前へ   作:Shin.J


原作:デュエル・マスターズ
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これは,風のガンマンが書いたとも語ったとも言われる記録。
ジョーカーズのエース,《ジョリー・ザ・ジョニー》の独白を綴った日記である。

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〜始まり〜

 

 日記を書くのはどうも苦手だ。

そもそもひとつ所に留まることすら、柄ではない。

ある所で仲間になった侍は言った。

「一太刀に魂を込める」、と。

残念ながら俺の得物はそんな大層なものではない。

引き金を、一度引く。

そうして放たれていった弾丸に一つ一つ情を持っていては何かと面倒だ。

生まれてこの方、人と出会い別れてきた。

今でも共にいるのはこの銃と、馬一頭。

後は、龍のガンマンが1人だ。

 

 

 最初は、馬と2人きりだった。

騒がしいのが好きな俺の主はたくさん自分の友を作った。

その騒がしさは、遠くにいる俺も心地良かった。

 

(あるじ)との歩み〜

 

 火文明に行った。怒れる火文明のマスターを打ち倒し、その得物であるスケボーを渡された。

俺の主は見よう見まねでそのスケボーを真似して生み出すと、お人好しにも元のスケボーは返してしまった。

そのスケボーは、仲間と乗ることが多かった。

おかしな奴らばかりだが、俺と共に懸命に戦う連中を見ていると、何故だかこちらも熱くなった。

 

 主は光文明の守護者との一騎打ちをした。

火文明の力を総動員した波状攻撃では、奴を止めることはできなかった。

俺は自分の銃での勝負にこだわっていた。

だが、主の熱い闘志はその信念すらも変えるほど、強く熱い炎のようだった。

結果、主の託した武器が俺達を勝利に導いた。

 

 俺は少し、自分を見つめ直そうと思った。

期せずして、主はドラゴンを生み出した。

禁じられている龍の力。だが、この力はきっと俺より強い追い風になる。

 

「そのドラゴンは、俺が殺す。」

我ながら、これを別れの言葉にしようとしたのはセンスがないな。

 

結果,俺は負けた。

俺は帽子を勝利した新しいリーダーに託して旅に出た。

 

〜旅に出て〜

 

 スプリガンという連中がいる。文明を守るガンマンだ。

俺にかつて深い傷を負わせた奴は,その中の誰かであることが分かっている。

俺はその傷を付けた相手が自然文明にいると思っていた。

偶然にも,主達と再会した。

久々の邂逅に加え,あれだけ大口を叩いたのに直ぐに再会した恥ずかしさが少しあった。

俺は1人で戦おうとした。それがいつものことだったからだ。

だが主は「嫌だ」とはっきりと意思を伝えてきた。

気づかない内に大きくなった主の姿を見て,俺はまた背中を預けようと思った。

打ち破った自然文明のスプリガンは,俺の因縁の相手ではなかった。

 

 自然文明の「怒り」が「災害」として顕現した。

主は見えない物を撃ち抜けるボウガンを俺に託した。

ボウガンの弾丸と,自由に飛び回る龍の弾丸。

その力は災害すら撃ち抜いた。

俺はまた旅に出た。

 

 

〜世界を救って〜

しばらく旅を続けている間に,何やら世界が大変なことになっていた。

俺の兄貴まで戦いに加わって,世界を無にしようとするドラゴンと戦わなければいけないらしい。

主は俺にこれまでの戦いで得た火,自然,水の力を混ぜ合わせて注ぎ込むと,荒れ狂う創造のドラゴンを操る竜騎士とした。

俺も随分じゃじゃ馬の扱いを任されることが増えてしまった。

「行くぜ!ジョギラゴン!」

ドラゴン,ジョギラゴンの名前を呼び,俺達は零龍に向けて引き金を引く。

命が芽吹くことに,2度はないから。

 

〜芽吹き〜

ジョラゴンは徐々にドラゴンとしての本能に突き動かされ,純粋だった時期以上に力の制御が難しくなってしまった。

俺はジョラゴンに声をかけた。まさか自分の旅路に誰かがついてくるとは思わなかったが。

「ドラゴンとしてどうすべきか,一緒に世界を見て考えないか。」

俺たちはドラゴンの降臨する地で,「ドラゴンとは」ということについて考えることにした。

ちょうどその時期は春。桃の花香る,風の吹き抜けるには心地の良すぎるかもしれない季節だった。

 

〜龍の降臨する地〜

あるところにはオラクルという宗教の集団がいた。

「ゼロの力を感じますね。貴方も我らが神を信仰しませんか?」

胡散臭い男はにこやかに俺達に語りかける。どうやら俺達の中の力の一部が,奴らの神の力に似ているらしい。

「生憎だ。俺達には何もないんじゃない。全て,自由に描き出せるのさ。」

何か喚く男を背に,俺達はその場を後にした。

ふと,飛び去った後ろを振り返ると神聖な龍が何か音を奏でていた。

後で知ったことだが,その龍,《神聖龍エモーショナル・ハードコア》が教義に逆らった者の「名」を奏で,浄化して消していたらしい。

ドラゴンとは,神のように崇められはしても,利用されている者もいるのだと俺達は哀しんだ。

 

