幼女戦記if 〜帝国軍第1装甲軍の戦歴〜   作:izuminnー3305

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第2話:戦場での出会い

 統一暦1924年、ライン戦線、帝国軍ライン方面野戦基地。

 

 本来の任務とは違う独断専行で戦車戦を行ったアルフレットは前戦司令部から厳重注意を受け、一ヶ月の後衛勤務に回されていた。

 

 点検を行う自身のⅢ突(さんとつ)に背をもたれ、地面に座りながらKパンを食べながら薄汚れたアルミ製のコップに注いだ牛乳を飲むアルフレットは戦場の空を眺めていた。

 

「はぁーーーーっあのガチガチの石頭司令官。命令違反は百歩譲って、戦果を評価しろよ」

 

 そう言いながらKパンを再び食べ、牛乳で腹の中へと流し込む。

 

「おお!神よ。どうか我に昇格の機会(チャンス)を」

 

 すると突然、世界は自分以外の全てが制止する。

 

「悩む我が子よ、あんずるな。三つの日には、お前は大きな祝福を受ける」

 

 自分の目の前にいた痩せこけた野良犬から男性の声が聞こえアルフレットはそれが死んだ自分をこの異世界に転生させた神、存在Xであると気付く。

 

「神よ。わざわざありがとうございます。それを聞いて少し気が楽になりました」

 

 アルフレットの純粋な笑顔と態度にターニャとは違い存在Xは笑みを見せる。

 

「それでよいのだ、我が子よ。我が起こした戦争で、お前の様な信者が増えるのが楽しみだ」

「ちょっと待って下さい。今何と?我が起こした戦争?」

「そうだ。この戦争は我が起こした物。これを機に多くの者達が我らを敬い称えるだろ」

 

 とんでもない真実にアルフレットは一瞬、言葉を失うと突然、立ち上がる。

 

「フッ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼そっか!神よ!何故、前世の人々が貴方達を信じなくなったのかよく分かりました!」

「何だと?」

「神よ!貴方は傲慢だ!傲慢ゆえに人々は信じる心を捨てた!どんな奇跡を起こしても誰も神の存在を信じない!何故か分かるか!」

 

 態度が一変したアルフレットに存在Xは険しい口調となる。

 

「それは・・・人が科学と言う新たな文化によって合理的解釈で我らの存在を信じなくなった。それが答えだ」

 

 存在Xからの答えにアルフレットはKパンとコップを投げ捨て右腰のホルスターからマウザーC96を取り出し、存在Xが憑依した野良犬を撃ち殺す。

 

「違う!多くの人々は神に祈りを捧げた!だが、神よ‼貴方達は何をした!救いを齎したか?奇跡を起こしたか?」

 

 再びアルフレットは撃たれた野良犬に向かって三発、撃ち込む。

 

「齎してもごく一部の者だけ!それが神の行いか?救いや幸福、奇跡は祈りを捧げた全ての者に与えるべきだ!それをしない神を誰が信じる!」

 

 アルフレットはさらに一発、野良犬の死体に向かって打ち込む。

 

「そして信者が減る事に焦ったあげくにこれか!傲慢な神よ‼俺をこの世界に転生させた事は感謝します!でも‼人の人生を狂わす貴様らに従う義理はない‼」

 

 それを聞いた存在Xは静かな怒りを示す。

 

「愚かな我が子よ。後悔するぞ」

 

 だが、アルフレットはターニャ以上の狂気と恐ろしさを感じる笑顔をする。

 

「後悔するのは貴方達です。俺は、いや俺達は狂った神から、この世界を救う。これは俺からの宣戦布告だ」

 

 そしてアルフレットは野良犬の死体に何発も弾丸を打ち込んで行く。

 

 すると再び世界は動き出し、アルフレットは元の座った状態に戻り存在Xが憑依していた野良犬も生きており、アルフレットは野良犬に食べていたKパンを投げ、それを銜えて野良犬は何処かへと去って行く。

 

