スマッシュは道路に密集しながら歩いていた。目指すは横浜国際会議場に併設されている避難所。だがそこに、
「行くぞ!」
「おぉ!」
バイクに乗った戦兎と宝太郎は銃を出して発射。
怯んだスマッシュ達に2人はバイクで突撃し蹴散らしていく。
更に、
《レディーゴー!ボルテックブレイク!》
戦兎はビルドクラッシャーにボトルを挿して更に連射。
「おおおおおお!」
宝太郎はガッチャートルネードも手にして振り回しながらスマッシュを吹き飛ばしていく。
そんな2人が戦い始めた頃、
「ここが例の地点」
「成程ね」
雫、エリカ、レオ、匙の4人はエネルギーが集まっていた地点の一つに来ていた。
「でも姿が見えな」
レオがそう言おうとした時、上空からミサイルが飛んでくる。
「変身!」
《潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!》
匙が咄嗟に変身してツインブレイカーで撃ち落とすが、
「早すぎて見えねぇ!」
「あれは多分エクシードファイター!戦闘機型のケミーで高速飛行が持ち味!」
と言う間にも高速飛行で突撃してきたり、合間にミサイルや機銃が飛んでくる。
「おいおい凶暴だな」
「匙さん2時の方向!」
エリカの指示に匙は迷わずツインブレイカーで攻撃するが、ギリギリで避けられてしまう。
「お前見えるのか?」
「ギリ何とか。所々曲がったりしてスピードを落とした瞬間とか」
「成程……常に最高速度では飛べないのか」
だがそれでも速いことには変わりない。その時雫が、
「ならこういう手はどうですか?」
と提案をする。それを聞いた皆は頷き、
「よし!頼むぞエリカ!」
「はい!」
匙の言葉に頷いたエリカは息を整え集中。上空を幾度となく飛んでいく中、
「5時の方向!」
「よっしゃ!」
《シングル!シングルブレイク!》
匙はチェーンフルボトルを挿して必殺技を発動し、エクシードファイターの周りをチェーンで囲む。
しかし僅かな隙間を見つけてエクシードファイターは飛んでいくが、
「パンツァー!」
隙間の先にあったのは大きめの瓦礫。それにレオが魔法で硬化させると、勢い余ってエクシードファイターが突っ込み激突。
ピヨピヨと頭上に鳥が舞う中、雫がケミーライザーで捕獲し、
『やったー!』
と皆でハイタッチした。
一方別の場所では、
『うぉおおおおお!』
龍誠とほのかと真由美と摩利が走って逃げる。
背後には巨大なカブトムシ型のケミー、ビートルクスが迫る。
「デカすぎんだろ!」
「とにかく動きを止めないとキャプチャーできない!」
「でもケミー相手じゃ魔法は効果がないし」
「だが!」
摩利は懐から黒い粉を出して撒き散らすとそれに魔法で火を付けると小規模な爆発がしてビートルクスの視界を封じる。
それで4人を見失ったビートルクスは探すが、瓦礫の影に隠れた龍誠達はこっそり覗き、
「ビートルクスは凄まじいパワーと頑強さを持つケミーだって話です」
「成程……なら簡単だな!」
「なにか方法が?」
真由美が龍誠を見ると、
「そんなもん正面から粉砕すればいいだけだ!」
『はぁ!?』
3人が驚愕する中、龍誠はクローズに変身しながら飛び出し、
「おいカブトムシ野郎!」
「ビート!」
ビートルクスが龍誠を見ると、両者が睨み合い、
「はっきょーい……のこったぁ!」
龍誠が走り出すと、2人は正面から激突し押し合う。
「いやいやいや!アレと押し合うってどんなパワーをしてるんだ!?」
「さ、流石悪魔ってことかしら」
「で、でもちょっと龍誠さんが押されてます!」
少しずつだが後ろに押されているのだが、龍誠は歯を食いしばり、
「俺の!上腕二頭筋を!舐めるなぁあああああああ!」
咆哮と共にビートルクスを持ち上げ、
「ファイトォオオオ!いっぱぁああああああつ!」
『きゃあああああ!』
後ろに放り投げ、ビートルクスをひっくり返した。放り投げた先にほのか達も居たのだが。
「ふぅうう。どうよ俺の筋肉!」
『馬鹿じゃないですか!』
思わず3人は抗議しながらビートルクス下から這い出てきた。
「誰が馬鹿だ!筋肉つけろ筋肉!」
「それで良いんですか!?」
