教育実習生オンボロ、銃と青春の世界へ(試投稿)   作:北アフリカ大洋

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2−4)作戦開始!

『見つけた…奴らだ! どうする?先生。』

「“そこで待機! 動きがあったらチャット(モモトーク)で教えてね。”」

『おうよ! ‥待機かぁ』

『…見つけ次第潰すって方針じゃ無いのな。 って当たり前か。』

『アタイらが良くても、先生は連邦の組織だからなぁ。むず痒い代償背負っちまったな?』

『衝突命令が出たら思いっきり暴れりゃ良いだけっしょ?』

「“や、やりすぎないでね!?”」

『『うーっす』』 「ッはは…」

 

携帯を握り、状況を確認しつつ先生(猪戸元治)は逐一指令を飛ばす。

 

「ウチら、どこまで温存するつもり? ケンカだって意気込んでるところだから、適当なところで爆発させといた方が…」

「“でも、最初の襲撃から結構経ってるんだよね?”」

「…あー、連邦が来る?」

「“来るっていうか、僕もそうなんだけど…そうだね。治安維持組織(ヴァルキューレ)が動き出してもおかしくない。

その時に言い訳が効くようにしておかないと。”」

「面倒クセェ‥けど、そうか。ウチらみたいな気楽な立場じゃ無いもんな…っと!?」

「“救出本隊、進軍停止! …念の為、話し合いに行ってくる。ダメなら『制圧』も考えるから。”」

「おうよ、気をつけて。」

 

目的の一団を見つけ、同行するスケバン達を停めて接触を図りに赴く。

傍ら、その指示に返事を返した参謀の彼女(角立ハヤメ)はこちらに睨みをつけながら、引き続き周囲の確認を続けた。

 

先生(センセ)が交渉に行くってよ。ま、始める前に蹴ってくる可能性もあるからさ‥分かるか?』

「ハハ、そっちしか可能性ねーだろ。」

 

そんな会話も横耳に、引き連れてきた一団を追い越し、向き合う。そして

 

「“君たちも『サバンナ連合』だよね? ちょっと話を聞かせて…“」 スチャッ

 

切り出した瞬間上がる銃口。それでも先生は湧き上がる動揺を抑え込み

 

「” ‥もらえるかな?“」

 

そう聞けば目を見開いて一瞬固まり、ふと先生の頭上を見つめると

 

「ヘイロー無しの癖に度胸あるじゃねーか。ま、煽り合い(いつもの)代わりにちょっと付き合ってやるか…

確かにこんだけ本腰入れて殲滅ってノリ、正直ウチらも初めてだけどさ‥そもそも定期的にケンカ出来ればそれで十分なンだわ。鬱憤、晴らしたモン勝ちって感じでさ‥

なーんか思惑あったりもするんだろうが、下っ端(ウチら)はそんなの知ったこっちゃ無し、乗り出したけりゃ連合(ウチの組)乗っ取ってみれば?」

「やっぱそんなモンか。どうする先生(センセ)

 

語られた事情、予想通りといった風に確認を取ってくる味方に先生は視線を下ろした。タブレット(シッテムの箱)越しにアロナへ視線を送ると

 

「“そうだね。詳しい事情が知りたいのはその通りなんだけど”」

連邦生徒会(じょうし)を頼ろうにも言い逃れできない奴が居るからなぁ…」

「レッコの事か。」 「アンタもだろ?」 「…」

「(自白してどうする…)いや、『だからこそ』踏み込んでも良いんじゃね?SRTとやらの活動が凍結されかかってる今なら色々言い訳できるかも?」

「あ、そっか。あんな騒ぎ(七囚人脱獄事件)起こしてたら普通、SRT(そいつら)が出張ってくる筈だもんな。だからケンカにしてはデカいな、程度にしか思えなかった訳か…

ハヤメぇ、やっぱウチらとんでもないことに首突っ込んだんじゃ…」

「“違和感があったのなら止まらなかったの?”」 「「…」」

 

後方から聞こえる会話に一言差しつつ、ふと考える。

 

