一人の青年がおりました。
 
【ヒーロー】になりたいと願い。
 
悩み、藻掻き、それでも諦めなかった、そんな青年の人生の一幕。
 
実際にあった……かもしれない物語。

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取り敢えず、前書きの時点では多くは語りません。

後書きにて諸々を書いていますのでそちらを読んでいただければと


ではでは、どうぞ



「俺の選択とヒーローの答え」

 

 

「はぁ、どうすればいいんだろうな」

 

「そのセリフ、今ので18回目だぞ」

 

 

12月―――寒さも本格化してくるこの季節、とある町の某ハンバーガー店に2人の青年がいた。1人目は注文したハンバーガーも他所にため息をついている青年≪森国(もりくに) タツキ≫クセのない黒髪と日本人らしい黒目をもつ絶賛進路について悩んでいる高校3年生。その正面の席で本を読みながらハンバーガーを食し、タツキの嘆きを数えている青年が≪神室(かむろ) ヨウ≫彼と同じ高校に通う同級生にしてタツキとは高校で出会った友人である。

 

 

「それで? 実際どうするつもりだ?」

 

「そうは言っても簡単に決められる話じゃないって まさか……【保育士】を目指してたら【俳優】のスカウトをされるなんて思うわけないよ」

 

 

これこそがタツキの悩みの原因。進路を決め受験を受ける学生も増えている中で彼もまた自身の夢である【保育士】になるべく勉強などをしていたのだが、ある日街中を歩いていると唐突に俳優のスカウトを受け周りに流されるままオーディションをしてみるとまさかの最終面接突破、あとはタツキ自身の意思次第というところまで行ってしまったのだ。

 

 

「どうすればいいんだろうな」

 

「19回目。20回目でハンバーガー1個奢りなの忘れんなよ」

 

「わ、わかってる……ってそうじゃなくて」

 

「真面目に答えるなら、どちらを選んだとしてもお前の昔からの夢(・・・・・・・・)は叶うと思うんだがな」

 

「……そう、だな」

 

 

そう、そうだ。俺の夢は【保育士】それはウソ偽りのない本音だが、その夢を、そしてなにより今の俺を形作っているのは俺の中に1つの原点があるから。それこそが_____

 

 

【ヒーローになりたい】という夢。

 

 

子供っぽいと、妄想だと笑う人もいるかもしれない。でも俺は子供の頃から色々な人に助けられてきた。だからこそ今度は俺が子供達を助けたいと思った。

 

だからこそ色んな事を考えた、その末に【保育士】という職業にたどり着いた。

 

だからこそ色んな事を頑張った、簡単な事じゃないと普通より何倍も頑張らないといけないのだとわかっているから。

 

 

でも、揺れてしまった。

 

 

切っ掛けは偶然で、もしかしたらと思っていただけだった。そしたら手に入れたのだ、チャンスを。画面の向こう側へ、子供だけでなく今や大人ですら魅了しカッコよく『変身!』と言える世界への切符を。

そう考えるとやっぱりヨウの言う通りだ。どちらも俺の夢を形にできる答えでどちらを選んでも間違いではないのだと思う。

理解できる、理解できてしまっているからこそ。

 

本当に___

 

 

「どうしたらいいんだろうなぁ~~」

 

 

自分の原点を思い出しある程度考えがまとまっても結局答えを出せず俺はテーブルに突っ伏した。

そうしているうちに、ヨウがおもむろに立ち上がりゴミを片付け始める。オレが顔を上げるとヨウがスマホをこちらに見せる、そこに映る時計が指す時間は〔18:00〕それが意味しているのは……

 

 

「切り上げ時ってことだ、これ以上考えても納得のできる答えは見つからなそうだしな」

 

「それもそうだな、ありがとうヨウ。いつも付き合ってくれて」

 

「まぁ、友人が悩んでるんだ。このくらいならいつでも付き合うさ」

 

 

こういうところがようの凄い部分だと思う。

俺の夢を聞いても笑わずに心から応援してくれて、相談にまで乗ってくれる。

ほんと、俺は良い友人に恵まれた。

 

 

「急にどうした?」

 

「何でもないよ」

 

 

実際に言うのは少しこっぱずかしいが。

 

 

