オレが魔法少女になったと思ったら、幼馴染も訳ありだったと知った不具合 作:社畜だったきなこ餅
色んな悪の組織出てくるけどほぼ一発ネタなので覚える必要はそんなにないです。
魔法の国の連中とかは現世とか呼んどる世界。
その世界を侵略したり襲撃している悪の組織、様々な事情こそあれども暴力を厭わない組織の集まり。
当然彼らの間にも抗争が絶える事はなく、いたずらに兵力やリソースを消費しない為の会合を彼らは毎年開催していた。
しかし、だからと言って彼らが仲良しこよしという事になるわけではなく。
「あーー、けったくそ胸糞悪い」
白と黒の縞模様の毛皮に身を包み、頭は虎そのものと言って良い大男が吐き捨てるように愚痴りながら通路を歩く。
彼の名前はタイガー総帥、悪の組織タイガー軍団を指揮し……正義の魔法少女チームドラゴンガールズを日夜死闘を繰り広げ、その死闘を自身の世界で放映する事で膨大な興行費を荒稼ぎしている悪の首領である。
ちなみにタイガー軍団の世界において、怪人と言う名のファイターに任命され魔法少女と戦う事は男児にとってあこがれの職業ナンバーワンである。
「なんやねん魔法少女催眠して全裸に剥いてアへ顔Wピースさせるとか。脳味噌腐っとるちゃうんか」
憤然冷めやらぬと言わんばかりに、背中から燃え滾るような怒りのオーラを振り撒きながらタイガー総帥はサミット会場へ向かう。
彼にとって魔法少女は死闘を振り絞って正々堂々フェアに戦い、戦い終わればノーサイドで撤収するという好敵手なのだ。
自身達が戦っている魔法少女とは違う魔法少女とはいえ、そのような少女達が玩具のように扱われている事はタイガー総帥にとって不愉快な事この上なかったのである。
そんな具合にひたすら愚痴りながら歩き続けるタイガー総帥めがけ、彼の背後から声が欠けられる。
「タイガー総帥、貴様も来ていたか」
「お、ジャーク大帝やん。もーかってまっか?」
タイガー総帥がのっそり振り返れば、そこにいたのは軍服に身を包んだ筋骨隆々のサメ怪人。
そう、マジカルサクラ達が死闘を繰り広げているジャークの首領であるジャーク大帝である。
魔法少女達とガチの殺し合いを繰り広げているジャーク達に、タイガー総帥は内心思う事がないわけではないものの。
悪の組織の連中の中では彼らはそこそこマシな部類であるため、意外と邪険に扱ってはいないようである。
「強敵だった魔法少女を援護するモノが現れてな、芳しくない」
「そかー、まぁぼちぼち気張りいや。せやけどソウルパワー収奪しいひんと、ジャーク大帝の世界のエネルギー問題ヤバイんとちゃう?」
「思わしくはない」
「難儀やなぁあんさんらも」
ジャーク大帝の言葉にタイガー総帥は気の毒に思いながらも、世界それぞれの事情である事からそれ以上踏み込むことはない。
ジャーク達のように自身の世界のエネルギー危機を解決するために襲撃をする組織もいれば。
タイガー軍団のように、血沸き肉躍るフェアな死闘による興業目当ての組織もいるのだ。
そして。
「おやおや随分と遅い到着ですねぇ、お二方」
「げっ、ゴクアークやんけ。なんや、悪趣味な自慢でも他の連中にしとれや」
ぬるりと影から現れ、タイガー総帥とジャーク大帝に対して嘲笑を隠す事もなく語り掛けるはゴクアーク王。
害悪組織ゴクアークの首領であり、一般市民も巻き込んだ洗脳や尊厳破壊によって幾人ものヒロインや魔法少女を葬ってきた悪の首領である。
「ふふふ、フェアで正々堂々な戦いとおためごかしを用いる組織の首領は言う事が違いますなぁ」
「じゃかましいぶち殺すぞボンクラ、おどれらのやり口は胸糞悪いんじゃボケ」
煌びやかな尾羽を象った衣装を身に纏った伊達男、ゴクアークはタイガー総帥の言葉に対して肩を竦め嘲るように首を左右に振る。
一方その仕草に対しタイガー総帥は怒りを隠そうとすることなく、唸り声を上げながら気炎を吐いた。
一方ジャーク大帝はと言えば。
洗脳や催眠などの小手先技を重視するから、ゴクアークの怪人も戦闘員も弱いの何とかすればよいだろうになどと考えていた。
平たく言うと他人事である。
しかしここで立ち止まっていても埒が明かないと考え直したジャーク大帝は大きく手を叩き、ゴクアークとタイガー総帥に進むよう促す。
こう言う役回りは俺の仕事ではないのだが、と思わずボヤくジャーク大帝であるが。
そもそも悪の組織の首領などと言う存在は、そのほぼ全てが強いエゴの持ち主なのでこのような衝突は日常茶飯事なのだ。
そうしてサミットの会場に付けば当然各々に用意された席に座るワケだが。
まぁ何と言えばよいのか、言葉に例えるのならば百鬼夜行ともいうべき様相を呈していた。
「お、グリさんやん。久しぶりやな」
「……ふん、タイガー総帥か。他の愚物に比べ貴様が隣なのはマシと言うべきだな」
