前回は林檎食べたところまででした。
それでは続きをどうぞ!
俺の周りを吹き荒れる嵐の本流、それがいったい何なのか俺には分からない。激しさをさらに増した暴風で俺には周りの音すらとぎれとぎれに聞こえる。だが、その中にあって明瞭に聞こえてくる声があった。
「汝、力を望むか?」
ああ、と俺は短く答える。その声は続く。
「それが全てを破壊する可能性があったとしても?」
構わない、俺はまた短く答える。そしてその声は最後にこう告げた。
「ならば汝、原点を思い返すがよい。そこに求める答えがあるであろう」
原点、つまり全ての始まり。ああそうか、俺は一つの物を思い出す。俺の原点、それはあのノートだ。ずっと不思議に思っていたんだ。あの日、なぜ俺の机の上に、封印したはずの黒歴史のノートが置いてあったのか。そして、なぜ丁寧に[復習をしておくこと]と書置きがあったのか。それは、俺の武器召喚士としての能力が
「ならーーーーー」
暴風の音で全ての音が消えた世界。俺はその中でニヤリと笑みを浮かべる。それはおそらく、歪んだ嗤いだっただろう。俺は右手を天に向け、その言葉を紡ぐ。それは、あの時の俺が描いた自分自身の姿・・・
「
俺の口からその言葉が発せられた瞬間、俺の周りの暴風の音がやんだ。空に流れていった嵐の本流が、俺の頭上で何かの高密度の塊になる。その時俺は悟った、この高密度の塊がなんであるのかを。これは、超高密度の
「同じく
世界をも破壊するかのような大音響と共に、俺の目の前の空間が砕け散る。その奥から出現したのは、俺の身長の三倍ほどの大きさがある漆黒の大剣だった。俺はその剣を掴むと外界へと引っ張り出す。ガラスの割れるような音と共に、その剣はこちら側へその全ての姿を現した。
「お前は・・・一体・・・何者だ・・・」
戦場にいる全ての人物が俺を見て硬直する中、一番最初に口を開いたのはモードレッドだった。しかし、その声は少し震えている。さすがのモードレッドでも、この大きさの剣には驚きを隠しきれなかったようだ。
「ククククク、我が名は
俺は最大限あの時のノートの通りに振る舞うが、やっぱり恥ずかしいなこれ・・・。でも、そんなことはどうでもいい。今、俺の手には全てを壊すだけの力がある。ならば、やることはもう決まっているも同然だ。俺は剣を構えなおし、11人に減った円卓の騎士団へ
「さあ、終焉を始めよう」
俺は呟くと同時に地面を蹴る。生まれた推進力を使い仲間たちの間を抜け、モードレッドに肉薄すると、無造作に上から下へ
「ーーーッ」
上から迫る物の質量を見たモードレット、及びその隣にいたランスロットは武器で防ごうとはせず、横に跳んで回避する。しかし、後ろにいた5人の騎士団員は同時攻撃での迎撃を試みた。タイミングは完璧にあっていて、騎士団の連携がかなりとれていることを示している。これが並みの武器より少し強い位ならば弾いた上、カウンターをも入れることができただろう。だが、相手が悪かった。
「まずは5人・・・」
俺は、相手に聞こえる音量でつぶやく。明らかな挑発行為だが、モードレットとランスロットを除く残り4人の騎士たちの顔には恐怖が見て取れた。俺はニヤリと嗤いながら続ける。
「ランスロット、お前はあとでたっぷり面倒を見てやろう。オブサーバー、モードレッドはくれてやる。好きなようにするがいいさ!」
「そうこなくちゃな!息子、遠慮なく貰うぜ!」
オブサーバーの威勢のいい声と共にモードレッドめがけて大量の武器が飛来する。紛れもなくオブサーバーの攻撃だ。その武器群の隙間を縫って右へ左へと攻撃をかわすモードレッドの回避力は大したものだが、どうやら本人は回避に精いっぱいで気付いていないようだ。そう、攻撃を避けるたびにオブサーバーに近づいているということに。あいつの処分はオブサーバーに一任するとして・・・さて、残りの4人を倒す前にランスロットに後ろから攻撃されないように足止めしなくちゃな。
「皆、そこの長身の男の相手を頼む!俺も残り4人を片付けたらすぐに向かう!それまで持ちこたえてくれ!」
俺は仲間へ救援を申し出る。ランスロットがどれほど強くとも、ともに死地を乗り越えてきた仲間たちなら持ちこたえられると俺は信じていた。俺の想像通り、要請を聞いた仲間たちは快く承諾してくれる。
