教育実習生オンボロ、銃と青春の世界へ(試投稿)   作:北アフリカ大洋

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連続投稿の最終日デス
さて、思わぬ形で邪魔の入ったケンカの行方は…


2−6)膨らむ情勢の観察者

「あれ? 制圧は、上手くいった…」

「不完全燃焼だよ、ケンカとしては。グリーンマスクに警告を受けてさ、仕方なく手放すことになった。プラザムも納得済みさ…」

「それ、詳しく話してくんねーか?」

 

面倒事に時間を割いていたウツキと、倉庫を出たところで出会す。

詳しい話を聞いたウツキは少し考え込むと

 

「警告の内容はともかく、多分ソイツは本人じゃねーかも。」

「‥へ?」 「教えてくれた情報なんだけどさ‥」

 

視線を下ろしてスマホを弄り、ウツキが見せてきた画面。そこは

 

「グリーンマスク‥の名前、貸すって!?」

「‥ビジネスになってんだよ、それ。噂に出てるのはさ。本人だけとは限らない、いろんな思惑の奴がここを通じてその名声を借り、動いているんだと。

まぁ、管理人のお眼鏡に適わなければ借りれないんだけど」

「ソイツを借りるにしても、アタシらに警告するメリットはなんだ?」

「本人に聞けなかったのか…まぁ、関係あるかどうかは知らないけどさ。

その管理人、噂によれば情報屋と繋がってるらしいんだわ。」

 

そんな情報に、一同は顔を見合わせる。

 

「ブラックマーケットに拠点を構える、情報屋兼密偵‥そんな奴らが、ヘタすりゃこの事件に関わってる可能性がある。警告を出したのも大方その回し者かもな。

どうにしろ警告してきた奴が誰の依頼を受けて動いているかがわからないのが問題なんだが…」

「ウチらの不都合を嫌ってるうちは、気にしなくても良いんじゃね?」

「アンタらは別に…いや、そうだな。先生を頼るか。いっぺん合流で。」

 

 

 

 

 

「最近、ウチらが節度守ってるのに免じて大人しくしてた思ったらヴァル公め‥」

仕方(しゃー)ないって。変な奴らにちょっかいかけられてるし、ソイツら遠慮なくその辺ぶっ飛ばしてるし。

最近見つけたお気に入りの隠れ家店、無茶苦茶にしやがって…」

 

事情を聴くヴァルキューレ生たちの傍で交わされる会話。

それとなく聞いていたシロコに、近づく一人が。

 

「あ、シロコじゃん。今日は買い物? それとも指名手配?」

「ん、買い物。 ‥珍しいね、最近みんなちゃんとしてたのにこんな事になってるなんて。」

 

空色の制服を着こなし、シロコと同程度まで伸ばし癖付いた黒髪をストレートに下げた彼女はその返答に苦い顔を返して

 

「私が見てたみんなは悪く無かったみたいなんだ。でも最近騒がしかったし、触発されたりしてないかなー、なんて心配はしてたんだけどね。

ちょっと、そんなの気にしてられない事態になっちゃって…」

 

努めて平常通りを保とうと努力している、というのがどう見てもわかるような仕草で彼女は愚痴を吐いた。

こんな世間話ができる程度にその生徒(ヴァルキューレ生)はシロコと顔見知りであり…

 

「‥うん、大丈夫。任せて、アビドスの皆んなには連絡しとく。何か手伝えることはない?」

「良いよ、そっちもやっぱり大変なんでしょ? でも甘えて良いんなら、そーだなぁ‥」

 

その提案に、少し表情を明るくした彼女は考えつつ、ある方向へ目を向ける。その先には

 

(‥同僚? なんか真面目そうには見えないけど)

「うん、引き続きあの子たち(路地裏の皆)を頼めないかな? こっちはこっちで調べ物が…」

「ハッ、よく言うよ外回(サボ)り魔汚職警がさ」

 

その言葉に、振り返れば不満一杯といった雰囲気を纏って近づくヴァルキューレ生が。

一瞬で眉間に皺を寄せる友人を他所に、いや黙る様子に調子に乗ったのだろうか、より一層捲し立てて

 

「碌に成果もあげずよ? 不良(落ちぶれ)の機嫌取りに逃げるだけの不真面目の癖して、デカい手柄立てられそうになったらこれ見よがしに張り切り出すんだもんな。遅いことこのうえ無いっての。」