(“確か、孤坂ワカモを捕らえたのもSRTの隊員だったね。なら、あの規模の騒動にも確かに動いている筈ではあったのだけど…”)

「“一応聞くけど、連合のみんな(きみたち)は知ってることある?”」

 

聞けば、旅立っていく一同の緊張。

ただ心当たりはあるらしく、顔を見合わせたのち

 

「知らない、はずだけどなぁ?」 「“はず?”」

下っ端(ウチら)はな。言われてみれば本気度が違うのはまぁひっかかるけどさ。」

「小難しい裏事情聞いて何かしらできる行動力(あたま)とか無ぇんだ。ムカつくからやる、それで良いじゃねぇか!」

「そだな。上手くやればイイ武器貰えるから元々ノったんだ、知りたけりゃ黙らせてみなってコトで納得してくれや」

 

そう結論を出すや、再び銃口が上がる。そして

 

「と言うことで、だ!」

 

こちら一同を指して横切る人差し指、それが天を向くとグルグルと円を描き始め…

そしてその人差し指すら折りたたんで握り拳を作るや

 

「‥フンッ」

 

鼻を鳴らしながら首を傾げ、頭上の手を外側に向けて開いた。

 

(“…いや、あのジェスチャーはダメじゃない!?”)

 

そんな挑発に焦る(先生)、そっちのけで沸き立つその場の一同。

理解が追いつききらず、固まる先生を他所に

 

「ハッ、ようやくか!」

「お互い様なんて日和ったことは言わねぇよ、お前らが一方的に味わえや!」

 

盛り上がる双方一同。

 

「先生、悪い。あの合図が来たら開戦ってことになってんだよ、路地裏(ここ)は。」

「“いや…”」

「ウチらが勝手に飛び出したってことで言い訳宜しくな! 通信越しに伝わっちまってそうだから手綱(指揮調整)ヨロシク!」

「どーせアタシら撃たれても大半は痛いで済むんだから、先生がうま〜くやれば何とかなるっしょ。」

「“自覚があるなら‥”」 「ゴメン、恒例行事(いつもの)には無理。身体が反応しちまうンだわ。」

「“ちょっと!?」

 

そう言って飛び出していく一同。

戸惑う先生を見上げ、ハヤメは

 

「先生。やっぱり銃撃戦(ドンパチ)やるのが心配か?」

「“そうだね…僕にとっては、一発でも当たりどころ次第でしか安心できないからね。生徒(みんな)がそれを普通に使うとなると…

ハヤメにとって、『撃つ』ってどんな感覚なのか、教えてもらえるかな? こうなったからには、慣れるしか無いと思うから。”」

「『撃つ』‥普通は命に関わるものじゃなくなってるとはいえ、弾も銃本体(うつわ)も本物だ。アンタからしたら違和感でしかねぇか。

ただ私たちにとっては‥そうだな、先生はSNSはやってたか?

「“‥気軽に、細々とね。”」

「多分、そんなものって言った方が近いのかも知れないな。腹が立ったから怒る、愚痴る‥書くも、撃つも、怒鳴るよりかは よっぽど気楽なもんさ。先生と違って、致命傷なんて滅多なことじゃ縁すら無いし?

そういう先生はここにいて大丈夫なの?」

「“…ハヤメを信じるしか無い、かな‥”」 『先生! 私も居ます!!』

 

吐いた不安と同時、手元のシッテムの箱から聞こえる少女(アロナ)の声。

 

『安心してください、先生。私なら、飛んできた銃弾から先生を護ることも出来ます!

