武器召喚士   作:どこぞの委員長

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どうも、どこぞの委員長です!

前回は悠樹君が大変なことになったところで終わりました。

では、どうぞ!



変遷~シフト~

 俺の目の前にいる集団、あいつらは味方なのか?それとも敵?敵なら早急に叩かなくては皆の命が危ない・・・ってあれ、皆って誰だっけ・・・?すごく大事な人たちだったような気がするんだけど・・・いや、そんなことを考えている場合じゃない。目の前の奴らをどうするかをまず考えないと。でも変だな、なんであいつらは武器を構えないんだろう?もし敵だというのなら、既に攻撃態勢に入っていてもおかしくないはず。いや、ちょっと待てよ。もしかして、あれは武器を構えていないように見せて俺を油断させようとする作戦なんじゃないか?

「へぇ、なめた真似してくれるじゃねえか」

 俺は呟きながら終焉の混沌剣・覚醒(ワールドエンド・リヴァイヴ)を敵陣営に向け、一歩前進した。それでも敵集団は武器を構えようとしない。いや、それどころじゃない。あいつらの目からは戦う意欲が見て取れない。あれも作戦なのか?それならば、俺はかなり下に見られているということだ。本当になめた真似をしてくれやがって、いい加減腹が立ってきたぞ。

「てめえら、そこで突っ立てるだけなら、俺から行かせてもらうぜ!」

 俺は、攻撃宣言と共に敵陣営に駆ける。狙うは敵の中に一人だけいる男。そいつが一番危険だと本能が警鐘を鳴らしているのだ。そして、どうやら俺の読みは当たっていたようだな。そいつは俺の疾走に気が付くと、いまだ武器を構えていない女達をおいて単身で俺のもとへと突っ込んでくる。その手に武器は何一つ握られていない。それなら今がチャンスなはずだ。でもなぜだろう、このまま突っ込むのはまずい気がする。

「ーーーッ!」

 一瞬、本当にほんの一瞬、俺の脳内を何かがかすめた。俺はそれを認識すると共におもいっきり横に跳ぶ。直後、轟音と共にさっきまで俺のいた場所に無数の剣が突き刺さった。判断が少しでも遅れていたら、あの剣に串刺しにされていただろう。だが、これであいつの攻撃方法は分かった。おそらく、無数の武器を直線的に(・・・・)飛ばすことができるのだろう。しかし、直線にしか飛ばせないなら対処は簡単だ。

「これなら、どうだ!」

 俺はジグザグに進路を変えながら相手への距離を詰める。相手の顔をちらりと見ると・・・笑って・・・いる?

「やっぱりお前はおもしれえよ、息子!」

「なんの、話だ!」

 既に相手を攻撃できる位置まで距離を詰めていた俺は、そう言いながら相手へ剣を振るう。だが、俺の攻撃は相手に届かなかった・・・いや、届いたが当たらなかったのだ。理由は簡単、相手が俺の剣を盾で防いだ(・・・・・)からだ。俺が攻撃したときには盾なんて持ってなかったはず。こいつは武器同様、防具も展開できるのか?いや、それよりも終焉の混沌剣(ワールドエンド)を防ぐレベルの盾を展開できるとは・・・。だが、俺には二本の剣がある。たとえ一本防げたとしても二本目を防ぐことは難しいはずだ。しかし俺の考えに反して、一撃目と違う場所を狙った二撃目も相手の盾に防がれてしまった。

「貴様、何をした!」

「はぁ、興ざめだ息子。いや、息子はこれの正体を知っていたはず・・・お前は既に別人だ、神永悠樹」

 俺の問いに答えた男の顔は、もう笑ってはいない。代わりにその顔に浮かんでいる表情は失意と怒りが入り混じったようなものだった。そいつは静かに首を横に振ると、ゆっくりと右手を上げる。すると、その動作に呼応するかのように音もなく無数の武器がそいつの周りに出現し始めた。その武器群は全長の半分ほど姿を現すと、金属特有のキンッという軽い音と共に先端が全て俺の方を向く。

「苦しまずに死ねるようにはしてやるよ」

 男が手を下すと同時に、無数の武器が俺めがけて飛翔を開始した。数はさっき数倍、さらに武器の射程範囲は縦横において跳んで躱せる距離全てをカバーしている。避けられない、そう俺が思った時、目の前に迫る武器群が一斉に下方向へ軌道を変えた。いや、一緒に男の姿も下方向に流れている。まさかと思って下を見ると、そのまさかだった。俺の足は地面についていない、つまり飛んでいるのだ。背中側から何やら音が聞こえたので振り向いてみると、そこには漆黒の翼があった。どこから生えたのかと記憶をたどってみると、そこはちょうど黒い何かが噴出していたところだった。

