幼女戦記if 〜帝国軍第1装甲軍の戦歴〜   作:izuminnー3305

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第12話:最初の協力者

 クラグガナ野戦空軍基地に帰投したメッサーシュミットBF109F2の部隊は零戦と同じランディングギアで次々と着陸する。

 

 その光景を野戦空軍基地の空軍パイロット達から憧れの眼差しと熱烈な歓迎を受けていた。

 

「おお!あれが新型の戦闘機か‼︎」

「すげぇ!俺達の複葉機なんか、おもちゃだな」

「単葉機で洗練されたデザイン!くうーーーっ!いつか俺も乗りてぇーーーっ‼︎」

 

 着陸を終え、ゆっくりと十七機のメッサーシュミットBF109F2が格納庫前に集いエンジンを停止する。

 

 格納庫前には同じ様にクラグガナ野戦空軍基地に帰投した第203連隊も新型機に見惚れていた。

 

「ほへぇーーーっあれが第1装甲軍直属の航空旅団の新型機ですか」

 

 セレブリャコーフがそう言うとヴァイス、グランツ、ケーニッヒ、ノイマンも関心の気持ちを口に出す。

 

「ええ。複葉機とは違ったシャープな機体と翼、まさに近未来の飛行機だ」

「しかも搭載しているエンジンは従来の星型空冷エンジンじゃなくて液冷エンジンですよ」

「武装は13mm機銃が二門と20mm機関砲が三門とは豪華だな」

「あんな機体が各戦線で活躍したら複葉機のパイロット達は商売上がったりだな」

 

 するとセレブリャコーフは辺りをキョロキョロする。

 

「あれーーーっ?大佐が見えませんね」

 

 セレブリャコーフの問いにヴァイスが答える。

 

「そう言えば、さっき無線でアルフレット中将と共に急用で部隊を離れるって言ってましたよ中佐」

「え⁉︎そうですか。何ですかね急用って?」

「さあな。でも我々を次に備えて準備しないと」

「そうですね。じゃ補給を行いましょうヴァイス中佐」

「ええ」

 

 セレブリャコーフ、ヴァイス、グランツ、ケーニッヒ、ノイマンは補給の為に格納庫前から離れるのであった。

 

 

 時は遡り、ターニャは一人、敵捕虜の回収の為にメッサーシュミットBF109F2によって撃墜された爆撃機へと到着する。

 

 コックピットを見て全員、戦死しておりターニャは溜め息を吐く。

 

「情報を持って帰りたかったが、脳みそを持って帰る訳にもいかないな」

 

 ターニャは振り返り、その場を離れようとすると世界が静止する。

 

「喜ばしいことだ」

 

 身の毛がよだつ嫌な声にターニャは瞬時に振り返り、死体に向かってワルサーGew43A2を撃つ。

 

 すると死体が操り人形の様に起き上がる。

 

「今、世界は神に歯向かう愚か者を罰する為の戦いを始めようとしている」

「存在X‼やっぱり貴様が余計なお世話を‼」

「どうかね?アルフレットと共に世界を相手にする気分は?」

 

 だが、ターニャは逆に笑顔で答える。

 

「ふん!そんなの知るか。逆に私とアルは必ず、この世界を傲慢な貴様から解放する」

「どこまでも愚かな子だな」

「黙れ!クズが!」

 

 そう言うとターニャは存在Xに操られた死体に向かってワルサーGew43A2を乱射する。

 

 そして再び世界が動き出すと乱射によって死体は更に血を流してズダズダとなる。

 

「くそったれの神が!」

 

 ターニャは吐き捨てると、その場を飛び立つ。しばらくすると何かを発見して観測術式を表示、空中停止する。

 

「!・・・フェアリー・リーダーよりニュンフェ・リーダー、応答せよオーバー」

 

 森の少し開けた場所に立つ小屋には連合王国軍の兵士達が居た。

 

「ふん、新型機とは。帝国め、おまけに新戦術も駆使するとは」

 

 協商への支援で義勇兵として派遣されたサー・アイザック・ダスティン・ドレイク中佐は椅子に座り、カップに入った温かい紅茶を一口、飲む。

 

