教育実習生オンボロ、銃と青春の世界へ(試投稿) 作:北アフリカ大洋
…立ったからには。
和服に身を包み、狐面を被って混乱の中を悠々と歩く生徒が1人。
その名を“狐坂ワカモ“といい、
銃撃戦が日常と化したこの
一際強い刺激に飢えたが故に矯正局送りとなっていた生徒である。
この混乱を引き起こした主犯である彼女は並の生徒には手もつけられず、
特殊部隊を動員してようやく身柄を確保したという実力の持ち主である。
なので。
「止まれ!」「銃を捨てろ!」
駆け寄った
タタタッ 「うわっ!?」「あうっ!」
(まるで相手にならない。)
そう嘲笑うかのように次々と地に伏せさせていく。
ワカモは
改めて辺りを見回し、
「…あらら、連邦生徒会は来てないみたいですね。
フフッ、まあ構いません。」
意に介さない口ぶりでヒビの入った盾を踏み抜きながらとある建物の方へ向かい。
「あの建物に何があるかは存じませんが、
連邦生徒会が大事にしてるものと聞いてしまうと‥‥」
想像し、ぞくりと身を伝う感覚に覚える期待・・
「壊さないと、気がすみませんね‥あら?」
見上げていた視線を降ろすと扉前に立つガスマスクの私服生。
前開きの緑色のパーカーを乗せて
ゆっくり上下する肩は深呼吸をする様子が見て取れ‥‥
『首謀者・・ですね?』
案の定、その声は震えていた。
その割にワカモを警戒する姿勢はどこか戦いに慣れた様相が伺える。
・・なお、だ。
「相手を見て怖がるような、壊しがいの無い敵にはさほど興味はありません。
退いてくれたら、フフッ・・
ト・ク・ベ・ツ・に?
見逃してあげても構いませんことよ?」
『うぅ、ここは連邦生徒会の施設です…
ッ何を! ‥その、壊すつもりだったん、ですか?』
そう言って、手に掛けていた拳銃を抜き。
もう片手にはスタンガン。
「あら、あららら‥
尚更私に恐怖しておいてそれで止められるとでも?」
両肩に担いていた得物を降ろし、構えようとした・・
次の瞬間である。
『スゥッ!』 タァッ
ワカモが身を翻すと
飛び退いた場所を通る、空を切る電撃。
「スタンガンの電撃を“そう使う“のは面白いですわね。
・・まぁ。」
キィッ
踏み切り、揚げていた片足を
前に踏み込んで一閃。
ガスマスクの生徒は照準代わりに構えていたスタンガンでワカモの一振りを受け流し、
タァン・・
しかし懐に打ち込もうとしていた拳銃は
スナイパーライフルの銃床に殴られて狙いを逸らされ
ガツン!
そのまま顎に強烈な一撃を叩き込まれてガスマスクの生徒は地に沈んだ。
「その体たらく、同じ面の同志が手膝を付きますわよ。
それとも、怯むと思ってつけてるのかしら?」
そのまま銃弾を数発入れて気絶させると
「ではこちら、戦利品として預かっておきます。
…ウフフフフ、さぁ本命の元へ参りましょう!」
ガスマスクを剥ぎ取り懐へ仕舞い、
ワカモは建物の中へと入っていった。
そしてその前を走る
「ようやく来たってよ、生徒会の使いが。」
「アタイらの自由、邪魔した報いを受けてもらおうじゃないの!」
騒ぎながら周囲を不良生徒たちが並走していく。
戦車が止まり、並走していた生徒たちが隊列を組むとその前方より
「クルセイダー1型・・! 私の学園の制式戦車と同じ型です。」
背中の羽を立て、眉を顰める長髪の生徒。続いて
「不法に流通されたものに違いないわ!PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!