真由美が突っ込む中、ほのかはケミーライザーで捕まえると、
「一先ず完了、ですかね?」
「そう、だな」
と疲れ果てた摩利とため息を吐くのだった。
そして場面は代わり、
「ち!」
変身したヴァーリと達也は、アニマルケミーのレベルナンバー10。リクシオンの雷撃を避けていた。
「電撃か。厄介だな」
「しかも接近しても強いしな!」
そうやり取りする2人を影から深雪が見る。隙を見て捕獲する算段だが隙がない。
「まずはあの電撃を掻い潜らないとな」
「なにか作戦が?」
達也の問いにヴァーリは、
「こういうのはな、気合!根性!突進だぁあああ!」
そう言ってツインブレイカーを乱射しながらリクシオンに向かって走る。電撃がヴァーリを撃つが、それでも止まらず肉薄すると、リクシオンの爪がヴァーリに振るわれるが、それでも気にせずゼロ距離でツインブレイカーにボトルを挿し、
《シングル!ツイン!ツインフィニッシュ!》
必殺技を発動させビームを乱射。
「無茶苦茶だな」
《スクラップ!ヴァルバラブレイク!》
達也はそう言いながらも必殺技を発動させ、ヴァーリの攻撃に合わせて斬りつける。
『うぉおおおおお!』
そのまま爆発し、2人は吹き飛びながら変身が解除されるが、リクシオンの動きも止まる。
「深雪!今だ!」
「はい!お兄様!」
達也の言葉で深雪が動き、ケミーライザーでリクシオンを捕獲。
「ほらな。何とかなっただろ?」
「もう二度とごめんですけどね」
ヴァーリの言葉に達也は呆れる。
そして更に別の場所では、
「でっ!」
「かいなぁ!」
サイラオーグ、潮、幹比古、美月は天高くそびえるケミー、ゼクドラシルを見て声を漏らす。
「ゼクドラシル!」
するとこちらを見たゼクドラシルが蔓を伸ばして攻撃してくるが、変身したサイラオーグが腕を振って蔓を斬り裂くが数が多い。そこに、
「レーックス!」
「トライケラ!」
「パクラプター!」
エックスレックス達が飛び出してゼクドラシルに襲い掛かった。
「ゼクドラシル!?」
ゼクドラシルが驚く中、3体のケミーが体を駆け上がり攻撃。
「中々ガッツがあるじゃないか」
サイラオーグもそれを見て駆け出し、
「おい!魔法で俺をあの上までテレポートさせられないか?」
「テレポートは出来ないですけど」
幹比古が札を取り出しそれを地面に叩きつけながら発動させると、サイラオーグの足元の地面が振動して上に吹き出すと、そのままサイラオーグを打ち上げた。
「これはこれでありだな」
《クラックアップフィニッシュ!》
レバーを操作し、サイラオーグは必殺技を発動させるとそのままオーラ状のワニでゼクドラシルを挟み、強引に回転。
「よし今だ!」
それを見た潮がケミーを捕獲し、
「任務完了だな」
と言葉を発する。
そして最後の地点では、
『きぁああああ!』
エイミィとスバルが爆発を飛んで避け、
「くっ!」
マッドローグになったフウが銃撃するが、相手に効果はない。何で相手はテンフォートレス。難攻不落の城塞型のケミーで巨大だ。フウの銃では流石に火力足りない。
そこに、
「なら頼む!」
十三束が懐からカードを取り出すとレスラーGが飛び出し、近くの巨大な瓦礫を持ち上げると、テンフォートレスにぶつけた。
流石に顔面に喰らったテンフォートレスは怯み動きを止め、
「今だ!」
スバルがケミーライザーを操作してテンフォートレスを捕獲しようとするが、
「アレ?」
エイミィがポカンとした。なぜなら確かに捕獲するための光線が当たったはずなのに、捕獲できなかったからだ。
「な、何故だ?たしかにこれで良いはずなんだが」
スバルも驚いたその時、
「捕まってください!」
そこにフウが翼を出して飛び上がり、3人を引っ張り上げてテンフォートレスに突っ込んでいく。
「ちょ、ちょっとどうする気ですか!?」
「今岩を当てた際の音に違和感を感じました。恐らくアレは本体ではなくガワ。となれば本体が別にあるはず」
驚く十三束にそう答えると、フウは羽ばたきテンフォートレスに突撃すると、そのまま口に飛び込むのだった。
「大体こういう輩は内部に本体があると相場が決まってるものです」