「記録データーは取っているか?」

 

 アイザック中佐かの問いに同じ様に義勇兵として派遣され通信機材を操作する二名の男性連合王国兵士の片っぽが答える。

 

「はい、中佐。全て」

「通信データーは?」

「申し訳ありません、中佐。未知の暗号だったので解読は」

「分かった。通信はこの際、諦めて戦闘データーだけでも持って帰るぞ」

 

 アイザックは被っていた軍帽を被り直し、再び紅茶を飲もうとした瞬間、ドアが三回、ノックされる。

 

「ん?誰だ?こんな山奥に」

 

 通信傍受をしていた連合王国兵士が言うと戦闘データーを収集していた連合王国兵士が立ち上がる。

 

「もしかして敵兵では⁉」

 

 するとアイザックは右腕の手の平を立ち上がった兵士に向ける。

 

「待て。ここは戦場からはかなり離れている。猟師か登山者が迷い込んだんだろう。私が出る」

 

 アイザックは立ち上がり自らドアを開ける。

 

「どなたですか?ここは軍の小屋で・・・‼」

 

 アイザックは驚く。なぜなら、そこには白旗を持ったターニャと軍帽を被りオーバーコートを着こなしたアルフレットが立っていた。

 

「こんにちは、連合王国の皆さん」

 

 アイザックは後退り、二人の通信兵は座っていた椅子を倒しながら勢いよく立ち上がり腰のホルスターからウエブリーMk.Ⅳを抜き、構える。

 

 だが、アルフレットとターニャは動揺せず逆にアルフレットは笑顔でアイザック達と接する。

 

「まあまあ、落ち着いて下さい。私は皆様を捕虜にしたり殺しに来たわけではありません」

「では、何しに来た?」

 

 アイザックの問いにアルフレットは被っていた軍帽を手に取り、そして軍帽を自分の胸に置く。

 

「私は皆さま、連合王国兵士とお話しに来たのです。どうか、話しをさせて下さ」

「そんな事を信じるか‼帝国の犬が!」

「待て!」

 

 興奮する連合王国通信兵をアイザックは止める。

 

「ここに少数で来たからには本当なんだろう。でも確たる証明がなければ対話は無理だ。何か証明を見せてくれ」

 

 するとアルフレットは軍帽を被り、襟の前に着けた柏・剣付き鉄十字勲章を外す。

 

「これが証明です。受け取って下さい。例え会話が出来ず私達が去っても私を撃ち殺して奪ったと報告するば武勲になります」

 

 アルフレットの迷いのない覚悟を決めた表情と眼差しにアイザックは納得する。

 

「すまない、疑ってしまって。分かった、君を信じよう」

 

 アイザックの判断に二人の連合王国兵士は驚く。

 

「中佐!正気ですか?これは売国行為に匹敵します!」

「そうです!世界の敵、帝国の兵士を信じるなんて!」

「分かっている。だが、話しをするだけでもいいではないか。さぁ、立ち話もなんだから中へ」

 

 アイザックは笑顔で中へ誘うのでアルフレットも笑顔になり軽く一礼する。

 

「ありがとうございます」

 

 そしてアルフレットとターニャは小屋の中へ入る。

 

 

 対面する様にアルフレットとアイザックは座り紅茶を飲み合うのであった。

 

「うーーーん。美味しい。この紅茶はマリア&ローズでは?」

 

 アルフレットからの問いにアイザックは笑顔で関心する。

 

「これは、帝国にも紅茶の分かる軍人がいたのですね。ええ、中でも最も上質なマリア&ローズの葉っぱです」

「そうですか。そう言えば、お互いの自己紹介がまだでしたね」

「ああ、そうですな。では改めて」

 

 アイザックとアルフレットは右手に持った紅茶の入ったカップをテーブルに置く。

 

「私はサー・アイザック・ダスティン・ドレイク。連合王国軍魔道兵で階級は中佐です」

「初めましてアイザック中佐。私はアルフレット・シュナイダー。階級は中将で帝国軍第1装甲軍の指揮官をしています」

 

 アルフレットの階級にアイザックは驚く。

 