「戦闘隊形B、展開してください!」
「了解!」
後ろから仲間たちの声が聞こえてくる。これでランスロットは一時的とはいえ俺に攻撃は出来ないはずだ。それでも、できる限り早く合流しないとな。そのためには、目の前の4人の騎士たちをできるだけ早く落とさなければならない。だが、敵も
「お、お前の剣を避けるのは、か、簡単なんだよ!」
どうやら向こうもそれは分かっていたようだ。だが、それをあえて口にするあたり相当恐れているな。ところどころ声も震えてるし・・・。それでも俺の武器の攻略法が分かったため、士気も少しながら回復しているようだ。しかし、それでは甘い。
「だからどうしたッ!」
言葉と同時に
「甘い!」
俺は
俺は、倒した4人の騎士たちは気にもせず、後ろを振り向く。そこではランスロットと仲間たちの戦闘が繰り広げられている。どちらかというと仲間たちの方が押されているようだ。幸か不幸かランスロットは仲間たちとの戦闘に集中している。俺は素早くランスロットの背後を取ると、
「バレてますよ!」
俺の奇襲は失敗した。どうやらランスロットはこちらの攻撃に気付いていたらしい。それを悟るのと、体を鈍器で殴られたような衝撃が走るのは同時だった。一瞬息が詰まる。ランスロットに攻撃されたと気付いたのは、さらにもう一撃喰らった時だった。
「ぐ・・・ぁ・・・」
あまりの衝撃にぐらりと体をよろめかせた俺の手から、
「手だけでこいつを止めるなど・・・貴様、人間か?」
ランスロットの質問が的を射ていたので、俺は苦笑いを浮かべながら答えを返す。
「残念ながら、ちょっと違うかな」
俺の答えに驚きを隠せないランスロットを見ながら、俺はさっき思いだした一文を
「
瞬間、俺の手から闇色の炎が立ち上ると共に、
「貴・・様・・・まさか・・・この・・・私が・・・!」
ランスロットの鎧に包まれた腹部、そこには一本の金属が刺さっていた。
「悪く思うなよ」
俺は一人呟く。前を見ると仲間たちが、まだ戦闘中のオブサーバーとモードレッドに注意しながらこちらへ向かって歩いてきていた。その中に俺の姉の姿がない。どうしたのだろうとあたりを見回すと、彼女はすぐに見つかった。そこはオブサーバーとモードレットの戦場の真ん中、彼女はオブサーバー側でモードレッドと戦っているのだ。さすがのモードレッドもあの二人が相手だと厳しいのだろう、完全に防戦一方になっている。そう思っているうちにも、モードレッドは刻一刻と押されていく。そしてついに、さばききれなかったオブサーバーの武器がモードレッドに刺さった。それを見逃さず、
「
とたん、槍が30本に分裂しモードレッドを粉々に引き裂いた。あとに残ったのは血にまみれた一本の黒い剣だけ。それだけを残し、モードレッドは
「終わった・・・のか?」
俺は一人呟く。見ると、
「おう息子、さっきのはなかなか良かったぜ!」
俺たちのところまで来たオブサーバーが声をかけてくる。
「悠樹さん、凄かったです」
「うんうん、凄かったね」
これはマリアと穂乃香だ。何を言えばいいのか分からず、俺はありがとうと一言だけ返す。その後はしばらく静寂がその場を支配する。その静寂を破ったのは、ゴォという風の音だった。その音はどうやら俺から発せられているようだ。それを認識したとたん、俺は激しい頭痛に襲われた。どうした、何が起こっている?俺の考えを読んだかのように、近くから声が聞こえた。
「お兄ちゃん、鎧の背中側から黒い何かが噴出してる!」
その声を聞いた俺は、声のする方向へ顔を向ける。そこに立っているのは俺より少し背の低い一人の少女。
「お前は・・・
驚いた顔でこちらを見つめる少女から、俺はバックステップで距離をとる。その少女の周りには5人の女と一人の男が少女と同じような顔をして俺を見ている。お前たちは、
「
俺は両手を広げると、そう呟いた。その言葉に呼応するように空間が割れる音が響く。次の瞬間、俺の手には先ほどの物より少し小さい、
はい、今回も読んでいただきありがとうございます。
やっと最初の伏線回収できた・・・(回収できないかもと思ってたなんて言えない・・・)
というわけで、話もそろそろって感じになってきました!
次回もよければよろしくお願いします!