ELDEN RING、DLC発売記念!(今更)

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影の国の女王

 

 

 

 星の世紀、混沌たる狂い火、完全律、死の回帰、忌み子の祝福。

 

 数多の可能性があった。

 しかし、それら全てを否定した者がいた。

 

「修復など、する必要がない」

 

 はじめから壊れていたものを修復して何になる? 

 この世界は、この時代は、はじまりから壊れていたというのに。

 

 全て殺した。

 騎士も、魔術師も、獣も、怨霊も、竜も、古龍も、王も、半神も。

 神すらも……

 

 悉く殺し尽くした。

 

 殺戮の荒野に一人立つ……鏖殺の果てに「彼」は次の時代を見出した。

 

 朽ちたものは土に還り、養分となり、新しい芽を育む。

 その新しい芽がどんなものであれ、彼は祝福したいと思った。

 

 故に戦い続ける。

 たとえ、永劫回帰の呪いにかかっていたとしても。

 

 

 ◆◆

 

 

 闘争の喜びを忘れてしまった。

 ただの虐殺に愉悦を見出せるようになっていた。

 

 魂の腐敗を抑えきれず、時の流れを呪い、無意味で無価値な日々を送り続ける。

 

 影の国の女王は生きる屍と化していた。

 

 自身を殺せる勇士はもういない。

 いいや……はじめからいなかったのかもしれない。

 

 一時とはいえ愛した弟子は誓約(ゲッシュ)を利用されて命を落とした。

 奴ならば……そう思い想っていたが、今はもう顔すら思い出せない。

 

 幾星霜の月日が流れた。

 その間、人類は闘争の何たるかを忘れ、影の国は世界の外側へと弾き出された。

 

 死者と亡霊が彷徨う永久凍土。

 ここにはもう、誰も訪れない。

 自身を討たんとする勇士も、弟子になりたいと願う若者も……

 

「うんざりだ」

 

 誰もいない玉座の間で。

 色褪せた瞳に憎悪と殺意が宿る。

 一人立つ絶世の美女は、真紅の魔槍で魔法陣を描いていた。

 

 異なる時代、異なる世界へと赴こうとしているのだ。

 偶然か必然か、扉はある世界に繋がる。

 

 霧の向こう側にある神話の世界。

 神代より更に前……月の観測機(ムーンセル)ですら正確に観測できない隔絶された時代。

 

 彼女が訪れたのは、その黎明期だった。

 

 

 ◆◆

 

 

 狭間の地の女王であり、黄金樹の時代を築き上げた女神マリカ。

 彼女の生まれ故郷であり、その忌まわしき記憶と共に封じた場所がある。

 

 影の地。

 黄金樹の影。黄金樹に祝福されなかったものが集まる場所だ。

 

 かつての聖戦の爪痕が見て取れる野営地跡で。

 屈強な兵士たちを相手に大立ち回りを演じる女戦士がいた。

 

「よい! よいぞ! どの兵士も勇猛で、恐れを知らぬ!」

 

 雄叫びと共に振るわれる両刃斧は余波だけで旋風を巻き起こす。

 鍛え抜かれた足腰によって放たれる震脚は大地を割れ物のように砕いていた。

 

 百戦錬磨の戦士たちに女は大層喜ぶ。

 

 一兵卒でありながらこの強さ……

 ケルトであれば全員名の知れた勇士となっていただろう。

 

 そんな兵士たちを無造作に薙ぎ払い、女は黒騎士に飛びかかる。

 鉄塊の如き黒金の大槌が振るわれれば、辺り一帯に突風が吹き抜けた。

 

 その膂力、技術、尋常ではない。

 将の器である。

 

 数合打ち合う。

 凄まじい膂力を感じた女は、しかし圧倒的な技術で無力化し、装甲の薄い喉元に魔槍を突き立てた。

 

 それでも黒騎士は怯まない。

 大槌を振り上げる。

 

「素晴らしい……が、届かぬよ」

 

 無数の魔槍が全身に突き立つ。

 串刺しになった黒騎士はようやく絶命した。

 

 しかし、まだ終わらない。

 騒ぎを聞きつけたメスメル兵が大軍で現れる。

 

 総勢百を超える歴戦の勇士たちを前に、女は獰猛な笑みを浮かべた。

 まるで魔物のような笑みだった。

 

「滾るな……! 久しく忘れていた感情だ!」

 

 

 ◆◆

 

 