「あ、それはそうとタツキ_____」

 

「ん?」

 

「20回目いったから、約束通りハンバーガー1個奢りな」

 

「……いや確かに約束したけど、約束したんだけどもっ!」

 

 

数分前の俺の感動を返してほしい。

 

 

______________________________

 

 

 

~数日後の学校にて~

 

 

 

ワイワイ……ガヤガヤ……

 

 

 

時間は放課後、最後の授業が終わったことでタツキたちは友人と喋っていた。そこから少ししてガラガラと教室のドアが開くと1人の女性教師が入って来る__我がクラスの担任≪磯原(いそはら) シイコ≫先生だ。

 

 

「はいみんな席について、SHRはじめるよー」

 

 

その言葉に従いクラス全員が席に着くのを見てから磯原先生が話し始める。

 

 

「みんなも知っての通り、今月は2者面談の期間なので今日やる人は教室で待っていてくださいね」

 

 

この学校ではこの時期になると先生と生徒の2人で軽い面談を行う。内容としては進路についてや普段の学校や日常での生活についての相談など1人1人違ったりする。

 

 

「そういえば、ヨウの時はどんな話をしたんだっけ?」

 

「オレの場合はもともと進路が固まってたからな、その確認と世間話くらいしかしなかったが……あぁタツキは今日だったな」

 

「それで俺はほら……ね?」

 

 

そう言いながら自分の顔が苦い表情になっていくのがわかる。結局、ヨウとのやり取り以降も自分なりに考えてみたが決めることができずに今に至っている。

 

 

「ふむ、とはいえ磯原先生が相手だそこまで不安になることもないだろう。むしろ今回の面談で良いアドバイスが貰えるかもしれんぞ」

 

「そうだといいけど」

 

「SHRもこれくらいにして2者面談を始めていきますよー最初は○○くんからね、隣の空き教室で待ってるから準備ができたらきてくださいねー」

 

〜1時間後〜

 

 

「じゃ、行ってくる」

 

「ん、いってら〜」

 

 

荷物の片づけ自体は既に終わっている。なので潔く、けれど若干の不安を抱きながら空き教室に向かう。

 

 

「いらっしゃい、森国くん。さ、座って」

 

「はい、失礼します」

 

 

机とイスが2つ向き合って並べられたシンプルな状態の教室で2人は面談を始める。

 

 

「さっそくだけど学校での生活はどうですか?」

 

「学校は楽しいですよ、ヨウ達もいますし」

 

「そっか良かった。学校は学ぶ場とはいえいつも気を張り詰めたままじゃ疲れちゃいますからね」

 

 

磯原先生は生徒たちから慕われているのだが、その理由の1つはこの部分なんだろう。

決して真面目過ぎず、かといって怠けすぎはちゃんと正す。メリハリがはっきりしているというやつだ。

 

 

「事前にどんな相談がしたいかプリントに書いてもらいました。森国くんは『進路について』スカウトされた俳優の道か、もともとの夢である保育士か」

 

「そうですね、自分でも考えたり友人に相談したりしたんですけど決めきれなくて」

 

「確かに、これはそう簡単に決められない難しい話ですね」

 

 

シイコは考える。今の自分に何が言えるのかタツキに何をしてあげられるのか。

 

そこから時計の長針がちょうど一周した段階でシイコは自身の中の言葉を纏めタツキに語り始める。

 

 

「本当は先生として良くないのかもしれないけど、やっぱりこれは森国くん自身が決めないといけないんだと思います」

 

「……そうですよね」

 

「でも」

 

「?」

 

「それでも私は先生だから、悩んでる生徒にだから限りのことをしたのです。というわけで先生から1つアドバイス」

 

 

タツキの眼を真っ直ぐに見つめシイコは再び語りだす。

 

 

「そもそも人っていうのはねどんな形どんな選択、どんな答えであれ後悔してしまいます。たとえ自分なりに正解だと思ったものであれ」

 

 

磯原先生がそんな言葉を使ったことに少し驚いた。でも磯原先生の表情は決して暗いものではなくむしろ確かな意思を持ったように見えた。

 

そして、そこまで語った磯原先生は一呼吸をおいて再び語り出す。

 

 