「そうだそうだ! どうせよ、ダンゴーしての自作自演だろ? そりゃあんなデカい事件の後だもんな、バレるはずが無ぇし。」

「とうとう汚職に手を染めた!? 全くココロが澄んでなんかいないなぁ、“澄溜”って苗字の癖して「五月蝿(うるせ)ェぞ角佐野(すみざの)共ォ、それでもお前らヴァルキューレかァ!?」‥ま、後は解ンだろ。ま、まだマシな成績の先輩が呼んでるからこの辺にしとくわ。」

「本当に自作自演だったら、終わりだな。そん時ゃトナリの奴といつでも話せるように口きいてやるわ。感謝しとけな‥」

 

そう吐き捨てて踵を返す、反応からして角佐野という苗字らしい生徒に着いて取り巻きをしていた他の少女たちもその場を後にする。

角佐野が終始渋い顔を浮かべて罵り始めるや、シロコが不真面目と評した生徒もいつの間にか合流し続いて煽り立てる始末であったが

どうやら澄溜という苗字らしいその少女は去っていく数人を睨みながら

 

「…だから言われるんだよ、『ヴァル公』って。」

「アイツら、いつもあんな感じ? なんか感じ悪い‥」

「大体ね。それでも成果を上げてくるだけまだ、というか‥別に暇なら暇で問題は無いし、私達案件(トラブル)なんて未然に防げた方が良くない?

どうせあっちこっちで沸くんだし。

そもそもSRTを出してようやく捕まえられたワカモを余裕と言ってさ、捕まえられなく(返り討ちにされ)て勝手に拗ねてるんだよ? バカじゃない!?」

「でも、見えた限り装備はちょっと本気だった。普通のヴァルキューレよりかは。ただ‥うーん。なんだろう。」

 

思い出してみて、引っかかり始める違和感。

いつもとは違う、というよりかは

 

(うーん、アビドスでも見たことあるような? 何だったんだろう…)

 

そんなはっきりと言い切れないものが、渦巻いていた。

 

 

 

 

さて、これ以上急速に勢いを落とす戦闘を描く実力も無いので端折らせてもらうとしよう。

澄溜率いるヴァルキューレ生たちによって“保護”された一行は順次投降、しかし相手としていたグループはその勢力を早々に退かせ、行方は掴めないままとなっていた。

『サバンナ連合』と名乗る彼女たちの目的、割って入ったオートマタの数名…

謎が残るなか、分散していたスケバンたちが漸く全員集まった。

 

「なーんだ、いの一番にヴァル公に保護されてたのか。」

「いつもの澄溜って警官の指示だな。勝手に名前使ってるんじゃねぇかって思うくらいこういう時名前聞くけどなぁ…

リツはそのまま重要参考人としてヴァル公に引かれてったみたい。

‥あぁ、澄溜が責任取るって話してたから信用はともかく任せるかって話になって…」

「分割作戦、する間も無かったな。ま、ケンカしたいだけならまた適当なタイミングで吹っ掛けてくるだろ‥って言いたいところだけどさぁ。」

 

言いつつ、滑らせた視線の先。先生と一緒にいるミレニアム生徒が二人‥

 

「な・ん・で! こんな事件に巻き込まれてるんですか先生!?」

「た、たまたま…」

「いや、巻き込まれたのは百歩譲って飲み込みますよ? なんでアンズちゃんが無茶してるんですか? なんでスケバンたちの指揮取ってるんですか!?」

「“…成り、行き?”」

「大怪我でもしたらどうするつもりですか先生!こういう時くらい私たちも頼ってください!!」

「でも、巻き込もうとしたのは向こうからだったんです…」

「じゃあこの怪我は何なの? 放っておくと変な無茶するんだから、ったく…」

 

いや、ユウカに詰め寄られて言葉に詰まる先生の姿。

所々に大判の絆創膏を貼ったアンズは、労られるようにユウカに抱きかかえられていた。

そんな3人を横目に

 

「…なぁ。アイツ、ミレニアムのお偉いさんじゃね!?」

「雰囲気に任せて堂々とケンカ売っちまったよあの時…こっち来たらアンタが話せよな?」

「ヤダよお前。なんでやらかした奴の尻拭いなんか…」 「…で?」

「「ヒィィッ!?」

 

話していたスケバンたちにかかる声。

一同が恐る恐る振り返れば、彼女たちが話題にしていた本人(ユウカ)の姿が。

 