「詳しいですね」
経験値の差ですよ。とフウは答えつつ、
「それにしても避難してたのに急に呼び出されて大変でしたね」
「えぇ、雫達が急に来て手伝ってと言いだしたときは驚きましたよ」
スバル達は襲撃を受け、避難所に避難していたのだが、そこに雫達が来てケミー捕獲を依頼されそれを承諾。
「宝太郎くんには僕も助けられましたしね。協力は惜しみませんよ」
十三束がそういった次の瞬間、
「テンフォートレス!」
『っ!』
響いた声に皆は身構えた。のだが、
『ん?』
コロコロと足元から音がしてそれを見ると、つま先サイズのテンフォートレスが走っていた。
「アレか!」
スバルが反射的に捕まえようとするが、
「テンフォートレス!」
小さなテンフォートレスが放った砲弾がスバルの横をすり抜け背後で大爆発。
『へ?』
サイズに見合わぬ破壊力に思わずポカンとするが、テンフォートレスは続けて発射。
『うわぁ!』
4人は必死に砲弾爆発を避け、
「ちぃ!」
フウが銃から煙を出してテンフォートレスの視界を塞ぐ。
「行くよ!」
そこにエイミィが敢えて声を出しながら走り、テンフォートレスはその方角に砲撃。
「残念だったな」
しかしその隙を突き、スバルがテンフォートレスの背後に回りケミーライザーを操作。
「テンフォートレス!?」
それによりテンフォートレスを捕獲完了し、
「やったね!」
「あぁ」
エイミィとスバルはハイタッチをするのだった。
「そっちはどうですか?はい、なるほど」
それを横目にフウが他のメンバーと連絡を取る。
「どうですか?」
「他の皆も無事ケミーを捕獲したそうです」
十三束にフウが答えていると同時に、結界が崩壊していくのだった。
結界が崩壊するより少し前。
「はぁ!」
ドリルクラッシャーでスマッシュを切り裂き、
「おりゃ!」
ガッチャージガンで撃ち抜く。
「一体何体いるんだ」
「寧ろ数は増えていっているな」
宝太郎と戦兎は背中合わせになりながらスマッシュと戦っていた。
その時、
「ウィーヒッヒッヒ!」
『っ!』
2人に光弾が炸裂し爆発。
『がはっ!』
地面を転がり、二人の変身が強制解除される。
「皆を返してもらうよ」
「クロスウィザード……っ!」
吹き飛ばされた拍子に落ちたカードをクロスウィザードは回収し、宝太郎を見下ろす。
「これで多くの皆が戻った。やっと、やっとだ」
「クロスウィザード!聞いてくれ!」
宝太郎は事前に潮から聞いていた。クロスウィザードの過去を。
クロスウィザードは魔法を司るケミー。その実験は他のケミー達よりも更に苛烈を極めるものだったという。
「俺はケミーにひどいことしたりなんてしない。ケミーは友達なんだ!」
「嘘をつくな!」
クロスウィザードは宝太郎の言葉に耳を貸さない。
「人間は皆僕達ケミーを迫害してきた。人間は悪いやつだ!だからぼくはケミーだけの世界を作るんだ!」
そう言ってクロスウィザードは両手を掲げ、上空に巨大なエネルギー弾を形成。
「嘘つきは消し飛べぇええええ!」
『っ!』
宝太郎と戦兎が驚愕するその時、
「うむ。ご苦労だった」
「え?」
背後から突然の襲撃。それによりクロスウィザードが吹き飛ばされた。
「クロスウィザード!?」
攻撃主を宝太郎と戦兎が見ると、そこに居たのは陳だ。
陳はクロスウィザードが落としたカードを拾っていると、クロスウィザードは陳を見る。
「な、何をっ!」
「俺の目的はこれでね。とは言え面倒だったからな。お陰でその手間が省けたよ」
「や、約束が違う!」
約束?と陳は嗤うと、
「嘘はついてないさ。ただ生きた状態で、とは言ってない。ちゃんと全てが終わったらお前達の場所は用意しておくさ。まぁその時生きてるかはわからんがな」
クロスウィザードは歯軋りしながら、陳に攻撃をしようとするが、それよりも早くボトルを取り出すとそれを向ける。
「うわぁああああ!」
「クロスウィザード!」
そのままクロスウィザードは宝太郎の眼の前で吸い込まれ、ボトルに封印される。
「これでピースは揃った。ケミーとボトル。この2つの力を一つに!」
陳がそう宣言すると、カードとボトルが浮かび上がり融合。
