前回は悠樹君が大変なことになったところで終わりました。
では、どうぞ!
俺の目の前にいる集団、あいつらは味方なのか?それとも敵?敵なら早急に叩かなくては皆の命が危ない・・・ってあれ、皆って誰だっけ・・・?すごく大事な人たちだったような気がするんだけど・・・いや、そんなことを考えている場合じゃない。目の前の奴らをどうするかをまず考えないと。でも変だな、なんであいつらは武器を構えないんだろう?もし敵だというのなら、既に攻撃態勢に入っていてもおかしくないはず。いや、ちょっと待てよ。もしかして、あれは武器を構えていないように見せて俺を油断させようとする作戦なんじゃないか?
「へぇ、なめた真似してくれるじゃねえか」
俺は呟きながら
「てめえら、そこで突っ立てるだけなら、俺から行かせてもらうぜ!」
俺は、攻撃宣言と共に敵陣営に駆ける。狙うは敵の中に一人だけいる男。そいつが一番危険だと本能が警鐘を鳴らしているのだ。そして、どうやら俺の読みは当たっていたようだな。そいつは俺の疾走に気が付くと、いまだ武器を構えていない女達をおいて単身で俺のもとへと突っ込んでくる。その手に武器は何一つ握られていない。それなら今がチャンスなはずだ。でもなぜだろう、このまま突っ込むのはまずい気がする。
「ーーーッ!」
一瞬、本当にほんの一瞬、俺の脳内を何かがかすめた。俺はそれを認識すると共におもいっきり横に跳ぶ。直後、轟音と共にさっきまで俺のいた場所に無数の剣が突き刺さった。判断が少しでも遅れていたら、あの剣に串刺しにされていただろう。だが、これであいつの攻撃方法は分かった。おそらく、無数の武器を
「これなら、どうだ!」
俺はジグザグに進路を変えながら相手への距離を詰める。相手の顔をちらりと見ると・・・笑って・・・いる?
「やっぱりお前はおもしれえよ、息子!」
「なんの、話だ!」
既に相手を攻撃できる位置まで距離を詰めていた俺は、そう言いながら相手へ剣を振るう。だが、俺の攻撃は相手に届かなかった・・・いや、届いたが当たらなかったのだ。理由は簡単、相手が俺の剣を
「貴様、何をした!」
「はぁ、興ざめだ息子。いや、息子はこれの正体を知っていたはず・・・お前は既に別人だ、神永悠樹」
俺の問いに答えた男の顔は、もう笑ってはいない。代わりにその顔に浮かんでいる表情は失意と怒りが入り混じったようなものだった。そいつは静かに首を横に振ると、ゆっくりと右手を上げる。すると、その動作に呼応するかのように音もなく無数の武器がそいつの周りに出現し始めた。その武器群は全長の半分ほど姿を現すと、金属特有のキンッという軽い音と共に先端が全て俺の方を向く。
「苦しまずに死ねるようにはしてやるよ」
男が手を下すと同時に、無数の武器が俺めがけて飛翔を開始した。数はさっき数倍、さらに武器の射程範囲は縦横において跳んで躱せる距離全てをカバーしている。避けられない、そう俺が思った時、目の前に迫る武器群が一斉に下方向へ軌道を変えた。いや、一緒に男の姿も下方向に流れている。まさかと思って下を見ると、そのまさかだった。俺の足は地面についていない、つまり飛んでいるのだ。背中側から何やら音が聞こえたので振り向いてみると、そこには漆黒の翼があった。どこから生えたのかと記憶をたどってみると、そこはちょうど黒い何かが噴出していたところだった。
「てめえは一体何者だ!」
そんなことを考えていると、下から男の声が聞こえてきた。何者かと言われても、俺は俺だけど・・・。
「
俺の呟きと共に
「さてと、そろそろかな」
俺はさっき出しておいた弾丸をレール、もともとは剣の腹だった部分の間に挟む。
「剣の腹のスリットがこんな所でも役に立つとはな」
まるでこうなる為についていたのかと思うほどぴったりなスリットに挟まっている弾丸は黒い金属、タンタルで出来ている。俺は黒い弾丸を装填した
「顕現せよ、
俺が叫ぶと同時に空が一瞬白く光り、次の瞬間、俺の構えた
「あっけないもんだ・・・いや、ちょっと待て。あのクレーターの位置は・・・」
さっきの砲撃の時に確認した男の位置は、今あるクレーターよりもう少し先だったような気がする。もう少ししっかりと位置を確認するため上昇してみると、確かにさっき見た男の位置より俺寄りの場所にクレータがあるようだ。弾丸は届いていなかったのか?あんな威力も速度も規格外の弾丸、防ぎようがないはずなんだが・・・ちょっと待てよ、もし弾丸があいつにあたっていないなら、今あいつは何処にいるんだ。
「---ッ!」
俺がその思考にたどり着いたのと、俺の体に幾本もの鎖が絡みつき地面へ向かって引っ張られ始めたのは、ほぼ同時だった・・・
はい、今回も読んでいただきありがとうございます。
タンタルというのは、実在する純金属です。なお、タンタルは純金属の中では一番黒く、化合物の炭化タンタルの硬さは、全物質の中でもトップクラスの物です。黒い金属(伝導体)を探していたのでこういうことになりました。
というわけで、次回もよければよろしくお願いします!