ユウカさんが身を守るために使っていたものを再現できると思って大丈夫です』

「…先生?」

「“いや、シッテムの箱が僕のことを守ってくれるよ。”」

 

不思議そうな顔でこちらを見つめる彼女(ハヤメ)に、今度ははっきりと言い切るように答える。

再びシッテムの箱に目線を下ろすとアロナの頭に指を置いて(画面越しながら)撫で、

 

「“じゃあ、よろしくね。”」

『任せてください! その代わり、後でご褒美を要求します』

「“うん、分かったよ。

…さてと。準備は良いかな、シロコ、アンズ。”」

『ん!』 『お願いします…』

 

 

 

 

 

 

 

ピッ‥ 「ん、始まった。」

 

通話を切り、シロコが仲間一同(スケバンたち)を見回しつつ言い伝える。

それを聞き、安全装置に手をかけて臨戦体制に移りながら彼女たちは雑談を続けた。

 

「こっからケンカと捜索分けるにしても、多分ウチらはケンカ班だろうな。」

「あのミレニアム生、大丈夫か? すれ違う他の大人連中が出てきたから慣れてきただけでウチらにも人見知りしてたはずだったろ?」

「そのままだと気まずくて連れ出したってのにさ。というかそれさえなかったら逃げ出してそうだったよな…と。」

「シロコ組、で合ってたか?  「合ってるよ」 オッケ、接敵目前…

いや、我慢してもらってさ、音声入力で『チーム賞金(カネ)獲り屋』でいいじゃん…ダメか?」

 

そんな質問に、シロコは居心地悪そうに肩を竦める。

その様子に周囲のスケバンたちは微妙そうな顔を浮かべ

 

「アタイらだけで勝手にそう呼んでただけだからなぁ。よくよく考えればそんな反応も当然と言えば当然か。」

「名前聞いたのが今日初めてで『まぁ確かに心強いか』程度の認識から一時間も経ってねぇし、この後ナカヨクすりゃ良いんじゃね?

誤狩(まちがわ)れたりしたお陰でイイ腕してるのは間違いねェし。」

「‥テメェ、真っ当な理由で灸据(シバか)れた仲間から勝手に出てんじゃねぇよバカ。“あの警官(ヴァル公)“に肩組まれる前のコト、シレッと無かった事にすんなや」

「‥うーん、やっぱり見覚えがあると思った。そっか、じゃあ「ケンカだ ぶっ放せェ!」‥ん。」

 

突然の号令、場面が変わったかのように駆け出す一同に遅れてシロコは敵を見据える。

銃弾が風越しに頬を撫でるなか、その手元には“とある機械”が飛び立つ準備を施されており…

 

 

一方、とある前線。

「宣ッ戦、布告ゥ!?」

 

ワイワイといつも通りの罵声と銃声を響かせる戦場を見下ろしつつ、非常階段の手すりにもたれ掛かるウツキが電話に疑問を返す。

返ってくる返事によれば

 

先生(センセ)班で派手にぶっ放したってさ。ウツキ、気を付けろよ?』

「そっかぁ‥ま、こんな搦手(私みたいなの)を最大限に活用してまでやってくるはずも無いだろうし、一応警戒‥!?」

 

瞬間、頬を掠め、続けて頭を下げて直ぐ髪中潜る銃弾たち。

 

『ウツキ?』

「例外。そっちはよろしく!」

 

それだけ伝え、周りに集中してみれば狙う複数の砲身。

 

「ッケンカなら、楽しくやるんじゃ無かったのか?」

「…」 タァン、タァン…

 

続けて一斉に打たれた弾から逃げるように駆け出し、手すりを乗り越えて…

 

ズガァン 「ぐふぁっ!?」

「悪い、そのS R(ショットガン)貸して♪

‥ そして、ちょうどイイところに(カン)(バン)!」 ジャコ

 

奪い取った銃を即座にリロードし、身を隠した看板からスコープごと外の様子をチラリと覗き‥

 

「でぇッ!?」 「何がッ!?」 『‥おい、何が』 ガショォン、ガガガガ…

「三発命中…イイ性能の持ってんじゃん。逆に路上待機にゃモッタイない。

まぁ」

 

撃った分の弾を装填し直している間にも撃ち抜いた二人は体勢を立て直し、反撃に出ようと砲身を彷徨わせていた。

その様子を確認し、徐に着ていた緑ジャージを脱ぐとゴミ箱(青ポリバケツ)から中身を取ってそれを被せ‥

取っ手に紐を括り付けるとその紐の反対側にその蓋を括り付け、両手で持って真上を見上げると

 