すると、それは桁外れのエネルギーを撒き散らし収束。
そして陳の手元に落ちたのは戦兎のスパークリング缶と似た形状のボトル。
「何だそれは」
「言っただろう?ケミーと一誠様の力を一つにした。そして」
そう言って陳は自らにそのボトルを突き刺した。
「なっ!?」
と戦兎が驚く中、陳の姿が変わっていき、禍々しいスマッシュとなる。それと同時に結界が崩壊する。
「ふむ。ケミーを捉えたか。まぁそれも良い。お前達を倒した後に、それも回収しよう」
「宝太郎は下がってろ」
戦兎は再び変身するためドライバーを装着。
「で、でも!」
「ケミーがいないんじゃ変身できないだろ!俺がやる」
そう言いながら、ボトルを装填。
「変身!」
《紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!》
変身しながら陳に飛びかかるが、結界のようなものに阻まれる。
「これはっ!」
「そう。クロスウィザードを中心にケミーの力を一つにしてある。溢れ出るエネルギーだけでも他者の攻撃を防ぐ結界となるのだ」
「くっ!」
戦兎はスピードを駆使して多方向から攻撃するが、陳には届かない。
「どくがいい」
そして腕を振るうと、凄まじい衝撃波が戦兎を吹き飛ばした。
「がはっ!」
「戦兎!」
そこにケミーを捕獲した仲間達が集まってくる。
「アレは……?」
「陳だ」
雫が困惑する中、宝太郎が説明。
「成程。クロスウィザードを核にしてケミー達と自身の多重錬金を行い融合したのか」
潮は冷静に分析すると、
「紅音!そっちの準備はどうだ?」
《今無人ドローンで送ってます。そろそろ到着するはずです》
潮が端末で連絡を取っているのは紅音らしい。すると上空から何かが落下し地面に激突。よく見るとそれは何重にもロックされたケースだ。
「それは?」
「以前から研究と開発を進めていたものでね」
潮はそのロックを指紋認証で解除。その中にあったのはドライバーとリングにカードだ。
「これってドライバー!?」
「あぁ、そしてこのザ・サンの無尽蔵のエネルギーととユニコンの浄化作用の力を合わせれば、クロスウィザードの力を無力化出来るはず!」
そう言って潮はドライバーとリングを手に取り、カードを取り出そうとするが、
「あっつぅ!」
ザ・サンのカードが熱を発して潮を拒絶した。
「えぇい!こんな時まで拒否するんじゃない!お陰で変身実験ができなかったんだ!」
と言って潮が憤慨していると、ユニコンがカードから出て潮を吹き飛ばした。
「潮さん!」
それを見てほのかが駆け寄ると、ザ・サンとユニコンが来る。
「あ、あの2人の力ならなんとかなるんですよね?」
「あぁ」
ほのかが潮に確認を取ると、ザ・サンとユニコンの前に立つ。
「お願い!力を貸して!」
「ザ・サン!」
「ユニコン!」
2人がほのかの眼前に迫る。だがほのかは臆すること無く2人を見据え、
「私の大切な人のためなの!お願いだから!」
そうほのかが叫んだ時、2人はカードに戻り、ほのかの手に収まる。
「そうか、ほのかちゃんの光のエレメントの力とザ・サンの無限のエネルギー。そしてユニコンの浄化能力が共鳴したのか。ならば!」
潮は立ち上がりドライバーとリングをほのかに投げる。
「ほのかちゃん!これを使って変身するんだ」
「は、はい!」
頷いたほのかはドライバーを越しに装着。
《アルケミスドライバー!》
「えぇと」
ほのかはドライバーを見てカードを入れるのか?となるが潮が、
「まずはリングをスキャンするんだ!」
「リ、リング?」
ほのかは渡されたリングを指に嵌めてドライバーの上部にスキャン。
《アルケミスリンク!》
「それからカードを装填!」
「はい!」
《ユニコン!ザ・サン!》
それと同時に音声が流れ、ほのかは意識を集中。最後に両手で三角形を作るように構えると、
「変身!」
《ガガガガッチャーンコ!》
ドライバーを操作し変身した。
《プロミネンスホーン!サンユニコーン!》
その姿は純白に身を包み、一本の角が生えた形態。
「名付けて、仮面ライダーマジェードだ!」
そして潮の宣言が、その場に響くのだった。