「隠れなくても気付いてるわよ。本っ当に反省してるのね?」

「ま、まぁ‥」 「嘘はつけないだろ、喧嘩と聞いて寄ってくるお祭り女は。」

「うるせぇ‥ど、同類に言われたか無ぇよ!」

「ふぅ〜ん?」

「すっげぇ無邪気に褒めてたよな、アンズのこと。射角含めて狙いづらい位置だったよな、ってさ。」

「基本はそれで済ましてたから、ついその癖でな? 撃ち合って打ち解けて、がココ最近の路地裏(ウチら)だったから」

「身だしなみとか気にしないわけ?」

「ケンカしたら汚すんだから気にする必要も無いだろ。いや、ウチらはそういう価値観だったってだけで…」

 

そう言ってしどろもどろに答える彼女たち。その様子を見つつ、ウツキはふとアンズに近寄ると

 

「悪かったな、流れで巻き込んで。」

「いえ、私も乗っかったようなものなので… あんな目に遭うとは思ってませんでしたけど。」

「…グリーンマスクも似たようなものだと思うんだけど、違うのか?」

「えっ!?」 「………」

 

刺す先輩の視線、逃げる後輩の視線。そして

 

「まぁ、出回ってる目撃情報が本人とも限らねーらしいしな。この前シャーレビル前で目撃された例じゃ威を借りただけの気弱な便乗犯だったって話出し。

ただ、手練れっぽい奴が同じ姿被って警告してきたりもするし、安心は出来ん。」

「‥わかりました。学区は違うけど、何かあったら先生、私たちを頼ってください。奪還戦(あのとき)は無理矢理連れ出されて情けない姿を見せたけど、先生の頼みなら喜んで力を貸すわ!」

 

出された補足に頷き、ユウカが協力を申し出る。

その隣で、アンズも静かに頷いた。

 

「もちろん、当事者は路地裏の人間(わたしたち)であって先生ではない。今日限りとして後を任せてもらってもいいけど…」

「“いや、それだけは無いかな。生徒たち(みんな)が困っているところに手を差し伸べるのがシャーレの役割だと思うんだ。今のみんながまさにそんな状況だよね? 今日でだって介入し得ないはずの大人が手を出そうとしていた。

なら、こっちも大人(シャーレ)がついていないと不公平じゃないかな。”」

「じゃあ、そこまで言うなら自習組(ウチら)の仲間だな! ヴァル公は揃って『外に出るのは控えろ』って言ってたけどさ…」

「売られたアタイらが引き下がってるとよ、ギャングと手を組んでた場合何するかわかんねぇだろ? 自習組一味としては、そんなストレス真っ平御免だ!」

「‥待て、勝手に祭り上げるなよ。まぁ、ウツキ傘下に今更文句は無いからまぁわかるけどさ」 「おい!?」

「誰を味方として信じれば良いか判らん以上、ヴァル公に任せきるのは落ち着かないのはみんな一緒だろ?」

 

ハヤメがそう言って見渡せば、周りの仲間(スケバン)たちは強く同意するように頷いた。

その様子に自習組二人(ウツキ・ハヤメ)が笑みをこぼすとハヤメに目線で音頭を任され、

 

「ッ自習組一味! ‥で、文句は無いな?」 ((コクリ(静かに頷く)))

縄張り(シマ)の平和を、絶対に守り抜くぞォ!」 

「「オォォォ!」」

 

天を突かんばかりに一同の怒号が辺りに響いた。

‥後でヴァルキューレ生に怒られたのは内緒である。

 

 

スケバンやヴァルキューレの面々と別れ、駅まで歩く3人。

先生は、気になっていることがあった。

 

「“ユウカ、ちょっと聞きたいんだけどさ。”」

「はい、なんでしょう?」

「“アンズって人見知りする割にさ、行動力はけっこうあるよね。”」

「そうですね…それでも心配する理由でしょうか?」

 

その質問に頷けば、少し視線を天に逸らし…戻すと

 

「昔は校舎裏で震えていたりしたんです。誰に呼び出されたとかでもなく。

アンズちゃんと初めて出会った時も怯えるように(うずくま)ってて…」

 

―ねぇ、大丈夫かしら

―ひぃっ!? あ、いや、あの…

 

「初めは私とも距離を取ってたんです。虐められて孤立したわけでもなく、ずぅっと怯えるように距離を取るようになってて…

私にようやく心を開いてくれたのが、1週間経ったあたりですね。放って置けなくて、毎日顔を見に探したのが身を結んだ、と思ってるんですけど…」

 

