お腹空いた。
かれこれ、一週間ぐらいは食べていない。水は飲んでるけど、食事はしてない。でも、これにはちゃんと理由がある。お金も無いんだけど、それよりも大事な事。それは……。
ご飯を抜けば、抜く程。その後のご飯は美味しくなる!ついでに強くなれる。
普段冒険者として働いてる私だけれども、収入は決して多くは無い。ちょっとお酒を飲んで、その日の寝泊まりの宿に泊まったらもう残らない。それぐらい少ない。そんな日々を続けていたある日、私はスキルを覚えた。
この世界ではわたまにそう言う事が起こるらしい。だからそんなに驚かなかったんだけれど、内容には少し驚いた。
《スキル名》『断食』
食事を抜けば抜くほど、強くなる。副作用として食事を抜いた分美味しく感じる様になる。
このスキルにより、私はお金を多く稼ぐ事が可能になった。そのお金で、私はご褒美として美味しい物を食べることにしている。
その為に、私は今日もご飯を抜きクエストに出かけた。さっきも言った通り今日で丁度一週間なので、そろそろ頃合いだ。ふっふっふっ!そう思うと断然テンションが上がる。
今日の獲物はリザードマン。小ドラゴンの進化系の中の一つで、レベルが上がるとドラゴンになるらしい。いつか、ドラゴンも食べてみたいけど。また別の話。
今日の獲物に目当てをつけると、私は固まっていたリザードマンに剣を振るって首を切り裂いた。
そのまま、一気にとは行かず一匹残った。……このまま帰ってしまおうか。でも、じゅるり。
目の前にいるのは
再び走り出しリザードマンに剣を向けたが、手で止められてしまった。が、そんな物は関係無い。
おにくおにくおにくおにくおにくおにくっおにく!
刃が腕に食い込み。そのまま、リザードマンの腕は落ち、次の瞬間には頭が落ちていた。
「ただいま……おにく」
『お帰りなさい……何匹倒したんですか?クエストでは二匹だった筈ですけど?』
ギルドに帰ると、受付嬢がそう言ったので私は片手をパーにして見せた。
『五匹……。残りの分はどうします?ギルドの方で売るか』
「現品で」
『聞く意味は無かったですね……リザードマン出してくれたら、適当な席に座って待ってて下さい』
いつも通りの会話で慣れてるからか受付嬢はスムーズに対応してくれた。だから私もバッグからリザードマンを取り出すとすぐに椅子に座った。
現品でとは、その場で調理を指す。ギルドの横には酒場があって、ギルドのクエストで余った分はそこで調理される。私のお肉は全部私の分だけどね!
『お金は、はい。これね、残りの分はもう渡してるあるから、すぐに出来ると思うから待っててね』
カクカクと首を動かすと急いで、席に戻った。お肉ぅ……。一週間ぶり。
「はい、お待たせ。リザードマンのテールカツとウロコチップス。熱いから気をつけてね」
テーブルに置かれたと共に口の中へと移動させる。これ絶対美味いヤツ!と言うか美味しい!黄金色のカツとサクサクのチップス!サックサクのハーモニーが口の中を永遠に占領する。止まらないっ!美味ぁっ!!?
「生きてて良かったぁ」
こんな美味しい物が食べれるんだから。また断食しないと。明日から。
にしても美味しい……。これなら狩り尽くせば良かったかも。ま、それは他の冒険者の迷惑になるか。
そして、この口の中の油っぽさを……!
「ぷはぁ〜」
ビールで流す。最高!この為に私は生きてるっ。お酒は美味しいし、お肉も美味しい。
「すいません。ライスと、ミノタロウスのスープもお願いします」
久々の食事に舌鼓を打って、明日の英気を養った。明日も頑張ろ。