 アルフレットは牛乳を飲み干し、立ち上がると曇り空を見上げながらフッと笑う。

 

「さてと、俺と同じ様に狂った神によってこの世界に転生したターニャ・フォン・デグレチャフに会うか」

 

 

 こんにちは、皆さん。ターニャ・フォン・デグレチャフです。

 

 突然ですが、今、私は自分と同じ存在Xによって転生したアルフレット・シュナイダー大尉から、この戦争が存在Xが起こした宗教活動である事を聞かされています。

 

「アルフレット、話は分かった」

「で、協力してくれるか?」

 

 野戦基地のテントで立った状態で腕を組んで話す二人。アルフレットの左に居るターニャは首を横に振る。

 

「いいや、一言で言うと興味がない。私は確かに存在Xが気に食わないが、そこまで壮大な事はしたくはない。君一人でやりたまへ」

 

 ターニャの非協力的な態度にアルフレットは軍帽を少し深く被り直すとその場を離れ始める。

 

「そっか。すまないなぁ忙しい時に付き合わせて」

「おや?もっと食い下がると身構えていたが、あっさりだな」

 

 ターニャは少し嫌な笑顔をするとアルフレットは立ち止まりターニャに向かって逆に明るい笑顔をする。

 

「ああ、俺は意志尊著主義者だから。無理矢理や嫌々はしないんだ。じゃなターニャ」

 

 アルフレットはターニャに向かって手を振って持ち場へと戻るのであった。

 

 その日の夜、ターニャは軍服のまま寝ている野営テントに狂った神こと存在Xが現れるのであった。

 

「おやおや、これは存在X。こんな夜更けに何用ですか?」

 

 ターニャは相手を小馬鹿にする笑顔で存在Xが憑依するくるみ割り人形と対面する。

 

「ターニャよ。愚かな我が子、アルフレットと会ったか?」

「ええ、会いましたよ。興味はありませんが」

「そっか。ターニャよ、一つ言っておく。我らは傲慢でもなければ狂ってもいない。我らは純粋に人々に信仰の心を持たせる為に戦争を起こしたのだ」

 

 それを聞いたターニャはポカンとした瞬間、あの恐ろしくも狂気に満ちた笑顔をする。

 

「なるほど!アルフレットの言った通りだ‼存在Xよ!その言葉は詭弁だ‼遠回しに自分達は傲慢でイカレていると言いている様なものだ!」

「お前も我をそう言うか?」

「ええ!言いますよ‼存在X!私もここで今、宣言します!貴方達の起こしたお遊びを終わらせる!そして私は!私の望む暮らしを手に入れる‼必ずお前達の伸び切った鼻をへし折ってやるからな!覚悟しておけ存在X‼」

 

 それを聞いた存在Xはアルフレットと同じ様に静かな怒りを示す。

 

「もはや、お前もあいつも救いようの無い愚かな存在だ。お前達がそう来るのであれば、我らは如何なる手を使ってでもお前ら二人の存在を、消す!」

 

 するとターニャが目を覚ますと朝を迎えていた。そしてターニャはゆっくりと簡易製の野戦ベットから起き上がる。

 

「さてと、今度はこっちからアルフレットに会いに行くか」

 

 二時間後、ターニャはアルフレットが居るⅢ突さんとつへ一人、赴き誰も聞こえない場所で昨夜の事を話していた。

 

「なるほどね。ターニャ、お前が俺に会いに来たって事は・・・」

 

 アルフレットが言いかけた事にターニャはニヤリと笑う。

 

「ああ、そうだアルフレット。だが、これは私の為だ。お前に協力するのは、この世界を救う為じゃない事を理解したい」

 

 ターニャの協力の理由に対してアルフレットは笑顔になる。

 

「それで構わないよ、ターニャ。これからの長い戦い、よろしくな」

 

「ああ、よろしくなアルフレット」

 

 二人はその場で熱い握手をした。そしてここに狂った神、存在Xの傲慢で狂った行いを止める戦いが始まったのであった。

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