「だからこそ、大事なのは【後悔のない選択】ではなく【後悔を乗り越えられる選択】だと私は思うんです」

 

「後悔を乗り越えられる選択?」

 

「そう、これから先まだまだ多くの選択がある。でもその選択を後悔しないと信じた先で後悔してしまったら間違っていると思ってしまったら、その人の歩みを止める重荷になってしまう。けれど、それらを乗り越えられたら新しい選択や答えを見つけることができる」

 

 

その考えを聞いて自分の心が少し軽くなった気がした。今まで1つの答えを出すことに固執していたからこそ磯原先生の言葉は間違いなく俺の助けになってくれた。

 

だからこそあと1つ何かがあればとそう思っていた時

 

 

「じゃあアドバイスはここまでにして最後に森国くん君は______

 

 

 

 

 

 

どうしてヒーローになりたかったの?

 

 

「……………!!」

 

 

瞬間、俺の中でカチリとすべてが嵌った音がした。

 

 

そう、そうだ! 俺がしたかったのは、俺がヒーローになりたかったのは!!

 

 

「それじゃ、時間もちょうど良いし面談はここまでにしましょうか」

 

「先生! ありがとうございます!」

 

「はい、事故に気をつけてね」

 

「失礼します!」

 

 

そう言いながらタツキは自身の荷物を手に急いで、しかし廊下は走らずに帰って行った。

 

 

「いやぁ〜若いって良いですね〜」

 

「それ先生への嫌味ですか?……………神室くん」

 

「ハハハ、まさかまさか」

 

 

そこには意味ありげな、どこか満足そうな表情のヨウがいた。

 

シイコはせっかくならとタツキと一番仲が良いであろうヨウに思ったことを聞いてみる事にした。

 

 

「……それでどうなると思います? 神室くんから見て」

 

「なるようになると思いますよ? それにタツキがどんな選択をしてどんな答えを出すにせよオレたちは尊重して必要なら手助けするだけですよ。ですよね?」

 

「はぁ、盗み聞きはあまり感心しないですよ」

 

「いやいや、オレはたまたまタツキを待って教室の近くにいたら話し声が聞こえただけですよ」

 

「そう言う事にしておきます」

 

 

そうやってお互いに軽口を叩きながらタツキが走っていった方向を見る。

 

 

「ヒーローになれると良いですね」

 

「なりますよタツキは。なにせ今の今までどんな悩みを持ってもその夢(ヒーローになりたい)っていう一点だけはブレることはなかったんですから」

 

「ふふっ、そうですね」

 

 

そう語り合うお互いの口には笑顔が浮かんでいた。

 

 

「……………ところでさっき森国くんを待っていたって言っていましたが」

 

「はい」

 

「……森国くん帰っちゃいましたね」

 

「はい…………………………後でシバくかハンバーガー奢らせます」

 

「お手柔らかにしてあげてくださいね?」

 

「善処します」

 

「(しないやつだコレ)」

 

 

________________________________

 

 

 

~受験日当日~

 

 

 

「うぅ~緊張してきた」

 

「何を今更、というのはさすがに酷か」

 

 

場所は保育の専門学校の試験会場。

 

そこにいるのは試験を受けるタツキと送り迎え兼応援としてタツキの母親。そして、たまたま暇をしていたヨウがせっかくならタツキの応援をしてあげてとタツキの母親から誘われ一緒についてきていた。

 

 

「さて、タツキはいろいろと背負い込みすぎるからな。下手な言葉よりもシンプルに」

 

 

 

【がんばれよ】

 

 

 

「うん! ありがとな。それじゃあ行ってくる!」

 

 

その言葉を受け、タツキは試験会場に向かう。

 

 

確かに試験に対する緊張はあったのだろう、だがそれでも会場の扉をくぐるタツキの顔には迷いも陰りもなく、まっすぐに歩くその姿はとても頼もしくオレたちに安心を与えてくれた。

 

故に、これ以上のことを語るのは無粋というモノだろう。

 

何せ今のタツキであれば、どんな困難もまさにヒーローの如く乗り越えるだろうから。

 

 

_________________________

 

 

 

さて、お話はここまで。続きはまた別の機会で……って、ん? 気になる? どうしても聞きたい? ん~~そこまで言うなら仕方ない、ほんの少しだけ話すとしよう。

 

