幼女戦記if 〜帝国軍第1装甲軍の戦歴〜   作:izuminnー3305

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ありがとうございます。これからも本作の応援、よろしくお願いします。


第11話:空を駆ける騎士

 統一暦1924年の早朝、極東の島国より購入したD51(デコイチ)形蒸気機関車を二連繋ぎで客車と貨物車を合わせた合計三十両の混合列車が北方ノルデンへ向かっていた。

 

 しかも、その列車には第1装甲軍司令官のアルフレットを含めた装甲擲弾兵達と軍用車両、装甲車両、医薬品、食料、燃料、弾薬などが載せられていた。

 

 先頭のD51(デコイチ)に乗っているアルフレットはマカロニパスタに豚ひき肉と豆、そしてトマトソースで作られたパスタの缶詰めを三つ、缶切りで開け、それを黒いフライパンに入れる。

 

「んじゃ。ボイラーを開けてくれ、親父(おやじ)さん」

「おうよ。中将さん」

 

 アルフレットが笑顔で頼むとD51(デコイチ)の運転手を務める煤で顔が汚れた中年男性が笑顔でペダルを踏みボイラーの扉を開ける。

 

 そしてアルフレットはフライパンを燃え盛るボイラーに入れる。それから何回、ボイラーからフライパンを出しては木製のおたまで掻き混ぜては入れる。

 

「よーし。そろそろ、いいな」

 

 ボイラーからフライパンを取り出したアルフレットはそう言うと運転手と同じ様に煤で顔が汚れた副運転手を務める若年の男性がボコボコで薄汚れたアルミ製の淵が立った皿とスプーンを持っていた。

 

 煮詰まったトマトマカロニパスタは湯気と美味しそうな匂いを漂わせアルフレット、運転手、副運転手の食欲を掻き立てた。

 

 そしてアルフレットは二人の皿にトマトマカロニパスタを均等に乗っけて行く。

 

「おお!これは美味そうだ‼︎」

「そうですね親父(おやっ)さん。これに焼き立てのパンがあれば」

 

 するとアルフレットは持って来ていた袋から白パンを取り出す。

 

「はい、焼きたてぞ。ちょっと待ってろナイフで切るから」

 

 アルフレットは腰に掛けてあるコンバットナイフMk.Ⅱを手に取りパンを均等に切って行く。そして自分を含め二人に分け、アルフレットはフライパンのまま皆、食べ始める。

 

 運転手と副運転手はトマトマカロニパスタをパンに乗っけて食べると口内に広がる美味さに感激を受ける。

 

美味(うま)い!今まで食べた帝国の料理で一番美味いぞ‼」

「ええ、本当に美味(おい)しい!この前のザワークラウトと比べ物にならないですよ‼」

「それはよかった。今、帝国じゃ軍の改良された料理を元に様々なレストランや加工食品が目覚ましい勢いで美味しくなっているからな」

 

 そう言いながらアルフレットもトマトマカロニパスタをおたまで掬い、パンに乗っけ新しくなった軍用缶詰め堪能するのであった。

 

 それから約一時間、列車は帝都ベルンを抜け帝国領ノルデンの境界近くの街、シューレンビッヒに到着する。

 

 そこで三十分の休憩とD51(デコイチ)の補給が行われていた。

 

 D51(デコイチ)から降りたアルフレットはタバコを吸い始めているとグレディンが慌ただしい表情で走って来た。

 

「アル!アル!大変だ‼︎」

 

 するとアルフレットは口に咥えていたタバコを指で挟んで取る。

 

「グレディン少将、勤務と任務中は私をアルではなくアルフレット中将と呼ぶように」

「あ‼︎すみません!中将!」

「それで緊急か?」

「はい!中将‼︎先程、緊急の打電で帝国軍北方管区のクラグガナ物資集積所に協商及び国籍不明の義勇魔道大隊が強襲!さらに爆撃機部隊も確認されました!」

 

 アルフレットはグレディンから受け取った打電書を見る。

 

「なるほど。少将、急ぎシュンベル空軍基地に連絡!我が装甲軍専用に編成された空軍独立第8航空戦闘攻撃旅団の第11航空戦闘連隊に北方、クラグガナへ向けて緊急発進させろ‼︎いいな?」

「はい!中将!」

「それと先行したフェアリー・リーダーにも連絡!“爆撃機隊は編隊長機のみを撃墜せよ”ってな」

「了解しました!中将!では‼︎」

 

 グレディンは敬礼をし、急いで客車に設置された通信機へと向かう。

 

 アルフレットは再びタバコを口に咥えると明るくなる空を見る。

 

「さてと、これで空戦の常識がひっくり返るな」

 

 そして出発の汽笛が鳴るとアルフレットはタバコを地面に捨てて消すと再びD51(デコイチ)へと乗り込む。

 

 

 一方、先にクラグガナに着いたターニャ達、第203航空魔道連隊は協商及び義勇魔道兵の相手をし見事に撃退する。

 

「大佐!見えました‼︎爆撃機です!」

 

 セレブリャコーフからの報告に雲から出て来る爆撃機隊を見てターニャはニヤッと笑う。

 

「ようやく来たな!」

 

 するとターニャの携帯魔道通信機にアルフレットからの打電を受け取る。

 

「大佐、どうしました?」

「ああ、後方のニュンフェ・リーダーからだ。フェアリー・リーダーはただちに敵爆撃機隊の編隊長機のみを堕とせだと」

「ええ⁉︎単身ですか?」

「そうだ。それとまもなくここに例の独立航空旅団の一個連隊が到着するとセレブリャコーフは第1大隊を引き連れ残りの敵魔道兵を叩け」

 