海は苦手だ。泳ぐことはできないし,銃が錆びる。

そう思って通り過ぎようとした矢先,美しい歌声と共にドラゴンが海から姿を現した。

周りで着飾った娘達もその場で歌い踊っている。

俺は問いかける。

「お前が歌うのは,ドラゴンだからか?」

歌いながら《海姫龍ライベルモット・ビターズ》は答える。

「私はそう望まれた。この者達が願う時,応えて欲しいと求められた時,私はここに現れる。」

あとで聞くと,伝説のアイドル「CC」のライブが最高潮に達した際に生み出されたらしい。

俺達も「求められて」この世界にあるな,と感慨深くなった。

 

竹の生い茂る茂みに入った俺達の前に,音もなく影もなくその龍は現れた。

「我が名は《裏斬隠蒼頭龍バジリスク》。旅の方,お主らは何を目指す?」

「こちらが聞いても良いか?お前はドラゴンとして何を望まれたんだ?」

「左様。我は争いを防ぐため。いつまでも自由に,戦いを終え,平和に生きるためにこの力を使うのだ。」

世界を救うなんて簡単に言ってくれるな,と思うが,その目に嘘はない。

「シノビって連中は,嘘つきだと思ってたぜ。」

「嘘はあくまで術の内に過ぎんよ。そういうお主は,随分素直に見える。」

「確かに,嘘は苦手だな。」

ジョラゴンが苦笑いするのを無視して,シノビの里を早々に通り過ぎることにした。

 

闇文明,ファンキー・ナイトメアの地にもドラゴンが生まれたらしい。

「魔壊王様に変わって,ガルザ・ガルザ・ガルザ様が罰してくれるんだってさ!」

全く死を恐れない,どころか死を楽しむような面々を見て,少し驚くが歩みを進める。

「お前が望まれているのは,死なのか?罰なのか?」

《歓楽龍ガルザ・ガルザ・ガルザ》は答える。

「どちらもだ。何か一つを望まれる者など,龍足り得ないだろう。」

多くの世界,命,未来を背負った自分達を思い出し納得する。

「こいつらには果たして,弾丸は一発で足りるのかね。」

「奴らは愉しみを求めているのだよ。愉しみは多い方が良い。」

「それじゃ俺達とは,とことん相性が悪いな。」

 

 

自然文明,吹雪く雪山にもドラゴンが生まれたらしい。

まるで山のような《氷結龍ダイヤモンド・クレパス》とも語らう。

「守るものが多いってのも大変だな。」

「それが望みなら,答えるのが龍というもの。お前達は何を望まれたのだ?」

「…主と共に戦う,ことかもしれないな。」

「今その者とは?」

「そいつの下には今,随分と頼もしいドラゴンがいるんだ。春風みたいな奴さ。」

「なるほど。春は良い。世界はきっと,雪解けを待っている。」

 

 

森は祭りの会場になっていた。まだ残る傷跡をよそに,ドリームメイト達は楽しげだ。

「フィオナフェスをやってるんだ!旅の人も楽しんでってよ!」

《森夢龍フィオナ・フォレスト》は森の中心で,民と触れ合っていた。

「おや,旅の方。何かお探しですかな?」

余所者にも和かなこの龍は,その深い傷を悟らせない。

「守ること,ってのはどういうことなんだろうな。」

「おやおや,思案の旅路の最中でしたか。」

「…この森の傷は消えることはないんだろうな。」

「ははは,痛いところを突いてきますな。そうでしょう。何度も何度も戦いに巻き込まれ,燃えては蘇り、その度に生きている者達が力をくれる。」

「彼らは力をくれる仲間だと?」

「そうです。森で眠り,森で目覚め,同じ夢を想う。そんな夢の仲間(ドリームメイト)ですから。」

「そうか。俺達もその誰もが切り札なんだ。戦いの中で同じ希望と夢を星に願う,な。」

「でしたらきっと,貴方達の夢も1人で見るものではないのでしょうな。」

 

 

〜光の中で〜

夢と希望の星は,失われた。だがその思いは失われていない。

想いの力をかき集め,描き出す。主のようにスケッチブックに全てを収めて。

失われたかに思われた仲間達の息吹は,心のみの絵となっても熱く燃え上がる。

魂の力を,世界の光の力を身に受け,俺も進化する。

そして,俺は主に,切札ジョーにこう告げる。

 

「勝つんだ!ジョー!」


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