、してくれてもよかったと思うんだけどな。

 

トガは、人生を謳歌して寿命で死んだ。

普通に恋愛をして、普通に結婚して、子供や孫に囲まれて息を引き取った。

最期もいつもの笑顔のまま、眠るように死んだ。

 

トゥワイスも天寿を全うした。

ちょこちょこ不運な出来事は起こってたけど、なんか気合で乗り越えてた。

 

「そういえば、コンプレスは今めっちゃ忙しいらしいね。悪徳領主がどんどん増えてるとかで」

 

「ほっとけばいいだろ・・・やりたくてやってんだから」

 

コンプレスは、悪徳領主とか不正をしてる役人をしばいてる。

『世直し』しまくりで人生が楽しそうだ。

 

ナガンは治安維持組織のトップをやってる。

暗殺じゃなく、普通に証拠を掴んで逮捕。

公安みたいな組織にならないよう頑張ってるみたいだ。

 

元異能解放戦線の面々は、『異能』の訓練講座みたいなのを各地で開いている。

制御できないと世界が滅ぶようなのも結構あるからね。

 

「お前の調子はどうなんだ、大天使様?」

 

「う〜ん。医療も進歩してきたし、あまり忙しくはないかな」

 

今この世界には、『死者を埋葬する』という文化はない。

 

誰かが死んだら、『大天使』であるわたしが取り込み、それによって天界へ行ける・・・ということになっている。

わたしを信仰対象とした宗教ができていて、全世界の人々がそれを信仰しているんだ。

 

「やあ、待たせたね」

 

死柄木と話していると、ようやくオール・フォー・ワンがやって来た。

今日はわたし達が世界を統一してから600年の記念日。

魔王城にて、記念式典が行われるのだ。

 

「その服かっこいいね、わたしも欲しい」

 

「嘘だろ・・・」

 

オール・フォー・ワンの『ザ・魔王』って感じの服を見て呟いたわたしを、死柄木が信じられないものを見るような目で見る。

かっこいいからいいじゃん。

 

「まぁいいや・・・そろそろ式典始まるし、行こう!他のみんなも待ってるよ!」

 

と、わたし達の物語はこんな感じで、ずっとず〜っと続いていく。

まあ、別の世界から侵略者がやってきたり、宇宙の果てから星を食べる化物がやって来たりしたんだけど・・・それはまた別のお話。

 

「ここからは『敵』じゃなくて世界を守る『ヒーロー』の話になっちゃうから、ここでおしまいってわけだね!」

 

「急に何言ってんだ?つーか誰に喋ってる?」

 

それじゃ、またね!




これにて本作は完結です。

普通に人類が滅亡寸前まで行って征服されるバッドエンドルートですが、骸ちゃんは敵サイドなのでハッピーエンド。
敵サイドは全員夢を叶え、骸ちゃんも仲間とずっと一緒にいられるのでハッピーです。

ヒーローサイドは・・・まあ、ドンマイ。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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