「てめえは一体何者だ!」

 そんなことを考えていると、下から男の声が聞こえてきた。何者かと言われても、俺は俺だけど・・・。暗黒武器の覇者(ダークネスウェポンマスター)、それが俺の名前。俺が今なすべきことは、目の前にいる敵を討ち、世界の終焉の足掛かりにすること。その旨を伝えると、男はまたさっきと同じような・・・いや、さっきの表情に悲しみっぽいものが混ざっているな。どうして敵を前にして悲しそうな顔をするんだよ。お前はそんな奴じゃなかったはずだ・・・ん?俺はあいつを知っているのか・・・?いや、そんなはずはない。そもそも突然現れた奴らと俺が知り合いなことがあるわけないのだから。そんなことを考えているうちに、男は武器を再展開する。射出系の攻撃だから、俺が飛んでいようとも攻撃は可能なのだ。

終焉の混沌剣・覚醒(ワールドエンド・リヴァイヴ)変遷(シフト)電磁投射砲(レールガン)

 俺の呟きと共に終焉の混沌剣・覚醒(ワールドエンド・リヴァイヴ)に変化が起こった。まず、二本の剣の柄の部分が曲がり、銃のような形になる。続いて鍔が折りたたまれ、柄と一体化。そして、刃先が上を向くように二本の剣が横並びに接続する。これで柄がグリップ、刀身がレールとなり、さっきまで二本の剣だったものは電磁投射砲(レールガン)へと変貌していた。後は弾丸をレールに挟み、電気を流せば射撃可能だ。しかし、声は聞こえなかったはずだが、剣の形状が変わったのは下で見ていてもわかったのだろう。下で見ていた男は驚いた顔をしながらも、冷静に展開していた武器の発射を開始した。風を切る音を立てて俺の近くを無数の武器が飛来してくる。しかし、変遷(シフト)してしまった剣で迎撃することは、射撃の精度が下がることになってしまいかねないので不可能だ。俺は縦横無尽に飛んでくる無数の武器をかわしつつ、男から距離を取る。大きさにもよるが、電磁投射砲(レールガン)の射程距離はかなり長く、速度も速い。一方、飛んでくる武器は距離が離れるにつれて、かなりの速さで速度が落ちていく上、精密さも失われている。つまり、距離を取ればこっちが精密に射撃できる確率が上がるというわけだ。

「さてと、そろそろかな」

 俺はさっき出しておいた弾丸をレール、もともとは剣の腹だった部分の間に挟む。

「剣の腹のスリットがこんな所でも役に立つとはな」

 まるでこうなる為についていたのかと思うほどぴったりなスリットに挟まっている弾丸は黒い金属、タンタルで出来ている。俺は黒い弾丸を装填した終焉の混沌剣・覚醒(ワールドエンド・リヴァイヴ)の切っ先を、かなり小さくなった男のいる方向へ向ける。まだ相手の射程距離内でもあるので、いくらかは減ったものの武器は飛んできているが、俺は終焉の混沌剣・覚醒(ワールドエンド・リヴァイヴ)をできるだけブラさないようにしっかりと抱えて攻撃を躱す。

「顕現せよ、雷霆神(インドラ)の矢!」

 俺が叫ぶと同時に空が一瞬白く光り、次の瞬間、俺の構えた終焉の混沌剣・覚醒(ワールドエンド・リヴァイヴ)の柄、つまり弾丸の後ろぎりぎりの所に雷が落ちた。直後、光の尾を引いたタンタルの弾丸が剣の切っ先から放たれる。その弾丸は、もはや視認することは出来ない速度で飛んでいき、大爆発を引き起こした。流石にこれ(レールガン)をくらって生きてはいないだろうと思ったが、一応相手の様子を確認しようと俺が見た先にあったものは、巨大なクレーターだった。

「あっけないもんだ・・・いや、ちょっと待て。あのクレーターの位置は・・・」

 さっきの砲撃の時に確認した男の位置は、今あるクレーターよりもう少し先だったような気がする。もう少ししっかりと位置を確認するため上昇してみると、確かにさっき見た男の位置より俺寄りの場所にクレータがあるようだ。弾丸は届いていなかったのか?あんな威力も速度も規格外の弾丸、防ぎようがないはずなんだが・・・ちょっと待てよ、もし弾丸があいつにあたっていないなら、今あいつは何処にいるんだ。

「---ッ!」

 俺がその思考にたどり着いたのと、俺の体に幾本もの鎖が絡みつき地面へ向かって引っ張られ始めたのは、ほぼ同時だった・・・

 




はい、今回も読んでいただきありがとうございます。

タンタルというのは、実在する純金属です。なお、タンタルは純金属の中では一番黒く、化合物の炭化タンタルの硬さは、全物質の中でもトップクラスの物です。黒い金属(伝導体)を探していたのでこういうことになりました。

というわけで、次回もよければよろしくお願いします!

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