「相変わらずそっけないなー自分」
よっこいしょういち、などと言いながら席に着いたタイガー総帥。
隣の悪の組織のボスを見てみれば、そこには影の炎の化身のような存在が座って?いた。
シャドウグリード、それは光の魔法の国と相反する影の魔法の国の王である。
ポジティブな心のエネルギーであるソウルパワー、それと対になるネガティブな心のエネルギーであるヴォイドパワー。
それらを求め、魔法の国の主力魔法少女であるプリティガールと日夜死闘を繰り広げている悪の魔法の国である。
ちなみにマジカルサクラ達も、時々応援でシャドウグリード達との戦いに駆り出されている。
身もふたもない事を言えば、夏休みのオールスターバトルとかそんな感じのアレである。
「そっちはどないや?もーかってまっか?」
「……ふん、貴様の言葉を借りるならボチボチでんな、と言った所か」
「素っ気ないけど乗ってくれるグリさんの事、ワシめっちゃ好きやで」
「…………ふん」
不機嫌そうにそっぽを向く影の炎にタイガー総帥は、心から楽しそうに笑いながら軽く周囲を見回す。
そしてタイガー総帥は一つの違和感に気付いた。
「……なんやぁ?けったくそ悪い連中、ひと塊になっとんな」
思わず呟くタイガー総帥。
いつもなら適当に配置されているサミット会場の席だが、今回のサミットに関して言えばいつもと違う様子をしていた。
先ほどタイガー総帥と軽く衝突していたゴクアークを筆頭に。
現世の人間をただ奴隷や玩具にする為だけに攫う組織の首領や、不老不滅の自分が破滅したいというだけの理由で襲撃を仕掛けてる組織の首領。
その他もろもろの、タイガー総帥の言葉を借りて言うならば胸糞悪い連中が集めて配置されていた。
「なぁグリさん、なんか知らへんのん?」
「……ふん、そのうちわかる。事が始まったらその無駄にデカい図体を屈めておとなしくしていろ」
「なんやグリさん、明らかに何か知っとる」
ええから教えてーなー、とタイガー総帥が言葉を続けようとした瞬間である。
その時、サミット会場の入り口に巨大な魔方陣が出現した。
「な、なんやねん!?」
「……ふん、来たか。増長した悪の刈り取る断罪の牙が」
「グ、グリさん!ワシにもわかるように説明してくれへんか!?」
巨大な魔方陣より、身長5mはあるタイガー総帥でも見上げなければならない体格をした竜。
全身を輝く黒い鱗で固めながら、各所に金色の鱗が鎧のように生えている竜王ともいうべき威容を誇る存在が出現した。
その竜は自身に視線を集めている悪の組織の首領たちをゆっくりと見回すと、鈍く輝く牙を見せつけるように嗤いながら宣告した。
「この度はお声がけ頂き誠にありがとうございます、竜の楽園の主であり現竜王の終焉王ファフニールと申します」
ざわつく悪の組織の首領たち、無言で屈んで無駄に頑丈に作られたサミット会場の机の下に隠れるシャドウグリードとその周囲に座っていた悪の組織の首領。
タイガー総帥はアレあかん、絶対あかんやつぅ!と内心叫び全身の毛を逆立たせながら必死に屈んだ、なお隠れ切れていない模様。
「そして告げよう」
うやうやしい態度を終焉王ファフニールが一転させると同時に、大量の巨大な魔方陣が一斉にサミット会場に出現。
そして魔方陣から続々と、終焉王ファフニールと変わらないサイズの巨竜達が現れる。
一方タイガー総帥は、そう言えばジャーク大帝はどこやねん。と見てみれば。
ジャーク大帝も少し離れたところで心底不服そうな表情をしつつも、身を屈めていた。
ちなみにゴクアークは呆気にとられた表情をしており。
一部の悪の組織の首領は戦闘態勢を取っている。
「残骸が残る程度に抵抗しろ、貴様の世界に宣戦布告するのに……貴様らの首が無ければ締まりが悪すぎるからな」
そして、終焉王ファフニールの一方的な通達と共に。
見るも無残な大虐殺が始まり、サミット会場に集まった悪の組織の首領半数以上が討ち取られるばかりか。
襲撃でテンションが上がった一部の巨竜が、討ち取った首領の残骸をその世界へ叩きつけるついでに襲撃開始。
囚われていた一般市民や魔法少女の救出をしつつ、奇麗さっぱり幾つかの悪の組織の世界を掃除するのであった。
後に惨劇の場に居合わせたタイガー総帥は遠い目をしてこう語ったという。
「いや、少年草野球の大会にメジャーリーグのスター選手オールスター連れてくるような真似は、あかんやろ……」
と。
ちなみに悪の組織側にも内通者いました、そうシャドウグリードさんです。
この人達は正義と悪というより、光と闇の闇側なので明確に悪ってわけではないという枠だったりします。
FF3に例えると、闇のクリスタル側です。
魔法少女のトップと悪の組織連合の重鎮は繋がっていたって書くと酷いゴシップですよね。