…早く制圧するわよ、いくらあの子でもこんな状況、無事じゃすまないわ!」
物陰から飛び出して庇うように前に出つつ
続いて彼女の仲間であるらしい他の生徒もその場に着き、構える。
『装甲の厚さもかなりのモノみたいだね。
…ハスミ、準備はいい?』
「はい、タイミングは任せます・・猪戸先生。」
ハスミと呼ばれた長髪の生徒がそう返した。
『“あと、ユウカ、戦車が相手になるけど、問題は無さそう?“』
「あの型なら大体の予想は付くわ。
先生の指示さえあれば、攻撃が私に命中する確率は・・」
続いてユウカに向けられる確認。
サブマシンガンを小脇に抱え、電卓を叩きながら
自信満々に答える彼女、向けられ火を吹く戦車砲。
ズガァァン
放たれた砲撃がユウカを襲うも、
「・・この通り、極めて低い!」
晴れた砲煙の中から現れた彼女には、煤一つ見当たらない。
「先生。良いタイミングがあったら、また教えてくれる?」
『“期待しておいて‥スズミ!“」 「閃光弾、投擲!」
そんな声を合図に、ユウカの頭上を飛び越えるそれは
カラッ
戦車の上に載ると
「何、を‥」 バンッッ!! ッキィィィ…
偶然、前方を確認するために顔を出した者を巻き添えに炸裂する。
戦車の動きが止まった。ならば
『“ハスミ!“』 「逃しません」
確実に、彼女の攻撃が当たる。
撃ち抜かれた戦車はその機能を壊され・・
上部から恨めしそうな顔が覗く。
「さぁ、観念しなさい!」
「ックショウ、ウチらの自由を・・」
勧告するユウカに向けられるロケットランチャー。
いや、誘爆を免れた砲弾か。
『“ユウカ、危な・・“』 「撃たせませんッ!」
戦車の残骸を挟んで反対側からの声。
「誰ッ・・」 バチッ 「‥ぐ、あぁ・・」
ガラッ、ガッ、ゴォッ…
振り向く不良を撃ち抜く小さな稲妻。
手元を痺れさせたか、構えられたロケットランチャーは
廃戦車の装甲を歪めて地面へと落下していった。
撃ち抜かれた不良も気絶し、戦車の中へと沈んでいく。
周囲の不良も、その頃には全員が制圧されており、
「アンズ! 良かっ・・たわけでは、なさそうね?」
残骸の向こう側からこちらに歩み寄る人影。
ユウカがそれに気付き、声をかけた。
青を基調に、差し色の桃色が特徴的なミレニアム生(なのだろう、という制服からの予想でしかないが)は
ユウカの姿を見つけると刻まれた不安の残るあどけない顔から緊張を抜き、
「先輩こそこんなところまで迎えに・・あれ、他の皆様も?」
そう話しながら片手のゴム手袋を外す。
彼女の様子を見ていた
ふらつきよろける青桃髪の少女を支えると
「先生をこの建物にお連れする為です。
足元が覚束ない様子なので、素直に休むことを勧めます・・」
「確かに、このままだと迷惑かけますね‥
ごめんなさい。」
彼女はハスミの支えに体重を預けつつ、居心地の悪そうに肩を竦める。
周囲の安全は確保出来た。となればもう来ても大丈夫だろう。
「“お疲れ、みんな。・・そこの君も。“」
「ヒィッ!?」
労いの言葉を掛けざま、目的地で合流した少女に声を掛けると
少女はビクリとしてユウカの方へ駆け寄り、彼女を盾に僕の様子を伺う。
「ごめんなさい、先生。この子は古澤アンズ、私の後輩よ。
時々思い切りはいいんだけど、大人に対してもこの調子なのよね・・」
「“そうなんだ・・じゃあ、アンズのことは任せても大丈夫かな?“」
「巻き込まれた生徒は他にもいます。救急班を呼んで、一緒に任せる方がいいでしょう。
・・代行、お連れしましたが。」
そう判断し、通信で呼びかけるスズミ。
『無事、奪還できたようですね。私も、もう直ぐ到着予定です。
先生、地下で会いましょう。』
「“わかった・・じゃあみんな、いってくるよ。“」