「し、失礼ですが、貴方は、いいえ!中将殿はおいくつですか?」

「今年で24ですね。それと私の隣に居るのが、」

 

 白旗を持ってアルフレットの横に立つターニャが自ら名乗る。

 

「初めましてサー・アイザック中佐、帝国軍第203航空魔道連隊の指揮官を勤めておりますターニャ・フォン・デグレチャフ大佐です」

「君が例の“ラインの悪魔”か」

 

 それを聞いたターニャは少し溜め息を吐く。

 

「私に対するコードネームはそうなんですね」

「まぁ、君の強さを考えると我々にとって悪夢だよ。おっと、話しがそれてしまった中将殿」

 

 アルフレットは笑顔で首を軽く横に振る。

 

「いいえ、構いませんよ。アイザック中佐」

「それで中将殿。危険を冒してまで我々と会話をしに来た理由は?」

 

 アルフレットは小さく静かに一呼吸し、アイザックの問いに真面目な表情で答える。

 

「我々、帝国は『帝国が敗北する為の戦争』を行っている事を伝えたく、ここに来ました」

 

 その後、アルフレットはアイザックを含めた連合王国兵士達に包み隠さずに自分の発案した終結プランを話した。

 

 全てを聞いたアイザックは右手で下顎を触りながら関心する。

 

「なるほど、世界の全てを敗者にする事で戦火を根元から消し去るか。聞くだけでは無謀な計画ですな」

 

 アルフレットは紅茶を一口飲むと笑顔で同感する。

 

「ええ。確かに俺のプランは無謀です。でも、試す価値はありますよ。アイザック中佐」

 

 するとアイザックは左の窓から空を見る。

 

「正直、連合が大戦に飲み込まれ多くの若者の命が消えて行くのは耐えられない」

 

 アイザックは再び前を向く、笑顔でアルフレットに言う。

 

「分かりました、中将殿。いや、アル。君のプランに微力ながら協力しよう」

 

 アイザックが右手を出したのでアルフレットも右手を出し、彼と握手をする。

 

「ありがとう、アイザック。これは俺の秘密電話と通信周波数だ。これなら誰にも盗聴や妨害はされないから」

 

 握手を終えた後にアルフレットがテーブルに置いた折り畳んだ白い紙をアイザックは受け取る。

 

 そしてアルフレットはターニャによって腕を捕まれ宙ぶらりんの様に小屋を後にする。

 

 アイザックは二人が去るの見届けると無線傍受をしていた連合王国兵士がアイザックに問う。

 

「中佐、戦争終結に協力するのは分かりました。ですが、その為にデータを全て削除した事は上に何と報告しますか?」

 

 アイザックは笑顔で答える。

 

「ラインの悪魔が小屋を爆撃、退避は出来たが、機材とデータは木っ端微塵になっと」

「分かりました。悪徳中佐殿」

 

 連合王国兵士の冗談にアイザックを含め皆が笑い合う。

 

 そして機材が置いてある机の下から小型のモールス式通信機を取り出し、戦闘データーを収集していた連合王国兵士が連合王国本土にモールス信号を送る。

 

 一方、アルフレットの腕を掴み、ぶら下げる形で飛行するターニャは笑顔で彼に話し掛ける。

 

「まずは連合王国の協力者を得たな、アル」

 

 アルフレットは笑顔で頷く。

 

「ああ。これからはアイザックと情報交換をするから任務以上に忙しくなるぞ」

「まったく!サラリーマン時代の契約交渉を終えた帰りみたいだな気分だなぁ」

 

 ターニャは前世の社会経験を交えたジョークを言ったのでアルフレットは思わず笑ってしまう。

 

「確かにそうだな!うまーーい‼山田君!ターニャ君に座布団一枚!」

 

 アルフレットのジョークにターニャも笑ってしまう。

 

「アル!この世界でお前と出会えて私は嬉しいぞぉーーーーーーーーーーっ!」

「そっかぁーーーーーっ!俺もお前と会えて嬉しいぞぉーーーーーーーーっ!」

 

 雪が積もる北方のノルデンに響き渡る二人の喜びの言葉は、まるで全世界に響き渡る様であった。

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