「そぉぉれ! っと」 ヒュオッ、シュルシュル

 

投げた蓋は迫り出した鉄骨に紐を渡してジャージを着たゴミ袋を持ち上げ

 

「居たぞ、撃ち落とせ!」 タァン、タァァン

(‥バーカ。精々、無駄弾たんまりぶち込んどけっての!) スチャッ

 

 

 

「ウツキが交戦始めたってさ。」

「偵察頼んでたウツキが? マジで!?」

『“いつもとは、やっぱり違う?”』

『少なくとも作戦は路地裏(アタイら)の柄になく本気だ。乗り気じゃ無さそうな相手(てき)が多いあたり、裏で何か動いてる可能性は高いが…』

『ごめんハヤメ、増援(なかま)寄越して…迫撃砲降り出した!』

『ウツキ!? オッケ、先生に周辺誰がいるか確認取るな、耐えといて!』

 

戦闘間の雑談中、飛んできた報告に顔を見合わせる、とある一同。

 

「大丈夫か、さっき飛び出してったアンズとかいう奴。」

「案外大丈夫だろ。覚悟決めた後の戦闘(アレ)、動きが洗練されすぎててさぁ…

煙幕(スモグレ)投げて即、追従して組み技掛けるとかナニアレ。」

「走りながらスタンガンに持ち替えてた辺り、近づききる気満々だったよな?

で、ひと段落ついたらまたオドオドしてキョロキョロして…」

『シロコが行く、出来る限り引き降ろしとけよ!』

「…まぁ、それなら安心か。安心して」「居たぞ、自習組派閥だ!」

「目の前の相手(ヤツら)に集中できるな!」

『“アンズ班、向かって左のゴミ箱に弾薬があるみたい。活用して!”』

「了解! ‥ンな情報、いつ仕入れてるんだよ」

「シッテムの箱…とは思うんだけど普通にハヤメが把握してる可能性があるんだよなぁ…

お前は後ろ居とけって、挟まれたら後ろの突破役(ぜんせん)誰がやるんだよ!」

 

 

 

『‥後ろのゼンセン、誰がやるんだよ!』

 

聞こえてくる声。潜んでいた少女は肩を竦めながら廃階層の窓から見下ろす。そこへ突如

 

「何やってんだ、こんな所で。」 「!!」

 

掛かる声、複数人の足音。

振り向けばショットガンを片手に歩み寄る影たち。

 

(ひいっ!?)

 

一瞬竦む身体がサブマシンガンの銃口の後ろに上半身を隠そうとし‥

下がる左足、半身になった身体は自然、戻り寄せる緊張と共に狙う姿勢を取り直し…

 

「場慣れ、してるんだ。」

「あなた達ほどでは、ない…です。

でも、なんで…」

 

言葉を切り、深呼吸を一つ。

無駄に固まった身体をほぐし、今取れるだけの臨戦体勢を整えると

 

「‥あなた達はなんで、生徒同士(わたしたち)の問題に手を出してるのですか!」

 

歩み寄る影は、ユラリユラリと近づくだけで

彼女の質問には、一言も答えなかった。

 

 

 

 

タタタタタッ、ダァン、ダァァン‥

 

入り組んだ路地裏に響き始める銃声、砲音。

その出入り口で、一人の警察官(ヴァルキューレ生)が武器の点検を行なっていた。

ふと顔を上げると、走り寄る仲間たち。

 

「澄溜さん、お待たせ…それは?」

「思ったより大きくなりそうなんだよね、今回。

七囚人脱走の騒動と同じ規模は、覚悟した方が良いかも…ま、悪い報告(コト)ばかりでは無いけどね。」

 

彼女はそう言って建物の向こう、隙間に見えるシャーレビルの方に視線を投げた。

その手元には、対戦車砲などの重火器が並んでいた。




後書き用に振り返ってみて、幾ら何でもこの挑発は世界観的に大丈夫なんだろうかと思わなくも…



Next.(8/29 更新予定)
混沌の路戦場、影を駆ける…
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