トウカイテイオーVSトウカイテイオー   作:イモ天屋

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 サイレンススズカ
 アニメ一期と同じくスピカ所属、現在はアメリカ遠征中(書くの忘れてた☆)


#24 転攻 ─Challenge to destiny─

 

 

 グレンはテイオーの脚を診るアドバイザー兼臨時スタッフという立ち位置を得た。沖野から渡されたトレセン学園に務めるスタッフ用のIDカードにより顔パスで学園に出入りすることも出来るようになった。

 これにより本格的にテイオーの怪我防止へ動けるようになった訳だが──

 

─※─※─※─※─※─※─※─※─※─※─※─

 

 トレセン学園内第◯ターフ。

 

 体操服に着替えたスピカメンバー、沖野トレーナー、ほぼ私服と化している黒いジャージを着たグレンがその場に集合していた。何故かターフにあるホワイトボードの前に一列に並んで体育座りをしたスピカ+αを前に沖野は説明を始めた。

 

「テイオー、お前の走り方は確かにスピードが出る」

 

 テイオーの脚首の柔らかさを活かした大きく歩幅を取る走法、テイオーステップ。それはテイオー独自の強力無比の武器だが、強力な武器というのは得てして諸刃のリスクを持つものだ。

 

「だが脚へのダメージが半端じゃあない」

 

 それはグレンのグローリーチャレンジャーレースで実証済みだし、レースの顛末とそのデータは既にトウカイテイオーに共有されている。

 

「……じゃあどうするの?」

 

「走り方を変える」

 

「どういうこと?」

 

「お前自分の走り方の名前知ってるか?」

 

 質問を質問で返され、テイオーは一瞬言葉に詰まった。

 

「よく考えたら知らないなあ……」

 

「ヒールストライク走法だ」

 

 ヒールストライク走法。

 かかとから着地し、地面からの反発力を利用することで前へ進む走り方だ。日本のウマ娘も含めたランナーの多くがこの走り方をしているという。日本人の多くは、体の重心がかかと側にあるとされていて、他の走法に比べて習得しやすいのがメリットだ。ランニングに必要なふくらはぎの筋肉などができあがっていない初心者の方でも、取り入れやすい走法といえる。

 

「で、そのヒールナントカがなんなの?」

 

「怪我しやすいんだ」

 

 ヒールストライク走法はかかとから着地して推進力を得るという構造上、接地の際の衝撃が脚にモロにくる。

 

「え、私達大丈夫なんですか」

 

 テイオーの横で僅かに青ざめたスペシャルウィーク。ゴールドシップも微妙な顔をしている。

 

「お前らの脚は丈夫だから大丈夫だ……あ、すまん」

 

 ムスッと膨れたテイオーに沖野が謝罪した。

 

「そこで違う走法……ミッドフット走法って訳だ」

 

 ミッドフット走法。

 この走法は足裏全体で着地することで接地の際の衝撃を分散できることから脚に掛かる負担を軽くすることが出来る。また、体幹が安定するため身体全体を使ったフォームで走れる。テイオーの身体の柔軟さも活かせる、まさにうってつけの走法と言えるだろう。

 

「その走法に変えれば問題解決ってことかー」

 

「ところがどっこい、そうとも言い切れない」

 

 ミッドフット走法は優れた走法かつ、トウカイテイオーにカッチリと当てはまった選択先である。だが──

 

「ミッドフット走法は習得に時間がかかるんだ」

 

 ヒールストライク走法とミッドフット走法。二つの走り方には大きな差異が存在している。

 テイオーや他のウマ娘、アスリートらは長くヒールストライク走法で走っている。無意識のうちにその型をとってしまう程に。それを変えるとなるとかなりの労力と時間が必要となるだろう。さらに慣れない走り方による怪我のリスクもある。

 

「最低でも三ヶ月は慣らす為のトレーニングが欲しいところだが……」

 

 ──目標のレース、日本ダービーまであと二ヶ月しか時間は残されていなかった。

 

 沈黙に包まれる面々。その沈黙を破ったのは今まで黙っていたグレンだった。

 

「その……」

 

 その場にいる全員の視線が自身に集まったことを知覚し、グレンはかすかに息を呑んだ。

 

「今の走り方のままでも、日本ダービーを勝つことは可能で……だと思います」

 

 史実のトウカイテイオー号と実録のトウカイテイオー。彼と彼女は本来の脚と走りを使い、日本ダービーの勝利をもぎ取った。しかしその代償に怪我の故障、菊花賞への出走取り消し、無敗三冠制覇への夢を諦めざるを得なかった。

 

「しかし菊花賞に出走出来るかは……分かりません」

 

 再び訪れる沈黙。普段は騒がしいゴールドシップも、今は静かに腕を組んでいる。

 日本ダービーに勝てる可能性を取るか、無敗三冠への可能性を取るか。前者は脚の故障が必至、しかし後者もリスクが高い。こうなったら日本ダービーを回避し、より確実なミッドフット走法への転換を取る路線も視野に入ってくる。

 

「それじゃあダメだよ」

 

 今度沈黙を破ったのは、グレンではなくテイオーだった。立ち上がり、沖野トレーナーと向き合う。

 

「ボクはカイチョ……無敗で、三冠を制覇することを目標に今まで走ってきた。そこは絶対譲れない」

 

 トウカイテイオーが憧れ、目標とするのはシンボリルドルフ。七つの冠を戴いた皇帝。かの伝説を超えるためなら無敗三冠は、言わば前提条件に過ぎない。傲慢と捉えられても仕方のない高い、はるか高くに存在する目標到達地点。

 そこに至るためならこだわりは時に障害となることもある。

 

「それじゃあ……」

 

「やってみるよ。ミッドフット走法」

 

「……そうか」

 

 毅然とした態度で言い切ったトウカイテイオーを前に、沖野トレーナーは頬を両手で叩いた。

 

「よし、俺も腹を括る。全力でサポートするからな」

 

「よろしく、トレーナー」

 

「おう、何二人で話進めてんだぁ?」

 

 テイオーが顔を向けるとチームメイトの二人が立ち上がるところだった。

 

「ダチの大一番、何もしないでただ眺めてただけとあっちゃあ黄金船の名前が泣くからな」

 

「私も出来ることがあるならなんでも手伝います!並走とか!あ、雑用とか!」

 

「……!ありがとう二人とも!」

 

 その時全員の視線がとある一点に向かった。もちろんグレンである。

 

「君はどうするの?」

 

「いやどうするのって……」

 

 スピカの全員の注目の的に立たされた中で、まさか何もせず帰りますなどと言えるわけもなく。

 

「はーどっこいさ」

 

 まあ、圧をかけられようがなかろうがグレンの中で答えは既に決まり切っているのだが。グレンもスピカと立ち上がり、向かい合う。

 

「もちろんお手伝いしますとも」

 

「よぅし!」

 

 チームの総意を耳にした沖野トレーナーが拳を振り上げる。

 

「取りに行くぞ……日本ダービー!!」

 

 

 

 ──東京優駿まで、残り二ヶ月。

 

 

 

 






 走法周りに関しては自分はトーシローなのでコイツこんなこと言ってらぁwみたいな感じ見てもらえると……。

 それとステイゴールド発表されましたねぇ……これは助かりますねぇ……。
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