 そう言うとターニャは一人、爆撃機隊に向かって急上昇する。

 

 一方、爆撃機隊の編隊長機に乗る副編隊長兼副機長が双眼鏡で地上を見ていると急上昇するターニャを発見し驚く。

 

「いっ!一体、こちらに向かって来ます‼︎」

「一体だと?バカな!自殺行為だ!」

 

 編隊長兼機長はあまりにも非現実な報告を飲み込めずにいた。

 

「高度七千!八千‼︎このままだと並ばれます!」

「何だと⁉︎全機!上昇‼︎各自弾幕を張れ!」

 

 戸惑う編隊長の指示で各機は上昇しながら航空銃座用7mmルイス機銃をターニャに向かって発砲する。

 

「今回ばかりは小さな体に感謝するよ」

 

 そう言うとターニャは素早い機動で弾幕の隙間を抜ける。

 

「くそ!当たれ‼当たれぇーーーーーーーっ‼」

 

 編隊長機の後部銃座の兵士がルイス機銃を乱射するが、誤って味方機に当ててしまう。

 

「やめろ!仲間に当たる‼落ち着いて狙いを定めて・・・‼」

 

 何かが前に立つ音を聞き副編隊長が前を向くと、そこには恐ろしくも怪しい笑顔でターニャが立っていた。

 

「こんにちは。そして、さようなら」

 

 驚く編隊長と副編隊長、そしてターニャは装備していたⅯ39A2柄付き手榴弾の安全ピンを口で抜き、放り入れる。

 

 そしてターニャが離れた瞬間に編隊長機は爆発し墜落する。

 

「へっ!編隊長機が‼」

「作戦中止だ!爆弾を放棄‼急速旋回だ‼」

 

 編隊長代行の機長が指示に全爆撃機は搭載していた50kg爆弾を十二発を投下放棄する。

 

 それを見届けたターニャは無線を入れる。

 

「フェアリー・リーダーよりニュンフェ・リーダー、(かしら)を失った敵爆撃機は尻尾を巻いて逃走を開始したオーバー」

「了解したフェアリー・リーダー。それと例の部隊が到着した。君達は敵残存魔道兵部隊を掃討せよ」

「了解したニュンフェ・リーダー。フェアリー・リーダー、アウト」

「ニュンフェ・リーダー、アウト」

 

 そしてターニャは敵残存魔道兵部隊の掃討の為に猛スピードで降下する

 

 

 撤退をする爆撃機隊はターニャからの追跡がない事に安心感に包まれていた。

 

「よかった。追跡はないようだなぁ」

「よし!このまま、基地に戻るぞ!」

 

 すると副機長が何かに気付いたのか頭上の太陽を見る。

 

「どうした?副機長」

 

 編隊長代理の機長の問いに自分の耳を疑う表情で答える。

 

「いえ・・・太陽の方から微かに戦闘機の様なエンジン音がして」

「ああ?そんな訳があるか!高度八千以上を飛ぶ飛行機は爆撃機しかないぞ」

 

 すると太陽の光の中から帝国空軍の独立第8航空戦闘攻撃旅団に最優先で量産、配備された新型のメッサーシュミットBf109F2戦闘機、四機が猛スピードで爆撃機隊、目掛けて急降下しながら機首に搭載された二門の13mm MG131A2機銃と翼内に搭載された二門の20mm MG151A2、そしてモーターカノンの20mm MG151A2、一門で射撃する。

 

 アルフレットが発案した新たな空中戦術、『一撃離脱戦法(ヒット・アンド・ウェーイ)』を駆使して次々と爆撃機を撃墜して行く。

 

 前世のメッサーシュミットBf109は一撃離脱戦法に特化した名機ではあったが、貧弱な武装と搭載していたエンジンの低馬力、短い航続距離で高馬力エンジンを搭載し長航続距離を持った連合機の前に次々と撃墜される悲運であった。

 

 しかし、この世界でのメッサーシュミットBf109F2はアルフレットのアイデアを取り入れた事で高武装と高機動、さらに高馬力エンジンで長航続距離を持つ『ユンカース Jumo(ユモ)213A2』を搭載した事で前世以上の高性能機となった。

 

「な⁉何だあの戦闘機は‼」

「帝国の新型機⁉しかも早い‼早過ぎる‼」

「ダメだ!早過ぎて機銃じゃ応戦出来ない‼」

 

 混乱する爆撃機パイロット達を次から次へとメッサーシュミットBf109F2が爆撃機を強襲し、爆撃機を全機撃墜する。

 

 ゴーグルを上げ、それを確認したリーダーのネペレ11(イレブン)(ワン)は無線を入れ、付けている酸素アスクに内蔵された無線マイクに向かって声を発する。

 

「こちらネぺレ11(イレブン)(ワン)、ニュンフェ・リーダー応答せよ、オーバー」

「こちらニュンフェ・リーダー、ネペレ11(イレブン)(ワン)どうぞ」

「敵爆撃機を全機撃墜しました。こちらの損害は(ゼロ)です。オーバー」

 

 その報告を聞いたアルフレットはニヤリと笑う。

 

「そうか、よくやったネペレ11(イレブン)(ワン)。すぐにクラグガナ野戦空軍基地に帰投せよオーバー」

「了解、ニュンフェ・リーダー。ネペレ11(イレブン)(ワン)、アウト」

「ニュンフェ・リーダー、アウト」

 

 通信を終えたネペレ11(イレブン)-は外に向かって各方向にいるメッサーシュミットBf109F2各機にハンド・サインで帰投の合図し、全機は左右に旋回し編隊を組むのであった。その姿はまるで空の平野を駆ける騎士の部隊のように。

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