そこまで話し、ふと隣を見れば当の少女(古澤アンズ)の顔がこちらを向いていた。

 

「“今でも、まだ怖い?”」

「いえ、今はもう頼って良いんだって思えるようになりました。まだ慣れない人も居るには居るんですけど…

安心していい人がいるって教えてくれたのは、紛れもなくユウカ先輩ですね。そのあと勇気を出して私に声をかけてくれた子に謝りに行ったんですけど…」

 

―全然気にしてないよ! 私だって昔は妹とあんまり良く無かったんだよね。だけどさ!…

 

「“そっか、じゃあちょっと怖い思いをさせちゃったのかな…“」

「いえ、そんなことは!」

「それが落ち着いた後は変な方向に突っ走るようになったんですよ。お陰で保健室に連れて行かなくちゃいけなくなったり…

騒動の中に居ることもあって昔とは別の意味で心配だったりするんです。今日だってまた無茶してこんな怪我もするし!

だから先生。アンズちゃんのことも、お願いできますか?」

「“もちろんだよ。任せて!”」

 

 

 

 

 

とは言ったものの。

 

(“思った以上に厄介になったな…”)

 

二人と別れた後も、悩みながら先生は夜道を歩いていた。

そもそも趣味探しの外出が大事件の収拾に変貌するとは思ってすらおらず…

 

「でもって敵の正体もわからず仕舞い、ということか。」

「“そういうことになるね…!?”」

 

突如入る合いの手、気付いて顔を上げれば前方、少し遠くから歩み寄る

 

「‥あぁ、巨体(これ)なら気にしてねぇよ。むしろアタシの都合でこの体型を維持してるくらいだからさ。

それとも、気圧されたか?」

 

被る笠の端を摘んで上げ、笑いながらそう語る彼女。

 

「“気圧され、はしたのかもしれないね。”」

「ならよかった。マナー悪い奴なんて口先だけじゃ聞かないからさ? 観光地に弾一つ撃ち込ませずに黙らせるのに都合がいいんだよな。オトナに通用したなら自信ついたよ。

まぁ、目的はもう一つあるんだ。今起こってる事件、一つ知ってることがあってさ。」

 

そう言うと笠の端を摘んでいた手を下ろし、少し目を瞑るとこちらをまっすぐ見据え

 

「ギャングが関わっているという予想、あながち間違いではない。

力を持てば気の大きくなる奴は偶に耳にするだろうが、キヴォトスの大人にも例外じゃ無いやつは勿論居る。

厄介なのは充分であろう力を持ってなお、それを確固たるものにしたいどころかより多くを求めて起こした事件(コト)って視えるのさ。」

「“…そっか。”」

「そんな奴らが何を連合に持ちかけたのかは知らん。ただ、連合には目もくれず反抗勢力だけを襲ったということは、裏に協定が結ばれてると見てまず間違いないだろうな。

裏界隈の事情をもう少し洗えば尻尾は掴める。ヴァルキューレはその線を視野に入れてこの騒動を探るつもりだ。

反抗勢力の、仮にもその指揮を取る立場に立ったのなら、その背中は収まるまで預かってやったらどうだ?

アタシも可能な限りは協力するつもりだよ。」

 

そう言った彼女は、少し心強く思えた。ただ、疑問がある。

 

「“‥疑うわけじゃ無いんだけど、なんで協力してくれるのかな。”」

 

聞いてみれば、少しの沈黙を挟んで

 

「観光廻りは趣味の一つでさ。名所が無くたって知り合いが出来りゃ良いこともあるだろ?

それに…まぁ、センセイの手腕ってやつも気になるしな。」

「“そっか。じゃあ、任せてよ! 黒幕は、僕がなんとかしてみせるから”」

「ほほぉ、言うじゃん?」

 

そんな相槌を返す彼女に、笑みが浮かぶ。

 

「じゃあ先生、楽しみにしてるよ。」




というわけで捏造エピソード路地裏郡狼編、一日目でした!

…本来はここまでの予定でしたが、
「別にこっちでもキリは良いよね」という理由にてもう一話だけ出します

来週の実験話を挟んで投稿するので気に入ったら、覗きに来てください!
どちらも金曜更新です。
Next.
とある世界線の掲示板Part1

and more…(9/19 更新予定)
行くか、改めて
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