 メスメル兵たちは思い出した。

 在りし日の誓いを。戦士としての誇りを。

 かつての聖戦で色褪せた瞳が、死の間際、少しだけ輝きを取り戻していた。

 

 死体の山が築かれる。

 遅れて現れた焼炉のゴーレムが屍山血河を燃やし尽くすが、女戦士は真紅の閃光となって空を駆ける。

 野営地跡を火の海に沈める圧倒的な火力は、しかし女戦士には届かず、弱点である小さな面を貫かれた。

 

 山の様な巨体が倒れる。

 紫色の長髪が熱波で靡く。

 女戦士は真紅の双眸を爛々と輝かせていた。

 

「もっとだ! もっといないのか! 我が魂の渇きを潤してくれる強者は!」

 

 まだいる筈だと、女は千里眼で世界を見渡す。

 しかし、

 

「……?」

 

 いなかった。

 女は怪訝に思う。

 

 影の差す城にいる筈の王が、炎雷降り注ぐ山にいる筈の竜が、いない。

 神人を迎える筈の天空城は今にも崩れ落ちそうになっている。

 

 誰もいない。

 いいや、正確には「いる筈の強者」がいない。

 

 神も、王も、龍も、化身も……

 

 困惑している女の耳に蹄の足音が入ってくる。

 なんだ、また黒騎士かと、女は視線を投げた。

 そして硬直する。

 

「何者だ、貴公」

 

 抑揚のない男の声だった。

 

 上質な金属鎧に身を包んた騎士は霊馬から降りて女戦士を見つめる。

 

 色褪せた紅蓮色の瞳……

 女の背筋が凍った。

 

 同時に忘れていた感情が呼び起こされる。

 それは、恐怖。

 死に対しての絶対的な恐怖だ。

 

「……ッッ」

 

 女は思わず笑った。

 

 遂に見つけたのだ。

 自らの、運命の死を。

 

 

 ◆◆

 

 

 えんじ色のストールが靡く。

 騎士はじっと女を見つめていた。

 

 女は剥き出しの殺意を叩きつける。

 並の英雄なら精神崩壊を起こしてしまうほどの濃度だ。

 

 しかし、騎士は微塵も動じない。

 女の出で立ちを確認して呟く。

 

「その槍、戦装束……異郷の者か」

 

 騎士は視線を外した。

 興味を無くしたのだろう。

 

「立ち去るがいい。この世界はじきに滅びる。貴公が求めるものは何もない」

「……いいや、あるさ。目の前にな」

 

 女は魔槍を突き出した。

 完璧な不意打ちだったが、騎士は柄を握って止める。

 

 遅れて突風が吹き抜ける。

 砕ける大地を意に介さず、騎士は女を見つめた。

 

「正気か? 貴公」

 

 騎士は女の目を見て悟る。

 

「……そうか、既に狂っているのか」

 

 似た目をした人間がいた。

 強敵たちとの死闘の末、戦う相手がいなくなり祝福を見失った男が……

 

 対して女は驚嘆していた。

 掴まれている槍がビクともしない。

 凄まじい握力だ。

 

 加えて卓越した技量。

 高度な駆け引きを何度も行っているが、未然に防がれている。

 

 騎士は槍の柄を離す。

 そして飛び退いた女を睨み付けた。

 

「もう一度言う。失せろ、異郷の戦士。三度目はない」

 

 最終警告だった。

 しかし女は嗤う。

 

「馬鹿を言うな。この千載一遇の好機、決して逃しはせん」

「……」

「さぁ、戦え! 異界の勇士! 儂を殺してみせろ! できなければ貴様の魂、貰い受ける!」

 

 禍々しい殺意を解放する女戦士に、騎士は何も言わない。

 ただ、得物である鉄製の大剣を担ぐのみだ。

 

 女戦士、スカサハは嬉々として跳躍した。

 異なる時代の最強同士……戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 





・褪せ人
元失地騎士。レベル713(カンスト)。
全ての√を辿った結果、世界が壊れていることを知り、時代を終わらせた殺戮の英雄。律の破壊者。
最初の王や満月の女王と同類。人類種の突然変異。
おっぱいタイツ師匠と戦える程度の実力の持ち主。

・スカサハ
おっぱいタイツ師匠。自身の運命の死を見つけてテンション爆上がり中。


◆◆


衝動に任せて書いたぜ!
見切り発車だから続きは期待しないでくれよな!
じゃあ俺は影の地に戻るから!

誰か続き書いて♡(他力本願)

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