ブルーアーカイブ ―宇宙に輝く黄金の螺旋―   作:まさみゃ〜(柾雅)

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珍しくすぐに書き上がった
それはそれとしてエミュしてたら頭おかしくなるかと思った


09 天使王

 Dr.ウェストこと西ヒカル、その彼女に付き従うエルザと言う少女の2人が加わってから、アル・アジフの断片の蒐集はよりスムーズになった。

 ただし、同時に問題もある。

 キヴォトスでは銃撃戦は日常茶飯事ではあるが、それでも限度というものがある筈だ。

 

「“あまりこうは言いたく無いのだけれど……”」

 

 今夜も街を破壊しすぎたのである。

 連邦生徒会のリンちゃんなんかが見たら絶対に卒倒すると思うぐらいには、彼女たちが断片の蒐集による街への被害は酷いものだ。

 まぁ、それもこれもは事あるごとにヒカルがクロウにちょっかいをかけるからなのだが。

 敵対していた時と比べてマシにはなっているらしいが、流石に彼女には注意をしなければならない。

 

「“ヒカル、正座”」

「……はい」

 

 威圧するつもりは無かったが、私から怒気を感じたのか、彼女はすんなりと目の前で正座で座る。

 こう言う風に素直な所があるから悪い生徒では無いのは分かるけれど、テンションが高まると周りが見えなくなるのは彼女の問題点なのだろう。

 ただ、そのおかげで助かった時もあったために問題点と呼ぶには勿体無い。

 それにこの件で彼女を蒐集要員から外した場合、それはそれで不便が多くなる。

 

「確かに事あるごとに攻撃に巻き込ませようとしてくるのは面倒だけどよ。コイツがピンポイントで断片を見つける装置を開発してくれたおかげである程度余裕ができたんだ。それぐらいにしてくれねぇか? 先生」

「大翼クロウ──いや、我が心の友(ソウルブラザー)……っ!!」

「おい、せめてシスターにしろ」

 

 涙と鼻水を垂らしながら跳びつくヒカルと片手で被害を抑える変身中のクロウ。

 被害者本人がそこまで気にしていないと言うのなら私からはこれ以上何を言う必要はない。

 しかし、今回クロウが擁護したおかげか、それ以降の蒐集ではクロウに流れ弾が飛んでいくことは減った。

 

 

「“──っ!?”」

 

 一瞬、私の視界が歪む。

 そこまで書類仕事に追われていない筈なのに疲れが溜まっていたのか、最近よく起こる。

 幸いな事はまだ、彼女たちの目の前では立ち眩みの様なこの症状に襲われていない事だろうか。

 

『動くな』

 

 “やはり”いつの間にか私の背後に誰か立っていた。

 腰辺りには何か硬い金属の感触があるため、おそらく私は今、背中に銃を突きつけられているのだろう。

 

『声を出さずゆっくりとこちらを向け』

 

 私が咄嗟に問いかけようとしてその声の主はそう言い放った。

 だから私はその声の指示に従う。

 ゆっくり振り向くと、そこには既視感のある白い、SFチックなアーマーを身に纏った少女がいた。

 どうして少女と認識できたのかは分からないが、曲線の多いシルエットからして女性である事は間違いない。

 

「……君は?」

『……なるほど、その首に下げているのは連邦生徒会のモノか』

 

 フルフェイスマスクで顔はよく分からない。

 けれど月明かりを反射させるその銀色の長い髪が神秘的な雰囲気を醸し出している。

 

『まずは初めまして、と言っておこうか。シャーレの先生』

「……うん、初めまして」

 

 クロウの近くき見慣れない大人とこの街を荒らす元凶だった者を理由に警戒していた彼女は、まず私に向けていた銃口を下ろした。

 そして私が静かな事に違和感を覚えたのか、クロウがエルザとヒカルより先に私の状況に気がつく。

 

「なっ!? 『メタトロン』!!

「今回も街を壊して解決か? 大翼クロウ」

 

 マスクのせいでくぐもった声。

 メタトロンとクロウに呼ばれた少女は、ただ彼女を見つめる。

 そしてやっと気付いたのか、ヒカルもメタトロンの存在に反応した。

 

「ぬぅぉぁあ!?!? 貴様はここで会ったが4000と640と9億年目であるな【天使王】!!!!

 よくも吾輩が丹精込めて生み出した無敵ロボを千切っては投げ千切って投げ、吾輩の大・勝・利を何度も掠め取った(にっく)きホワイトェエンジェル!!

 その血(オイル)を浴びて不敵に笑い次の獣へと標的を変えるその姿はまさに血の女王!! しかし吾輩は諦めぬぞ!!

 例えこの俎板の上で吾輩の命尽き果てようとも決して貴様の様な悪になんか屈しないんだからね!! あ、ちょっとくすぐりは聞いてないのである!! あ、それは破城槌であるか!? らめぇっ!! そんな大きいの吾輩に入るわけないのであ!! や、やめ、らめぇぇぇええええ!! ……はっ!! 吾輩としたことが不意打ちで無量○処を喰らっていたのでる……。やはりニンジャは卑劣!! 汚い!! 鬼畜(おにちく)!! 悪魔!!」

 

 いつのまにか手に持っているエレキギターを掻き鳴らしながら威嚇するヒカル。

 相変わらず何を言っているのか途中から分からなかったけれど、ブラックロッジにいた頃は良く妨害されていたことだけはわかった。

 

「……相変わらず私には理解出来ない頭だな。貴様は」

「ふっ……何せ吾輩は千年に──」

「確かにこれまでよりは街への被害は減り、アル=アジフの断片の蒐集も手際は良くなった。だが人の身には過ぎる力を集めてどうする大翼クロウ。その力で貴様は何を成そうとしている?」

 

 ヒカルの言葉を無視してメタトロンはクロウに続けて問いかける。

 クロウは彼女の言葉を受けてただただ黙っていた。

 

 時間にして数秒。

 ヒカルを除いて沈黙が続いたからか、メタトロンは背を向けた。

 どうやらこの場から去るらしい。

 

「──待ってくれメタトロン!」

「……なんだ?」

 

 クロウはようやく決心したのか、一呼吸置いてからメタトロンの問いに答えた。

 

「元は姫さんからの依頼でコイツ──アル=アジフ(魔導書)を手に入れるだけでこんな風になるとは俺は思ってもいなかった」

 

 変身を解いて白い長髪の姿から白色混じりの黒いウルフカットの姿へと戻る。

 

「どうやら俺は厄介な因縁があるみたいでよ。その所為で周りが後味の悪りぃ結末を迎えようとしちまう」

 

 だから。と言いつつ、クロウはその言葉に続ける前に一つの本を取り出した。

 

「コイツのおかげで関係の無い人たちへ降り注ぐ理不尽が少しでも減らせると言うのなら俺は……。

 最後まで断片を集めて力を得るんだ」

 

 いつの間にかヒカルも黙ってクロウの話を聞いていた。

 メタトロンの問いに答えられている訳では無いのだが、それでも彼女の意思はその言葉に宿っている。

 

「……つまり何が言いたい?」

「まぁ……なんつーかその……誰かの明日を護り切り拓くため、ってのが俺が力を求める理由だ」

 

 それが彼女の、大翼クロウの答えだった。

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