___その後、専門学校に入学した青年の新たな学園生活が始まった。そこでもなかなかに色濃かったり、聞くだけなら面白おかしい出来事があったりしたようだけど割愛するとして……はいそこ文句垂れない! 少しだけと言っただろう?

……おっほん。そして、紆余曲折ありながらも無事に自分の夢を叶えることができました_____とさ。」

 

 

そうして一区切りをつけた本をパタンと閉じ周りに目を向けてみる。

本の読み聞かせを聞いていた者たちの反応は様々で……

ひとまず満足した者、続きが気になって仕方がない者、区切られたせいで不満げな者、オレ(・・)に対して呆れている者。

それはそれは多種多様な様子に頷いていると、先ほど不満げだった者__男の子が遂にオレに抗議する。

 

 

ヨウ兄ちゃん(・・・・・・)何でいつも30分で終わらせちまうんだよ~ 続きが気になってしょうがねぇよ!」

 

「ハーハッハッハッ! お前たちが続きを楽しみにしているうちはこれからも小分けにして話し続けるさ。それに【日曜に1話30分のお話】というのもヒーローのお約束だからな」

 

 

そう言うと男の子は悔しそうな顔を深めブ~ブ~と唸る。とはいえ男の子の抗議はわりといつも通りなので周囲の子供たちも特に何かをするわけでもなく各々で感想を言い合っている。

その様子を眺めていると、外から子供たちを引き連れた男性がやって来る。

 

 

「いつも悪いな子供たちの面倒見てもらって」

 

「別に構わんさ。そっちこそ子供たちとのお散歩お疲れ様___タツキ」

 

 

さて読者のほとんどはお気づきだろうが今俺が居るここはタツキが経営する児童養護施設であり、そこでオレはタツキと子供たち散歩をしている間に他の子供たちへ本の読み聞かせをしていたというわけだ。

 

 

「ほらタツキ先生が戻ってきたんだ子供たちよ、行っていいってさ」

 

「「「は~い!」」」

 

 

皆タツキのことを慕っていて、尚且つ遊びたい盛りの子供。本の続きを焦らされたのをいったん忘れテンションを上げながらタツキに飛びついていく。

 

 

「おわっ! ちょ、みんな! ま、まって……ッ!」

 

 

子供たちにもみくちゃにされながらもなんだかんだ楽しそうなタツキを眺めているとふと昔タツキと一緒に見たヒーロー番組のヒーローの姿と重なって見えた。

別にヒーロー番組の様に敵がいて戦っているわけでもない、実際にヒーローの姿になっているわけでもない、いたって平和な光景だ。

 

 

「いや、だからこそ……か」

 

けれど不思議とその光景を見た理由が理解できた。

 

そうして、ヨウは近くに置いておいた自身のパソコンを開き文字を打ち始める。

 

 

「……『なぜ彼とヒーローの姿が重なって見えたのか、その答えは簡単だ。彼は己にとっての【ヒーロー】とは何かという問いに答えを出し、そして【変身】したのだ子供たちを救うヒーローに。だからこそそれらを見届け綴ってきた(・・・・・)オレの瞳にも確かに彼が【ヒーロー】として映ったのだ。っと

 

 

パソコンに一通り打ち込んだヨウは区切りをつけ顔をコチラ(・・・)に向ける

 

 

さて、改めてこのお話はこれでお終い。続きは子供たちが望んだときかオレの筆が乗ったときかあるいは……どちらにせよまたどこかで会える時は来るだろうさ。だからそれまで、チャオ☆』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハーメルンよ!

ワタシはかえってきたぁぁぁぁぁあああ!!!!!!


はい、という訳で今の今までなんの音沙汰もなかったクソボケ野郎がなにをって思う方もいらっしゃるでしょう。

まぁ戻ってきた理由としましては、1つはワタシがいま通っている小説の専門学校学校の課題をせっかくならとハーメルンにも投稿しようと思いまして。

もう1つはこの作品のモデルであるワタシの友人にこの作品を見てもらう為と言うわけなのです。

いやぁにしても、小説ってやっぱり楽しいけど難しいっすね!!


とはいえ、

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