「はい、お気をつけて。」
「先生のお陰で戦闘がしやすかったです。
この感覚があれば、残っている不良たちがもしこちらに来ても…」
「“うん、でも無理はしないでね。“」
そう言って、先生が建物の中へ入る。
5人はその様子を見送り、暫くその場に留まっていたが
「あ・・! しまった、ワカモが・・」
アンズが突然叫ぶ。
「ワカモって、矯正局に収監されていた、あの!?」
「うん。ガスマスクの誰かが一応止めようとはしてたみたいだけど、
それを払いのけて先生が入っていった建物の中に!」
「それ、本当!? ・・あぁもう、こんな時に限って!」
彼女の言葉を聞き、後を追おうとしたその時
建物の前に押しかける不良たち。
「追い返しましょう。アンズさんは無理そうなら下がって私たちに任せてください。
・・スズミ?」
「あ、あぁ。」
呼びかけられ、慌てて立ち上がるスズミ。
彼女はアンズが歩いてきた方向 入り口付近で、
無造作に捨てられていた緑色のパーカーを手に取っていた。
もう一度、もっているパーカーに目を向ける。
(これは、最近噂の…)
向ける視線には、訝しみが込められていた。
時間は、ほんの少し遡るだろうか。
先生が入った建物の中、地下室へ向けて足を運ぶ。
そして
「ウフフ、情報によればこちらに“シッテムの箱“とやらが…」
事前に調べた情報に従い、ワカモは扉を開けた。
中には。
「ウグゥッ、オオオ・・お?」
ソファに横たわる銀光沢の人影。
目の役割をしているのであろう二つの横長の水色の灯が此方を捉える。
「あらら・・」
「ほほぉ? ・・あーこりゃ。
…なるほど、銃が当たり前の世界ね?」
双方、場の理解に時間を要し。
ワカモが銃を構え、
銀人形はソファを降りて
やや気楽な態度でこちらを向く。
「貴方、連邦生徒会の持ち込んだ“とある物“をご存知で?」
「寝起きのオンボロにンな事、知ってなきゃ判らんだろ。
…刺激に飢えたお嬢さん?」
銀人形はそう質問に答えると、側頭部に右手を当てて斜め上に視線を逸らし…
「ンだよ、このノイズ…ったく。」
呟きつつもしばらくして右手を下ろし、
ワカモの方へ視線を戻すとソレは両手を広げ
「とある物、“シッテムの箱”の事ね? 俺は聞いた事ないな。
確かにこの部屋に運ばれた記録は残ってるみたいだね。
はじめまして、僕はプラザムって名でいろんな世界を渡り歩いてる者だ。」
そう自己紹介した。
直後、何かを思いついたようにピクリと身体が揺れると
「・・まぁ、だ。
その“シッテムの箱“とやらが僕につけられたコードネームって可能性も無くはない。
この世界に来て名前を名乗ったのは君が初めてでね?」
「・・今思いついた、見え透いた出まかせにあっさり騙されるほど私は莫迦じゃありませんわ。
もっとも…」
言いながら、ワカモの仮面だけが少し揺れた。
降ろしていた銃をプラザムと名乗る銀人形に向ける。
・・これは。
「“シッテムの箱“とやらより貴方の方が、ありそうですわね?
・・ウフフ、壊し甲斐が!」
言うなり、飛びかかった。
銀人形は片腕を眼前まで引き、真横へ伸ばすように振り抜く。
振り抜いた腕は、帯電を始めていた。
早速ながらオリキャラ投入。
作者の趣味で無双は好まないので
以降のオリキャラも多分
こんな感じの強さ序列になると思い。
そして、タイトルに入っているオンボロ登場。
自称してるから酷い呼びようではないと思い…
次回、そんな彼を中心に話を進めます。
彼がどんな経緯でここに居るのかも明かすので!
更新:後々の展開用に描写を追加。
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